もうひとつ加えること

新しいビジネスを考えようとしても、もう、ほとんどの領域で人間の欲しいものは満たされていると思います。もちろんスマホのように、私たちの生活を大きく変える物というのは、時々生まれるかもしれませんが、衣食住の基本的な世界で、今までに見たこともないような物が生まれてくることは極めて稀なことでしょう。それでも人々を幸せにするためには新しいビジネスが生まれなくてはいけません。そうでないと、成長しないビジネスは利益を確保するためにコスト削減に走り、つまりは人々の給料が下がっていく構造になるからです。

となると、既存のビジネスに何を加えていったら良いのか?が鍵となってきます。その一つは「倫理」なのだと最近は思っています。倫理的に正しい服とか倫理的に正しい食べ物とか倫理的に正しい家、みたいな質問を投げかけることで、新しい商品やサービスが生まれてくるし、金儲けだけに走らない今の若者たちや、すでに成功した人たち(つまりお金に余裕のある人たち)はそのような正しいことを消費しようとするのではないでしょうか。


先日、娘と話していたら、最近、銀行口座を変えたとのこと。理由を聞いてみたら、環境保護に良くない会社やビジネスに投資や融資をしている一般的な銀行ではなく、そのようなビジネスには投資しないことを宣言した倫理的な銀行にお金を移したのだそうです。オーストラリアでは、最近、そのような倫理的な企業活動をアピールするビジネスが増えてきています。年間購読をすれば植林をしてくれる雑誌、携帯のSIMを買うとその売上の一部を社会貢献活動に寄付してくれる電話会社、カーボンニュートラルを実現させながら煉瓦を作ってる会社などなど、既存の産業やビジネスに倫理的な観点を加えることで、ファンを増やすことができるのです。

日本はデフレ的なマインドが本当に長く浸透してしまったので、「社会貢献は分かるけど、結局選ぶのは価格が安い方。」みたいな人たちが大多数だと思います。でも、オーストラリアに留学をしにきている若者たちと話していると、価格よりも正しさを判断基準にしている割合が増えてきている感じがします。インフレ目標とかを議論するよりも、正しさ目標みたいなものを議論した方が、社会が長期的に良くなっていく気がします。

そして、僕の会社も何か倫理的な要素を加味できればと思うのです。
衛藤 伸彦
オーストラリア留学センターの代表をしています衛藤伸彦(えとう のぶひこ)です。 現在は南オーストラリア州のアデレードに住んでいますが、全豪6都市(シドニー、ブリスベン、メルボルン、パース、アデレード、ゴールドコースト)にある支店や全豪の学校や大学、東京支店などを出張しながら、若者たちが自分らしい人生を送るためのアドバイスやセミナーを開催しています。

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