予測不能を楽しむ

今月の頭に、夏のオーストラリアから東京にやって来て、約10日が過ぎました。やっとこの寒さにもなんとか慣れてきたところです。

日本に帰ってきて、東京の街の中を歩いていると、「小さな楽しみ」が数多く売られている印象です。かわいい雑貨、おしゃれなスイーツ、様々なファッション、美味しいラーメン屋など、1,000円とか2,000円とかで、ちょっと幸せになれるものを消費し続けていけるのが、きっと日本のいいところなんだと思います。

ささやかな幸せという言葉も、考えてみると日本っぽいし、僕たちはそんな社会や時代でうまく生きていく術を学び続けているのだと思います。

でも、そんな「ささやかな幸せ」や「小さな楽しみ」だけでは、満足できない若者たちが、ある割合で存在します。きっと昔よりはその数は少なくなっているのかもしれませんが、そんな若者たちのまた何割かが、海外での機会(opportunity)を求めて、留学をするのです。

小さな楽しみを求める若者のマインドセットと、留学をする人のマインドセットの違いは、予測可能な世界で安心して生きたいか、予測不可能な世界を楽しめるかの違いです。どちらがいいとか悪いとかという話ではありません。でも、予測できない道を、一歩一歩自分の力で歩いていく方が、一つ一つの場面やその時に考えたことを鮮明に思い出せるので、ここまでなんとか生き抜いてきた僕としては老後の楽しみが貯まっているような気もします。あの時に、違う道を選んでいたら、どうなっていたのかを想像するのも、楽しいですよ。

永住権よりも大切なこと

オーストラリアは、自然も豊かだし、治安も良く、人々も優しく、住みやすい国なので、世界中から永住を目指す人たちがやってきます。それは日本人も同じで、私たちの会社にも永住権を目指すために何を学べばいいかの問い合わせがやってきます。

残念ながら、私たちは永住権などのビザのアドバイスをすることはできませんが、永住権を取得できる環境は毎年のように難しくなっています。僕が取得した10年前とは、大きな違いです。そして、永住権に関する法律は毎年変わるので、今、その職種で永住権の申請ができたとしても、留学して資格を取る数年後には、そのルールがどうなっているかはわからないので、人生においては大きな賭けです。

それよりも、僕がお勧めしたいのは、20代のうちに、小さい会社や事業を経営するスキルと経験を積んでいくことです。マーケティング、商品開発、リーダーシップ、組織運営、経理・財務など、ビジネスに関することは何でも楽しんで働き、経験することで、30代、あるいは40代までに小さな会社を経営できるスキルを身につけることができます。そのための一つの手段として、海外のビジネススクールで学んでみることは価値のあることです。

そのスキルは、これからの時代に大きなアドバンテージになると思っています。日本の多くの小さな優良企業が、継承者がいないという問題を抱えています。そんな会社を手に入れて、グローバルな市場を目指せば、1年の半分を海外で過ごすような生活も可能です。住みたい街に、支店を作れば、出張ではなく、その街に滞在することもできます。

永住権を獲得しても、自分がやりたくない仕事をしたり、常に雇用の不安を抱えるより、20代のうちに世界で様々な経験や学びを積み重ねていくことで、目標とするライフスタイルのためのキャリアが作れていくのだと思います。

成功する問いかけのヒント

小さい頃、学校で習った問いかけとは
「なんでこうなるんだろう?」
ということ。それにうまく答えられる人が成績がいい人であって、いい学校・いい大学に行ける人だ。

テレビを見ていても、「日本経済が停滞する理由」とか「台風の被害が拡大した理由」とか、いつも誰かが何かの理由について話している。そして、僕たちは何となく分かった気になったりしていた。

ところが、大人になって社会に出ると、「なんでこうなるんだろう?」という問いかけは、ビジネスの世界ではほとんど意味がない。ずーっと理由を説明している人は出世できない。高度成長期にはそれでも生きていけた人もいるけど、これからの時代は残念ながら、そのような人にチャンスはない。

