留学手続き無料なのは、社員のため

私たちの会社は、留学手続きは大学も含めて全て無料、申し込みをいただいた方の現地支店でのサポートも全て無料です。もう、このスタイルを10年続けていますが、未だに「本当に無料なんですか?」という問い合わせを受けることがあります。これは、ある意味僕たちのマーケティングが不十分なことを表していて、もっと努力して、なぜうちの会社がそのようなポリシーを持っているのかとか、親子留学は扱わないとか、小中高校生の留学も対応しないなどの理由を説明していかなくてはいけないんだなと反省をしています。いつか、このブログかWEBサイトに書かなくてはと思っています。


でも、この「若者が留学をするときに、無駄なお金は使わせない」という僕たちのポリシーは、お客様にとって魅力的なだけではなく、それ以上に社員にとってモチベーションとなる大切な約束なのです。うちの会社の社員は、ほぼ誰も辞めません。僕がこの会社を引き継いだ時からいるメンバーが半分近くいます。それは、福利厚生がいいとか給与が高いとかという理由ではなく(おかげさまで、最近はやっと恥ずかしくない状況にはなっていますが)、みんな正義の味方だと思って仕事ができるからです。うちの会社で申し込むことで、留学生が幸せになれると、心から信じているからなのです。

僕は、ブラック企業かどうかというのは、給料が安いとか、残業が多いとか、福利厚生が悪いとか、人間的に尊敬できない上司が多いなどの、結果というか現象の問題ではなく、正しいビジネスなのかどうか?ということがもっと議論されるべきだと思っています。胡散臭いビジネスで、残業を減らしても、たぶん社員は幸せにはなりません。働き方改革ではなく、正しいビジネス化改革をしていくと、自然とブラック企業は淘汰されていくのだと思います。世の中、そんなに甘くないこともわかってるけど、少なくとも僕がいる留学業界はそうなっていけばいいと思っています。

機内誌って不思議な読み物

飛行機に乗ると、よほどのLCCでもない限り、各シートに機内誌が用意されています。考えてみると、世の中で一番安定して読まれている雑誌の一つかもしれません。

内容は、オーストラリアや世界各地の都市のイベント情報や、ホテルやレストランなどの旅の情報、それらに関わる人たちのインタビューなど、とても面白いので、なんとなく読んでしまいます。


しかし、いつも不思議に思うのは、この雑誌の広告主たち。たぶん、何十年もこれらの雑誌は、高級時計や宝石やファッションの高級ブランドの広告で成り立っている気がします。セレブなスターたちがその商品を身につけている写真を掲載するだけで、売れてしまうほど世の中甘くないとは思うのですが、もしかしたら、こんな広告でも憧れて高級品を買ってしまう人々はまだ世の中にいっぱいいるのかもしれません。

そんなシュールな広告だけかと思ったら、今月号にはなんとオーストラリアや世界の有名大学たちのビジネススクールの広告も並んでいました。出張で飛行機に乗ることにウキウキしている若いビジネスピープルに対して、狭いエコノミークラスなんかに乗ってないで、ビジネスクラスに乗りたかったらビジネススクールで勉強するのが一番みたいなメッセージなのでしょう

でも、きっとその有名大学のビジネススクールのマーケティングの教授が見たら、「絶対効果ないよなあ」と嘆いちゃうのではないでしょうか。

世の中には、このような破綻しているマーケティング戦略や広告をいくらでも探すことができます。きっと、会社の中に専門のマーケティング部門をつくった瞬間から破綻は始まるのだと思います。だいたい、お金を使うことを目的とした部門や人々が会社にいるなんて、考えると不思議な話です。

僕の会社のように、広告費もマーケティング費用も一切使わない会社になると、社員全員がマーケティングのことを考えてくれるようになると思うのですが、多くの会社にとってそれは勇気のいることなのでしょう。ですから、ネットを見ていて、留学会社のバナーや広告を見つけると(僕がこういう仕事をしているので、よく出てきます。)礼儀だと思って、クリックしてあげています。

社会貢献の考え方

会社の業績が安定するようになって、オーストラリア国家に税金をちゃんと収めるだけではなく、自分たちで何かコントロールできる社会貢献について考えるようになりました。今年度はまずは1万ドル!を使ってみようと思い、様々な選択肢を検討してみました。


