2020年の世代ギャップ

もうすぐ2020年、えっ?2000年からもう20年も経ってしまうの?というあまりの時間の早さに唖然とします。「2000年問題」って、騒いでたわりに、何も起きなかったなあとか、9.11のテロが2001年だったことを振り返ると、あの衝撃からすでに20年近くが経っているなんて、もう若い世代とは根本的に共通言語がないんだなと不思議な気分になります。



しかし、僕たちの会社のお客様の多くは17歳とか18歳で、2000年以降に生まれた若者たちなので、僕は少しだけ同世代のおじさんたちより彼らと話す機会を楽しんでいます。彼らの特徴はお金儲けよりも社会に貢献するとか環境問題を解決したいとか動物を保護したいなど、興味が自分の外に向いていることです。若いうちはそのようなものだということを割引いても、30代が自分探しに忙しいのとは違った世代がやってきた感じです。

ですから、最近の留学生たちが選ぶ学部は、Animal Ecology だったり、International Relations であったり、Environment management など、5年前にはあまり聞かれなかった学部に人気があるのです。あるいは、ITやEngineering であっても、その技術を使って、世界の問題を解決したいという夢を語ってくれます。

2020年代は、経済的成功を求めている年寄りたちと、世界をよくしていきたい若者たちとの世代間ギャップがさらに広がっていくと思います。スウェーデンの環境活動家のグレタさんの話している内容には触れずに、話し方がきついとか言って批判している人々は、足元をすくわれるかもしれませんよ。新たなタイプの二極化が始まっていくのだと思います。

留学エージェントは誰のため?

留学エージェントって、留学をしたい人がいい学校を探すためのエージェント、だと考えている人が多いのですが、実は、学校や大学が、いい留学生を探すためのエージェントが正しい定義です。ですから、マーケティング費用として、学生一人あたり幾らかのコミッションをいただいています。その学校や大学にとって、いい留学生とは、真面目で、しっかりと授業に出席し、クラスにも貢献して、ドロップアウトすることなく卒業できる人です。


ところが、日本の大学と勘違いしているのか、「卒業しやすい大学を教えてください」というアドバイスを求められたり、「おたくの責任でうちの子をオーストラリアの大学に入学させて」、みたいな親御さんにお会いしたりします。そのようなケースの場合、たとえ入学ができたとしても、卒業できる可能性はとても低いので、うまくお断りするか、消極的なコミュニケーションをしていると、返事がこなくなります。

当然ながら、オーストラリアの大学が求めている留学生は、そんな楽するために留学するような学生ではなく、頑張り屋で、一生懸命勉強し、日本人としての視点をクラスに与えてくれる若者たちです。私たちは、常にそのような素敵な若者たちとの出会いを楽しみ、フィットした大学への出願をお手伝いして、卒業までを見届け、後輩たちが参考にできる体験談をもらうことを地道に続けています。

おかげさまで、そんな地道な仕事をしていくことで、多くの大学から信頼を得ることができています。会社概要サイトに、大学からのメッセージをもらっているので、ぜひご覧ください。このメッセージを、契約のある全ての大学からいただけることが、私の目標です。

利益よりも大切な目標

会社の経営の目標は株主価値の最大化、つまりは利益の最大化ということで、多くの会社が切磋琢磨をしているのですが、そのプレッシャーが大きいと、無理なコストカットを断行したり、達成不可能なノルマを強いたり、政治家や役人と結託しちゃったりするわけです。

上場企業の経営って、本当に大変だと思います。


株主が2人のうちの会社は、利益について目標を設定しないので、利益を上げるために何かを無理することがありません。それよりも、僕が大切だと思っているのは「かっこいいか?」ということです。お客様満足も従業員満足も当たり前、それらよりも上の概念として、かっこいいかが、うちの会社では大切です。

僕たちのかっこよさとは、常に正しく、正義の味方でいて、ズルをせず、誰にも媚びず、誰とも群れず、そんな僕たちに賛同してくれるお客様にベストなサービスをする、というものです。

最近の世界中で起きている、勝つためには手段を選ばずという風潮は、スポ根漫画で育った僕にはどうみてもかっこよくないし、その風潮を断ち切るためにも、正義の味方はかっこよく勝っていなければいけないのだと思います。

幸運なことに、僕たちがビジネスをしている若者たちは、胡散臭い人々を嗅ぎ分けられる感覚を持っています。だからこそ、僕たちは、信じることができる正義の味方の大人がまだいるんだということを、伝え続けていきたいと思います。そして、それがスタッフのモチベーションになり、さらにかっこいい会社になって、ファンが増えていくのです。

