日々はちゃんと始まる

先日、アデレードから6時間くらいドライブしたところにある、ニューサウスウエールズ州のMungo National Parkで週末を過ごしました。ちょうど、さらに遠い田舎の場所でテニスの試合があったので、その帰りにゆっくりと週末を過ごすために寄ってみたのです。

そこには、かつて湖だった場所が干上がって出来た地形があり、その中には、数万年前にアボリジニの方々が住んでいた足跡などの化石?が残っていて、アボリジニの人々が数万年前からオーストラリアに住んでいたことが分かる貴重な遺跡として世界遺産としても認定されています。

とはいえ、あとは、広大な自然が横たわっているだけです。天気も良さそうだったので、早起きして、日の出を見に行ってきました。明るくなるにつれ、鳥たちが騒ぎ出し、夜に活動していたカンガルーたちが今日の昼寝の場所を探しに飛び跳ねていました。新しい1日の始まりに、「今日は調子が出ないなあ」とか「何して過ごそうかなあ」とか考えることもなく、やるべきことを粛々と、全ての自然が、世の中が、動き始めていました。


そんな光景を見ながら、「僕の1日が始まった」と、ちょっと嬉しくなりました。シンプルに日の出と共に動き出し、今日やるべきことをやって毎日が過ぎていくことで、人間や生物は世代を繋いできた、その流れに参加出来た感じです。ナショナルパークのインフォメーションセンターで観たビデオで、アボリジニの方が、ここで暮らしていた4万年前の先祖と現代の私たちには何の距離(distance)も無いと語っていたことが、少し分かった気がしました。

物語を魅力的にするための留学

ある人と友達になりたいと思ったり、この人を採用してみたいと感じる理由には、その人の人生の物語が魅力的かどうか、ということがあると思います。

そしてどんな魅力的な物語にも、何かにむかって努力していると障害や難しい問題や危機が訪れて、苦しい状況になるけど、それを克服して成長するという展開が必要です。生まれてから、私の人生は苦労したこともなく、平和で幸せな人生ですという人が魅力的かどうかは、微妙なところです。

僕たちの会社のWEBサイトには留学生たちの体験談を数多く掲載していますが、その物語は、人それぞれ、本当に面白いし、魅力的です。でも、自分ではその魅力に気づいていなかったり、うまく言語化できないでいたりします。僕たちが体験談をお願いしたり、インタビューなどをすることで、いかに自分の経験が特別なものなのかを気づくという事もあるようです。そして、僕たちの仕事の一番面白いというかやりがいを感じるのが、そのような物語を一緒に言語化(最近は映像化も)していくことなのです。

せっかく留学をしても、「世界中の友達に会えました。カフェでバイトができて儲かりました。楽しかったです。」みたいな物語でもなんでもない体験談にならないように、留学のプランを一緒に考えていければと思います。

国が行けと言うから留学?

留学の仕事をするようになって、15年くらいになりますが、今の時代は国や大学が留学を奨励するという不思議な時代です。10年以上前は、留学するための休学は許さないスタンスの大学が多かったのに、今ではどんどん留学しましょうという全く逆の雰囲気になっています。教育って国が責任を持ってその国の若者たちを育てるためにあると思うのですが、それを例え短期間であっても丸投げしちゃうというのは、責任あるスタンスではない気がします。しかし、それのおかげで留学業界は恩恵にあずかれるので、ロビー活動にも力が入るのだと思います。

お上の言うことを聞いて思考停止になりたくない、少し尖った若者たちのために留学ビジネスをしている僕にとっては、なんだかなあって感じなのです。海外で学ぶことの一番大きなメリットは、国や日本人と言う集団から少し距離を置いて、世界中からやって来た人々の中で、自分とは何かを考える機会を得ることだと思います。大学の授業の一環で仲間と一緒に海外に出かけても、それは修学旅行で京都に行くのと同じくらい印象に残らないでしょう。「この件、日本人の君はどう思う?」と尋ねられる環境がどのくらいあるのか、そして、その時に周りの海外からやってきた友人たちの共感を呼ぶような答えができるかどうか、そんな目的のために鍛錬を重ねる留学生活を楽しんでほしいと思います。

週末の散歩コース

アデレードも真冬は終わり、少しずつ春の気配を感じるようになってきました。この時期は散歩の季節です。最近、家の近くに素敵な散歩コースを見つけたので、紹介します。アデレードには数多くの散歩コースがあり、「walking track + 自分の住んでいる町」で検索すると、気に入った散歩道を探せると思います。

僕たちは、アデレード大学のワイン醸造学で有名なWaiteキャンパスの近くに住んでいるのですが、実はそのキャンパスが起点で2時間くらいの散歩コースがあります。このコースの途中にある、展望台から見るアデレード市内の眺めはとても良いと評判だったので、楽しみにしていました。

まずは、入り口はこんな感じ。ここは周回するルートなのですが、今回は最初に丘を登っていくルートを選びました。最初にきつい時間を過ごして、展望台でおにぎりを食べて、あとはのんびり丘を下って帰ってこようという計画です。