例えば、誰かの留学費用を全額、あるいは一部を負担するような奨学金的なもの。経済格差が学習格差になってしまっている現在、ボランティアで学習支援をしている学生たちへの寄付。あるいは子ども食堂などへの寄付。いくつもの選択肢の中で、今年度実行したのは、できるだけ多くの方々に環境について考えていただくために、Keepcupという使い捨て紙コップを止めるためのマイカップの提供です。全部で500個ほど製作して、留学生たちに配っています。色は2種類、そして純粋に環境問題に貢献したいので、会社のロゴなどは一切入れず、その分の予算はより多くのカップを製作するために充てました。だいたい、企業のロゴが入ったノベルティーグッズを喜んで使う人はいないのに、いまだにどんなものにもロゴを入れようとするのは、賢い選択ではない気がします。

これから、多くの留学生たちが、ちょっと面倒でもこのKeepcupを持ち歩いて、友人とカフェに行った時にでも、環境や自然について語る時間が増えることを楽しみにして、このプロジェクトはできるだけ長く続けていきたいと考えています。

今年もありがとうございました

おかげさまで、2017年も素晴らしい1年となりました。オーストラリアの会社は6月末が年度末なので、ちょうど今は2018年6月期の半分が終わったことになります。今期も対前年で増収増益で推移していて、23名のスタッフで構成されている会社としては十分な利益を今年度も確保できそうです。


留学ビジネスというのは、素敵な若者たちと素敵な大学や語学学校などをつないでいく仕事です。それには、知識が豊富で経験のあるスタッフが必要です。幸運なことに、うちの会社のカウンセラー15名のうち、6名が10年以上、4名が5年以上、一緒に頑張って働いてくれています。打ち合わせに行くと、すべての学校に言われるのは、「オーストラリア留学センターはメンバーが全く変わらないので、仕事の質も高く、ミスもなく、本当に仕事がやりやすい。」ということです。おかげで、日々の業務で僕の意思決定が必要なケースはほとんど無く、僕自身は旅をしながら経営をし、2年後、5年後、10年後くらいのこのビジネスの将来を見据えながら、やるべきプロジェクトを一つずつ立ち上げて、それを終わらせていくだけなのです。

2018年は、僕がこの会社に入社して、ちょうど10年目にあたります。10年前、大赤字を垂れ流していた会社が、オーストラリア留学の市場でこれだけ存在感のある会社になるとは、僕も含めて誰も予想していなかったと思います。僕たちを信用していただいた若者たち、大学・学校関係者、そしてスタッフの皆さんにあらためて感謝するとともに、次の10年は規模を追うのではなく、さらに強く、さらにかっこよく、さらに信頼される会社になっていきたいと思います。

良いお年をお迎えください。

満足と自信の間

ミックジャガーが I can’t get no satisfaction.と歌っていた、誰も満足していない時代から50年近くがすぎた現在、世の中は「自分に満足しようよ。」という雰囲気に包まれている感じがします。そして、その雰囲気に、どうも僕は馴染めません。


facebookなどのSNSは基本的に満足している人たちが集う場所なので、満足アイテムが絶え間なくアップされています。素敵なレストランで食べた料理、美しい風景、可愛いペット、楽しい飲み会、、、。SNSは日本人が何で満足感を得ているかを分析するのに必要な情報の宝庫です。食べ物なんて、中年以上の人しか興味ないのかと思ってたら、若い人たちも何を食べてるかをしょっちゅうアップしているのに、驚いたりします。

しかし、一方で、留学の相談に来たり、すでに留学中の若者たちに会って話してみると、あまり自分に自信を持っていない人が多いのも事実です。もっと高い目標を持てばいいのにと思うのですが、まずは自信がないので堅実なこのくらいで、、という感じです。

満足はしてるけど自信のない若者たち。

強い自信は困難を克服したり、挑戦して何かを達成した経験からしか生まれませんが、facebookに出すレベルの満足はお金で買えるわけで、きっとその間でどうしようか、一歩踏み出すかどうか考えているのが多くの20代の姿のかもしれません。オーストラリアに留学するという、お金では買えない達成感を獲得することを考えている若者たちに対して、しっかり苦労する道を提案して、最後まで見守り、一緒に達成感を味わえるのが、僕たちの仕事の面白いところでもあり、責任を持つべきことだと思います。

