今年はよくがんばりました

6月30日はオーストラリアの会計年度末なので、会社の業績についてのブログを書いています。今年度は、100年に一度の経験かもしれない混乱の数ヶ月を過ごしましたが、おかげさまで年度末のボーナスも支給できるくらいの利益を出すことが出来そうです。何人かの方には、「ビジネス大丈夫?」と聞かれるのですが、おかげさまで、今年度も安定した業績を残せそうです。


多くの留学会社が、売上がなく危機に瀕している時に、オーストラリアの会社であったことで政府の支援が厚かったこと、そして長期の語学留学と大学などへの進学市場に特化していたことで、キャンセルをされる留学生が少なかったことが、ダメージをほとんど受けなかった大きな理由です。もちろん、頑張ってくれた社員の存在も含めて、本当に幸運だったと思います。

7月の中旬から下旬には、オーストラリア政府から留学生の入国についてのアナウンスがされるということですから、今年中には留学生が渡航可能になることを期待して、準備をしています。これまた幸運なことに、オーストラリアはコロナウイルスの対策がとてもうまくいっていて、僕の住むクイーンズランド州には6月30日時点の感染者は2名だけなので、日々の生活はほぼ平常に戻っています。日本よりも安全な国に留学をすることは、これから大切なポイントなのではないでしょうか。

それでも、これからも世の中は何が起こるかわからないし、人生には様々な困難が待ち受けていることでしょう。だからこそ、若い人たちは世界に出て、違う文化の中で生きる練習や強い生き方の発見をしておくべきだし、僕たちは素敵な若者たちとの出会いを楽しみながら、これからも堅実な経営を続けていきたいと思います。明日からの新年度も、よろしくお願いします。

もうリモートが当たり前

僕が自宅勤務にしましょうと社内に指示を出したのが3月20日なので、すでに2ヶ月が経過しています。この2ヶ月は、オーストラリアは外国人の入国をほぼ禁止していたし、入国者がいないと毎週月曜日に行っている、生活オリエンテーションをすることもないので、オフィスでしなくてはいけない仕事はありませんでした。留学生たちとはSNSや電話で連絡が取れるので、携帯に電話の転送だけしておけば、ほとんど困らなかったというのが印象です。(郵便物が少しだけありましたが)


こんな状況の中で、確実に言えることは、次のオフィスの契約更新の時には、ゼロベースで契約内容を見直すだろうということです。僕たちの会社は、オーストラリアに6つ、東京に1つのオフィスがあります。それぞれのオフィスの存在意義を再定義して、場所とかサイズとかを検討したいと思います。

例えば、これからはオンラインセミナーやオンラインでのカウンセリングの頻度は高まっていくでしょうから、オフィスにはスタジオのような機能が必要になってくるでしょうし、現地にいる留学生との面談は近くのカフェでやった方が、よりリラックスできるかもしれません。もう、固定電話の番号なんていらないのでは?とか見直す内容っていろいろありそうです。現地オフィスのメリットって何かを、再考するいい機会になったと思います。

もしかしたら、若者たちの5年後とか10年後の会話では、「へー、オフィスにいく会社に勤めてるんだ!それってどんな感じ?」みたいな会話が普通になるかもしれません。僕も、こんな時代になる前に、「社長室」みたいなところで、仕事してみたかったです。(生産性はともかく)

もし、リモートでの経営に興味がある方がいたら、「Remote」というBasecampという社内アプリを開発しているアメリカの会社の経営者たちが書いた本がおすすめです。「強いチームはオフィスを捨てる」という名前で翻訳も出ていますが、英語で読める人は英語の方がわかりやすい感じでした。この人たちの書いた「Rework」も中小企業の経営者は必読だと思います。amazonなどで検索してみて下さいね。

留学後、どうしてる?

留学の意義というのは、楽しかったとか外国の友達ができたとか学位が取れたとかではなく、留学後の人生でその経験を活かしてたくましく生きているかで証明されるものなんだと思います。

特に今のような、混乱して将来が見えない時代にあっても、強く、自分の考え方をしっかりと持って、何事にも翻弄されずに生きていくためのトレーニングの一つとして、海外で学び、自分の生活を整えていく経験は大切です。

ですから、留学が終わって、社会人として生活をしている若者たちに、その後の状況を確認することは、僕たちの存在意義を確認する上でも大切なことなのに、忙しさにかまけてなかなかそのようなことが出来ていませんでした。そんな昨年の年末に、元留学生の女性から「留学から帰国した人たちのインタビューをするサイトが作りたい」という提案を受けて、すぐにプロジェクトがスタートしました。


新型コロナウイルス の影響もあり、のんびりとサイトの制作が進み、やっと完成しましたので、ぜひご覧ください。これから毎週1人のペースで、元留学生たちの現在を紹介していく予定です。特に高校生の方やその親御さん、先生たちには、気になるテーマだと思いますので、楽しみにしていてくださいね。

