就職のときに考えたこと

『で、僕がそこで何をするかっていうとさ、誰かその崖から落ちそうになる子どもがいると、かたっぱしからつかまえるんだよ。つまりさ、よく前を見ないで崖の方に走っていく子どもなんかがいたら、どっからともなく現れて、その子をさっとキャッチするんだ。そういうのを朝から晩までずっとやってる。ライ麦畑のキャッチャー、僕はただそういうものになりたいんだ。たしかにかなりへんてこだとは思うけど、僕が心からなりたいと思うのはそれくらいだよ。かなりへんてこだとはわかっているんだけどね。』    The Catcher in the Rye   J.D.サリンジャー 村上春樹訳
Fields

By Arenamontanus


たぶん、私たちの世代はほとんどの高校生がこの本を読み(村上春樹の訳ではなかったけど)インチキくさい大人の世界や社会に対して、嫌悪感を持っていました。といっても、この本自体に嫌悪感を持っている人も多かったので、高校のときは、一度読んでそのまま本棚行きとなっていました。

そして、どういう訳か就職活動を始めたとき、本棚に並んでいたこの本を何となく読み返して、ライ麦畑のキャッチャーってどんな仕事なんだろうと考えたのです。そのときには、自分自身がインチキくさい大人にならないように、いつも情熱を持って楽しんで仕事ができる場所を探そうと思いました。

幸運にも、とてもいい会社で働くことができ、エキサイティングなビジネス人生を送らせてもらいました。そして、独立をするというときになって、またこの『ライ麦畑のキャッチャー』のことを思い出したのです。今、私がやっている出来るだけ多くの若者たちに海外で学ぶことを経験してもらう仕事は、まさにインチキくさい社会に落ちてしまわないようにするキャッチャーだと思っています。旅行とかではなく、本当に世界を経験した若者たちは、例えどんなおかしな社会に入ったとしても、自分の力でそれを良くしていけるものだと信じています。

私は、きっとこれからも、インチキな大人や権威や社会と戦い続けながら、若者たちが簡単に崖から落ちないように見張っているんだと思います。

 
衛藤 伸彦
オーストラリア留学センターの代表をしています衛藤伸彦(えとう のぶひこ)です。 現在は南オーストラリア州のアデレードに住んでいますが、全豪6都市(シドニー、ブリスベン、メルボルン、パース、アデレード、ゴールドコースト)にある支店や全豪の学校や大学、東京支店などを出張しながら、若者たちが自分らしい人生を送るためのアドバイスやセミナーを開催しています。

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