アンケートに気をつけろ

今日の話は、道端で「アンケートいいですか?」と声をかけてくるおばさん達に気をつけろという話ではありません。(でも、あのビジネスモデル?は僕が学生の時からあるので、40年間は普遍だということですね。それはそれですごいというか、日本って何も変わっていないのが怖いですね。)

何かを発表するためにアンケートを取っているという事に気をつけろという話です。政治家の保身のためのアンケート調査は、信じられないのは当たり前ですが、世の中、似たようなことは至る所で見つけることができます。

「お客様の満足度98%!(当社アンケート調べ)」みたいなのは、嘘つけ!と突っ込みたくなりますが、「お客様の満足度70%(当社アンケート)」という正直な会社があったら、きっと98%の会社を選んでしまうのが人間の心理の悲しいところです。ですから、発表されているアンケート結果を意思決定のための情報としては使わないと決めた方が正しい決断につながります。

アンケートは自分たちのサービスや商品の質を改善するためにお客様の意見を聞く目的で開発されたものなのに、それがいつの頃からか自己満足を通り越して、マーケティングのための情報になってしまっています。年寄り向けの通販サイトやテレビでは、そんな情報ばかりで、爺さん婆さんは簡単に騙されてしまいますが、留学を目指す若者達には、そんな手法が役に立たない判断力を持って欲しいと思います。

オーストラリア留学は30歳までに

先月、オーストラリア政府から、来年以降の移民政策に関する方針が発表されました。コロナ以降に急増したワーホリや留学生たちに対するルールも大きく変更されます。

方針を簡単に言えば「若くて優秀な人たちは、ぜひオーストラリアに来てください。チャンスも増やしますよ。でも、ただ滞在して働くために学生ビザを申請したい人には来てほしくありません。」ということです。これは、あるべき姿というか国としては正しい方向なんだと思います。出稼ぎワーホリに来て、居心地が良かったり、稼げる環境なので母国に帰りたくない人たちが、ビザ取り学校と呼ばれる学生ビザを取得するためだけのゆるい学校に通う人が多いということは、国にとってもその人たちにとっても好ましいことではないのです。しかし、いきなりルールが変わることは、多くの人々たちの人生を狂わすことになるので、今年はオーストラリアの留学市場は少し混乱すると思います。

私たちの会社は、ビザ取り学校とは契約がないので、その市場では特に業績に影響はありませんが、今回の政府の発表で気になることと言えば、大学や大学院を卒業した時に申請できる卒業生ビザの年齢制限が35歳となったことです。今までは40代でも申請できたのが35歳までということになると、40歳の人が留学を機にキャリアチェンジをして、オーストラリアで就労・永住などを考えることがとても難しくなります。ということは、社会人になってからの留学は30歳くらいまでには考えなくてはいけないのです。人生100年時代だし、いくつになっても人生は変えることができるとは思いますが、オーストラリアでのキャリアを考えるなら、早く動かなくてはいけません。30歳までは遊んで、経験積んで、みたいなことを考えているとチャンスを逃してしまう可能性もあるので、20代の人は気をつけてくださいね。

世の中の情報というもの

先日、日本のテレビ番組制作会社から、留学生たちの間で、アデレードが留学先として人気急上昇でロケを行ったので、どのくらい留学生の数が増えたか教えて欲しいというメールがありました。きっとうちの会社は、アデレードにオフィスを持っている珍しい会社だから連絡をしてきたのだと思いますが、答えには困ってしまいました。

なぜなら、アデレードは、コロナの期間にそれまでとても人気で質の高い語学学校が2校閉鎖してしまったので、その影響でコロナ前と比べても留学生の数は増えておらず、また英語が出来ないと簡単にはアルバイトは見つからないので、普通の留学生たちにはハードルが高い街だからです。アデレードで成功するのは、英語力がかなり上達しないと難しいのです。テレビ番組制作の方に忖度して、「人気急上昇です!アデレードは今がチャンス!」みたいなコメントを返すのも、うちの会社らしくないので、正直な状況をお知らせしました。当然?ながら、返事は来ていません。作った番組はどうなったんでしょうね。その番組を見て、アデレードにワーホリとかでやって来て、話が違うとか言われても僕たちは困っちゃうんですけどね。

ということで、世の中の情報なんて、誰かが意図的に作ったものです。フェイクニュースでなくても、誰かの思惑というものが必ず入ってきます。もちろん、この僕の文章だって、「アデレードに留学に行けば楽勝!」みたいなことを考える若者はアデレードには来ないでねという思惑が入っています。そうなってくると、いったい何を信じればいいの?みたいなことになるわけです。僕は、それが大人になっていくために学ばなくてはならない、とても大切なスキルの一つだと思っています。つまり、胡散臭い話とか胡散臭い人を見極めるスキルです。これは、自分で考えて自分で意思決定して、時々間違えていかなくては育たないスキルです。大学進学とか就活とか20代になるまで、親とか友人とかに意思決定を委ねていると、40歳とか50歳の時にミスを犯してしまうので、若いうちに経験を積んでおいた方が良いですよ。

アンテナを閉じる?