丘を登っていくときはこんな景色。谷のような地形で太陽の日が届かないので、ひんやりとした空気が気持ち良いです。それでも階段のような道を登っていくと暑くなってきました。途中では、コアラが寝ていました。起こそうかと思って声をかけたのですが、全く動じず熟睡してました。


そして、丘の上に到着して、展望コーナーで一休みです。ここからはアデレードの市内とその先に海も一望できます。そして、ベンチとテーブルがあるので、ここで軽いランチ(おにぎりとゆで卵)をとって、しばらくのんびりアデレードの街を眺めていました。オーストラリアの州都の中では、小さな街ですが、緑が多いことが分かると思います。美しい街ランキングで世界のトップの一つに常に入っているのもよく分かります。


そして、散歩も後半戦。あとはゆっくりと下っていくだけです。途中カンガルーものんびりしていました。このように週末は、天気が良ければ自然の中を歩いています。こんなところが、家のすぐ近くにあるのはとても幸運なことなので、この春の間に、別の散歩コースも開拓していきたいと思っています。

コアラの探し方

今年の正月に、家の近くの大学の敷地にコアラがいたよという話を書いたのですが、それ以来、僕たち夫婦の散歩はコアラ探しがテーマの一つになっています。僕たちが住んでいる同じ場所にコアラも住んでいると想像するだけで、なぜか幸せな感じがしてきます。最初の頃は、前にコアラを見つけた何本かの木を見上げて探していました。それはそれなりに成功はしていたのですが、ずーっと見上げているので首は痛くなってくるし、結構コアラくんたちは移動もするので、出会えない日も多かったです。

そこで、うちの奥さんが気づいた、野生動物の探し方の基本中の基本なことは、フンの落ちている木を探せ!ということです。オーストラリアで自然豊かなところに行けば、カンガルーのフンはいくらでも見つけることが出来ますが、カンガルーがその近くにいることはありません。しかし、コアラは動き回る動物ではないので、新しいフンを見つけたらその木のどこかにほぼ100%いる(寝ている)のです。

コアラのフンはこんな形で、ユーカリの葉っぱが細かくなって固まっているものです。ユーカリの葉しか食べないのだから、それ以外出てきませんよね。散歩している時に、このフンを見つけたら、通り過ぎないで、ぜひ、見上げてください。必ず、どこかにコアラを発見することが出来ますよ。最近は近くの街路樹のユーカリでも1匹発見できました。大都市といっても、自然と人間がそんな感じで共存しているのがアデレードの魅力のひとつだと思います。

最初が肝心

日本の大学を卒業した人たちで、大学の単位をひとつも落としたことの無い人ってあまりいないのではないでしょうか?僕も大学3年生までに落とした単位をカバーするために、大学4年生の時には毎日授業を受け、かつひとつも落とせない綱渡りな状況で大学を卒業しました。すでにそれから40年も経っているのに、時々単位が足りないという夢を見るので、いかにそれがトラウマになっているかが分かります。

しかし、トラウマだけでは済まないのがオーストラリアの大学です。当時の日本の大学の授業料は年額が決まっていて、いくつ授業をとってもとらなくても年額の授業料は同じというシステムでした。(今も考え方は似ていると思います。)

オーストラリアの大学の場合、授業料は科目ごとに支払うので、ある科目を落としたら、次の年にまた同じ金額を払って履修しなくてはいけません。そして1科目の料金は40万円から50万円くらいなので、難しそうなので辞めましたみたいに気楽にあきらめることが出来ないのです。(科目を変更しても問題ない期間も設定されています。)入学前は奨学金の申請とか、授業料が比較的安い大学を選ぶなどして、一生懸命学費を抑える努力したのに、その努力があっけなく無駄になってしまいます。

そして、その悲劇の多くは、最初の学期に起こります。オーストラリアの大学は英語力のスコアと高校の時の成績で査定され、合格を得るまでのプロセスもシンプルで早いので、合格通知を受け取ってから実際に留学するまでに余裕のある時間が過ぎていきます。ちょっと気が緩んで、あまり準備しないままに大学がスタートしてしまうと、取り残されてしまうのです。そんな若者たちを何人か見て来ているので、私たちのオリエンテーションでは、最初の学期はアルバイトがどうとか、住むところがどうとか心配しない環境を作って、ひたすら勉強しなさいとアドバイスしています。最初の学期を無事に乗り越えて、自分のペースで勉強する方法が分かったら、生活も楽しむ余裕が出てきます。高校の友人たちが日本の大学で楽しんでいる姿のインスタを横目で見ながら、最初の学期は歯を食いしばって頑張ってください。

編入か大学院か

最近は、日本の大学生からの編入についての問い合わせが増えています。今は日本の大学2年生あるいは3年生だけど、今まで取得した単位を使ってオーストラリアの大学に編入をして、オーストラリアの大学卒業資格を取得したいというものです。日本の大学の授業がつまらないことが問題なのか、新しい道が見えてきたのか、理由はよく分かりませんが、結構有名な私立大学の学生たちからの問い合わせが、月に5件くらいやってきます。