出願ピーク

毎年、夏休み明けの9月から11月は、高校3年生たちの出願時期のピークで、大学進学担当のスタッフたちにとっては1年で一番忙しい時期になります。12月に入ると、オーストラリアの大学も夏休みに入り(季節が逆ですからね)大学の窓口ものんびりし始めるので、今月中に出願を終えたい感じです。もちろん、12月以降でも受け付けてくれますが、返信が若干遅くなるのです。


私たちの会社は、オーストラリアの42大学のうちの26大学とエージェントとしての契約を結んでいて、これは日本の会社では最多です。今の私たちの規模では、この数が限界かなと思っています。昨年は120名、今年は150名以上の若者たちの大学進学を無料でお手伝いしています。7年前にこの大学進学市場に本格的に参入したときは、数名だった大学進学者も100人を超え、来年は200人を超えるかもしれません。海外の大学に進学するなんて、考えてもみなかった40年前の僕たちの時代とは全く違う状況なのです。

ですから、僕は日本の未来に対しては、少し楽観的です。「海外の大学を出た奴らは、気が利かなくて使えない」みたいなことを平気で言ってた「使えない」おっさんたちが引退して、海外組たちが社会を引っ張っていく時代になれば、グローバルな企業活動もスピードアップするでしょうし、世界からの視点を意識しながら日本の魅力を伝えられるし、自然環境についての意識も世界標準になるのだと思います。10年とか20年とか、そんな時代はあっという間にやってくるので、そんな時代を楽しみに、仕事を続けていきたいと思います。

「過去」とのつきあい方

日本社会を海外から眺めていると、「過去」となかなかうまくつきあえていない感じがします。社会も企業も個人も、「失敗」という過去、「成功」という過去、「つぎ込んだお金」という過去、「頑張ってきた努力」という過去、「築き上げてきた地位」という過去などに、どうも引きずられているようなのです。


特に社会や企業など、組織や集団になると、「過去」との決別はほとんど不可能で、それが日本に限ったことではありませんが、社会の閉塞感を作っているのです。「過去」に引きずられている人が集団の半分いれば、変化が必要と分かっていても新しいことにはチャレンジされなくなるのは当然なのです。

ですから、僕は、社会がどんどん良くなっていくことはあり得ないと思ってるし、期待もしていません。しかし、個人や小さな集団には期待を寄せています。「過去」ではなく「未来」のために世界に飛び出していく若者たちをこれからも支援したいし、そんな若者たちが社会のある割合になった時、きっと、その社会はいい方向に動き出すのだと思っています。

最低時給が今年も上がるオーストラリア

オーストラリアは7月からがビジネスの新年度(日本の4月みたいなものですね)で、全ての企業がこの会計年度で動いています。そして、この時期になると来年度の最低時給が発表されます。


この7月からの最低時給は、19.49豪ドルです。日本円に換算するのはナンセンスな話ですが、1豪ドルが80円としたら1500円くらいです。日本では最低時給を1000円にするのを産業界が文句を言ってるそうですが、こちらは、産業界よりも庶民の方が大切なので、経営者たちは本当に大変だと思います。

しかし、だからこそ、生産性向上とか、効果的なことに焦点を定める経営戦略の手腕が問われてくるのだと思います。僕たちの会社では、各支店のアシスタントの方は最低時給からのスタートですが、だからこそ、記事の作成やブログの執筆など付加価値を高めてもらえる仕事をお願いしています。

なぜかと言うと、僕たちと縁があり、僕たちと働く若者たちには、何か学んでほしい。何も考えなくてもお金を稼げる世界より、仕事の質を高めていくことに楽しさを見出して欲しいと思うからです。

オーストラリアは、最低時給が高いので、世界中からワーホリなどで若者たちがやって来て単純な労働に従事しています。それでも、それなりの生活ができるので、多くの人たちがその生活を長く続けようとします。しかし、それって付加価値を生むための仕事ではないので、何年やっても仕事力と言うものは伸びていかないのです。(ゼロではないでしょうけど)

最低時給は安いのは、大問題だと思いますが、最低時給が高いのも、考えなくなる人を増やしてしまう可能性があると言うことで、日本からの留学生の成長にとっては簡単に喜べない問題なんだと思っています。

僕たちの究極のゴール

先日は、ブリスベンの大学に通っている学生を集めて、キャリアについてのセミナーを行いました。ほとんどの学生さんは初めて会う若者たちだったので、このような機会は僕にとって仕事の中で一番楽しい時間です。


今回、セミナーをして改めて感じたことは、みんな、しっかりと自分で考えることが出来るということと、18歳で海外に飛び出してきた勇気と強さがあるということ。質疑応答の時間に、いろいろな意見や鋭い質問が出てくると、いい刺激や学びになるので、セミナーでは大切な時間にしているのですが、今回は多くの若者たちが意見を披露してくれました。

現時点ではほとんどの学生たちは海外での就職を考えていて、キャリアという意味では、日本での就職よりもハードルが高いわけですが、今後も機会あるたびに話をして、少しでも彼らの成功(やりたい仕事で社会に貢献しながら生きていける)に役に立てていければと思います。