サイトの名前は文字通り「留学後どうしてる?」です。僕みたいなおじさんが上から目線で「君の留学の意義は?」なんて聞くのではなく、同じ世代の若者たちが、「その後、どうしてる?」と語り合うようなインタビューになっていると思います。

ポストコロナウイルスの時代は、今までとは全く違う価値観の社会になると思います。モノよりも、人間的な繋がり、不特定多数の群衆ではなく、信頼おける人との繋がり、そんなコンセプトをこのサイトで表現できたらいいなと思っています。

会社を救った1冊の本

今回の新型コロナウイルスの影響で、倒産をしたり、規模を縮小したり、社員を解雇しなくてはいけなかったり、大きな借金を抱えたり、など、経営者たちはとても苦労されているかと思います。

そんな状況を見て、多くの若者たちが、安定だけを求めて大企業に入ったり、公務員になったりするのが最適なんだと思うのも仕方のないことかもしれませんが、やはり、自分で会社を経営することの達成感とか意義とか面白さは、一度の人生の中で経験できる人は経験してもらいたいと思っています。


今回、僕の会社は「留学業界」というほぼ壊滅状態の業界にいても、絶対に生き残れる状況にあるのは、たった1冊の本のおかげだということをお伝えしようと思います。ベストセラーの本なので、すでに読まれた方も多いとは思いますが、これから起業する方、会社の立て直しを目指す方は読んでおくことをお勧めします。

それはジム・コリンズ著の『ビジョナリーカンパニー4 自分の意志で偉大になる』です。同じ時期に同じような規模の会社が同じ業界で同じようなポジションにいたのに、一つは繁栄し、もう一つは会社が存続しなくなったのはなぜかということを多くの事例を分析、紹介しています。

繁栄した会社の共通点は、未来は予測できないし、危機はいつかやってくるという前提の上で経営をしているので、手元資金を潤沢に積み上げ、やるべきこととやらないことを明確にして、優秀な人々を雇い、そのメンバーがやるべきことを規律を持って行っていくというものです。ごく当たり前のことではありますが、なかなか、このようなことを一貫性を持って続けている会社は少ないと思います。

僕は2012年にこの本が出版されてから何十回も読み、強い会社の真似をしてきました。おかげで今日時点で2年間売上がゼロでも生きていける資金を持っています。短期留学や親子留学やシニア留学などの、留学というより旅行に近い分野はやらずに、大学進学や長期語学留学など、より真面目な留学生たちと出会える市場でだけ、ビジネスをしています。おかげでキャンセルは少なく、オンラインでも授業を受ける若者たちが何人もいて、売上につながっています。社員はほとんどが5年以上一緒に働いていて(初期からのメンバーも半分くらいいます)知識や経験が豊富で、そんな彼らが、毎週1つは必ずWEBサイトに記事を書くという規律を持って仕事をしてきました。おかげで、オーストラリア留学での検索結果は常に1位です。

こんなシンプルな経営のおかげで、このご時世でも、今日も普段と同じように粛々と仕事をしています。精神的に安定していられるのは、本当にありがたいことです。会社の業績は、経営のやり方で随分と違ってきます。興味のある方は、ぜひ読んでみてくださいね。本を読んでの感想などについては、ご連絡お待ちしています。

誰のための支援なのか

日本も緊急事態宣言が発令されて、次は経済支援が注目されますが、あまりオーストラリアの経済支援策は取り上げられていないので、ひとつ紹介をしておきます。日本に比べるとずーっと分かりやすくシンプルです。(これ以外にも企業救済の様々なプログラムが発表されています)


まずは、このような支援を考えるときに、「誰に」「どのくらい」「どのように」支援をするのかを決めなくてはいけません。

オーストラリアの場合、「誰に?」は今回の新型コロナウイルスで被害を受け、売上が対前年から30%ダウンした企業に勤める社員が対象です。彼らが無職にならないように支援をするということで、「Jobkeeper」と呼ばれています。公務員やトイレットペーパー屋さんは当然ながら対象にはならず、カフェなどの飲食店や観光業に携わったり、もちろん僕の会社の留学ビジネスで働く人々も対象になります。

次に「どのくらい?」の支援があるのかというと、国民、永住権保持者の社員1人あたり2週間で1,500ドル、1ヶ月でいうと約3,000ドルの給与分を6ヶ月にわたって国が支払ってくれます。融資などではなく、給付してくれるのです。この金額の設定基準は最低時給程度というものです。僕の会社では10人くらいが永住権保持者で対象となるので、毎月3万ドル、6ヶ月で18万ドルを国から貰えるのです!これは助かります。おかげで僕の会社では誰かを解雇したり休業したりすることはありません。