僕はそんな方々には、日本企業の新卒採用で有利なポジションを取りたいというのであれば、編入を目指すと言う戦略も正しい可能性はあるけど、もし、将来的に世界やオーストラリアを舞台に活躍したいのであれば、日本の大学をちゃんと卒業してから、オーストラリアの大学院に進学することを勧めています。

オーストラリアでは、就職にあたり、経験や知識が重要視されます。そのため、多くの学生たちは大学院に通って、自分の専門分野やその業界の知識を深め、インターンなどして、ネットワークを作りながら就職活動の準備をします。みんな明確な目標を持って動いています。ですから、学びたいことや進みたい道が明確なのであれば、編入のような中途半端なことではなく、オーストラリアの大学院でしっかりと学ぶべきなのです。

それは、すごく苦労やストレスも多い毎日でしょうが、きっと10年後20年後に世界を舞台に活躍するようになって、あの時の決断が人生を変えたと語れるようになるのだと思います。

今年度もありがとうございました

6月30日はオーストラリアの会計年度の最終日で、毎年、このタイトルでブログを書いています。

おかげさまで、今年度も、多くの素敵な若者たちと出会い、そしてビジネスも順調な業績を残すことが出来ました。私たちを信頼して、大学や学校の手続きを依頼していただいた方々に、本当に感謝です。皆さんの留学が成功して次のステージに向かえるように、しっかりとサポートをしていきたいと思います。

円安は今後も続きそうですが、そうなってくると日本人にとって留学はもう気軽に行けるものではなくなります。しかし、国内の経済は必ず縮小していくので、国内ではなく、海外を舞台に活躍したいと思う若者たちも増えています。そんな時代だからこそ、留学のプランについて、真剣に考えてくれる会社が必要なんだと思います。そして、そんな時代だからこそ、留学生たちは、海外というタフな世界でしっかりと学んで次のステージに行くのだという強い志を持つことが大切になってきます。周りの友達が留学に行ってるからとか、就職に有利そうだから、みたいな安易な理由ではなく、世界中から集まる同世代の若者たちと様々な問題について語り合うために、ぜひ留学しに来てください。

私たちの会社が大学や大学院留学のお手伝いをしている人数は約300人。来年度もきっと同じくらいの若者たちのサポートが出来ると考えています。私も一人でも多く、素敵な留学生たちとお茶を飲んだりランチを食べたりして、語り合いたいと思っています。明日からの来年度もよろしくお願いいたします。

秋のアデレード

クイーンズランド州のサンシャインコーストからアデレードに引っ越しをしてちょうど1年が経ちました。オーストラリア人にとっても憧れの温暖なサンシャインコーストの暮らしは、とても快適で楽しかったのですが、アデレードの生活も気に入っています。その一つの理由は、四季を楽しめるということです。

日本では、暑さ寒さも彼岸までという言葉がありますが、アデレードではイースターの祝日、あるいは夏時間が終わると暑さも終わり、少しずつ寒い日が増えていく季節の変わり目です。そして、この時期の気候が最高なんだと、アデレードで出来たオーストラリア人のテニス友達たちが教えてくれました。

街路樹の紅葉が始まり、郊外のワイナリーの葡萄畑では収穫が始まり、ファーマーズマーケットでは美味しい果物が並び、散歩をするのに快適な日々が続いています。オープンテラスのカフェで本を読んだり、仕事をしたりするのにもいい季節です。「食欲の秋」とか「読書の秋」とか「芸術の秋」みたいな言葉が、アデレードの秋にも当てはまります。そんなことが、日本人の僕にとって心地よいのだと思います。

アデレードに留学を考えている人は、4月を楽しむことをプランに入れておいてくださいね。

アデレードの海

日本に住んでいる人たちにとって、アデレードという街がどんなところか、あまりイメージは出来ないでしょうし、ビーチがあるのかもよく分からないかと思います。もしかしたらオーストラリア人の中でも良くわかっていない人がたくさんいると思われるくらい、アデレードって州都の中でも地味な存在なのです。しかし、市内から30分〜40分ドライブをすると、写真にもあるようなこんな綺麗で穏やかな海を楽しむことができます。


地図を見るとアデレードは大きな湾の中にあることが分かります。そのおかげで、サーフィンが出来るような高い波はやって来ません。ですからサーフィンを目的としたワーホリの人には残念ですが、暑い夏に海辺でピチャピチャするくらいで満足できる人には最高の環境です。海の向こうは南極なので、水温も少し低めで気持ち良いです。

オーストラリアで暮らすことのメリットのひとつは、ちょっと海を見に行ける環境の街が多いということです。大都市のほとんどは海に面しています。スマホを見ることもなく、未来のことを夢見たり、何も考えずに海を眺めてリフレッシュするのは、オーストラリアに留学したときにはやってほしいことの一つです。そして、アデレードに来て驚いたのは、海に沈む夕陽も見ることができるのです。夕陽は西海岸=パースということで、パースを訪れたら夕方は時々ビーチに行っていたのですが、アデレードでも夕陽を眺めることが出来ると分かって、ますますアデレードの生活が楽しくなりました。