コアラの探し方

今年の正月に、家の近くの大学の敷地にコアラがいたよという話を書いたのですが、それ以来、僕たち夫婦の散歩はコアラ探しがテーマの一つになっています。僕たちが住んでいる同じ場所にコアラも住んでいると想像するだけで、なぜか幸せな感じがしてきます。最初の頃は、前にコアラを見つけた何本かの木を見上げて探していました。それはそれなりに成功はしていたのですが、ずーっと見上げているので首は痛くなってくるし、結構コアラくんたちは移動もするので、出会えない日も多かったです。

そこで、うちの奥さんが気づいた、野生動物の探し方の基本中の基本なことは、フンの落ちている木を探せ!ということです。オーストラリアで自然豊かなところに行けば、カンガルーのフンはいくらでも見つけることが出来ますが、カンガルーがその近くにいることはありません。しかし、コアラは動き回る動物ではないので、新しいフンを見つけたらその木のどこかにほぼ100%いる(寝ている)のです。

コアラのフンはこんな形で、ユーカリの葉っぱが細かくなって固まっているものです。ユーカリの葉しか食べないのだから、それ以外出てきませんよね。散歩している時に、このフンを見つけたら、通り過ぎないで、ぜひ、見上げてください。必ず、どこかにコアラを発見することが出来ますよ。最近は近くの街路樹のユーカリでも1匹発見できました。大都市といっても、自然と人間がそんな感じで共存しているのがアデレードの魅力のひとつだと思います。

最初が肝心

日本の大学を卒業した人たちで、大学の単位をひとつも落としたことの無い人ってあまりいないのではないでしょうか?僕も大学3年生までに落とした単位をカバーするために、大学4年生の時には毎日授業を受け、かつひとつも落とせない綱渡りな状況で大学を卒業しました。すでにそれから40年も経っているのに、時々単位が足りないという夢を見るので、いかにそれがトラウマになっているかが分かります。

しかし、トラウマだけでは済まないのがオーストラリアの大学です。当時の日本の大学の授業料は年額が決まっていて、いくつ授業をとってもとらなくても年額の授業料は同じというシステムでした。(今も考え方は似ていると思います。)

オーストラリアの大学の場合、授業料は科目ごとに支払うので、ある科目を落としたら、次の年にまた同じ金額を払って履修しなくてはいけません。そして1科目の料金は40万円から50万円くらいなので、難しそうなので辞めましたみたいに気楽にあきらめることが出来ないのです。(科目を変更しても問題ない期間も設定されています。)入学前は奨学金の申請とか、授業料が比較的安い大学を選ぶなどして、一生懸命学費を抑える努力したのに、その努力があっけなく無駄になってしまいます。

そして、その悲劇の多くは、最初の学期に起こります。オーストラリアの大学は英語力のスコアと高校の時の成績で査定され、合格を得るまでのプロセスもシンプルで早いので、合格通知を受け取ってから実際に留学するまでに余裕のある時間が過ぎていきます。ちょっと気が緩んで、あまり準備しないままに大学がスタートしてしまうと、取り残されてしまうのです。そんな若者たちを何人か見て来ているので、私たちのオリエンテーションでは、最初の学期はアルバイトがどうとか、住むところがどうとか心配しない環境を作って、ひたすら勉強しなさいとアドバイスしています。最初の学期を無事に乗り越えて、自分のペースで勉強する方法が分かったら、生活も楽しむ余裕が出てきます。高校の友人たちが日本の大学で楽しんでいる姿のインスタを横目で見ながら、最初の学期は歯を食いしばって頑張ってください。

編入か大学院か

最近は、日本の大学生からの編入についての問い合わせが増えています。今は日本の大学2年生あるいは3年生だけど、今まで取得した単位を使ってオーストラリアの大学に編入をして、オーストラリアの大学卒業資格を取得したいというものです。日本の大学の授業がつまらないことが問題なのか、新しい道が見えてきたのか、理由はよく分かりませんが、結構有名な私立大学の学生たちからの問い合わせが、月に5件くらいやってきます。

僕はそんな方々には、日本企業の新卒採用で有利なポジションを取りたいというのであれば、編入を目指すと言う戦略も正しい可能性はあるけど、もし、将来的に世界やオーストラリアを舞台に活躍したいのであれば、日本の大学をちゃんと卒業してから、オーストラリアの大学院に進学することを勧めています。

オーストラリアでは、就職にあたり、経験や知識が重要視されます。そのため、多くの学生たちは大学院に通って、自分の専門分野やその業界の知識を深め、インターンなどして、ネットワークを作りながら就職活動の準備をします。みんな明確な目標を持って動いています。ですから、学びたいことや進みたい道が明確なのであれば、編入のような中途半端なことではなく、オーストラリアの大学院でしっかりと学ぶべきなのです。

それは、すごく苦労やストレスも多い毎日でしょうが、きっと10年後20年後に世界を舞台に活躍するようになって、あの時の決断が人生を変えたと語れるようになるのだと思います。