留学って「君にも出来る!」とか「君らしい、成功する留学!」みたいな、お金で買える満足の延長で提案するものではなく、「大変だけど乗り越えたら自信がつくよ」って、提案するものだと思うのです。



進学版サイトを改訂しました

僕の会社が堅実な成長を続けている要因の一つが、競合の会社に比較して内容も検索順位も圧倒的に強いWEBサイトです。例えば「オーストラリア+留学」と検索すれば、「オーストラリア留学センター」サイトが、「オーストラリア+大学」と検索すれば「オーストラリア留学センター 進学版」サイトが一番に出てくると思います。


それぞれのサイトを、3年ごとくらいで改訂をしているのですが、デザインや内容はその度に、どんどんシンプルになってきています。その理由は、僕たちが何をお客様に伝えたらいいのかが、明確にわかってきたということと、スマートフォンでサイトを見る方たちが80%に近い状況の中でスマホで見やすくということを徹底的に考えているからです。まだまだ、修正しなくてはいけないところも多々あるのですが、おかげさまで、改定後10日にもかかわらず、先月よりも問い合わせが増加しています。

最終的には、このサイトをオーストラリアに進学したい高校生や大学生たちのガイドブックに代わるものにしたいと考えています。かつて、留学情報は留学ジャーナルなどの雑誌や、留学エージェントがイベントなどで配るために作成したパンフレットのような紙媒体でした。ガイドブック的な読み物は紙媒体、学校の最新の情報はWEBサイトでみたいな棲み分けがあった時代も終わり、両方のコンテンツを網羅したサイト作りを極めていきたいと思います。

また、昔のブログにも書いたように
資料請求はごめんなさい
うちの会社では、ほとんど紙の資料は制作していないので、WEBサイトにさらにエネルギーを使っていきたいと思います。


今年度もありがとうございました

オーストラリアの会計年度は6月末決算なので、今日が2017年度の最終日です。おかげさまで、今年度も業績は目標を達成し、6期連続の増収増益となります。22人の会社としては、十分な利益も出ているのですが、だからこそ、来期は一度立ち止まってすべての「真実の瞬間」を見直していきたいと思います。


WEBサイトの継続的な改訂や、セミナー内容をもっと役に立つものにしたり、オーストラリアから格安で直接日本に電話できるインフラを整えたりして、さらにお客様との距離を縮めていきたいと考えています。オーストラリアと日本という物理的な距離はこの時代は全く不利ではなく、逆に僕たちがオーストラリアに住んで最新の情報を届けていられるのが圧倒的なアドバンテージになっています。

最近の20代、30代の若者たちと話していて、日本社会では、働き方・ライフスタイルについて新しい(というか当然な)考え方がどんどん浸透していると感じます。それは非生産的な仕事を長時間頑張るスタイルから、生産性を高めて人生を楽しむスタイルへの転換ということです。

オーストラリアという国で、半年、1年、あるいは数年勉強しながら暮らすという経験は、きっとその新しい価値観のライフスタイルの構築に役立つと思います。ワークかライフかのどちらかを選ばなくてはいけないワークライフバランスではなく、ワークもライフも楽しめる世界がオーストラリアにはあると思うので、明日からの新年度も多くの若者たちにそんな話をしていきたいと思います。

今年度もお世話になりました。ありがとうございました。

オーストラリアの留学業界における2極化

オーストラリアにとって、海外から多くの若者たちがやってきてくれる教育ビジネスはとても重要な輸出産業です。最近は、アメリカやヨーロッパが不安定な環境になっている影響で、オーストラリアを留学先として選ぶ人が増え、僕の会社も毎日多くの問い合わせをいただいています。


問い合わせをいただくのは、留学生からだけではなく、月に2回くらい、今まで契約のない新しい学校から連絡があり、エージェントにならないかというお誘いをいただきます。市場が拡大している理由からか、学校ビジネスに参入してくる人々も多いようです。そういう学校にとって、エージェントの質などはどうでもいいので、とりあえず多くのエージェントと契約をして、販路を広げたいというのが最優先のマーケティング戦略なのでしょう。

うちの会社の場合、最終的には僕がその学校に訪問して主要な方とお話をしたり、授業などを見学して、日本市場に提案できる感触を持てた時のみ契約をしてその学校のエージェントになります。最近では、なかなかそのような学校に出会わないので、契約数はそんなに伸びていません。売れるイメージ(つまりは留学生たちがハッピーなイメージ)がわかない学校といくら契約しても、学校にも留学生にもご迷惑をかけてしまうので、契約は慎重に行っています。