最後に「どのように?」というお金の渡し方ですが、これは企業に国から毎月支払われ、企業は対象者にちゃんと給与を支払った証明を国に対して行います。お金がちゃんと雇用の維持に使われたかをチェックする仕組みができるはずです。企業にお金が渡っても、それを資金繰りに使われたりしたら意味がありませんからね。

いかがでしょう?分かりやすいですよね。特に、「企業」を助けるのではなく、「企業で働く人」を助けるための仕組みなのだということが誰にでも分かるのがいいと思います。日本で、果たしてこんな支援策ができてくるのか?注目したいと思います。

海外で会社を経営するというのは、なかなか苦労も絶えないわけですが、今回の支援策はとてもありがたく、オーストラリアで会社をやってて良かったと思います。まだまだ苦労は続きますが、こういうときに経営者の手腕が問われてくると思うので、頑張っていきたいと思います。

思わぬ副産物?

オーストラリア・サンシャインコーストに戻ってきました。ここは相変わらず空気が綺麗だし、海は青いし、人も少ないのでコロナウイルスに感染することも無いかと思います。


今回は東京に2週間滞在したのですが、東京のあの人混みの中で、すべての人が緊張感やストレスを持っている状態って、やはり居心地が悪いですね。電車の中では、にこやかな人にはほとんど出会えませんでした。

ただ、多くの企業が社員の健康管理のためにテレワークなどを導入したおかげで、ラッシュなどは少し緩和されて、ぎゅうぎゅう詰めみたいなことは無かったのが良かったです。もしかしたら、多くの企業でテレワークの実験ができていることは、この騒動の思わぬ副産物になるかもしれません。いくつかの企業では将来の生産性アップにつながるヒントを得るのでは無いでしょうか。

僕たちの会社は社員が20名なのに拠点は7つあり、かつ御家族の関係で自宅勤務の社員も3名いるので必然的にネットでゆるく繋がった組織です。それでもSlack上では議論もされるし、つきあいも長く、みんながそれぞれの個性を理解しているので、社員が同じ場所にいないことに不便を感じたことはありません。きっと社員の皆も、社長がオフィスにいなくて仕事がはかどると思っているに違いありません。

テレワークがうまくいかないという社長がいたら、それは社長の不安の裏返しか、優秀な社員を集めて来れなかった結果でしか無いと思います。東京のオフィスを縮小して、オーストラリアにサテライトオフィスを持ってプロジェクトをやれば、きっとチームのパフォーマンスも上がるし個人のモチベーションも維持できると思いますよ。

そして、これからの若者たちはそんな環境で働く人々がずっと増えるのでしょうから、練習も兼ねて、留学中もネット上でどんどん会議や打ち合わせをしていきましょうね。ご連絡お待ちしています。

コロナウイルス問題で学んだこと

2週間の東京出張もこの週末を残すのみとなり、来週の月曜日の便でオーストラリアに帰ります。この2週間は、新型コロナウイルス問題が全てだったという印象です。


オフィスのある渋谷の街は、中国からの観光客が少ないおかげで、とても空いていて歩きやすく、10年前とか20年前に戻った感じがしました。しかし、中国人観光客目当てで成立しているビジネスやお店にとっては大打撃だったのは容易に想像できます。

オーストラリアの留学ビジネスにおいても、留学生の半分を占める中国人の留学生たちが夏休みの帰省から、オーストラリアに戻って来れない状況は異常で、担当者たちはその対応に奔走しています。今年のオーストラリアの大学経営はなかなか大変だと思います。

こんな状況で、経営者として考えなければいけないことは、ポートフォリオのバランスということです。一つのビジネスユニットに頼るのはやはり危険だということです。おかげさまで、僕たちの会社のビジネスは、今回のコロナウイルス問題の影響はありません。しかし、大学進学、専門学校進学、語学学校留学、ワーキングホリデー、日本のお客様、すでにオーストラリアにいるお客様、などのそれぞれのお客様のセグメントにおいて、どんなリスクがあるのか、将来その可能性はどのくらいなのか、対応策としての準備はどんなことがあるのかなど、再点検をする良い機会だったと思います。

結論としては、今までと変わらず少数精鋭でフレキシブルに動ける体制を作り、それぞれのビジネスユニットのバランスを取りながら無理をせず、十分なキャッシュを持って、体力を蓄えて置くことしかないと思います。無理をして、成長だけを目指していくと、いつかその代償を払うことになるのだと思います。

オーストラリアの高校生が学びたい学部

先日、クイーンズランド大学から送られてくる記事を読んでいたら、今年の12年生(日本の高校3年生)の出願において、対前年で一番増加率が高かったのが、bachelor of environmental science (環境学)なんだそうです。クィーンズランド大学はオーストラリアのトップ8大学の一つで、そこで環境学が人気だと言うことは、オーストラリアの優秀な若者たちの興味やキャリアの軸の一つに環境というキーワードがしっかりと入ってきていることを表しています。


