趣味を作ってから留学しよう

オーストラリアに留学している人たちから必ずと言っていいほど聞かれる質問のひとつは、「どうやって現地の人たちの知り合いを作るか?」というものです。


そして、必ず僕が答えているのは「趣味のサークルなどに入れば、すぐに見つかるよ。」ということです。僕の話で言えばテニスをオーストラリアに来てからまた再開したことで、本当に多くの友人ができました。クイーンズランド州で、気合いを入れてテニスしている50代のおじさんたちはほとんど知り合いで、試合に行けばみんな友達で、今日は勝った、負けた、みたいな10代の時のような楽しさがあります。もちろん、地元のテニスクラブの友達からは、ほぼ毎日テニスのお誘いがやってきます。テニスという趣味がオーストラリアでの人生を本当に豊かにしてくれています。

ところが!

多くの留学生たちは、「たいした趣味が無いんです。」ということらしいのです。日本では、休みの日は友達と出かけて、買い物したり食事したりすることが十分に楽しいので、それ以外に時間を使ってこなかったことにも確かにうなずけます。とは言っても、オーストラリアに来て、趣味なくしては地元の人たちと友達になることはほぼ不可能だと思います。

別にプロ並みに上手い必要もなく、命かけてます!という気合もいらないので、何か海外の人たちと楽しめそうなことを日本にいる間に準備してみてください。そして、留学する街で、その趣味のグループについて検索すると、(例えば Yoga+Gold Coast+Free Lessonなど)、きっとコンタクトしたい人々の連絡先やイベントが探せると思いますよ。

最初が肝心

オーストラリアのビジネスでは、最初のミーティングでどのような関係が築けるかがとても大切です。日本のように、まずは名刺交換してご挨拶だけでも、みたいな時間のかかる関係づくりよりも、初めて会ったその日から信頼関係を築くことを目標にしたほうが文化に合っているようです。では、どのようにしたら良いのでしょうか。


オーストラリアではmateshipという言葉の通り、一緒に働く人たちはみんな友達という雰囲気があります。ですから、無理に自分を飾ったり、舐められないように偉そうに振る舞ったりするのは逆効果です。それよりも、正直に自分を見せていくことが成功につながっていくと思います。

僕がこのビジネスに入ってまだ間もない頃、ブリスベンにあるラングポーツという語学学校のオーナーの方が当時の日本の新宿にあった小さなオフィスに訪ねてきたことがありました。その学校はオーストラリアのトップの学校としていつも表彰されているような語学学校で、きっと小さな留学エージェントの新しい社長を品定めに来たのかもしれません。僕は、まだ業界のこともあまりよく分かっていなかったので、特に何か議題があるわけでもなく、ミーティングが始まりました。

はじめに、学校の概要やプログラムなどについての説明があり、「何か質問は?」と聞かれたのです。

僕は前職がベルリッツという語学学校の経営だったので、「クオリティを維持するために気をつけていることはどんなことですか?」という質問をしてみました。それは純粋に僕が知りたかったことで、オーストラリアの語学学校ってどんな経営をしているのかに興味があったのです。

しかし、その質問に彼は驚いたようでした。「日本のエージェントで、コミッションの率など、お金の話をしなかったのは君が最初だ。」ということで意気投合し、それ以降も語学学校やエージェントの経営について語り合う機会も多く、この業界やビジネスを学んでいく過程においていつも助けてくれました。彼にとって、クオリティはビジネスの本質であり、それについて最初に質問をしたこの日本人は信頼すべきと判断したのでしょう。

それ以降、クイーンズランド大学やメルボルン大学などの名門大学との契約交渉もこの正直作戦で乗り切り、現在は23の大学と契約を結んでいます。オーストラリアの教育ビジネスは、変な小細工や根回しも必要なく、素直に自分を表現しながら交渉していけるので、僕にとってはとても楽しくやりがいのあるフィールドです。

アーティストかプロデューサーか

これからの時代、仕事と言うものは、アーティストになるかプロデューサーになるかの選択しかなくなると思います。乱暴な議論に聞こえるかもしれませんが、それ以外の仕事はAIやロボットがやってくれる時代になるのです。