大人になってから必要な問いかけは、
「どうしたら、もっとうまくいくんだろう?」
ということ。

「何で売上が増えないんだ!」と怒鳴る上司に未来はなく、「どうしたら売上が増えるんだろう?」と意見を聞いてくる人たちがいる会社を選ばなくちゃいけない。もし、微妙な会社に入ったとしても、みんなで「どうしたら、もっとうまくいくんだろう?」と語り合うことで、会社の文化は驚くほど変わっていく。

理由を探すマインドセットを壊すこと、これがビジネスの世界で成功をしていく最初の一歩だと思います。

個人情報は大切に

先日、あるお客様に、なぜうちの会社を選んだのかを聞いてみました。その方は、最初に留学資料一括請求サイトのようなところに問い合わせをしたそうです。ところが、その瞬間から電話や連絡が様々な会社からやってきて、収拾がつかなかったそうです。このサイトに連絡すると、このようなことが起きるということが分かり、以降は連絡に回答しないで、弊社のサイトに問い合わせをしたそうです。

世の中には、このような資料請求を一括して行うサイトがいくつかあって、このビジネスモデルは、僕がこの業界に入った10年前にも存在していたように記憶します。問い合わせした人の個人情報や問い合わせ内容を見て、そのサイトに登録した留学会社がお金を払ってその問い合わせを買い、問い合わせをした人に連絡をするという、個人情報保護の観点から大丈夫なのかと心配になるようなビジネスモデルです。

僕が見たサイトでは、個人情報について、他の会社に渡すことに問い合わせ者は同意するという内容の規約になっていました。その会社としては、責任は回避してる感じなのですが、実際、個人情報を渡した先の会社の個人情報の扱いについては触れられていないので、そこから先で自分の個人情報がどのような扱いになっているかは、それぞれ確認しないといけないようです。これだけ個人情報保護に厳しい時代の今でも、そんなビジネスがあり、引っかかってしまう人がいるのは悲しい話ですが、自分の情報を守ることを意識させられるという意味ではいいレッスン?必要悪?なのかもしれません。

世の中には、このような限りなくグレーなビジネスモデルというものが存在しています。正しくビジネスをやっていても、そのような会社に時々足元をすくわれます。結構悔しいわけですが、そんな時は、自分が悪魔に試されているのだと思って、さらに正しいビジネスを極めていこうと思うのです。

迷惑メールをクリックしない

僕の会社では、社内のコミュニケーションツールはSlackを使っていますが、外部とのコミュニケーションは、ほぼ電子メールを使っています。そして、このメールというものの厄介なところは、外部に開かれたシステムであるがゆえに、迷惑メールがひっきりなしにやってくることです。

数日見ないでいると、数百件のメールが迷惑フォルダに溜まっていきます。そして、そのうちの1つくらいが迷惑メールではないので、時々チェックをしなくてはなりません。しかし、優秀なメールソフトのおかげで、そのチェックは1分もかからないわけですが、考えてみると僕にやってくるメールの半分以上が(もしかしたら8割くらいは)悪意のある迷惑メールなのです。

そして、これが今の世の中の現実であり、僕たちはそんな世界で生きていかなくてはいけません。知らない人についていってはいけませんよと小さい時に教わったことはネットの世界でも同様です。「オーストラリア留学」の世界の情報も、プロから見たら怪しげな情報があふれています。最近、気になるのが、どう見てもいけてない学校を「価格が安くて評判がいい」とかって推してる情報。僕たちは、そんな学校とは契約もしないので、そんな情報に引っかかる人が増えないことを祈るばかりです。

僕たちの現地オフィスに、「他の会社の美味しい話に騙されたみたい」と相談に来られても、僕たちが助けてあげられる範囲にも限界があります。美味しい話(格安で質のいい授業とか、永住権が取れるとか、一流企業でインターンシップができるとか)は、まずは疑ってみてください。外国などアウェイな環境で、正しい情報を選び取っていく経験は、これからの時代に必要なスキルだと思うので、意思決定をする前に、様々な人の意見を聞くことをお勧めします。

