今年度もありがとうございました

オーストラリアの会計年度は6月末決算なので、今日が2017年度の最終日です。おかげさまで、今年度も業績は目標を達成し、6期連続の増収増益となります。22人の会社としては、十分な利益も出ているのですが、だからこそ、来期は一度立ち止まってすべての「真実の瞬間」を見直していきたいと思います。

WEBサイトの継続的な改訂や、セミナー内容をもっと役に立つものにしたり、オーストラリアから格安で直接日本に電話できるインフラを整えたりして、さらにお客様との距離を縮めていきたいと考えています。オーストラリアと日本という物理的な距離はこの時代は全く不利ではなく、逆に僕たちがオーストラリアに住んで最新の情報を届けていられるのが圧倒的なアドバンテージになっています。

最近の20代、30代の若者たちと話していて、日本社会では、働き方・ライフスタイルについて新しい(というか当然な)考え方がどんどん浸透していると感じます。それは非生産的な仕事を長時間頑張るスタイルから、生産性を高めて人生を楽しむスタイルへの転換ということです。

オーストラリアという国で、半年、1年、あるいは数年勉強しながら暮らすという経験は、きっとその新しい価値観のライフスタイルの構築に役立つと思います。ワークかライフかのどちらかを選ばなくてはいけないワークライフバランスではなく、ワークもライフも楽しめる世界がオーストラリアにはあると思うので、明日からの新年度も多くの若者たちにそんな話をしていきたいと思います。

今年度もお世話になりました。ありがとうございました。

オーストラリアの留学業界における2極化

オーストラリアにとって、海外から多くの若者たちがやってきてくれる教育ビジネスはとても重要な輸出産業です。最近は、アメリカやヨーロッパが不安定な環境になっている影響で、オーストラリアを留学先として選ぶ人が増え、僕の会社も毎日多くの問い合わせをいただいています。

問い合わせをいただくのは、留学生からだけではなく、月に2回くらい、今まで契約のない新しい学校から連絡があり、エージェントにならないかというお誘いをいただきます。市場が拡大している理由からか、学校ビジネスに参入してくる人々も多いようです。そういう学校にとって、エージェントの質などはどうでもいいので、とりあえず多くのエージェントと契約をして、販路を広げたいというのが最優先のマーケティング戦略なのでしょう。

うちの会社の場合、最終的には僕がその学校に訪問して主要な方とお話をしたり、授業などを見学して、日本市場に提案できる感触を持てた時のみ契約をしてその学校のエージェントになります。最近では、なかなかそのような学校に出会わないので、契約数はそんなに伸びていません。売れるイメージ(つまりは留学生たちがハッピーなイメージ)がわかない学校といくら契約しても、学校にも留学生にもご迷惑をかけてしまうので、契約は慎重に行っています。

私たちのような会社がある一方、新しい学校との契約を積極的に行っている留学エージェントもあります。契約数一番をうたっている会社や、新しいエージェントの場合なかなか大手の学校との契約が難しいので、新規の学校と簡単に契約することで、売れる学校数を増やすためです。

オーストラリアの学校の留学手続きを行っている留学エージェントの数は100くらいあるかもしれませんが、そのエージェントが契約している学校の質や数は、そのエージェントによって随分と違っているのだということを理解して、相談をされるといいと思います。

最初が肝心

オーストラリアのビジネスでは、最初のミーティングでどのような関係が築けるかがとても大切です。日本のように、まずは名刺交換してご挨拶だけでも、みたいな時間のかかる関係づくりよりも、初めて会ったその日から信頼関係を築くことを目標にしたほうが文化に合っているようです。では、どのようにしたら良いのでしょうか。

オーストラリアではmateshipという言葉の通り、一緒に働く人たちはみんな友達という雰囲気があります。ですから、無理に自分を飾ったり、舐められないように偉そうに振る舞ったりするのは逆効果です。それよりも、正直に自分を見せていくことが成功につながっていくと思います。

僕がこのビジネスに入ってまだ間もない頃、ブリスベンにあるラングポーツという語学学校のオーナーの方が当時の日本の新宿にあった小さなオフィスに訪ねてきたことがありました。その学校はオーストラリアのトップの学校としていつも表彰されているような語学学校で、きっと小さな留学エージェントの新しい社長を品定めに来たのかもしれません。僕は、まだ業界のこともあまりよく分かっていなかったので、特に何か議題があるわけでもなく、ミーティングが始まりました。

