海外から日本を考えよう
日本は、これまで、この小さな島国で世界有数の経済大国として、発展をしてきました。1980年代は世界一勢いの有る国であったことは間違いありません。私も1990年にアメリカのビジネススクールに行きましたが、そのときは「日本ではどう?」と教授の方がわざわざ聞いてくれるほど、日本のビジネスは元気でした。
しかし、その発展の中で築いてきた社会のシステムというものは、将来も発展し続けることが前提で作られたため、バブル崩壊後、これだけ経済が長期間低迷してしまうと、そのシステムが機能しない事は誰の目にも明らかな事です。政治家や官僚たちもきっと頑張ってはいるのでしょうが、国に任せていても明るい未来がやってくるとは思えません。ですから、これからは本当に自立した個人とならなければ、自分らしい、幸せな生活はできなくなるのだと思います。
そんな時に、まず世界に出て、それも日本よりも国民たちが幸せだと思っている国に行ってみて、日本がどうなっていくべきか、その中で自分はどのように貢献していくべきかを考えることは、すべての若者にやってもらいたいことです。日本の中にずーっといても、社会を良くしていくアイデアはなかなか生まれてこないと思います。
まずは世界に出て、他の国からの留学生たちと話をすると、必ず日本人としての意見を聞かれます。そんなとき、いかに自分が日本のことを知らないか分かります。それが私は若者が日本について考える原点なのではないかと思うのです。環境のこと、戦争のこと、宗教のこと、社会のこと、様々なトピックについて、誰かの受け売りではない自分の考えを持つことのトレーニングや考える時間が海外では出来るのです。
私はオーストラリアという国に来て、幸せとは何かを日本にいた時以上に考えるようになりました。国民が考える幸福度世界No1の国に住みながら、経済的な成功以外の幸せについて、実感とともに、じっくりと考えています。