今年度もありがとうございました

6月30日はオーストラリアの会計年度の最終日で、毎年、このタイトルでブログを書いています。

おかげさまで、今年度も、多くの素敵な若者たちと出会い、そしてビジネスも順調な業績を残すことが出来ました。私たちを信頼して、大学や学校の手続きを依頼していただいた方々に、本当に感謝です。皆さんの留学が成功して次のステージに向かえるように、しっかりとサポートをしていきたいと思います。

円安は今後も続きそうですが、そうなってくると日本人にとって留学はもう気軽に行けるものではなくなります。しかし、国内の経済は必ず縮小していくので、国内ではなく、海外を舞台に活躍したいと思う若者たちも増えています。そんな時代だからこそ、留学のプランについて、真剣に考えてくれる会社が必要なんだと思います。そして、そんな時代だからこそ、留学生たちは、海外というタフな世界でしっかりと学んで次のステージに行くのだという強い志を持つことが大切になってきます。周りの友達が留学に行ってるからとか、就職に有利そうだから、みたいな安易な理由ではなく、世界中から集まる同世代の若者たちと様々な問題について語り合うために、ぜひ留学しに来てください。

私たちの会社が大学や大学院留学のお手伝いをしている人数は約300人。来年度もきっと同じくらいの若者たちのサポートが出来ると考えています。私も一人でも多く、素敵な留学生たちとお茶を飲んだりランチを食べたりして、語り合いたいと思っています。明日からの来年度もよろしくお願いいたします。

秋のアデレード

クイーンズランド州のサンシャインコーストからアデレードに引っ越しをしてちょうど1年が経ちました。オーストラリア人にとっても憧れの温暖なサンシャインコーストの暮らしは、とても快適で楽しかったのですが、アデレードの生活も気に入っています。その一つの理由は、四季を楽しめるということです。

日本では、暑さ寒さも彼岸までという言葉がありますが、アデレードではイースターの祝日、あるいは夏時間が終わると暑さも終わり、少しずつ寒い日が増えていく季節の変わり目です。そして、この時期の気候が最高なんだと、アデレードで出来たオーストラリア人のテニス友達たちが教えてくれました。

街路樹の紅葉が始まり、郊外のワイナリーの葡萄畑では収穫が始まり、ファーマーズマーケットでは美味しい果物が並び、散歩をするのに快適な日々が続いています。オープンテラスのカフェで本を読んだり、仕事をしたりするのにもいい季節です。「食欲の秋」とか「読書の秋」とか「芸術の秋」みたいな言葉が、アデレードの秋にも当てはまります。そんなことが、日本人の僕にとって心地よいのだと思います。

アデレードに留学を考えている人は、4月を楽しむことをプランに入れておいてくださいね。

アデレードの海

日本に住んでいる人たちにとって、アデレードという街がどんなところか、あまりイメージは出来ないでしょうし、ビーチがあるのかもよく分からないかと思います。もしかしたらオーストラリア人の中でも良くわかっていない人がたくさんいると思われるくらい、アデレードって州都の中でも地味な存在なのです。しかし、市内から30分〜40分ドライブをすると、写真にもあるようなこんな綺麗で穏やかな海を楽しむことができます。


地図を見るとアデレードは大きな湾の中にあることが分かります。そのおかげで、サーフィンが出来るような高い波はやって来ません。ですからサーフィンを目的としたワーホリの人には残念ですが、暑い夏に海辺でピチャピチャするくらいで満足できる人には最高の環境です。海の向こうは南極なので、水温も少し低めで気持ち良いです。

オーストラリアで暮らすことのメリットのひとつは、ちょっと海を見に行ける環境の街が多いということです。大都市のほとんどは海に面しています。スマホを見ることもなく、未来のことを夢見たり、何も考えずに海を眺めてリフレッシュするのは、オーストラリアに留学したときにはやってほしいことの一つです。そして、アデレードに来て驚いたのは、海に沈む夕陽も見ることができるのです。夕陽は西海岸=パースということで、パースを訪れたら夕方は時々ビーチに行っていたのですが、アデレードでも夕陽を眺めることが出来ると分かって、ますますアデレードの生活が楽しくなりました。

アンケートに気をつけろ

今日の話は、道端で「アンケートいいですか?」と声をかけてくるおばさん達に気をつけろという話ではありません。(でも、あのビジネスモデル?は僕が学生の時からあるので、40年間は普遍だということですね。それはそれですごいというか、日本って何も変わっていないのが怖いですね。)

何かを発表するためにアンケートを取っているという事に気をつけろという話です。政治家の保身のためのアンケート調査は、信じられないのは当たり前ですが、世の中、似たようなことは至る所で見つけることができます。

「お客様の満足度98%!(当社アンケート調べ)」みたいなのは、嘘つけ!と突っ込みたくなりますが、「お客様の満足度70%(当社アンケート)」という正直な会社があったら、きっと98%の会社を選んでしまうのが人間の心理の悲しいところです。ですから、発表されているアンケート結果を意思決定のための情報としては使わないと決めた方が正しい決断につながります。

アンケートは自分たちのサービスや商品の質を改善するためにお客様の意見を聞く目的で開発されたものなのに、それがいつの頃からか自己満足を通り越して、マーケティングのための情報になってしまっています。年寄り向けの通販サイトやテレビでは、そんな情報ばかりで、爺さん婆さんは簡単に騙されてしまいますが、留学を目指す若者達には、そんな手法が役に立たない判断力を持って欲しいと思います。

