オーストラリアらしいMBAプログラム

先日、ブリスベンとゴールドコーストにキャンパスを持つグリフィス大学のビジネススクールの新たな方向性についてのセミナーがあったので参加してきました。
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グリフィス大学は中堅の大学で、国内トップ大学のクィーンズランド大学( University of Queensland )やブリスベンの市内にあるクィーンズランド工科大学(Queensland University of Technology)などと競争をしています。ランキングが上のこれらの大学と戦うために、グリフィス大学は大きく2つの方針を打ち出しています。

一つは、「環境」というキーワードでトップになりたいということ。地球温暖化が本当かなどという議論は科学者に任せておいて、ビジネススクールの観点で環境問題は絶対に避けて通れない問題として、その分野を充実させようとしています。それは持続可能なビジネス創造や開発国などのビジネスなど実は大きな活躍できる場があるのだと思います。

もう一つは、デジタル社会における学び方の提案です。オンラインで学ぶ人が急増していく中で、出来るだけ多くの教材をデジタル化して提供して、24時間勉強できる体制を整えています。フレキシブルな学びを提案する事で、他の大学との差別化を図りたいということでした。

ビジネススクールの方向性としても、以下のような共感できるメッセージを掲げています。

Business is more than creating wealth for just a few. It’s about creating ethical, sustainable societies that build prosperity for everyone!      Griffith Business School Principles

『ビジネスは少数の人々のために富を創造するものではない。それはすべての人々の繁栄のために倫理的かつ持続可能な社会を創り出す事だ。』

将来外資系金融企業に行くのであれば、どうぞアメリカのMBAへ。しかし、持続可能なビジネスをしっかりと立ち上げて世界に貢献したいのであれば、このような大学院も選択肢にいれてみたらいかがでしょうか。

 

まずはテストを受けてみよう

オーストラリアで大学や大学院に通ったり、永住権を取得するためには、いつかは英語の試験を受けなくてはならなくなります。そんな話を若者たちとすると、IELTSでもTOEFLでもまずは勉強して自信がついたら受けてみたいですと答える方たちが多いのです。そんな人が多いので、英語試験用の塾とか予備校という業種が日本では発展するのでしょうね。
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まずは練習してからという戦略は、はっきり言って時間とお金の無駄だと思います。

テストを受けようと思ったら、1ヶ月後でも2ヶ月後でも次のテストの予約をすべきです。そして、そのテストに向かって自力で勉強をしてみましょう。図書館に行けば過去のテストの問題集を借りる事もできるし、古本だって売ってます。過去の問題集とネットにある情報で自分なりの計画でテストを受けてみるのです。

テストを受けてみると、思わぬ発見があります。まずは、どんな環境でテストを受けるのかとか、テストの流れについても理解が深まります。リスニングの環境とかリーディングの時間の制約とか、分かっていたつもりでも実際のテスト環境で感じる事は自分で勉強している世界とはかなり違うのです。最初のテストは、気づける事は全部気づいておけるように、終わったらすべてメモに残しておきましょう。そうすれば次に受験するときには無用なストレスは抱えずに、解答する事に集中できます。

さて、2週間くらいすると結果が送られてきます。目標に対してどのくらいの点数が取れているかで、今後のスケジュールと本当に予備校のようなところに通うかのか自分で頑張るかを検討すればいいと思います。きっと自分なりのアイデアが出来ているはずです。集中して勉強すべき事が見えているから、長い期間塾に通う必要も無いでしょう。あるいは、塾以外の対策も思いつくはずです。

例えばスピーキングだけが心配なら、ネイティブの先生とマンツーマンでチャットできるような安い英会話に10回くらい申し込んで、ひたすら質問してもらえばいいのです。実際私がIELTSを受験したときは、そのようなスピーキング対策をしました。

まずは、テストを受けてみる。大学受験と違って英語のテストは何度でも受けられます。ですから場に慣れることができるという特権は活かした方がいいと思います。

 

 

 

部活をやりすぎたらオーストラリアの大学においで

日本のサイトを見ていたら運動部の体罰についてニュースになっていたので、ここは敢えて問題提起をしますが、日本の高校生以上の学力が世界との比較で低下してきているのは、ゆとり教育かつ大学全入時代という問題と、高校の運動部などの部活が要因のひとつではないかと思っています。大学全入時代問題の解決は、適正な大学の数に減らせばいいので、これから多くの日本の大学がつぶれていくのは時代の流れです。
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University of New Castle


悩ましいのは高校時代の部活というやつです。青春時代に何かスポーツなどに打ち込むことは素晴らしい体験だし、体力などをつけるためにも重要なことだと思います。しかし、少しいき過ぎている状況にいる高校生も多いのではないでしょうか?

