子どもたちがたくさんいる社会

アデレードにやって来たら、偶然にも土曜日にクリスマスパレードのイベントを見ることができました。朝から、続々とホテルの前を小学生低学年くらいまでの子どもたちを連れた家族たちが歩いていたので、結構な人々が集まっているのだとは思いましたが、パレードの沿道では、アデレード中のすべての子どもたちがいるのではないかというくらいのすごい人でした。
日本ではあまり考えられない時間帯ですが、朝が好きなオーストラリアらしく、この大きなイベントは朝の9時30分から始まりました。

パレードの山車はディズニーランドに比較するのはかわいそうなくらい素朴で年季の入ったものたちでしたが、子どもたちはそんなことは気にしません。家族みんなで集まって、出かけて、わいわいして、快晴の土曜日の午前中を満喫していました。
日本は少子化という問題を、破綻した社会保障制度を支えるために子どもが増えなくてはいけないという文脈で話している気がします。しかし、今日、僕がアデレードで感じたことは、純粋に子どもたちが多くいる社会というのはとても素敵で健全な感じがするし、子どもたちを支えるために社会があるのだということです。健全で暖かい社会を作るために子どもたちが必要で、そのようなビジョンや文脈で少子化問題が語られることを期待したいと思います。

雨水って美味しい?

オーストラリアの田舎を旅していると、多くの家が、雨水を浄化したものを飲み水に使っています。水道を引くというというのはコストがかかるし、自治体が水道のシステムを維持するのも大変なので、雨水タンクで浄化して水を作るというビジネスが成立しています。タスマニアで会った人などは、雨水の方が美味しいし、安全だし、水道の水なんか飲みたくないということを力説してくれました。実際、都会の水道水よりもまろやかな感じで、美味しかったのです。

日本のように、自然災害が多い環境では、エネルギーやライフラインをどう自分で確保していくかは、実は大きな課題なはずなのに、僕たちのマインドセットはライフラインはお上が作って届けてくれるものだと信じて疑いません。

でも、これからさらに地方の過疎化や地方財政の破綻など、今までのようなインフラの維持というのは難しくなるわけで、そんな時に、オーストラリアの田舎の人々のエネルギー自給作戦は参考になるのだと思います。幸いにも、日本はオーストラリアの何倍も雨が降るので、浄化システムをうまく考えたら、少なくとも水は自給できると思います。

日本の災害のニュースを見るたびに、断水とか水の供給が足りないというトピックが出てきます。オーストラリアでは普通のことを紹介することで、日本に役立つこともあるかもしれないと思ったのでした。

迷惑メールをクリックしない

僕の会社では、社内のコミュニケーションツールはSlackを使っていますが、外部とのコミュニケーションは、ほぼ電子メールを使っています。そして、このメールというものの厄介なところは、外部に開かれたシステムであるがゆえに、迷惑メールがひっきりなしにやってくることです。

数日見ないでいると、数百件のメールが迷惑フォルダに溜まっていきます。そして、そのうちの1つくらいが迷惑メールではないので、時々チェックをしなくてはなりません。しかし、優秀なメールソフトのおかげで、そのチェックは1分もかからないわけですが、考えてみると僕にやってくるメールの半分以上が(もしかしたら8割くらいは)悪意のある迷惑メールなのです。

そして、これが今の世の中の現実であり、僕たちはそんな世界で生きていかなくてはいけません。知らない人についていってはいけませんよと小さい時に教わったことはネットの世界でも同様です。「オーストラリア留学」の世界の情報も、プロから見たら怪しげな情報があふれています。最近、気になるのが、どう見てもいけてない学校を「価格が安くて評判がいい」とかって推してる情報。僕たちは、そんな学校とは契約もしないので、そんな情報に引っかかる人が増えないことを祈るばかりです。

僕たちの現地オフィスに、「他の会社の美味しい話に騙されたみたい」と相談に来られても、僕たちが助けてあげられる範囲にも限界があります。美味しい話(格安で質のいい授業とか、永住権が取れるとか、一流企業でインターンシップができるとか)は、まずは疑ってみてください。外国などアウェイな環境で、正しい情報を選び取っていく経験は、これからの時代に必要なスキルだと思うので、意思決定をする前に、様々な人の意見を聞くことをお勧めします。