先日のサンシャインコーストまでのドライブの途中で、ランチで立ち寄ったのが、ニューサウスウェールズ州のParkesという街の郊外にある、電波天文台。アポロ11号が月に着陸した時にも活躍したというオーストラリアの歴史的な望遠鏡ですが、まだ現役で使われています。映画にもなっているので、オーストラリア人にもよく知られた場所です。

快晴の空の下、併設されたカフェでコーヒーを飲みながら、望遠鏡を眺めていると宇宙からの声が聞こえてきそうです。もしかしたら、僕たちには知らされない宇宙からのメッセージの解読をここで働いている人たちは秘密にやっているかもしれない、、なんてことを考えるとドキドキするというか楽しくなってきます。

でも、よーく考えてみると、アンテナが大きすぎて、毎日のように大量のノイズをキャッチしてしまうのではないかと心配になりました。それがノイズなのか意味のある信号なのかをチェックしていく仕事って、けっこう大変そうだし、好きでなくては出来そうにありません。疲れたから昼寝しようとか、良い天気だから散歩に行こうみたいなことも、ここでは許されそうにありません。

若い頃には、社会にしっかりとアンテナを張って、情報を取捨選択しましょうとかって指導された気もしますが、今のようにノイズだらけの世の中だと、いかにアンテナを閉じるかの方が重要な気がします。もし、このブログを読まれている方がオーストラリアにいる留学生だったら、まずは日本に向けたアンテナを閉じてみましょう。日本の芸能界がどうなろうと、友達がパーティーをして楽しんでいたとしても、今のあなたが知る必要のないことだらけです。それよりも、オーストラリアの生活を充実させるためにやるべきことを実行しておきましょう。オーストラリアにいられる時間はあっという間に過ぎていってしまうのですから。

お金で買えないやりたいこと

アデレードは、どうも冬の時期は雨が多いようで、日曜日に雨が降ると午後は図書館にやってきて、雑誌を読んだり、こんな文章を書いたりしています。街の図書館ですが、広いしのんびりできるので、お金がかからないのにいい時間を過ごせるなと思ったところから、今日のお話です。


やりたいことって、2つの種類があると思います。少し無理やりな分け方ですが、お金で買えるものとお金では買えないものの2つです。旅行したいとか、あそこのレストランで食事したいとか、あの映画を観たいなどは、お金で買えることです。そして、今の時代としては、それらのことはSNSに親和性があり、インスタ映えしていくものです。

それに比べて、お金で買えないのは、文章を書いたり、散歩をしたり、図書館で本を読んだり、友だちと時間を忘れて語り合ったり、その後に、その話について考えたりする時間です。それは、あまりインスタ映えはしないけど、何かしらの新しい気づきや価値を生み出したり、新たなやりたいことや、解決したい問題などを気づかせてくれるかもしれません。

10代の頃のやりたいことって、お金はあまりかからなかったのに、大学生くらいになると、やりたいことにお金がかかるようになってきて、やりたいこと=消費活動の癖がついていきます。そのマインドセットのまま、社会人になると、お金をどんどん使って、あまり意味のないやりたいことに時間を費やしてしまいます。そして、やりたいことがだんだん減っていくのです。

そんな日常を変えるためにも、オーストラリアに留学に来たら、どうせお金は無いし、物価は高いので、海外から来た留学生や地元の人たちとコーヒー一杯の投資でひたすら話をしてみてください。あるいは、街をひたすら歩いて、写真を撮ったり考えたことを書いてみてください。やりたいこと=消費のマインドセットを変えることで、その後の人生がきっと充実してくると思います。

なぜなら、AIの時代に、人間に残された仕事って、やりたいことを考えるということだからです。優秀なアシスタントに何をやってもらうか、常にアイデアが出せるようなトレーニングをしておくと、きっと成功していくんだと思うのです。「やりたいことってないんですよねー。」みたいなことを言ってる場合では無いのかもしれません。