はじめに、学校の概要やプログラムなどについての説明があり、「何か質問は?」と聞かれたのです。

僕は前職がベルリッツという語学学校の経営だったので、「クオリティを維持するために気をつけていることはどんなことですか?」という質問をしてみました。それは純粋に僕が知りたかったことで、オーストラリアの語学学校ってどんな経営をしているのかに興味があったのです。

しかし、その質問に彼は驚いたようでした。「日本のエージェントで、コミッションの率など、お金の話をしなかったのは君が最初だ。」ということで意気投合し、それ以降も語学学校やエージェントの経営について語り合う機会も多く、この業界やビジネスを学んでいく過程においていつも助けてくれました。彼にとって、クオリティはビジネスの本質であり、それについて最初に質問をしたこの日本人は信頼すべきと判断したのでしょう。

それ以降、クイーンズランド大学やメルボルン大学などの名門大学との契約交渉もこの正直作戦で乗り切り、現在は23の大学と契約を結んでいます。オーストラリアの教育ビジネスは、変な小細工や根回しも必要なく、素直に自分を表現しながら交渉していけるので、僕にとってはとても楽しくやりがいのあるフィールドです。

アーティストかプロデューサーか

これからの時代、仕事と言うものは、アーティストになるかプロデューサーになるかの選択しかなくなると思います。乱暴な議論に聞こえるかもしれませんが、それ以外の仕事はAIやロボットがやってくれる時代になるのです。

ただ、僕が考えてるアーティストとは、別にミュージシャンとかデザイナーだけを指すのではなく、どんな仕事でもその人なりの付加価値や仕事のやり方を披露できる人たちを大きな意味でのアーティストと定義したいと思います。企業の経営課題を数字から分析できる会計士だってアーティストだし、そのカフェで一番ファンがつくバリスタもアーティストだし、絶対にコンペで負けないプレゼンができるセールスパーソンもアーティストなのです。つまり、どんな仕事においてもアーティストを目指さないと、仕事も楽しくないし、チャンスも増えないのだと思います。

そんなアーティストが、経験を積み、責任範囲が広がっていく過程で、アーティストのままでいるか、プロデューサーになるかどうかの選択がやってきます。プロデューサーはアーティストたちが活き活きと働ける環境を作れる人です。そしてプロデューサーにとって一番大切な資質はアーティストをリスペクトしているかどうか。そんな人がリーダーとして方向性を決め、そこに向かってアーティストたちを導いていけば、どんな事業や会社も強くて美しくなっていくのだと思います。

経営って何が美しいかの問題

このビジネスを始めて間もない頃、ある留学会社の方とお話をした時に、「お客様は何もわからないのだから、学校選びをアドバイスしてあげてその対価をいただくのは当然のこと」というアドバイス?コメント?をいただいたことがあります。

それは暗に「お前の会社みたいに、何でも無料とか言って、大したサービスもしてないくせに、業界を荒らされると困るんだよね。」ということなんだろうなあと解釈して、「確かに、そうですね。」みたいな大人の対応をしたことを覚えています。何しろその頃は、本当につぶれそうだったので、それに対して反論をできるような立場でもありませんでした。

しかし、僕の会社は「日本の普通の若者たちができるだけ多く、安心して留学できるインフラを作る」というのが目標なので、学校や大学からの紹介料だけで会社を運営し、お客様には無駄なお金を一切払わせないという美学は譲れない部分で、その美しさは儲けやすいという合理性よりも上位概念だと思ったのです。

美しさを追求していても、会社はやっていけないよという方もいるかと思います。しかし、成功している会社はみんな美しさを徹底的に求めているのではないでしょうか?ここで言う美しさとは、会社の目標や夢に向かって、会社の要素がすべてデザインされていて、何の矛盾もない美しさです。例えば社員を大切にしますと言いながら、サービス残業が普通な会社とかは美しくないわけです。

おかげさまで、今は、どの学校や大学もうちの会社と働きたいと言っていただけるようになり、描いていた会社のイメージに近づいてきました。しかし、面白いのは、この会社やビジネスをデザインしていくことは、終わりがないことです。もっと美しくできないか、いつもチャレンジしていきたいと思います。