ただ、僕が考えてるアーティストとは、別にミュージシャンとかデザイナーだけを指すのではなく、どんな仕事でもその人なりの付加価値や仕事のやり方を披露できる人たちを大きな意味でのアーティストと定義したいと思います。企業の経営課題を数字から分析できる会計士だってアーティストだし、そのカフェで一番ファンがつくバリスタもアーティストだし、絶対にコンペで負けないプレゼンができるセールスパーソンもアーティストなのです。つまり、どんな仕事においてもアーティストを目指さないと、仕事も楽しくないし、チャンスも増えないのだと思います。

そんなアーティストが、経験を積み、責任範囲が広がっていく過程で、アーティストのままでいるか、プロデューサーになるかどうかの選択がやってきます。プロデューサーはアーティストたちが活き活きと働ける環境を作れる人です。そしてプロデューサーにとって一番大切な資質はアーティストをリスペクトしているかどうか。そんな人がリーダーとして方向性を決め、そこに向かってアーティストたちを導いていけば、どんな事業や会社も強くて美しくなっていくのだと思います。

勇気のいらない意思決定はいらない

ここ2年ほど、ほぼ毎月オーストラリアのどこかの街でキャリアセミナーをして、若者たちと話をしているおかげで、最近、毎週のようにキャリアについての相談を受けています。本当にありがたいことです。


ただ、相談と言っても、僕が就職の世話ができるほど人脈があるわけでもないし、今の就職に何を用意すればいいのかさえわからないので、ほとんどの場合、何か雑談をしている感じです。その若者の、得意なことや好きなことを聞いたり、僕が感じるその人のユニークさなどについて話しているうちに、不思議とみんな何かしらの答えを見つけ出しているようです。

ですから、僕に必要なことは、ちゃんと聞く力と、ちゃんと質問をする力で、アドバイスをすることではないのかもしれません。

ただ、一つだけ伝えるべきことがあるとしたら、どんな意思決定をする場合でも、何かしらの不安とそれを振り払う勇気が必要だということです。リスクを冒すことがいけないことだと育てられてきた人たちにとっては、とかく安心そうな道を選ぶことを望みます。しかし、勇気がいらない意思決定は、誰にでもできる平凡なレベルの話なので、自分らしい生き方を本当に求めている人にとって、それは将来大きな後悔をもたらすかもしれないというリスクをはらんでいることを忘れないでください。

人身事故な日常

約10日間の東京出張を終えて、オーストラリアに戻りました。

東京に出張すると必ず遭遇するのは地震と人身事故による電車の遅延です。


先日も夕ご飯を食べて中央線に乗っていたら、遅れてました。電車が止まって人身事故だというアナウンスがあっても多くの人はとても冷静で、自分が待ち合わせに遅れることをメールで伝え、我慢強く待っています。大学生か高校生くらいのグループは、「ありえない、遅れちゃうよ!」とか最初は文句を言ってましたが、そのあとはいつもの他愛のない話を楽しんでいました。

最近は人身事故があっても動き出すまでに15分とか20分くらいしか時間がかからないので、東京に住む人にとっては、起きることが可能性として組み込まれた日常の出来事なのです。ポイント故障も、誰かが線路にものを落としちゃうのも、人身事故も、先を急ぐ乗客にとっては電車が遅れる理由の一つであって、大差はないのだと思います。人がたぶん一人亡くなっているという想像力は意識的なのか無意識なのかわかりませんが封印してしまうのです。

そうやって、僕たちの命に対する感性はどんどん麻痺していきます。弱い人がいなくなっていくのはしようがない現実だという、強者が作った社会の雰囲気に流されないためにも、人身事故のアナウンスを聞いたら、そこで一人の命が終わったんだということを想像すべきなんだと思います。

英語は日本語の実力次第

滞在期間1年程度の留学生の場合、日本語よりも英語のほうが上手くなったり、英語で語ることのほうが自分らしくなったりすることはないと思います。(長期で海外に住むことで、それが逆転していく人もいらっしゃると思いますが、今回は一般的な留学生の話です。)


