Eat Local

今週は、Port Lincolnという街に滞在していました。ここは、オーストラリアでも有数の漁業の街です。街にはいくつもの日本で言えば〇〇水産みたいな会社があって、加工をしたり冷凍して輸出の準備をしています。安定した需要のおかげで、なんと、この街は、人口あたり一番ミリオンネア(日本円で言えば億万長者)の数が多いそうです。確かに、漁村というよりはお洒落なヨットハーバーの街みたいな場所もありました。



そして、その漁業を支えているのは日本市場。このPort Lincolnは南マグロの養殖が盛んで、その多くが築地に空輸されているそうです。日本人の食欲がこの街を作っていると考えると、その繋がりにちょっと嬉しくなったり、しかし、こんな南半球の遠くからコストやガソリンをいっぱい使ってわざわざ送っているグローバル市場の胡散臭さみたいなものを感じたりしています。


この旅で気をつけていることは、できるだけ地元の食材で美味しいものを食べようということです。今週は久しぶりに日本向けのマグロの刺身も食べたし、とれたての生牡蠣を楽しんだりしました。でも、一番フレッシュで美味しいと感じたのは、この地域の特産であるGarfish(日本ではサヨリ)のフィッシュ&チップスでした。これからも、グローバル市場に流されるおしゃれな食べ物ではなく、ローカルな人が食べてる素朴な味を楽しんでいきたいと思います。

運転しながら「やあ!」

今週は、Yorke Peninsulaという半島の先にある、Marion Bayという街に滞在していました。ここは、アデレードから数時間のドライブで来れるので、アデレードの人びとには休暇を楽しむ人気の場所です。到着した日はイースターの祝日ということもあって、周りのコテージは家族づれで賑わっていたのですが、休みが終わると急に静かになってしまいました。


そんな静かなエリアを車で走っていると、不思議なことが。観光客ではなく、地元のドライバー(だいたい、おじさん)とすれ違うと、手をあげたり、親指を示したりして、何か合図をするのです。都会で、対向車から何かのサインがある場合は、この先でスピード違反の取り締まりがあるよとか、事故があるから注意したほうがいいよ、みたいなメッセージなのですが、こんな田舎でスピード違反を取り締まっても、そもそもあまり車が通らないのだから、意味がありません。


どうも、この地域のドライバーの人たちは、散歩中に道ですれ違って挨拶するのと同じ感覚で、たとえ時速80キロで走っていたとしても、「やあ!」と手を上げて挨拶するのです。それがわかってから、なんか楽しくなって、地元っぽい車とすれ違うたびに手を上げてみると、かなりの確率で挨拶を交わすことが出来ました。少しだけ、コミュニティのメンバーに加わった感覚です。

旅をしていると、その異邦人としての気軽さや自由を楽しむのと同じように、その街や人々との繋がりを強くしてみたいという思いが生まれます。それが、僕にとってはカフェに通ったり、テニスクラブに通ったりすることなのですが、この街では、挨拶だけでそれが感じられる思い出ができました。

四季があるっていいよね

先週は、日本の友人たちのSNSの投稿は「桜」一色だった気がしますが、オーストラリアは季節が逆なので、秋が深まっています。

僕が旅を始める前に住んでいたサンシャインコーストは緯度が26度くらい。日本だと沖縄の那覇と同じくらいなので、冬でも寒くならず、1年中テニスをするには最適ですが、四季を感じることはほとんどありません。暑い時期と暑くない時期、みたいな1年です。


今週、滞在しているのは南オーストラリア州のアデレード。南緯35度くらいなので、ほぼ東京と同じです。ですから、秋の感じがとても懐かしい感じがするのです。


先週末に、Mount Loftyという市内から30分もかからない小さな山の植物公園に行ったのですが、そこではすでに紅葉が始まっていました。空気も乾燥しているので、東京の10月とか11月の、秋の長雨や台風の時期が終わって、冬に向かって空気が乾燥し始める、そんな季節を思い出させてくれます。(いったい、いつになったら日本に行けるのだろう。)


日本で暮らす魅力の一つは、四季の移り変わりを楽しめることだと思いますが、アデレードなどのオーストラリアの都市にも、こんな素敵な紅葉と、春にはジャカランダというまるで桜のように期間限定で楽しめる花が満開になり、同じように四季を楽しむことができます。多くの日本人はオーストラリアを、青い空、青い海、美しいビーチ、みたいな南国のイメージとしてとらえることが多いのですが、日本に負けないくらいの繊細な自然を楽しんでもらえたらいいなと思います。