ワーホリはテーマを持って

一時期の、出稼ぎワーホリみたいな問い合わせは、減ってきましたしたが、いまだに多いのは、「海外で生活をすることに憧れがあったので、ワーホリに行ってみたい」という問い合わせです。今の若者たちにとって、海外で生活をするというのは、人生のバケットリストの一つになっている印象があります。せっかくの一生に一度の機会なのであれば、単なる思い出で終わるようなものでなく、その後の人生を少し良くしていくきっかけになって欲しいと思います。


まずは、お金を稼ぐ目的のためにワーホリに行くというのは、やめた方がいいです。オーストラリアは時給も高いけど、生活費も高いので、期待していたほどは手元に残らないです。たとえ一時的に100万円儲けたとしても、100万円なんて、半年もすれば無くなってしまいます。それよりも、30代以降に自分がやりたい仕事に就くために、経験を積み、実力をつけ、語れるトピックの引き出しを多く持てるようになった方が、経済的にも長期的に成功すると思います。

そのためにも、何かしっかりとしたテーマを持つべきだと思います。例えば、よくある目的の一つに「いろんな国の人と話してみたい」というのがあるのですが、実際、どんな話をしたいかは、よく分かりませんみたいな人が結構多いのです。いろんな国の人の結婚観を聞いてみたいとか、人生の成功について聞いてみたいとか、仕事観について聞いてみたいとか、ちょっとテーマを絞るだけで、自分だけが語れる世界が作れるのです。

将来、カフェを経営したいなら、オーストラリアのカフェの成功しているカフェと成功していないカフェの違いのレポートを作ってみるとか、将来、農業をしたいなら、ファームを渡り歩いて生産性の違いの要因を探ってみるとか、テーマは無限に作れると思います。自分しか出来ない経験を積みたいと思ったら、ぜひ、そんなテーマ作りについて考えてみてください。

農業高校のマーケット

週末のファーマーズ・マーケットに行くのは、スーパーマーケットでは食品をほとんど買わない僕たちのルーティンのひとつなのですが、家から歩いて5分のところにある農業高校で、月の最初の土曜日に、マーケットが開催されるというので、初めて行ってきました。高校の駐車場の一部を使って開催されていて、その高校で生産されているりんごやオリーブ、はちみつ、卵などが販売されていました。それ以外にも高校生がクラスのプロジェクトで作ったケーキ屋さんとか、先生みたいな人と高校生がやってるホットドック(オーストラリアでは、ソーセージシズルと言いますが)屋さんとか、生徒がやってるコーヒースタンドなどがあって、文化祭の屋台の縮小版みたいな感じでした。それ以外に近くの農家が野菜を売りにきてたりとか、パン屋さんが店を出していたりと、マーケットとして儲けるというよりは、地元の人たちが月に一度集まってワイワイするという目的のようでした。





市内からたった15分くらいの場所に農業高校があるというのが、アデレードらしいと思うのですが、このキャンパスには公立の専門学校であるTAFEのキャンパスも併設されていて、留学生向けの園芸関係の講座も開講しています。自然や植物を理解していくって、とても奥の深い学びなので、若いうちから始めておけば良かったとこの歳になって少し後悔しているので、短期のコースとかがあったら参加してみたいと思っています。



僕はこれからの時代って、英語とITと農業ができる・分かる人ってすごく自由に生きていけると考えています。世界中の企業とITの仕事をリモートで契約して、自分の好きな街や田舎に家を作って、小さな庭でも野菜などを栽培して家庭の食料自給率を高めておくと、いつ起きるかわからないさまざまな危機に対応できる可能性が高くなります。Work Globally, Live Locally. というのが、これからの生き方の一つの方向性になってくるのだと思います。

留学することの意義

アデレード近郊に約1ヶ月滞在していました。これだけ長い期間その街にいると、愛着も湧いてきて、将来はもっと長く住んでみたいなと思い始めました。もしかしたら、将来はアデレードに引っ越しをすることもあるかもしれません。食べ物は美味しいし、ファーマーズマーケットは素敵だし、街は落ち着いてるし、テニスクラブもちゃんとありそうだし。とても楽しめた1ヶ月でした。

さて、先週は、3年ぶりくらいに、お客様を集めたセミナーを開催しました。コロナ禍ではなかなかお客様を集めて何かを開催するということができませんでしたが、本当に久しぶりに留学生たちと対面でお話をすることができました。


