失敗ができる年代

若い人たちの間で、コーチングというポジションというかビジネスが確立してきています。このような世界は、僕の世代には無かったので、とても面白い現象だと思います。それだけ、自分らしい生き方というものが大切になってきているということです。そして、もう一つ感じるのは、多くの人たちが失敗をしたくないと考えていることです。留学の問い合わせも、充実した時間を過ごすための質問ではなく、失敗しないためにはどうしたら良いのかを聞いてくる人が増えてきています。


確かに一度転落してしまうと、なかなかそこから這い上がっていくのは難しい世の中だと思います。でも、若い時代に経験しておくべき失敗というのも多いのではないでしょうか?人間関係もそうだし、仕事でも責任がそんなに問われない世代のうちに何かにチャレンジすることは大切だし、若い時代しかそんな失敗は許されないのだと思います。

ですから、もちろん、コーチングなどを受けて、失敗する確率を下げることは悪くないとは思いますが、それよりも数多くの小さな失敗をして、そこからうまくやっていくノウハウを身につける方が、一生ものの学びになるのだと思います。留学は、質の良い失敗をするためのとても良い機会だと思います。日本の友だちは周りにはいないし、海外の友だちは人のことなんて気にしていないように見えるし、そんな環境でたくさんの失敗をして、学んで、成長していってください。

空白の40年

クリスマスの時期がやって来ると、オーストラリアはイギリス連邦の影響もあるので、イギリスっぽいクリスマス音楽が、僕がよく聞いている年寄り向けのFMから流れてきます。(つまり、ビングクロスビーのホワイトクリスマスはそんなに流れません。真夏で暑いし。。)ワムの「ラスト・クリスマス」と並んでよく流れてくるのが、チャリティーソングだった「Do They Know it’s Christmas?」です。今の日本の若い人たちはほとんど知らないでしょうが、当時のイギリスのアーティストたちがアフリカの飢饉に寄付をするために、集まってクリスマスにちなんだ歌をリリースして、世界的なヒットを記録したのです。

この歌が発表されたのが1984年だそうで、僕は大学4年生。社会に出る前の純粋な若者でした。この時代は、今よりももちろん貧しかったし、世界もそれなりに混乱はしていましたが、こんなプロジェクトが生まれるように皆んなで世界を良くしていきたいという雰囲気があったと思います。

しかし、それから41年が経ち、本来ならもっと世界は平和で住みやすくなっているはずだったのに、もしかしたら1984年よりも生きづらい世の中になってしまった感があります。多くのリーダーたちが、自分だけが良ければ、自分の組織だけが良ければ、自分の国だけが良ければ、他の人々のことは全く気にしない態度をあからさまにとり、長期的な平和の道はかなり険しい感じです。

こんな時代を変えたいと思ったら、まずは違う国の人たちと話をすることを始めてみてください。それは、日本にいても出来ることだし、オーストラリアに来たらもっと多くのチャンスがあるでしょう。テレビやネットの誰かの思惑がたっぷり詰まった情報で何かを判断するのではなく、多くの人たちが、ひたすら会話をしてリアルな体験を積み重ねていくことで、空白の40年は少しずつ埋めていけるのではないかと思っています。

つわものどもが夢のあと

先週末は、アデレードから北に2時間くらいのドライブをして、 Clare Valley という地域に滞在してきました。この地域は、葡萄栽培とともにいくつもの小さなワイナリーがあり、またそれ以外のエリアは麦畑が広がっていて、南オーストラリア州の大切な穀倉地帯になっています。日帰りだと、少し忙しいのですが、2泊3日で滞在して休暇を楽しむにはとても良かったです。

私たちが、滞在したのはBurraという街のAirbnb。この街は、農業で栄えたというよりは、1850年頃に銅の採掘場として、世界的にも有名だったそうです。当時は7,000人もの人たちが住み、(現在は1200人)活気のある街として、繁栄をしていたようです。

オーストラリアは大きな大陸の割には人口は少なく開発がされていないので、資源国として、時代に応じて様々な鉱物を産出してきました。そして、バブルに沸いた多くの街がその繁栄の歴史を終えて、今はひっそりとしています。僕は、そんな街を訪ねるのがけっこう好きで、金や銅やオパールや石膏などの鉱山の跡地とその街を旅してきました。

一攫千金を夢見た人々が、様々な思いや欲望をさらけ出しながら、協力したり足を引っ張り合いながら暮らした時代を想像すると、そこには少しだけ人間のエゴのエネルギーの波というか、歪みみたいなものがあって、それが時代とともに落ち着いて、年寄りの皆さんが穏やかにカフェで和んでいるのを見ながら、人類の未来ってこんなふうになっていくのかなと思ったりしています。

Paper or Plastic?

