多様性について考えること

タスマニアで最初に泊まったAirbnbのコテージは母屋が隣にあって、時々オーナーの方が声をかけてくれました。彼は30年前にドイツから移住をしてきた人で、ドイツでは森林の管理をしていたということです。そんなスキルを活かしてタスマニアで森林保護の職を見つけ、森の中に家を建て、10年前からは炭を使った土壌改良のビジネスも始めています。

そんな彼と話したのは健全な森林の多様性の話。


自然はそれ自体に強い森を作るためのノウハウが内在していて、ほったらかしにしておくことが、人間にとって有益かどうかは分からないけど、森にとっては健全なんだみたいな話をしてくれました。だから、あえて外から何かを持ってくることは何も必要なくて、すでに十分に多様性のある、そこに生えている植物を大切にしていればいい。

今、人間社会では、多様性が一つのキーワードになっていますよね。うちの会社は多様性を発揮した経営をしてますよと言いたいがために、外国人を雇ったり、理系の人を文系の組織にいれたり、いろいろ工夫している会社も増えています。しかし、そのコテージのオーナーと話しながら考えたのは、まずは、もっと自分の会社にいるスタッフひとりひとりの個性を知るようにしようということです。僕の会社には、現在22人のスタッフが働いているのですが、みんな様々なバックグラウンドを持ち、違う得意分野を持ち、違う夢を持つ、それだけで十分に多様性のある人々です。ひとりひとりを理解することで、生まれてくる戦略の方が、戦略に人を合わせていくよりも、ずっと成功の確率が高いと思っていますし、今のところ、その経営方針はうまくいってる感じです。

いい人でいる戦略

旅も終わりに近づいてきて(と言うかほぼ終わっていて、現在はゴールドコーストにいます)サンシャインコーストに戻った時の家探しを始めました。実は、正月明けに前に住んでいたアパートの管理人さんに連絡して、2月か3月かに空く部屋があるかたずねてみました。「残念ながら一つ空く予定の部屋があるけど、すでに6人が申し込んでいるから、ちょっと難しそう。お役に立てないけど、他でいい家が見つかったら推薦状とか書いてあげるからね」と言う回答でした。そのアパートは綺麗だし、住んでる人は年配の人が多くて落ち着いてるし、プールは大きいし、ジムもあるし、カフェもあるので、僕のように家で仕事をする時間が長い人にとってはとても便利なのでしたが残念でした。



いよいよ、サンシャインコーストに戻るまでに1ヶ月を切ったので、先週から不動産賃貸サイトを眺めだし、検索してあたりをつけて、いくつか連絡する候補のリストを作っていたら、先週の金曜日にいきなり、その前のアパートの管理人さんからメールがきて、急に一つの部屋が空くことになり、まだ誰にも話してないので、もしまだ家を探していて、興味があるならすぐに返信して、というものでした。もちろん、興味があるので、現地にはいけないけど写真ある?と返信し、写真を数枚送ってもらって、すぐに保証金を送金して、その部屋を確保してもらいました。

数日はかかるだろうと思っていた家探しが、わずか1日もかからずに、それも納得する家を確保できました。これは、僕たちが前に住んでいた時に、いつもにこやかに挨拶したり、部屋をとても綺麗に使っていたり、退出する時もしっかりと掃除などをしたので、管理人さんとしては、僕たちに貸せば安全だと思ったのだと思います。他の人に話す前に、僕にメールしてくれたのは、本当にラッキーだったし、他の人から言わせれば不公平な話です。

ただ、世の中は、このように不公平です。そして、不公平の恩恵にあずかるためには、権力者になってどこかの政治家みたいにずるい取引を実現させるか、「いい人」でいて親切なオファーを受け取るかなのです。もちろん僕は権力者よりもいい人の道を選んでいきたいと思います。

ステージに上ろう

スポーツをスタジアムで観戦すると、興奮して2日くらいはうまく眠れない。ドームを埋めつくすコンサートに出かけると、興奮して3日くらいは、頭の中でその音楽が鳴っている。今をときめく経営者のセミナーに参加したら、1週間くらい仕事が楽しくてたまらない。世の中はそんな観客で溢れていて、そんな観衆を動員するためのイベントを企画することが生業の会社も腐るほどあります。


でも、歌が好きなら、歌を人に聞かせよう。スポーツが好きなら、試合に出てみよう。語ることがあるなら、自分のセミナーを開いてみよう。最初は下手かもしれないし、負けてばかりかもしれないし、話を聞きに来る人はいないかもしれないけど、時間が経てば必ずうまくなっていく。うまくなっていけば、楽しくなってくるし、悔しくなってくるし、謙虚になってくる。それが素敵な人になる道なんだと思うのです。

自然の中をひたすら歩くということ

タスマニアに来てから、ほぼ毎日、国立公園のような場所を数時間歩いています。


特に予備知識もなく、近くのおすすめのウォーキングトラックを探したり、Airbnbのオーナーに聞いて、歩きに行くだけです。最初の頃は仕事のこととか、将来のこととか、いろいろ考えていたのですが、こんな日々がただ続くので、だんだん考えることも少なくなってきました。