そして、今週にはセミナーに参加された何人かのお客様たちとは個別にお茶やランチをする機会がありました。数日の出張だと、なかなかそんな機会はないのですが、今回は時間もあったので、一人一人の夢や考えていることなどを聞くことができました。彼らも60歳のおじさんと、コーヒーを飲みながら話をするなんて機会は日本ではなかったのだと思います。

僕は海外留学の意義の一つは、日本では話さない人とじっくりと話をすることなんだと思います。違う国の人たち、違う世代の人たちと、カフェでも公園でもキャンパスでも、時間を気にしないで、それまでの人生のことやこれからの夢のことや今の興味のあることなどを語り合うことで、自分にしか経験できない充実した時間を過ごすことができるのです。観光地に行って写真を撮って、インスタにあげるのは、まあ、誰でもできる話です。

週に1回でいいので、誰かを誘ってカフェに行ってみましょう。皆さんの知らない世界や人生を聞くことができると思います。そして、僕も多くの人たちと話をしていく時間を楽しみにしていきたいと思います。

海外を旅しながら磨けるスキル

オーストラリアの国境が開いてから、止まることなく留学の問い合わせをいただいています。特に日本の大学生の語学留学はコロナ禍の前に比べてもずっと増えています。コロナの時代に、大学でちゃんとした授業を受けられなかった不安からなのか、就職には英語力が必要と人材会社がアピールしているからなのか分かりませんが、とにかく毎日のように大学生たちから問い合わせがやってきます。


でも、英語ってツールなので、英語そのものが必要十分条件になることはないわけです。ある強みを持った人が、それを世界でも通用させるために英語を学ぶのは意義があるかもしれませんが、自分の強みとかやりたいことが決まっていない段階でとりあえず英語を留学して学ぶというのは、コストパフォーマンス的には勿体無い感じがします。お金持ちならともかく、借金してまで語学留学をするのは、回収にかなりの時間が取られてしまいます。

ですから、もし、留学しようかなと言う思いが、周りの学生たちが行ってるからとか、就活の履歴書に経験として加えたいからとかであれば、焦る必要はないので、多くの人たちが本当に留学が必要と感じる20代後半になるまで、日本で英語の勉強を続けながら、お金を貯めておきましょう。20代後半での留学は、人生を変えてくれる可能性が高いです。

留学するお金はないけど、それでも、どうしても大学時代に海外を経験したいのであれば、バックパックを背負って、海外を旅してみてください。例えばオーストラリアだったらケアンズで飛行機を降りて、高速バスに乗って、南を目指して、停車したらその街で1日暮らしてみて、またバスに乗ってを繰り返してメルボルンまで降りてきて、日本に帰るとか。そんな旅は、かなりタフさを鍛えてくれると思います。そして、日記をつけて、考えたことを大切に残しておいてください。大学時代って、どんなスキルよりも、ちゃんと考えたことを表現するスキルと、危機回避のための勘を磨くこと(胡散臭い話についていかないみたいな)が大切だと思うのです。

自然の中で1年間暮らしてみる

今は、タスマニア州の州都であるホバートの郊外に暮らしています。市内の中心から車で30分も走らないのに、自然の中の小屋で人工的な音はほとんど聞こえてきません。鳥の鳴き声とカエルの鳴き声くらいで、庭には時々ワラビーもやってきます。タスマニアにしかいない鳥の家族も近くに住んでいて、あまり可愛くない鳴き声で、時々うるさいです。




ホバートにはタスマニア大学、タスマニアTAFE、そして語学学校がいくつかありますが、日本人の留学生たちはほとんど見かけることはありません。他の州に比べても留学生の数が圧倒的に少なく(例えばニューサウスウエールズ州の留学生の数%しかタスマニア州には留学生がいません。)留学生の仲間を作りたいという人には、向いていないかもしれませんが、ローカルの人々と交流する機会は、他の州に比べて多いと思います。



そして、この自然。週末にやることは、この自然の中を歩くくらいしかありません。でも、留学って、SNSにアップできるようなことを毎日探すことではなく、自然の中で考え事をする時間を大切にすべきだと思うのです。オーストラリア、特にタスマニアのような田舎の地域に来ると、成功というものが経済的な成功ではなく、人生を楽しんでいるかの方が大切で、かつ自然が周りにあると、それを楽しむことで十分だということがわかってくるかもしれません。


例えば、大学を休学して留学をするなら、タスマニアも候補の一つに入れてみてください。生活費も安いし、週末はサンドイッチ買って、バスに乗って、どこか自然の中に行って、歩きながらこれからの生き方について考えてみる。そんな1年を過ごした人が、最終的には自分らしい人生を歩めるのだと思います。