ということは、英語力を高めるためには2つのことを考えると分かりやすいです。

ひとつは、日本語とできるだけ同じことを英語で表現できるようにすること。このためには、ひたすら日本語で考えたことを英語でつぶやいたり、書いたりすることです。多くの留学生たちがSNSで日本語と英語の両方で表現していますが、これはすごく良いトレーニングだと思います。これを1年間続けていくと、だんだん日本語と英語の境界がなくなってくることを実感できると思います。また、このようなトレーニングを積んでいくと、自然と英語脳を使って日本語を組み立てる能力(英語に訳すことを前提とした日本語での文章を作るクセ)ができていくので、日本語の文章が論理的になったり、分かりやすくなる副次的な効果もあると思います。

もう一つは、日本語でも英語でもコミュニケーション力それ自体を高めるということ。オーストラリアで会う留学生の多くが、日本語においても大人との会話に慣れていない感じがします。自分の考えていることを、自分の言葉で分かりやすく、かつ魅力的に相手に伝えるという練習をする機会は日本ではなかなかないのかもしれません。ですから、留学する前に英単語を覚えることも大切ですが、日本語でのプレゼン力を高めたり、論理的に話すことも意識してみてください。皆さんの英語でのコミュニケーション力は日本語でのコミュニケーションでの実力次第だということを忘れないように。

こんなワーホリは雇いたい

ワーキングホリデーでオーストラリアにやってくる若者たちの90%(95%?)のマインドセットは、仕事といえば日本食レストランの皿洗いか、クリーニングか、ファームからスタートして、最後にはローカルのレストランで働ければいい、みたいなものです。ツアーガイドとかも含めて、ほぼサービス業での仕事を選択肢として考えているようです。


ワーホリの人たちが日本に帰って、仕事探しに苦労する原因の一つは、このほぼ全員が似たような経験をしてきているということだと思います。海外客をターゲットとした日本食レストランに就職するなら、その経験は活きるかも知れませんが、それ以外の業種であると、他のワーホリの人と同じ経験を売りにしていたら、なかなか魅力的にはうつりません。

僕の会社では、時々ワーホリの若者を各支店のアシスタントとして雇っていますが、条件は3つです。

1) クリエイティブかどうか

文章が書ける、写真が撮れる、ビデオの編集ができる、、、とにかくしっかりと考えたことや感じたことを発信できる才能やスキルや考え方を持っている人はポイントが高いです。

2) 英語ができる

英語学校で少なくとも中上級クラスにいました、というレベルでないとうちの会社での仕事はできません。

3) 人間的な魅力がある

いろいろな経験や苦労をしてきた方は、留学生のサポートをするときに多くの引き出しを持っています。僕みたいなおっさんの説教よりもずーっと強い信頼関係を留学生たちと作ってくれます。

これからの時代、どんな企業もクリエイティブな若者たちを求めています。そのスキルは、チャレンジして失敗して学んでの繰り返しで磨かれていくものです。facebook、Instagram、youtube、blog、、、、個人として発表できる場はすでに整っています。周りと同じワーホリ経験で終わるのか、オリジナルな経験を将来のために作っていくのか、人生の中で大きな1年にしてみてください。

プラン通りには絶対にいかない

留学の相談に来る若者の中で、すごく綿密に計画を立てようとする人がいます。徹底的に情報を集めないと安心できないタイプの人です。スーパーで野菜がいくらで売ってるかとか、ホームステイ先までは交通費がいくらで何分時間がかかるのか。。。こういう人って、ツアーガイドとかが天職になるのかもしれませんね。僕は今まで、旅行のツアーって使ったことがないので、自信を持ってはアドバイスできないけど。


ただ、自信を持って言えるのは、多くの情報を集めて、細かいプランは立てても時間の無駄だということです。

留学やワーキングホリデーが面白いのは、思わぬ出会いや出来事に心を揺らしながらも、自分らしく生きていく事だと思います。だから、3ヶ月で英語がペラペラになって、そのあと日本食レストランで4ヶ月働いたら、車を買ってファームに行って、その後は、、、などのプランを綿密に立てる事は、せっかくの思わぬ出来事に出会う機会を失うことにもつながりかねないのです。