我が家では、パンはできるだけスーパーマーケットでは買わずに、週末のマーケットで買っています。土曜日に買い物に行く場合は市内のセントラルマーケットの自然酵母のパン屋さんに行くのですが、そこでは必ず、「スライスしますか?」と聞かれ、その後に「Paper or Plastic?」と聞かれて、紙の袋に入れるかプラスチック(ビニール)の袋に入れるのか聞かれます。この時代に、あまりプラスチックと答える人は多くないようですが、スーパーマーケットではほとんどがプラスチック袋にパンは包装されているので、街のベーカリーでパンを買うことは、環境のためにも、小規模でも大切にパンを作っている人たちのためにも、意義のあることなんだと思います。


日本に帰った時、パン屋さんに行くとあんぱんもドーナッツもホットドックもそれぞれ薄いビニール袋に入れられて、かつそれを大きな袋に入れてくれたりします。そんなプラスチック過剰な世界に生きていると、それが普通になって疑問もわかないのかもしれませんが、オーストラリア暮らしの僕にとっては、とても違和感のある風景です。

日本の常識は、時々世界の常識と食い違っていますが、それに気づくためにも、人生のある一時期に世界に出て生活をするのは、視野を広げるためにもチャレンジしてみてください。ただ、その出かける先は、日本よりも生活の質(Quality of Life)が高いところを選んだ方が、学びも増えると思います。日本円がまだ威力を持っている国に行って、わずかな満足感に浸っていると、あまり成長せず、時代に取り残されてしまうのでお気をつけて。

ブルシット・ビジネス

しばらく前に、ブルシット・ジョブという言葉が流行りましたが、最近は、もう会社自体、ビジネス自体に成長の可能性を感じないものが増えている気がします。

例えば、弊社のサイトの問い合わせフォームにも、週に1回くらいは送られてくる売り込みは、「新規問い合わせの獲得に苦労していませんか?私たちにお任せください!」みたいなやつです。そのやり方では、どうみても新規顧客は獲得できそうもない手法で売り込みをするなんて、すごくシュールな感じです。うちのような小さな会社にも何社かから似たような売り込みがあるので、世の中にはそんな会社がいくつもあるのでしょう。うちのお客様たちが、そんな会社で働かなくて済むことを願っています。


でも、人口が減少し、市場自体が縮小している日本では、成長の可能性を見極められない会社が増えてしまうのもしようがないと思います。でも、市場に対する視点を変えて、良い商品や良いサービスを開発して、それを世界に売っていくことが出来れば、それは挑戦のしがいもあるし、世界に貢献することも可能です。グローバルビジネスというものが、ごく一部の人達のために機能して、多くの世の中の人々に幸せをもたらせなかった反省をもとに、ローカルビジネスの延長として、世界の人々にサービスを届けていくという発想が必要になってくるのだと思います。

まずはオーストラリアから

7月中旬から1ヶ月以上オランダに滞在をしていました。コロナの時期にオーストラリアを一周した時のように同じ場所に1週間くらい滞在をしていたので、旅行というよりは生活をしてきたという感じです。僕たちは、そんな旅のスタイルがとても気に入っています。オランダは、環境にも優しく、緑あふれる公園も多く、多くの人たちが自転車で移動していて、しばらく住んでみたいと思いました。でも、物価はかなり高かったです。(オーストラリアや日本の倍くらいの印象です。)


サインやレストランのメニューはオランダ語で書かれたものが多かったのですが、人々はほぼ完璧に英語を話すので、何か質問すればすぐ答えてくれて、英語が出来れば全く不便は感じませんでした。オランダにワーホリに行く若者たちもいるらしいのですが、残念ながらそれらしき人たちに会うことはなく、日本人を見かけたのは観光地のみでした。