自分らしく仕事をする

サラリーマン時代に学んだことの一つは、どんな仕事も「自分らしく」することができるというものです。

マニュアルに書いてあるだけのことをするとか、上司に言われた通りにするという範囲を超えて、自分なりの工夫でこれは自分の仕事だと言えるようにできることは、仕事に対する姿勢を変えることができました。それを許してくれた当時の上司や環境に感謝するとともに、すべてのスタッフが自分らしく仕事ができるように、会社の中に余裕を持っておくことを僕自身も気をつけています。

そのような話をすると、「私の部署ではそれは許されない、難しい」という反応をする若者たちにも出会います。確かに、マニュアルに則って、決められた仕事をしなくてはいけない仕事もあるかと思いますが、僕はそんな部署ほど、チャンスがあると思っています。僕は20年以上前、「総務部」に在籍していたことがあります。そこで会社全体の固定資産の管理という、地味な仕事を担当しました(させられました)。20代は商品企画とか会社の戦略とか、そんな仕事をしていた僕にとってはアウエイ感漂う仕事で、本当に何もわからない状況だったのですが、その仕事をどう自分らしく出来るかを考えました。

結果として、当時使用していた随分と古い固定資産管理システムを一新して、macでしか動かないfilemakerというデータベースソフトを導入してシステムを作り直して、生産性をたぶん10倍くらい高めました。おかげで、データベースというものの考え方を20年以上前に勉強することができ、それは今でもすごく仕事に役立ってます。総務部に行かなければ会うことのできない世界でした。

その時のレッスンは「みんな、もっと効率的にしたいけど、自分たちがリスクを取って仕事を変えるのは面倒くさいなと思っている」ということでした。ですから、僕が新システムの提案をすると周りの皆さんはとても好意的に色々教えてくれたのです。自分らしく仕事をすることにこだわることは、実は周りの人にとってもいいことなんだと思いますよ。

快適な未来のためへの投資

会社の業績が安定して成長するフェーズに入ると、会社に貯まっていくお金をどうするかという問題は経営の大きなテーマです。上場企業であれば、そこでさらなる成長戦略をスタートしないと貪欲な株主たちの支持は得られないのでしょうが、株主が僕ともう一人の共同経営者しかいない弊社の場合、他とは違うキーワードで議論をします。

それは「最大化」ではなく「最適化」ということ。

利益の最大化ではなく、無理をしないで獲得した最適な利益かどうか。市場におけるシェアの最大化ではなく、狙ったターゲットを中心とした最適なシェアを獲得できているかどうか。これらを常に自分たち自身に問いかけてきたことが、今のところ成功している要因の一つだと考えています。会社経営の大きなゴールは「強い会社」を作るということです。不況や災害など社会の変化に対応するための体力や戦略を準備しておくために「規模」を求める市場や業界もあるとは思いますが、留学市場はそうではなさそうで、今までに「規模」を求めた多くの会社が失敗し、市場から追放されています。

それは普通に考えれば当たり前のことで、留学は人生にほぼ一度の大きなイベントなので、一人のお客様のLTV(Life Time Value)は限られていて、無理に規模を大きくしても、何度も留学をする人はいないので、無理をする分だけ非効率です。それよりも、質に注目して、人生に一度の留学という経験が素晴らしいものであれば、お客様は口コミや体験談で語ってくれたり、友達を紹介してくれるので、広告費がいらなくなるという効果が現れるのです。

これから5年後も、お客様の全員が価値のある留学を経験し、もちろん出願手続きや現地サポートはすべて無料で、スタッフが余裕を持って目標を達成し、十分な利益を確保できる強い会社であり続けるために、未来の「最適な姿」をしっかりと見据えて、しっかりとした投資と工夫を継続していきたいと思います。

練習を見に行こう

1月のオーストラリアはテニス月間です。正月のブリスベン国際やパースのホップマンカップから始まって、月末のメルボルンの全豪オープンまで、ほぼ毎日どこかでテニスのテレビが放映され、世界中からトッププレーヤーが集まります。