何も考えないで歩いていると、自然の鼓動というか波長というか、何か不思議なリズムを感じるようになります。流れる風の大きな動きの中でそれに反応している木々の枝や葉や草たちや、鳥や虫たちが奏でる音たちと足音だけしか聞こえない世界です。そのリズムを楽しんでいると、自然の一部になっている自分を発見します。

きっとこんな感じが、瞑想とかマインドフルネスとかで得られる感覚なんだろうなあと思いながら、毎日ひたすら耳をすましながら、遠くを見ながら歩いています。

タスマニアは人気の国立公園に行っても、あまり人に会いません。日本では山登りに行列ができるそうですが、自然とじっくりと向き合いたいなら、夏のタスマニアはオススメですよ。

2018年の抱負

オーストラリア人の新年の抱負で一番多いのは「痩せる!」ということらしいですが(当然か)、僕の今年の目標は「機会を逃さない」ということです。


今年、僕は56歳になるのですが、おかげさまで体は動くし、今のところ健康だし、会社は順調だし、とても恵まれた時期を過ごさせてもらっています。怖いのは、順調だから起きる守りみたいなものです。チャンスに対して、積極的に動かず、次があると思ってしまう。そのようなマインドセットにならないように、今年は(たぶん、これからずーっと)気をつけていきたいと思います。

これから、僕の人生の中で、次がまたあるチャンスというものはもう多くはないと思います。ですから、本当に一期一会ということを意識して実践していくことが悔いのない人生を送るために大切なんだと思います。

素敵な人に会える、頑張っている若者に会える、素敵な場所にいける、強い選手とテニスの試合ができる、オーストラリアの大学教授とビジネスの話ができる、そんな好奇心をくすぐってくれるところや、僕のサポートや助けを必要としている人のところへは積極的に、その代わり、お付き合いみたいな時間はできるだけ少なくして、ストレスのない日々を過ごすのが2018年の目標です。

今年もありがとうございました

おかげさまで、2017年も素晴らしい1年となりました。オーストラリアの会社は6月末が年度末なので、ちょうど今は2018年6月期の半分が終わったことになります。今期も対前年で増収増益で推移していて、23名のスタッフで構成されている会社としては十分な利益を今年度も確保できそうです。


留学ビジネスというのは、素敵な若者たちと素敵な大学や語学学校などをつないでいく仕事です。それには、知識が豊富で経験のあるスタッフが必要です。幸運なことに、うちの会社のカウンセラー15名のうち、6名が10年以上、4名が5年以上、一緒に頑張って働いてくれています。打ち合わせに行くと、すべての学校に言われるのは、「オーストラリア留学センターはメンバーが全く変わらないので、仕事の質も高く、ミスもなく、本当に仕事がやりやすい。」ということです。おかげで、日々の業務で僕の意思決定が必要なケースはほとんど無く、僕自身は旅をしながら経営をし、2年後、5年後、10年後くらいのこのビジネスの将来を見据えながら、やるべきプロジェクトを一つずつ立ち上げて、それを終わらせていくだけなのです。

2018年は、僕がこの会社に入社して、ちょうど10年目にあたります。10年前、大赤字を垂れ流していた会社が、オーストラリア留学の市場でこれだけ存在感のある会社になるとは、僕も含めて誰も予想していなかったと思います。僕たちを信用していただいた若者たち、大学・学校関係者、そしてスタッフの皆さんにあらためて感謝するとともに、次の10年は規模を追うのではなく、さらに強く、さらにかっこよく、さらに信頼される会社になっていきたいと思います。

良いお年をお迎えください。

みんながコアラを好きなわけ

ビクトリア州で観光というと、メルボルンに行って、そのあとグレートオーシャンロードにドライブというのが定番でしょうから、メルボルンより東側ってほとんどどんなところか分かっていませんでした。

今回訪れたのは、Raymond Islandと言う島です。ここは街をあげてコアラの保護とそれを観光資源として使っています。


朝早い時間なら、コアラも爽やかに起きているのではないかという仮説のもと、朝7時すぎに隣町のPaynesvilleと言う街から、移動距離100メートルくらいのフェリーで島に到着すると、そこからKoala Walkが始まります。コアラというと、遠くの方にかすかに見えたり、木の上の方で寝てたりと言うのしか経験がなかったので、全く期待をしていなかったのですが、歩き始めて5分で、すぐそこで、こちらを向いてるコアラを発見。朝一番のお客様くらいには挨拶しておこうという感じ。開店時のデパートで挨拶してくれる店員さんののりかも知れません。な訳ないか。


そのあとも、全部で10頭くらいのコアラをすぐ近くで見ることができたし、朝食に夢中で接近しても動じないコアラくんとも写真を撮ることができました。基本的に寝てるところしか知らないコアラの表情豊かな仕草に、普段はあまり動物とかに興味を持たない55歳の僕としても、結構ワクワクして楽しみました。



