海外から日本社会を見ていて、面白いなと思うことの一つは、相変わらず高度成長期を支えてきた方々がけっこう元気で、何事も我慢して根性で乗り切れと言っているのに対して、若者たちはもっと人生は楽しくて遊ぶように仕事をしたり暮らしていけるはず、と年寄りから見れば甘い話で対抗していることです。
どちらも当たってもいるけど、外れてもいるという感じでしょうか。これからの時代、今までの時代とは比べものにならないほど不確定な要素が転がっているわけですから、同じポリシーやコンセプトに固執していてはいけないのだと思います。
僕が思うのは、逆境や踏ん張らなくてはいけない時に、どれだけ強い気持ちを持ってクリエイティブに動けるかが、成功の鍵なんだと思います。僕も含めて、中小企業の社長さんというのは創業時から常に順調だった人はいないと思います。必ず、どこかで苦しい時や踏ん張らなくてはいけない時期を経験しています。その時に、ただ我慢して根性で耐えるだけでは、状況は打開できないし、みんなで楽しく頑張ろうと言っても誰もついてきてくれることはありません。どんなに辛い状況でも、何かクリエイティブなアイデアを考え、それを実行することで会社を救ってきたのだと思います。
創業から10年で9割の会社がうまくいかなくなるということの理由の一つは、逆境の練習ってなかなか出来ないことだと思います。タフな状況を解決していく、たとえその時は失敗したとしても次に活かせるという経験は、本当に踏ん張らなくてはいけない状況になる前に何度か経験をしておくべきです。
若いうちに留学とか、海外で自分で生活をしていくこと、海外じゃなくても自分の快適な世界から抜け出して生きていくことは、大人になってから必ず活きてきます。僕たちの仕事は、そんな若者たちにセーフティーネットを提供しつつ、健全な逆境を経験してもらうお手伝いをしているのだと思っています。