「自分の人生」の先にあるもの

今、日本社会において、若者たちに対するメッセージとして圧倒的に多いのは、「自分の人生を生きろ」というものです。その文脈からいえば、僕は自分の会社を経営し、その仕事がとても社会的にも意義のあるものだし、オーストラリアのビーチ沿いの街に住み、家から仕事をしたり、旅をしながら経営をして、まさに自分の人生を生きている、成功者のひとりだと思います。僕のようなライフスタイルは若者たちの憧れで、羨ましいと言われることもよくあります。

しかし、このような状況と自分自身が求めている満足感というものはどうも違う感じがするのです。結局は自分以外の人たちをどれだけ助けることができるのか、そこに僕の満足感があり、自分が食べる美味しいご飯や、自分が着るためのおしゃれな服や、自分が運転するための豪華な車とかにはあまり(全く)興味がないのです。そして、この感覚って、ある程度の年代の人には、たぶん共感されるものなんだと思います。つまり、自分のために生き、自分の欲求を満たしていっても、実は結構早くに限界がきて、他人のために生きてく方が満足感が高いことに気づくのだと思います。

自己実現ってそのような満足感や充足感みたいなものからくるもので、最高レベルの欲求とかって言うから、勘違いする人も出てくるのではないかと思います。ということで、僕はご縁のあった留学生たちに出来るだけ多く会って、地道に話を聞いていくことを続けていきたいと思います。

手に職があるとワーホリは楽しい

これからの働き方や仕事についての本や記事を読むと、同じ会社で定年まで安定したサラリーマン人生を歩むことはほぼ不可能、ということが常に書かれているのにもかかわらず、なかなか自分自身のスキルを磨いていこうという人は多くありません。

今、持っているスキルを少しレベルアップするだけで、見えてくる世界は違ってきます。その方法の一つとして、ワーキングホリデーってなかなかいいチャレンジの場だと思います。例えば、日本でバリスタやシェフの経験がある人は、英語力次第でオーストラリアの最先端のカフェやレストランで働ける可能性があります。そして、その経験は、また、さらに新しい世界や人々との出会いを広げて、良いサイクルが始まっていきます。ワーキングホリデーの醍醐味ってそういうところにあるのだと思います。

学生時代にテニスのコーチをしていた、武道が得意、おかし作りが好き、写真が好き、音楽ができる、ビデオの撮影や編集ができる、美容師だった、大工だった、農業をやっていた、プログラムが書ける、手芸が得意、、そんな人たちには、英語力と勇気があればチャンスが広がっていきます。実は勇気の方が大切だったりします。頑張ってみたいという人は、相談してくれれば、何らかのアドバイスができると思います。

でも、得意なことも好きなことも無い人はどうすればいいのでしょう?時間がある人は、焦らず、日本で好きなことを見つけてから海外に飛び出してみましょう。一刻も早く飛び出したい人は、オーストラリアでは、徹底的に英語でのコミュニケーション力を高めることに集中してください。日本人と付き合うのは最小限にして、いつも海外から来た友人たちの中で日本代表として話していると、世界での自分の快適なポジションや強みなどが分かってきます。その強みのようなものを伸ばすことが、良いサイクルを作り出すきっかけになると思いますよ。

TAFEで人生の幅を広げる

若いうちは、仕事で成功することが幸せになるための必要十分条件だと考えがちで、(実際、僕もそう思ってましたが)留学するときにはビジネスとかマーケティングなどの科目を取ろうと考えます。
でも真実は、仕事での成功は幸せの必要条件のひとつになるかもしれませんが、十分条件になることはありません。それよりも、人生を楽しめる何かを持っていることの方がずっと重要だったりします。仕事以外で、自分の興味のあることがあって、その分野に外国人の友人がいるというのは、人生の幅を広がる素敵なことです。