ブリスベン国際テニスは、ブリスベン市内から電車で15分くらいのとても便利なスタジアムで、かつ練習コートがグランドチケットという20ドルの一番安いチケットでも見ることができるので、すごくお得です。メインスタジアムでとても小さく見える選手の試合を見るよりも、数メートル先で練習をしているプレーヤーを観察するのが、まだ現役だと思っている僕のお気に入りです。

今日は大会2日目なので、多くの選手が練習していました。ワウリンカ、ラオニッチ、ティエム、錦織、など、トップシードの選手たちのスピードやボールのスピンの量、ポジショニングなど、勉強になることばかりです。また、練習方法も選手によって随分と違っています。コーチが出す球をひたすら反復練習したり、流れの中でボレーで決めるまでを何度も練習したり、2対1でスピードが速い展開に慣れる練習など、それぞれの選手が何を狙っているのかがすごく分かりやすかったです。

ビジネスでも、派手な試合の部分だけを磨くのではなく、地味な練習をどれだけ繰り返していけるかをもっと考えなくては。僕の会社における練習は、オーストラリアの大学や語学学校の知識を地道に積み上げていくことです。今年もオーストラリアへの留学に関する弊社のWEBサイトのアウトプット量と質は、圧倒的なNo1を続けていきたいと思います。

新しい活躍の場を探すために

2016年は各都市でほぼ毎月、キャリアセミナーと題して、お客様に仕事の選び方や留学中に気をつけたほうがいいことについてお話ししてきました。今週はブリスベンで今年最後のセミナーを開催して20名を超える若者たちと会うことができました。

半年や1年間の長期語学留学や休学留学、そして高校を卒業してオーストラリアの大学に進学した若者たち、僕の会社の留学生たちはこのような方たちが多いので、日本の平均的な若者たちに比べてずっとしっかりしています。しかし、そんな勇気を持った若者たちを不安にさせるくらい、日本の社会は見通しにくく、外から帰ってきた人たちに冷たい雰囲気を醸し出しているようです。

ですから、僕のメッセージは自信を持って、目の前の勉強に集中しようねということです。そもそも、日本の社会や教育に疑問を感じて海外に飛び出して努力しているのに、帰るときにまた日本サイズに合わせるべきかなんて考える必要はないのです。成長した留学生たちは、成長した分日本においても違う出会いや機会が待っています。その機会に巡り合うためには、少し人と違った戦略的な考えと新しい居場所に飛び出す勇気なんだと思います。

ただ、それは口で言うのは容易いですが、日本から遠く離れて頑張っている若者一人ではなかなか気づくことはできません。僕の会社の現地サポートというのは、生活を始めるためのマニュアル的なサポートだけではなく、できるだけ多くの留学生一人一人に向き合いながら、アドバイスをして、留学したすべての若者が自分らしい人生を歩んでもらうためにあるんだと思っています。

グローバル人材にはなるのでなく、認められること

英語ができればグローバル人材になれるわけではない、ということはもう誰でも分かっています。にもかかわらず、世の中には相変わらず「グローバル人材=英語」という文脈が多く見受けられます。

そもそも、「何かを学べばグローバル人材になれる」という発想がおかしくて、大切なことは「認められていくプロセス」なんだと思います。

例えば、オーストラリアの大学でチュートリアルという少人数制の日本で言えばゼミみたいな授業があります。オーストラリア人の学生を中心に何人かの留学生が入ったその集団で、日本人は最初はシャイなことも災いしてなかなかグループの中で存在感を発揮するのは難しいです。しかし、少人数だからこそ、意見も求められ、いい意見を話し、少しずつリーダーシップを発揮し、プレゼンの構成を考え、やるべきことをリストアップし、、、なんてことをしているうちに、その集団で確固たるポジションを獲得できるようになります。このようなプロセスが、グローバル人材になるということなのです。

外国人の中で、自分をアピールしていく経験、ポジションを獲得していく経験、それこそが将来に活きてくる留学の醍醐味だと思います。英語力はそのための必要条件の一つに過ぎません。大学生の方だったら、ぜひオーストラリアの大学で学部聴講をしてほしいし、もし英語力が足りないのであれば、地元のコミュニティーなどに入って、自分の存在感をアピールする経験をしてほしいと思います。それがグローバル人材になるためのスタート地点です。