プランを立てると、そのプランが達成されたかが、評価基準になり、それはすなわち予測可能な世界で生きるだけの話です。留学でも人生でも迷った時に、プランに頼るのではなく、直感に頼った方が僕はうまくいくと思ってます。だいたい、人生プラン通りですみたいな人と友達にはなりたくないですもんね。

美味しいカフェの見つけ方

オーストラリアは日本の人々が思っているより、カフェ文化が浸透しています。どの街に行っても素敵なカフェを探すことができ、そこで文章を書くのはとても充実した時間です。(実際この文章もパースのカフェで書いています。)

では、どうやって素敵なカフェを見つけたらいいのか。今日は僕がやっている方法をお教えします。しかし、これはあくまで僕のやり方なので、ぜひオーストラリアにいる人は違う方法があれば教えてくださいね。

僕はここ数ヶ月、豆乳(ソイミルク)を使ったソイラテあるいはソイフラットホワイトを頼むようにしています。それから気づいたのですが、ソイミルクというのは商品によってすごく味が違うので、どのソイミルクを使っているかはそのカフェの味に対するこだわりを測る上でとても参考になるのです。

オーストラリアで売られているソイミルクで圧倒的に美味しくて値段も高いのがボンソイという商品です。オーガニックストアやColesなどのスーパーマーケットでも買えるのですが、普通のソイミルクが1パック3ドルくらいなものがボンソイは5ドル程度します。つまり、ボンソイを使っているカフェは原価が高くても品質を上げることに気を使っている傾向があり、豆の焙煎や牛乳選びもしっかりとしているのではという仮説が成り立ち、今のところその仮説は当たっているような気がします。

ボンソイのサイトはこちら、そしてこのページでは、このボンソイを使っているカフェの検索が出来るので、カフェ選びに困った時は、このサイトを利用しています。そしてここで見つけたカフェはBeanhunterなどのカフェ検索アプリでも評価が高いカフェと一致するようです。

どんなビジネスでも、いい会社は大切なことにしっかりとこだわっていると思います。単に価格を比較するのではなく、そのこだわりのポイントを見極めることは、とても楽しい探検です。

経営って何が美しいかの問題

このビジネスを始めて間もない頃、ある留学会社の方とお話をした時に、「お客様は何もわからないのだから、学校選びをアドバイスしてあげてその対価をいただくのは当然のこと」というアドバイス?コメント?をいただいたことがあります。


それは暗に「お前の会社みたいに、何でも無料とか言って、大したサービスもしてないくせに、業界を荒らされると困るんだよね。」ということなんだろうなあと解釈して、「確かに、そうですね。」みたいな大人の対応をしたことを覚えています。何しろその頃は、本当につぶれそうだったので、それに対して反論をできるような立場でもありませんでした。

しかし、僕の会社は「日本の普通の若者たちができるだけ多く、安心して留学できるインフラを作る」というのが目標なので、学校や大学からの紹介料だけで会社を運営し、お客様には無駄なお金を一切払わせないという美学は譲れない部分で、その美しさは儲けやすいという合理性よりも上位概念だと思ったのです。

美しさを追求していても、会社はやっていけないよという方もいるかと思います。しかし、成功している会社はみんな美しさを徹底的に求めているのではないでしょうか?ここで言う美しさとは、会社の目標や夢に向かって、会社の要素がすべてデザインされていて、何の矛盾もない美しさです。例えば社員を大切にしますと言いながら、サービス残業が普通な会社とかは美しくないわけです。

おかげさまで、今は、どの学校や大学もうちの会社と働きたいと言っていただけるようになり、描いていた会社のイメージに近づいてきました。しかし、面白いのは、この会社やビジネスをデザインしていくことは、終わりがないことです。もっと美しくできないか、いつもチャレンジしていきたいと思います。