誤解してました

今週はカンガルー・アイランドという島にいます。ここは南オーストラリア州のアデレードから1時間半ほどのCape Jervisという街からフェリーで45分ほどで行くことができます。



アデレードに住む友人の一人が、将来カンガルー・アイランドに住むのが夢だと話していて、今回の旅ではいきたい場所の一つでした。あまり観光地というものには興味はないのですが、ここはアデレードに留学に来た若者たちにはぜひ訪ねてほしいおすすめの場所です。ちょうど今くらいの時期に1週間くらいのんびりと滞在して、素敵な時間を楽しんでほしいと思います。


この島で印象に残るのは、オットセイたち。Seal Bayという場所は、オットセイの繁殖地がビーチの近くにあるので、人間が近づいて観察ができる珍しい場所です。今回は、お金を3000円くらい払って(37豪ドル)ビーチまで降りて説明を受けられるガイドツアーに参加してみました。




オットセイと言うと砂浜で、こんな感じでだらけているイメージが強く、お気楽な動物たちだなと思っていましたが、それは全くの誤解でした。彼らは3日間遠洋に漁に出かけて、疲れ切って家に戻ってきて、こうやって休んでいるのです。3日間泳ぎっぱなし、働きっぱなしですよ。人の目なんか気にしてる余裕なく眠たくなるのは、当たり前です。これからは、尊敬の眼差しを持って、接していきたいと思います。


オットセイの写真を見て、「休日のうちのお父さんみたい」と思った若者の皆さん、確かにお父さんも電車に揺られて、マスクして、酸素が足りなくて、大変かもしれません。でも、オットセイくんたちからすれば、「君のお父さんと一緒にされるのは心外だなあ。こっちは3日間寝ずに働いているんだぜ。」と言われそうです。日本のお父さんたち、オットセイに負けるな!

穴ぼこだらけの街

メルボルンのあるビクトリア州を離れ、アデレードが州都の南オーストラリア州に入りました。今週は、南オーストラリア州側の最初の都市、Mount Gambier(マウント ギャンビアーみたいな発音です。)に滞在しています。




この街の面白さは、マグマの噴火で出来た山というか丘みたいな場所や、噴火で出来たカルデラ湖というかカルデラ池みたいな場所が街の近くにもいくつもあることです。この地域でマグマが活発に動いて噴出した理由は、オーストラリア大陸が南極大陸から離れたことによって断層などができたからだそうで、今では安定した大地なオーストラリアもかつては小さな火山がいくつもあったというのは不思議な感じです。アボリジニの方達の伝説にも火山の話が出てくるので、地球の歴史の時間軸で考えたら、つい最近までこの辺りでは大地が常に動いていたのでしょうね。


また、そんなカルデラの場所以外にも、この辺りは石灰岩の大地なので(つまり昔は海の底だった。)鍾乳洞や、自然に陥没した大きな穴なども街中にいくつもありました。その穴全体に植物を植えて、庭というか公園のようにデザインしています。地元の人たちの憩いの場として、かつ観光客も呼べるスポットになっていました。


そんな不安定な土地になんで街が出来たのか?ネットで調べてみても、答えが探せなかったのですが、多分安定した水の存在がこの街を発展させたのだというのが、奥さんと議論した結論です。街の外れにある火山の噴火でできたBlue Lakeには大量の安定した水があり、1800年代にはそれが何よりも重要な資源だったのだと思います。今でもこの街の水道は、Blue Lakeの水を使っているそうです。

いつか、どこかが陥没してしまうリスクと共存しながらも、アデレードから400キロも離れたこの街には、若い世代がカフェやレストランをオープンさせたりしてコミュニティーを盛り上げているのが、とても印象に残った街でした。

珍しいからチャンスがある

今週はグレートオーシャンロードの最終地点のWarrnambool(ウォーナンブール)という街の近くに滞在しています。メルボルンからグレートオーシャンロードで12使徒の岩までは多くの人が行くと思いますが、それよりさらに50キロ先にも素敵な街があるのです。



そして、この街にはDeakin大学のWarrnamboolキャンパスがあるので、ふらっと寄ってみました。キャンパスは思った以上に大きく、ここだけでも十分に一つの大学として認められそうなサイズでした。午前中はキャンパス内のカフェで仕事をするというのが日課になりました。