オーストラリアは資源や農作物が主要な輸出産業であり、自然からの恵みによって成り立っている国と言えます。そんな状況の中で、環境が少しずつ破壊され、そして温暖化などの影響もある中で、今回の山火事はさらにオーストラリアの若者にとって自然を守ることの重要性を考える機会になったのだと思います。そして、これからの時代に、世界の共通言語、常識として、英語と環境というのは欠かせないものです


「環境に良い」という言葉がどんどん安売りされ、胡散臭い言葉に成り果てた今の社会において、しっかりと学問としての環境を学び、これからの時代に貢献していく若者たちが日本からもやって来て欲しいと思いました。

さあ、2020年が始動した。

オーストラリアに帰ってきました。正月に父親が亡くなったことは、人生の残りの時間を大切にしろというメッセージだったのだと思っているので、今年からは今まで以上に動いていきたいと思っています。


まず、最初に訪れたのはアデレード。昨年の後半にエージェント契約をしたアデレード大学との打ち合わせです。アデレードという街は、オーストラリアの中でも留学生が住みやすい街だと考えています。街がコンパクトで分かりやすく、馴染むのに時間がかからなかったり、海も山も近いので、週末を自然の中で過ごしたい人にも便利です。


アデレード大学は、そんな街の一番北側に面していて、美術館や図書館などの文化的な施設が並んでいるエリアに位置しています。グループオブエイトと言われるオーストラリアのトップ大学の中で、いちばん市街地と一体化している大学です。


歴史的な古いビルとモダンなビルがうまく混在して、キャンパスの広さとしてはそれほど大きくはないのですが、歩いているうちに市街を囲む公園に入り込んでしまうので、自然が好きな人には嬉しいレイアウトです。オーストラリアの大学の多くが自然をうまく取り入れたキャンパスになっているのが、この仕事をしていて、楽しいことの一つです。


毎年、1月は大学の夏休みということもあり、あまり積極的に訪問をしていなかったのですが、(オーストラリアの1月はテニス月間なので、テニスのテレビを観ていたいというのもあるのですが。。)実は大学のマーケティング担当者にとっても、この余裕のある時期にじっくり話ができ、年間計画も立てられ、有意義でしたねという会議でした。そんなことも、動いてみて初めてわかったことなので、今年はより多くの大学や学校たちを訪ね、日本の若者たちにオーストラリアで勉強してもらうためのシンプルな戦略やメッセージを一緒に作っていきたいと思います。卒業生の人たちは、ぜひ、協力してくださいね。

2010年代が終わる

オーストラリア留学センターの雇われ社長から、潰れるくらいなら自分で親会社から買い取って立て直せるかもとサラリーマンを辞めたのが2009年の年末だったので、会社のオーナー兼経営者として10年が過ぎようとしています。人生の中でも、一番学びの多かった10年だった気がします。

最初の1年は毎月社員の給料が払えるかが僕の一番の心配事だったのに、今ではクリスマスからお正月まで、のんびりと休める会社になりました。優秀な少数精鋭の社員たちと、楽しくチームが組めたことが成功の一番の要因であるのは間違い無いのですが、時代の流れというものにもうまく乗れた気がします。


それは、日本の大学たちの地位の低下です。平成の30年の間に、子どもの数は減っていくのにもかかわらず、大学の数は約500校から約800校と300校も増加しています。なぜ増えたかは分かりませんが、大学を作って儲けたい人が増えたのでしょうね。今では、当然ながら多くの大学が定員割れです。そして、それらの多くの大学を維持するために限られた国の予算が使われるために、一つの大学あたりの予算は削られ、国際競争力が落ちています。先日発表された世界ランキングでは、200位までに東大と京大の2校しか入っていないのです。(TIMES World University Ranking 2019)

それだったら、200位までに11校がランクインしているオーストラリアで学ばせた方が、20年後さらにグローバル化している(もう、そんな言葉も当たり前すぎて語られないと思いますが)世界で活躍するためには良いのではないかと高校生たちやそのご家族が考えるのもよく分かります。アメリカはトランプさんのおかげで人気ないし、治安も悪いし、何しろ信じられないくらい学費は高いし、、ということで、オーストラリアの大学進学がここ数年に選択肢に加えられてきたのでしょう。

明日からの2020年代は、さらに日本の大学は変革を求められていくでしょう。半分くらいは潰れるのだと思います。(だって、高校生はそんなにいないし、海外からの留学生だって良い大学に行きたいのですから)これからの大学選びは、世界から情報を集めていくことが普通になっていくでしょう。留学エージェントも、その知識量の戦いなっていくのだと思います。