「自分の人生」の先にあるもの

今、日本社会において、若者たちに対するメッセージとして圧倒的に多いのは、「自分の人生を生きろ」というものです。その文脈からいえば、僕は自分の会社を経営し、その仕事がとても社会的にも意義のあるものだし、オーストラリアのビーチ沿いの街に住み、家から仕事をしたり、旅をしながら経営をして、まさに自分の人生を生きている、成功者のひとりだと思います。僕のようなライフスタイルは若者たちの憧れで、羨ましいと言われることもよくあります。

しかし、このような状況と自分自身が求めている満足感というものはどうも違う感じがするのです。結局は自分以外の人たちをどれだけ助けることができるのか、そこに僕の満足感があり、自分が食べる美味しいご飯や、自分が着るためのおしゃれな服や、自分が運転するための豪華な車とかにはあまり(全く)興味がないのです。そして、この感覚って、ある程度の年代の人には、たぶん共感されるものなんだと思います。つまり、自分のために生き、自分の欲求を満たしていっても、実は結構早くに限界がきて、他人のために生きてく方が満足感が高いことに気づくのだと思います。

自己実現ってそのような満足感や充足感みたいなものからくるもので、最高レベルの欲求とかって言うから、勘違いする人も出てくるのではないかと思います。ということで、僕はご縁のあった留学生たちに出来るだけ多く会って、地道に話を聞いていくことを続けていきたいと思います。

手に職があるとワーホリは楽しい

これからの働き方や仕事についての本や記事を読むと、同じ会社で定年まで安定したサラリーマン人生を歩むことはほぼ不可能、ということが常に書かれているのにもかかわらず、なかなか自分自身のスキルを磨いていこうという人は多くありません。

今、持っているスキルを少しレベルアップするだけで、見えてくる世界は違ってきます。その方法の一つとして、ワーキングホリデーってなかなかいいチャレンジの場だと思います。例えば、日本でバリスタやシェフの経験がある人は、英語力次第でオーストラリアの最先端のカフェやレストランで働ける可能性があります。そして、その経験は、また、さらに新しい世界や人々との出会いを広げて、良いサイクルが始まっていきます。ワーキングホリデーの醍醐味ってそういうところにあるのだと思います。

学生時代にテニスのコーチをしていた、武道が得意、おかし作りが好き、写真が好き、音楽ができる、ビデオの撮影や編集ができる、美容師だった、大工だった、農業をやっていた、プログラムが書ける、手芸が得意、、そんな人たちには、英語力と勇気があればチャンスが広がっていきます。実は勇気の方が大切だったりします。頑張ってみたいという人は、相談してくれれば、何らかのアドバイスができると思います。

でも、得意なことも好きなことも無い人はどうすればいいのでしょう?時間がある人は、焦らず、日本で好きなことを見つけてから海外に飛び出してみましょう。一刻も早く飛び出したい人は、オーストラリアでは、徹底的に英語でのコミュニケーション力を高めることに集中してください。日本人と付き合うのは最小限にして、いつも海外から来た友人たちの中で日本代表として話していると、世界での自分の快適なポジションや強みなどが分かってきます。その強みのようなものを伸ばすことが、良いサイクルを作り出すきっかけになると思いますよ。

TAFEで人生の幅を広げる

若いうちは、仕事で成功することが幸せになるための必要十分条件だと考えがちで、(実際、僕もそう思ってましたが)留学するときにはビジネスとかマーケティングなどの科目を取ろうと考えます。
でも真実は、仕事での成功は幸せの必要条件のひとつになるかもしれませんが、十分条件になることはありません。それよりも、人生を楽しめる何かを持っていることの方がずっと重要だったりします。仕事以外で、自分の興味のあることがあって、その分野に外国人の友人がいるというのは、人生の幅を広がる素敵なことです。