幸せな風景

先日、久しぶりに週末の一泊旅行に、アデレードから車で1時間のVictor Harborという街に行ってきました。3年前、コロナの時にオーストラリア一周をしていた時にも一泊した街で、僕はあまり覚えていなかったのですが、着いてみて、記憶が蘇りました。アデレードの家族が夏に一泊旅行に出かけるのに、最も人気のある場所のひとつだと思います。きっと留学生たちの多くも、訪れたことがあるでしょう。



南に開けた海なので、ずーっと先は南極があり、水は少し冷たく、でもとても澄んでいて、海の青さがとても印象的でした。ちょうど、その週末は広場で音楽のイベントが開催されていました。でも有名なミュージシャンが来るとかではなく、地元のミュージシャンが一人40分くらい演奏をするというもので、みんな芝生でリラックスして、ホットドックを食べたりして、ゆるーい時間を過ごしていました。

僕たちも車からピクニットシートを出して半分昼寝しながら聴いていました。一人目はジョン・メレンキャンプのカバーをしていた、きっと僕よりも年上なおじいちゃん。でも気合いは80年代のまま、ロックを気持ちよく歌ってました。次はテイラースイフトなどのアコースティックな曲たちをカバーしていた、今どきの女の子。似たような服を着た友だちが応援に来ていました。最後は、またおじちゃんたちが登場して、ブルーグラス音楽を披露しました。まるで、ここはディズニーランド?みたいな雰囲気でした。つまり、3組のミュージシャンたちは全く違うジャンルの音楽を奏でていったのですが、お客さんたちは気にしないで地元の有名人?たちを応援していました。NHKのど自慢を思い出して、なんかほんわかしました。

個人の幸せはいろいろなタイプやパターンがあると思いますが、コミュニティの幸せってこんな感じだよなあと、素敵な風景を眺めていました。

オーストラリアのテニスの穴場

毎年1月はオーストラリアのテレビではテニス中継が続きます。お正月からブリスベン国際大会、パースやシドニーで行われる国別対抗戦、今週はアデレードやホバートで小さな大会が開催されて、来週からはいよいよメルボルンでグランドスラムのひとつであるオーストラリアンオープンです。クリスマスが終わると、世界中の選手たちが、夏のオーストラリアの気候に慣れるためにやって来て、前哨戦の大会に出場して調整をするのです。

僕が住んでいるアデレードでも今週は大会が開催されているのですが、その試合会場が入会しているテニスクラブなので、先週末くらいから、プロの選手たちの練習をすぐ横で見たり、センターコート以外の試合は無料で観戦したりしています。アデレードに引っ越して、一番の特典だった気がします。トップ選手たちがどんな練習をしているか、ウォーミングアップにどのくらい時間をかけているか、ボールのスピードや軌道ってどうなのか、テレビではなかなか分からない気づきがたくさんありました。

アデレードって、シニアの大会はほとんど開催されないので、テニスの機会は少ないのかと思っていましたが、実はクラブの対抗戦は充実しているし、予約できるテニスコートも充実しているので、テニスが好きな人には最高の街のひとつです。テニス好きの留学生は、アデレードに来ると充実したテニスの時間とネットワークが出来るかもしれませんよ。

オーストラリア留学は30歳までに

先月、オーストラリア政府から、来年以降の移民政策に関する方針が発表されました。コロナ以降に急増したワーホリや留学生たちに対するルールも大きく変更されます。

方針を簡単に言えば「若くて優秀な人たちは、ぜひオーストラリアに来てください。チャンスも増やしますよ。でも、ただ滞在して働くために学生ビザを申請したい人には来てほしくありません。」ということです。これは、あるべき姿というか国としては正しい方向なんだと思います。出稼ぎワーホリに来て、居心地が良かったり、稼げる環境なので母国に帰りたくない人たちが、ビザ取り学校と呼ばれる学生ビザを取得するためだけのゆるい学校に通う人が多いということは、国にとってもその人たちにとっても好ましいことではないのです。しかし、いきなりルールが変わることは、多くの人々たちの人生を狂わすことになるので、今年はオーストラリアの留学市場は少し混乱すると思います。

私たちの会社は、ビザ取り学校とは契約がないので、その市場では特に業績に影響はありませんが、今回の政府の発表で気になることと言えば、大学や大学院を卒業した時に申請できる卒業生ビザの年齢制限が35歳となったことです。今までは40代でも申請できたのが35歳までということになると、40歳の人が留学を機にキャリアチェンジをして、オーストラリアで就労・永住などを考えることがとても難しくなります。ということは、社会人になってからの留学は30歳くらいまでには考えなくてはいけないのです。人生100年時代だし、いくつになっても人生は変えることができるとは思いますが、オーストラリアでのキャリアを考えるなら、早く動かなくてはいけません。30歳までは遊んで、経験積んで、みたいなことを考えているとチャンスを逃してしまう可能性もあるので、20代の人は気をつけてくださいね。