先日、パースのTAFE(公立の職業専門校)を見学する機会がありました。そこでは園芸の学部があったり、犬や猫などのペットを正しく育てるための講座があったり、写真やアートやデザインの資格であったりと、ビジネスやITなどの一般的に人気のあるコース以外の選択肢がいくつもありました。
もし、僕が大学生に戻って、休学留学を考えるなら、そんな人生の幅を広げるような勉強をしたいと思います。若いうちには気づけないけど、この歳になると自信を持ってお勧めしたいことの一つです。日本企業に入れば、仕事のことはなんやかんやでしっかりと教えてくれるので、学ぶ姿勢があれば、ビジネスを勉強してなくても一人前の仕事はできるようになります。しかし、仕事以外でクリエイティブな分野を持っていないと、結局仕事で稼いだお金を消費して、買ったものや食べたものをインスタに上げるだけの平凡な人生になってしまいます。そんな人々が増えても、社会は多様性のない優しくないままの時代が続くだけなんだと思います。

機内誌って不思議な読み物

飛行機に乗ると、よほどのLCCでもない限り、各シートに機内誌が用意されています。考えてみると、世の中で一番安定して読まれている雑誌の一つかもしれません。

内容は、オーストラリアや世界各地の都市のイベント情報や、ホテルやレストランなどの旅の情報、それらに関わる人たちのインタビューなど、とても面白いので、なんとなく読んでしまいます。

しかし、いつも不思議に思うのは、この雑誌の広告主たち。たぶん、何十年もこれらの雑誌は、高級時計や宝石やファッションの高級ブランドの広告で成り立っている気がします。セレブなスターたちがその商品を身につけている写真を掲載するだけで、売れてしまうほど世の中甘くないとは思うのですが、もしかしたら、こんな広告でも憧れて高級品を買ってしまう人々はまだ世の中にいっぱいいるのかもしれません。

そんなシュールな広告だけかと思ったら、今月号にはなんとオーストラリアや世界の有名大学たちのビジネススクールの広告も並んでいました。出張で飛行機に乗ることにウキウキしている若いビジネスピープルに対して、狭いエコノミークラスなんかに乗ってないで、ビジネスクラスに乗りたかったらビジネススクールで勉強するのが一番みたいなメッセージなのでしょう

でも、きっとその有名大学のビジネススクールのマーケティングの教授が見たら、「絶対効果ないよなあ」と嘆いちゃうのではないでしょうか。

世の中には、このような破綻しているマーケティング戦略や広告をいくらでも探すことができます。きっと、会社の中に専門のマーケティング部門をつくった瞬間から破綻は始まるのだと思います。だいたい、お金を使うことを目的とした部門や人々が会社にいるなんて、考えると不思議な話です。

僕の会社のように、広告費もマーケティング費用も一切使わない会社になると、社員全員がマーケティングのことを考えてくれるようになると思うのですが、多くの会社にとってそれは勇気のいることなのでしょう。ですから、ネットを見ていて、留学会社のバナーや広告を見つけると(僕がこういう仕事をしているので、よく出てきます。)礼儀だと思って、クリックしてあげています。

眺めのいい街

僕の仕事のひとつは、数ヶ月ごとにオーストラリア国内にある各支店を訪問してスタッフと話したり、その都市に留学している若者たちと会ったりセミナーを開催することですが、先週はパース支店に行ってきました。

僕が初めてパースを訪れたのは、もう22年前のことです。当時勤めていたベネッセコーポレーションで映像制作の仕事をしていて、その関係でこのオーストラリアの西海岸の街に降り立ちました。二人の娘たちが小学校からこの街に留学したこともあり、それから毎年数回は訪ねています。

世界で一番孤立した都市と言われるくらい、近くの大都市から飛行機で数時間飛ばなくてはいけないこの街は、東海岸のシドニーやメルボルン、ブリスベンと比較して、少しのんびりしていて、ゆっくりとした時間が好きな人たちが好む街です。娘たちも、買い物はメルボルンや東京が刺激的で面白いけど、生活をするにはパースがいいらしく、動く気は無さそうです。