先日、パースのTAFE(公立の職業専門校)を見学する機会がありました。そこでは園芸の学部があったり、犬や猫などのペットを正しく育てるための講座があったり、写真やアートやデザインの資格であったりと、ビジネスやITなどの一般的に人気のあるコース以外の選択肢がいくつもありました。
もし、僕が大学生に戻って、休学留学を考えるなら、そんな人生の幅を広げるような勉強をしたいと思います。若いうちには気づけないけど、この歳になると自信を持ってお勧めしたいことの一つです。日本企業に入れば、仕事のことはなんやかんやでしっかりと教えてくれるので、学ぶ姿勢があれば、ビジネスを勉強してなくても一人前の仕事はできるようになります。しかし、仕事以外でクリエイティブな分野を持っていないと、結局仕事で稼いだお金を消費して、買ったものや食べたものをインスタに上げるだけの平凡な人生になってしまいます。そんな人々が増えても、社会は多様性のない優しくないままの時代が続くだけなんだと思います。

大学編入か大学院か?

今年になって、日本の大学に通っている学生の方から、オーストラリアの大学に編入したいという問い合わせが増えています。今までは、大学1年生で半年通ってみたけど、やはり夢だった海外の大学で学びたいという問い合わせはあったのですが、最近は大学2年生、3年生の学生たちからも編入の問い合わせがあります。

すでに支払ってしまった授業料や、すでに取得した単位をオーストラリアの大学で認めてくれるかどうかなど、リスクは承知で進路変更を考えているのはとても分かるのですが、2年生、3年生であれば、まずは日本の大学をいい成績で卒業して、オーストラリアの大学院に行くという可能性も考えるべきだと思います。

僕が編入よりも大学院進学をお勧めする理由は、将来、もし日本以外の国(オーストラリアなど)で就職を考えた時に、大学院を修了したことは、大学卒よりも有利になるからです。日本では、大学卒も大学院卒もあまり就職の時に違いはないのかもしれませんが、オーストラリアなどでは、Master degreeを持っている人の方がBachelor degreeよりも採用される確率が高くなります。

今の段階では、世界で就活しないで日本の企業に入るつもりでも、卒業するタイミングでは世界の舞台で活躍したいと思っているかもしれません。そんなときのためにも、可能性は広げていく方がいいと思うのです。

また、大学3年生であっても、日本の大学の卒業までは2年近くあるわけですから、英語の準備をしたり、アルバイトをして資金を準備する時間も作ることができます。一刻も早く、進路を変更したいという気持ちはとてもよくわかりますが、人生は本当に長いので、焦らずに良い選択をして欲しいと思います。

子どもの留学のタイミング

親の立場からすると、子どもをどのタイミングで留学させるかということは悩む問題の一つかと思います。世のなかには、親子留学だとか小学校留学、中学高校のボーディングスクール留学など、魅力的な宣伝とともに、様々な留学プログラムが販売されています。そして、その金額はサポート費用も含めてとても高額なものがほとんどです。少しでも早く、英語の世界に慣れさせておきたいという親の不安をくすぐるプログラムで、早期教育特集の雑誌を買ってしまう高年収の親たちをターゲットにしています。

お金に余裕のあるご家庭は、どうぞお好きなようにしていただければと思います。

では、普通の家庭はどのような戦略を立てたらいいのか。僕は、大学や大学院など、ある程度大人になってからの留学を実現させるべきだと思います。子どものうちに何かに触れさせるのも、もちろん悪いことではないとは思いますが、大人になる過程において、楽チンな家族や友人や地元の世界ではなく、社会や外の世界で自分のポジションを確立していくことが、それ以降の人生においてとても大切なスキルになると思うからです。

オーストラリアの大学では少なくとも日本の大学よりも勉強しなくては卒業できません。たぶん、10倍以上は本を読まないといけないと思います。それも英語で!そして100倍くらいクラスで発言しないと、いい成績はとれないと思います。そんな緊張感あふれる世界で大学生活を過ごすことで、世界のどこででも働けるスキルとマインドセットが養われるのだと思います。

オーストラリアの大学は3年で卒業でき、学費もアメリカの大学の半分程度とはいえ、3年間で700万円から800万円の授業料がかかります。18歳にそのくらいの教育資金が必要だということを考えながら、計画や準備をしていただければと思います。