オーストラリアで育った娘達を見て、私の高校時代と一番違うのは、部活に費やした時間です。私はひたすらテニスに明け暮れて、勉強よりもテニスのことを考えている時間のほうが長かった高校時代を過ごしました。それに比較して娘達はそもそもオーストラリアの高校には日本的な部活のようなものが無いので、勉強にも普通に取り組むことができ、塾などに通うことも無く、青春を満喫しながら志望する大学に合格することができました。

そこで日本の高校生達に提案ですが、3年生まで部活が忙しくて、浪人覚悟なんて青春を送るなら、オーストラリアの大学進学を考えたらいかがでしょう?最低1年間はひたすら英語の勉強に集中しなくてはなりませんが、よほど高校の成績が低く無ければ、必ず大学に入学できます。オーストラリアの大学の多くの学部は3年間で卒業できるので、高校卒業後4年間、もしくはファウンデーションコースという教養コースに最初に通って5年間で卒業できます。もちろん、大学の授業は大変だし、ついていくのにすごく努力は必要ですが、その後の人生に必ず活きてきます。

オーストラリアの大学に行くなんて、まったく考えていない高校生たちも多いかと思いますが、オーストラリアはスポーツが大好きな国民なので、スポーツマネージメントなどの専攻も充実しています。そのような選択肢があるのだということは知っておいて損はないと思います。

783 対 39

最近、大学の新設の認可を文部科学大臣が「大学の数を増やすのではなく質を高めるため」という理由で否定したというものがありました。その後、大学設置認可の基準の見直しなどが進められることになったとニュースでも取り上げられています。

今回、大臣が説明した資料には日本の大学数は783校と書いてありました。これは多いのか少ないのか。実はタイトルにある39とはオーストラリアの大学の数です。オーストラリアの人口は日本の5分の1、日本の大学数が適正であればオーストラリアには156校の大学が必要となりますが、どうも39校で足りているようです。
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しかし世界大学ランキングでは、ベスト100の中にオーストラリアからは7〜8校、日本からは2〜3校。オーストラリアの中堅校は日本の上位校に並びます。つまり、大学教育全体の質はオーストラリアの方がずっと日本よりも高くなります。日本のランキング500位の大学に入学するよりも、オーストラリアの30位の大学に通った方が受けられる教育の質も高くなるし、将来のチャンスも大きく広がるのです。オーストラリアの大学を卒業した留学生には2年間の就業ビザが与えられるようになったのも、若者たちにはうれしいニュースです。

日本の大学とオーストラリアの大学、どちらを選ぶかは皆さんの戦略次第だと思います。

大学附属語学学校か私立の語学学校か?

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オーストラリアでは大きく分けて2つのタイプの語学学校があります。大学附属やTAFEと呼ばれる専門学校附属の公立の語学学校と私立の語学学校です。数は圧倒的に私立の語学学校のほうが多く、ニーズに合わせて選ぶことができます。

私は基本的には大学生には大学附属の語学学校、すでに社会人になっている人には私立の語学学校をお勧めしています。日本の大学生に感じてほしいのは、アカデミックな世界の雰囲気。キャンパスの中を様々な国籍の学生たちが歩いているその環境が日本の大学生にはまず経験してほしいのです。大学キャンパス内に語学学校の建物もあり、一般の学生と同じように図書館が使えたり、スポーツ施設が使えるような大学を選んでお勧めしています。今の私の一番のお勧めはクィーンズランド大学の語学学校です。世界大学ランキングのトップ100で、かつ広々とした素晴らしいキャンパスです。現在こちらの大学に通っている学生の体験談などもまとめてみようと思います。

ワーキングホリデーの方々には、アルバイトの情報などが入手しやすい私立の語学学校をお勧めしています。ほとんどの学校は街の中にあり、ビルの1フロアを使っている学校から、1棟まるまる学校というところもあります。私立の語学学校は、「ビジネス」ですので、生徒のニーズに対応するためにそれぞれ特徴を持っています。また、世界から様々なバックグラウンドの学生が集まるので、とてもいい異文化理解の勉強になります。アクティビティーや生徒へのサポートも充実しているところも多く、大学附属の語学学校に比較すると「サービス」が充実しています。ただ、経営母体が変わったり、契約しているエージェントの質が変わったりすることによって、学校の質は大学附属に比較すると流動的で、私たちはその質を留学生からのフィードバックや定期的に訪問することで状況を把握しています。

自分のギャップイヤーにどちらのタイプの学校が適しているのか、じっくり考えてもらいたいし、そのための情報を今後も発信していこうと思います。