そして、そんな幸せな若者たちがどんどんと増えていき、日本社会の中で、オーストラリアに留学することが成功するための一つの道として認められることが、僕たちの会社の究極のゴールになるのだと思います。だからこそ、彼らが卒業して社会に出るまで、できれば社会に出てからも、サポートをしたり話ができる関係でいたいと思います。

テニス界だってAIで変わっていく

テニスの全豪オープンも佳境に入ってきましたが、テニスコートの中で一番辛い職業は線審/ラインズマンだと思います。(今だとラインアンパイアかな?)マッケンローに「真面目にやれよ!」と怒られた時代は終わりましたが、チャレンジされて自分のミスコールが世界中のテレビに映るのですから、あまり達成感のある仕事のようには思えません。皆さん、やりたいのかな?


ということは、そろそろ線審はロボットとかセンサーとかに取って代わられる時代なんだと思います。きっと、すでにある技術で十分にロボット線審を開発することは可能でしょう。怒った選手にラケットで叩かれても壊れないくらいの頑丈さだけ気をつけて、どんどん開発していけば、選手のストレスも随分と減ると思います。

そして、考えてみたら主審だってAIを導入したら、選手ごとの対応方法などを学習したロボットになるかもしれません。警告を与えるのも、セリーナ・ウイリアムズだって怖くないので、淡々と行われ、選手も感情的にならずに試合に集中できるので、質の高いテニスを観客も楽しめるようになると思います。

このように、世の中はどんどんAIやロボットの出番が増えていくし、その企画を考えることは、人間の役目だし、とても楽しい分野だと思います。AIのプロデューサーになることは、これから数十年食いっぱぐれのない仕事です。AI に仕事をとられることを怖がっているより、技術を使って、世の中を良くしたり楽しくすることを追求していく仕事を選んでください。

2018年、今年もお世話になりました

2018年の私たちの会社は、毎年続けてきた増収増益の成長がほぼ止まった1年となりました。とは言いつつ、20人の会社としては十分な利益が出ているので、ここからどのような方向に舵を取っていくかは、すごく悩むところです。


さらに成長をするために、拡大のための投資をしていくのか、あるいは現状維持を大きな目標として、基盤強化に励むのか?こんな時、株主が2人だとあまり議論する必要はありません。現時点での私たちの選択は、どちらかというと後者に近い、規模を維持しながら社員の幸福の最大化ができるかということにチャレンジしたいと考えています。

私たちは20人の会社と言っても、社員それぞれのライフステージがあり、結婚、出産、育児休暇、子育て、親の介護、などなど、一人一人が仕事とは別に何かを抱えています。また、女性社員の割合が8割近いので、男性以上にその何かが大切になってきます。

そんな状況の中で、さらに大きなストレッチをする成長を目標に掲げるのは、直感的に間違いな感じがするのです。それよりも、やるべきことをシンプルにして、やる気のある留学生たちをしっかりとサポートすることに集中することで、この仕事の楽しさを満喫し、安定した経営ができるのだと確信しています。立ち止まって、しっかりと考えることができた2018年なので、2019年の私たちの動きを楽しみにしていてください。

皆さまも、良い年をお迎えください。

大学の長期マーケティング

今週は、サンシャインコースト大学でSolar Nightという無料のイベントが開催されていたので、見学に行ってきました。このイベントは、サンシャインコースト大学内にソーラー発電を整備したことを地元のコミュニティーに告知するために行われているもので、近隣の家族連れが来場していました。

仕掛けは、かなりシンプルで、すでに設置されている柵や壁や樹木にLEDの電球や、ブラックライトで光っている動物の絵などで、子どもたちを楽しませていました。日本の街で見かけるクリスマスイルミネーションに比べられるレベルではありませんが、子どもたちは十分に楽しんでいました。子どもたちが楽しければ、親は満足なので、十分に目的を果たしている感じでした。




サンシャインコースト大学のような地方大学は、例えばブリスベンにあるクイーンズランド大学やクイーンズランド工科大学などの都市の有名大学に比べると、学生の募集は大きな問題です。しかし、この大学は順調に学生数や新しい施設への投資も伸びています。そして、留学生を受け入れることよりも、地元の若者たちにアプローチをかけているので、留学生の比率は10%程度と、オーストラリアの大学の中でもとても低い水準です。


それを可能にしているのは、このような地元に貢献するイベントなんだと思います。地元の家族と近づけるこのようなイベントや講演会をうまく実施して、長期的なマーケティングをやってきたおかげで、安定した大学運営ができているのだと思います。日本はこれから多くの大学が潰れていくと思いますが、地方の大学が生き残るために参考にしてもらいたい事例だと思いました。