まだ、夏休みから帰ってきていないのか、コロナウイルスの影響でオンラインの授業が多いのかはわかりませんが、学生の数はそんなに多くありませんでした。調べてみると、留学生が学ぶことができる学部もビジネスとか環境学(海洋学)などがありましたが、日本人が学んでいる可能性はとても低そうでした。街を歩いていても日本人らしき人には全く出会わなかったので、こんな街のこんなキャンパスで学びながら生活をしたら、日本人というだけで、チャンスが訪れたり、友人が増えたりすると思います。(「日本語教えます!」と看板を出すだけで、何人かのお客様が連絡してくるに違いない。)


マーケティングの基本は、scarcity(希少性)です。季節限定商品だからみんな買いたくなるし、一度きりのコンサートだからみんなが殺到するわけだし、優秀な人材だから給料が高くなるのです。皆さんの希少性を獲得するには、自分の能力を高めるか、場を変えるかのどちらかです。こんな街に住んでいると、日本人というだけでチャンスが訪れる可能性が、メルボルンの市内にいるよりはずっと高くなるのです。

でも、多くの人たちは、なかなかそう考えません。自分が目立たないところ、他の人々と同じところにいようとする。大企業に入っていれば安全だと思ってしまう。でも、いつか、自分が目立つ場所に行かないと自分らしい人生を生きたと思えなくなってしまいます。能力を高める、場を変える、あるいはその両方をやる。人生の戦略はそんなシンプルなことの繰り返しだと思います。

40年前の地学の知識

この週末で山の生活も終わり、来週からは海に近いエリアに移動します。

今週滞在していたのは、Stawellという、グランピアンズ国立公園の近くの街。少し、取り残された感じが否めない街でした。大きなスーパーマーケットもあったので、買い物には困りませんでしたが、美味しいコーヒーを飲みにカフェに行くということは残念ながらありませんでした。


今週も山登りを何回かしたのですが、これまで訪れていた山たちは花崗岩で出来た山というか大きな岩でした。花崗岩なんて懐かしい響きですが、中学とか高校の時に地学で習った、マグマが地中深くで冷えて固まった岩たちです。

ところが、今週訪れたグランピアンズ国立公園の山たちは、砂岩で出来ているので、全く違った印象でした。砂岩で出来た山ということは、堆積した地層が地殻変動で隆起しているので、地層に表情があるというか、不思議感が漂っています。


歩いていても、全く違った感触で、砂岩は乾いていると摩擦が大きいので滑りにくく、かつ侵食されて変な格好の岩が多いので、靴底が硬いゴムでないと歩きにくいのです。花崗岩の上は滑りやすいので、ゴムが硬すぎると怖いなと思っていたのですが、今週はこの靴で良かったという感じです。



こんな、地学超初心者的な気づきも、自分で歩いたり、触ったりしないと分からなかったわけで、40年前の共通一次試験のためにひたすら暗記した知識と本当の意味での知識が繋がった感じでした。

留学や旅に限らず、新しい世界に出かけていくことは、それまでただ積んでいた知識を自分の体験として深く掘り下げるいい機会になると思います。ですから、ネットに流れてるノウハウばかりを読んでないで、コロナウイルスには気をつけながら、新しい場所に出かけてみてください。

旅すれば都

今週は、ロックダウンのおかげでスケジュールが崩れましたが、僕たちの旅のスケジュールは、土曜日か日曜日に移動をして、平日は同じ場所に滞在をするというパターンです。


目的地の決め方は適当で、大体300キロくらい離れた街で、良さそうなところがあれば、そこでAirbnbで「まるごと貸切」という物件を探しています。同じ場所に普通に暮らしているのと同じくらいの予算でまかないたいので必然的に質素な小屋みたいな場所に滞在しています。キッチンのオーブンが壊れていたり、虫が部屋の中を歩いていたりすることもありますが、けっこう快適に過ごせています。