コアラって、どうしてこんなに日本人に人気があるのかを考えながら、(そもそもコアラは絶対にマーチするタイプの動物ではないし。。)歩いていると、ふと懐かしい光景が。東京の夜10時すぎの電車にかなりの確率でいる、手すりにつかまりながら酔っ払って寝ているサラリーマンみたいなコアラくん。可愛い!だけではない、こんな哀愁漂う眠り方も、日本人の多くの世代に共感を呼んでいる?のかも。

住んでみたい小さな街 Milton

オーストラリアを旅していて感じることの一つは、田舎の街に素敵な場所が多いということです。日本は地域の活性化がとても重要な課題かと思いますが、オーストラリアの地方の小さな街にはそのヒントが数多く隠されていると思います。ですから、これから、訪れた街のいくつかを紹介していければと思っています。



今回の街は、ニューサウスウエールズ州のMiltonという街。街の中心は100メートルもないくらいの商店街です。歩けば10分もかかりません。それなのに、この地域の人たちは、みんなこの街が好きなようです。その理由は、素敵なお店やレストランやカフェたちです。リーズナブルで、地元のオーガニックなどの野菜を使い、おしゃれなインテリアで、スタッフがフレンドリーで、そんな店たちが集まって、その街(通り?)を良くしたいと一体感がある空間を作り出しています。



滞在していたのは車で30分くらい離れた場所だったのにもかかわらず、3日の滞在中、2日もランチに出かけてしまいました。特に、このパン屋さんのベジタリアンサンドイッチはとても美味しかったし、アーモンド・チョコレート・クロワッサンはアーモンドクロワッサンとチョコレートクロワッサンが合体したのに、こんなに美味しくて、この値段でいいの?という感じでした。

次回、この地域に旅するときは、もっと長い期間滞在したいと思います。ぜひ、皆さんも、観光地ではなく、小さな街に数日滞在する旅行を計画してみてください。

ハッピーフレンズ Michaelさん

バイロンベイ・イングリッシュ・ランゲージ・スクールのマイケルはヨーロッパで出会った奥さんと一緒に20年前に、この場所に学校を作りました。バックパッカーの1室から始まった学校は現在はそのバックパッカーの建物全体が学校に変わり、バイロンベイの街に欠かせない存在になっています。


自然とともに自由に生きたい、スピリチュアルでかつオーガニックなライフスタイルを確立したい、そんな多くの若者たちが憧れる生活を目指す人々たちが作り出してきたバイロンベイという街に魅力を感じて集まってきたスタッフや教師たちが、この学校では長く働いています。ですから、チームは安定していて、家族のような感じです。僕たち留学エージェントはそんな雰囲気の学校を信頼して、お客様に紹介しているのです。


朝から晩まで詰め込みで勉強するとか、英語を話さないと罰則があるとか、そんな堅苦しいところはない学校ですが、コミュニケーションの楽しさを感じるところがこの学校で学ぶモチベーションになっている気がします。受け身ではなく、自立した積極的な人に合っている学校であり続けたいとマイケルは考えているようです。

僕たちは、半年に1回くらいお茶やランチをしながら、マーケティングのこととか、小さな組織の経営の仕方とか、ライフスタイルのこととか、スポーツのこととかをとりとめなく話すことで、お互い何かを学んでいる気がします。オーストラリアの小さな街で、存在感のある学校をゼロから作り上げた彼の話は学ぶことが多く、僕の会社の経営にとても参考になっています。

この旅の帰りにもバイロンベイには寄ると思うので、半年後にまたコーヒーを飲むのを楽しみにしています。

ハッピーフレンズ Anthonyさん

今回の旅ではブリスベンには1週間弱滞在予定だったのですが、その間に必ず会いたかったのが、クイーンズランド大学のマーケティング部門のリーダーをしているAnthonyさんです。お互いの予定を調整して、最終日のランチをクイーンズランド大学のテニスコートの横にあるレストランで食べました。


彼との出会いはもう8年くらい前、僕の会社が大学進学市場に思うように進出できない時でした。当時、クイーンズランド大学の付属語学学校(ICTE)のマーケティング担当の彼とアポイントを取り、彼の上司と一緒に会議をした時に、意気投合し、日本の若者たちについて熱く語り、すぐに契約をしてもらえたのが、現在、オーストラリアの大学に一番多く日本人学生を送っている僕の会社の大きなターニングポイントになりました。現在、オーストラリアの大学はエージェントの数を絞り、質の高い会社としか契約を結びません。そんな状況で、現在23の大学と契約できているのは、あの頃にオーストラリアのトップ大学であるクイーンズランド大学チームに信頼してもらえたからだと思っています。


それ以来、一緒に日本の高校に営業に行ったり、東京でセミナーを開催したり、新宿の小さな居酒屋で飲みながらマーケティングについて語り合ったりと、仕事仲間としていい時間を過ごしてきました。オーストラリアの大学は、その出願方法がシンプルであったり、ほとんどの大学が日本の大学よりも世界ランキングが高いのに、しっかりと高校の勉強をしてきた日本人にとっては入学しやすい環境であるので、世界に飛び出していく若者にとって素晴らしい環境です。

Anthonyのようなマーケッターたちと、素敵な日本人の若者たちにさらなる飛躍の機会を提供できるように、オーストラリアから正しい情報を今後も発信していきたいと思います。