私たちのような会社がある一方、新しい学校との契約を積極的に行っている留学エージェントもあります。契約数一番をうたっている会社や、新しいエージェントの場合なかなか大手の学校との契約が難しいので、新規の学校と簡単に契約することで、売れる学校数を増やすためです。

オーストラリアの学校の留学手続きを行っている留学エージェントの数は100くらいあるかもしれませんが、そのエージェントが契約している学校の質や数は、そのエージェントによって随分と違っているのだということを理解して、相談をされるといいと思います。

最初が肝心

オーストラリアのビジネスでは、最初のミーティングでどのような関係が築けるかがとても大切です。日本のように、まずは名刺交換してご挨拶だけでも、みたいな時間のかかる関係づくりよりも、初めて会ったその日から信頼関係を築くことを目標にしたほうが文化に合っているようです。では、どのようにしたら良いのでしょうか。


オーストラリアではmateshipという言葉の通り、一緒に働く人たちはみんな友達という雰囲気があります。ですから、無理に自分を飾ったり、舐められないように偉そうに振る舞ったりするのは逆効果です。それよりも、正直に自分を見せていくことが成功につながっていくと思います。

僕がこのビジネスに入ってまだ間もない頃、ブリスベンにあるラングポーツという語学学校のオーナーの方が当時の日本の新宿にあった小さなオフィスに訪ねてきたことがありました。その学校はオーストラリアのトップの学校としていつも表彰されているような語学学校で、きっと小さな留学エージェントの新しい社長を品定めに来たのかもしれません。僕は、まだ業界のこともあまりよく分かっていなかったので、特に何か議題があるわけでもなく、ミーティングが始まりました。

はじめに、学校の概要やプログラムなどについての説明があり、「何か質問は?」と聞かれたのです。

僕は前職がベルリッツという語学学校の経営だったので、「クオリティを維持するために気をつけていることはどんなことですか?」という質問をしてみました。それは純粋に僕が知りたかったことで、オーストラリアの語学学校ってどんな経営をしているのかに興味があったのです。

しかし、その質問に彼は驚いたようでした。「日本のエージェントで、コミッションの率など、お金の話をしなかったのは君が最初だ。」ということで意気投合し、それ以降も語学学校やエージェントの経営について語り合う機会も多く、この業界やビジネスを学んでいく過程においていつも助けてくれました。彼にとって、クオリティはビジネスの本質であり、それについて最初に質問をしたこの日本人は信頼すべきと判断したのでしょう。

それ以降、クイーンズランド大学やメルボルン大学などの名門大学との契約交渉もこの正直作戦で乗り切り、現在は23の大学と契約を結んでいます。オーストラリアの教育ビジネスは、変な小細工や根回しも必要なく、素直に自分を表現しながら交渉していけるので、僕にとってはとても楽しくやりがいのあるフィールドです。

アーティストかプロデューサーか

これからの時代、仕事と言うものは、アーティストになるかプロデューサーになるかの選択しかなくなると思います。乱暴な議論に聞こえるかもしれませんが、それ以外の仕事はAIやロボットがやってくれる時代になるのです。


ただ、僕が考えてるアーティストとは、別にミュージシャンとかデザイナーだけを指すのではなく、どんな仕事でもその人なりの付加価値や仕事のやり方を披露できる人たちを大きな意味でのアーティストと定義したいと思います。企業の経営課題を数字から分析できる会計士だってアーティストだし、そのカフェで一番ファンがつくバリスタもアーティストだし、絶対にコンペで負けないプレゼンができるセールスパーソンもアーティストなのです。つまり、どんな仕事においてもアーティストを目指さないと、仕事も楽しくないし、チャンスも増えないのだと思います。

そんなアーティストが、経験を積み、責任範囲が広がっていく過程で、アーティストのままでいるか、プロデューサーになるかどうかの選択がやってきます。プロデューサーはアーティストたちが活き活きと働ける環境を作れる人です。そしてプロデューサーにとって一番大切な資質はアーティストをリスペクトしているかどうか。そんな人がリーダーとして方向性を決め、そこに向かってアーティストたちを導いていけば、どんな事業や会社も強くて美しくなっていくのだと思います。