ですから、その街のことや、過ごし方は、実際に街に着いてから考えることが多いです。よほど小さな街でなければ、オーガニックの野菜を買うところはあるし、けっこうおしゃれなカフェはあるし、素敵な散歩ができる自然や、テニスクラブだって探すことができます。オーストラリアの地方の街のクオリティーは日本に比べても高いと思います。留学前にその街の情報を詳細に知りたいという若者たちがいますが、治安のことだけ気をつけてくれれば、(オーストラリアは日本と同じレベルの治安の良さです。)あとは、スーパーマーケットでお米がいくらか?みたいなことは気にしないで大丈夫だと思います。それを調べている時間があったら、英単語をもっと覚えたり、大学の勉強に関連する本でも読んでいてください。


今日はBendigoという、人口12万人くらいのビクトリア州第四の街、に滞在しているのですが、いい生活をするための装置は揃っている感じです。ここにはラトローブ大学のBendigo Campusがあったり、TAFEもあったりします。しかし、日本での知名度はほとんどないので、日本人留学生はすごく少ないと思います。こんな場所で有名な日本人になることを目指してみるのも面白いし、かけがえのない経験になるかもしれませんよ。

ありのままの観光業

先週から、ニューサウスウエールズ州からビクトリア州に移って、メルボルンから車で4時間くらいのBrightと言う街に滞在しています。この街を紹介する写真には、よく紅葉した街路樹などが使われているので、きっと秋に来るのがいいのでしょうが、真夏の今も避暑地としてとても過ごしやすいです。



毎月の各スタッフとの報告会が、先週の後半にあったので、日曜日、月曜日、火曜日に近くの山の中を歩いてきました。そして、金曜日からビクトリア州全域がいきなりロックダウンになってしまい、新しい場所に移動できなくなり、今週も木曜日までは、この街に滞在する予定です。それまでに、感染が収まることを祈っています。こんな感じでオーストラリアは数日のロックダウンで、まずは感染地区を広げないことをやるようになっています。

さて、今回も自然散策の話になります。Mount Buffaloと言う山の周りをいくつか歩いたのですが、その中で面白かったのが、1910年に建てられたという山小屋。今は増築・改築がされていますが、最初は小さな小屋だったそうです。メルボルンからほぼ1日かけて(あるいは2日かけて)馬車などで山のふもとまでやってきて、山の中腹にあるこの小屋までわざわざやってきていたと言うのが驚きです。



つまり、その当時から自然を楽しむための、山登りとか観光と言うものが、すでに存在していて、都会の人たちをもてなし、案内をするガイドもいたようです。日本人も昔から観光というものはあったでしょうが、湯治であったり、参拝や修行など、自然を楽しむというよりは、もっと明確な目的があった感じがします。



そのあたりの考え方が、日本とオーストラリアの観光業での違いに表れていると思います。オーストラリアでは、ありのままの自然を楽しむことが目的なので、オーストラリアの国立公園は、最低限の整備しかされていません。宿泊施設なんて、キャンプ場ばかりだし。


でも、そんな開発をしない観光学や、エコツーリズムなどの学問をオーストラリアで学ぶのも、将来、予算が少なくなるであろう日本の観光業には役に立つかもしれませんよ。

オーストラリアで一番高い山

今週はニューサウスウェールズ州のJindabyneという街に滞在していました。湖の辺りの小さなリゾート地です。近隣のスキー場に行くための拠点なので、夏には観光客も少なく、のんびりした雰囲気でした。



この街から車で30分くらいの場所に、Mount Kosciuszko(コジウスコ)というオーストラリア大陸で一番高い山があります。日本では富士山に登ったこともないし、登山が趣味ということでもないのですが、今回は奥さんに誘われるまま登ってきました。登ってきたといっても、半分くらいまではスキーのリフトに乗っていけるので、それ以降はなだらかで整備された散歩道を2時間ほど歩くと着いてしまうと言う、ハードな山登りが趣味の方々には怒られてしまいそうな楽な行程でした。




でも、だからこそ、ゆっくりと周りの景色を眺めることもできたし、本当に美味しい空気を味わうことができたので、記憶に残る一日になりました。さらに、この日の記憶に残ったのは頂上付近にいたワタリガラス(Little Raven)たち。世界の伝説に登場するワタリガラスたちと同じように、とても頭が良さそうで、群れで虫たちを追っているのか、不思議な動きをしていました。それらを眺めているだけでも、先住民たちが怖れた神聖さを感じることができました。




大陸最高峰といっても、この緩やかな時間の流れや、頑張らなくても登頂出来てしまうところが、とてもオーストラリアらしいので、留学生たちで、興味のある人はぜひ訪ねてみてくださいね。