週末はブリスベンで行われていた、サイエンス・フェスティバルに行ってきました。サウスバンクの博物館を中心に、外でもいくつものテントが出されて、様々な機関が自分たちの研究や、子どもや家族向けの科学的なイベントを紹介していました。
ブリスベンにキャンパスのある、クイーンズランド大学、クイーンズランド工科大学、グリフィス大学もそれぞれ、学生たちが自分たちの研究を披露していました。僕が面白いなと思ったのは、クイーンズランド工科大学の環境に優しい新しい服の素材についての発表。服の素材って、コットンも化学繊維も、もちろん毛皮も、あまり自然環境には良くないわけです。そんな時にバクテリアを繁殖させて服に使えるかつ自然に戻りやすい素材を開発するのは意義があることだと思います。
そのほかの多くのブースがそのような、自然環境に優しい研究をテーマにしていたのが印象的でした。たぶん、そういうものの方がお金もかからないし、小さな研究団体においては取り組みやすいテーマなのでしょう。
そして、博物館では、アポロの月面着陸から50年を記念した特別展が開催されていました。きっとNASAが世界中でこの展示を巡回させているんだと思います。あらためて、その当時に使われていた装備やロケットのレプリカなどを見てみると、まだ技術も未熟な中で国家の威信を賭けた大きな挑戦だったということが分かります。当時の人々(僕は小学校1年生だったから、当時の人々の一人だったわけですが)が熱狂したのもうなずけるのです。
しかし、その熱狂から50年を経て、宇宙のことがさらにわかっていけばいくほど、僕の中での宇宙開発に対する興味はどんどん冷めてしまっています。それは、僕たちの地球がいかに幸運な奇跡のもとに生まれ、僕たちが存在しているかがわかることによって、人間に使命があるのであれば、その奇跡である地球を壊さないことが、宇宙に飛び出すよりも大切だからです。
お金持ちたちが、植民地開拓的な発想で宇宙旅行を計画したりしていますが、僕たちは与えられた地球をいかに美しく保つかに科学と技術をもっと使うべきなのでしょう。
NASAの展示の妙なノスタルジック感と、小さなテントのささやかな環境保護のテーマのコントラストが印象に残った1日でした。