彼女たちのように、住みだしたら多くの人たちが気に入るこの街の魅力だと僕が思うことは、その眺めの良さだったり、広々とした空間からくる気持ちの良さです。観光客が必ず訪れるKings Parkに行くと、街路樹のユーカリの木の香りと、街の横を流れるSwan Riverの流れが穏やかで、背伸びしたり、深呼吸したくなってしまうのです。そして、眺めの良さって、考え事をするのに、とても大切なことで、30代の僕はよくこの街の公園やビーチで将来について思いを巡らしていました。

特に何か名所があるわけではないこの西海岸の街に、きっとこれからも、そしていつか引退してからも、この眺めを見ながら、深呼吸をしにやってくるのだと思います。

大学編入か大学院か?

今年になって、日本の大学に通っている学生の方から、オーストラリアの大学に編入したいという問い合わせが増えています。今までは、大学1年生で半年通ってみたけど、やはり夢だった海外の大学で学びたいという問い合わせはあったのですが、最近は大学2年生、3年生の学生たちからも編入の問い合わせがあります。

すでに支払ってしまった授業料や、すでに取得した単位をオーストラリアの大学で認めてくれるかどうかなど、リスクは承知で進路変更を考えているのはとても分かるのですが、2年生、3年生であれば、まずは日本の大学をいい成績で卒業して、オーストラリアの大学院に行くという可能性も考えるべきだと思います。

僕が編入よりも大学院進学をお勧めする理由は、将来、もし日本以外の国(オーストラリアなど)で就職を考えた時に、大学院を修了したことは、大学卒よりも有利になるからです。日本では、大学卒も大学院卒もあまり就職の時に違いはないのかもしれませんが、オーストラリアなどでは、Master degreeを持っている人の方がBachelor degreeよりも採用される確率が高くなります。

今の段階では、世界で就活しないで日本の企業に入るつもりでも、卒業するタイミングでは世界の舞台で活躍したいと思っているかもしれません。そんなときのためにも、可能性は広げていく方がいいと思うのです。

また、大学3年生であっても、日本の大学の卒業までは2年近くあるわけですから、英語の準備をしたり、アルバイトをして資金を準備する時間も作ることができます。一刻も早く、進路を変更したいという気持ちはとてもよくわかりますが、人生は本当に長いので、焦らずに良い選択をして欲しいと思います。

子どもの留学のタイミング

親の立場からすると、子どもをどのタイミングで留学させるかということは悩む問題の一つかと思います。世のなかには、親子留学だとか小学校留学、中学高校のボーディングスクール留学など、魅力的な宣伝とともに、様々な留学プログラムが販売されています。そして、その金額はサポート費用も含めてとても高額なものがほとんどです。少しでも早く、英語の世界に慣れさせておきたいという親の不安をくすぐるプログラムで、早期教育特集の雑誌を買ってしまう高年収の親たちをターゲットにしています。

お金に余裕のあるご家庭は、どうぞお好きなようにしていただければと思います。

では、普通の家庭はどのような戦略を立てたらいいのか。僕は、大学や大学院など、ある程度大人になってからの留学を実現させるべきだと思います。子どものうちに何かに触れさせるのも、もちろん悪いことではないとは思いますが、大人になる過程において、楽チンな家族や友人や地元の世界ではなく、社会や外の世界で自分のポジションを確立していくことが、それ以降の人生においてとても大切なスキルになると思うからです。

オーストラリアの大学では少なくとも日本の大学よりも勉強しなくては卒業できません。たぶん、10倍以上は本を読まないといけないと思います。それも英語で!そして100倍くらいクラスで発言しないと、いい成績はとれないと思います。そんな緊張感あふれる世界で大学生活を過ごすことで、世界のどこででも働けるスキルとマインドセットが養われるのだと思います。

オーストラリアの大学は3年で卒業でき、学費もアメリカの大学の半分程度とはいえ、3年間で700万円から800万円の授業料がかかります。18歳にそのくらいの教育資金が必要だということを考えながら、計画や準備をしていただければと思います。