確かに英語に自信がない状況で、いきなりオランダのような英語圏ではない国で生活をしていくのは、コミュニティーに入っていくハードルも高く、存在感を得ていくのは難しいと思います。でも、英語をしっかりと話すことが出来れば、英語圏だけではなく、思った以上に多くの国で暮らすことが可能なのだと実感しました。その第一歩として、英語圏で、人々が親日的で、物価もそこまでは高くなく、仕事が見つけやすいオーストラリアで語学力を磨くことは、悪くない選択なのだと思います。

世界は本当に広く、多くの人たちがそれぞれの想いを持って生きています。今回は、オランダに住む人たちとのさまざまな会話が思い出として残っています。大学生の皆さんは、就職に有利だからみたいな打算的な理由ではなく、見聞を広め、人生を豊かにするために、大学の団体研修とかではなく、一人で海外に出かけ、外国の人たちと話をしてみてください。

今年度もありがとうございました

また、6月30日がやって来ました。オーストラリアは今日が年度末で、各企業は今日付けの決算を準備していきます。小さくても大きくても上場していてもいなくても、基本的に今日が決算日というのは、決算日をある程度自由に決められる日本とは違います。ですから、この1ヶ月くらいは年度末セールで小売業界は忙しかったし、留学業界も新年度からビザ申請料が値上げするので、駆け込みのビザ申請をする方々も多く、慌ただしい6月でした。

そして、私たちの会社は今年度も十分な利益を出すことができ、安心して年を越せるというのは本当にありがたいことだと思います。ただ、世界はアメリカなどの大国を中心に混乱の度合いが深まり、留学をしたいという若者たちにとっては、どう計画を立てていけば良いのか難しい時代です。オーストラリアは地政学的に、世界の中心から離れた存在なので、治安を考えたら、安心してストレスなく学ぶ場所としては最適だと思います。アメリカに留学する計画を変更して、オーストラリアを考えているという問い合わせも増えています。しかし、そうやって人気が高くなってくると、怪しげな人々たちも集まってきて、オーストラリアの大学と契約も結んでいないのに、公認エージェントのような記事をアップしています。そうすると、まだ頭があまり良くないAIが勘違いをしてしまうのです。

騙されるのは騙される方が悪いという風潮が世界中に蔓延している中で、僕たちは、どう正しく仕事をしていくのか、とても悩みます。しかし、明日からの新年度は、いい加減にビジネスをしている人たちと戦っていこうと思います。それが、僕たちと契約を結んでくれている全豪29大学の皆さんの信頼に応えることであり、正しいことが大切だということを若者たちに見せていく良いチャンスだと思うからです。

農業を学ぶこと

僕の家の近くには、アデレード大学のワイン醸造や農業、土壌の研究をするキャンパスがあって、週に一回くらいは、そのキャンパスにあるカフェに行くのですが、昨年と比較して雰囲気が変わったのは、より留学生たちが増えた印象だということです。特にアジアやアフリカからの留学生たちと思われるメンバーが、ランチをしながら議論しています。彼らは、農業というものが、人々の生活を安定させるためにとても重要なものだと考え、オーガニック大国と呼ばれるオーストラリアで農業を学んでいるのでしょう。


冷戦が終わった90年代、世の中が平和に向かっているとみんなが思っていた時に、当時の日本の偉い人たちは、無理して食糧を自給することより、安い食糧を仲良しの国から買った方が消費者のためになると考えて、どんどん輸入しました。もちろん、アメリカからのプレッシャーも大きかったと思いますが、当時の人々は、それでも安く食糧を手に入れられるなら、それが合理的な考え方だと思っていたと思います。僕自身も特に疑問を感じていませんでした。


しかし、また世界の情勢が不透明になった現在、食糧の自給については考えを新たにしなくてはいけないと考えている若者たちも多いのかもしれません。衣食住が足りて、これからは自己実現だ!とか言っていた時代が幻のように、世界は分断され格差が広がっています。そんな時代だから、世界の若者たちは農業に目を向けているのではないかと思います。

世界の貧困問題を解決したいので、国際関係を学びたいという若者たちからの問い合わせが増えていますが、もしかしたら、農業などを学んだ方が、より問題解決に直結した仕事ができるかもしれませんね。

マーケティングではないのでは?

留学をしてビジネス関連で何を学ぶかを考えるときに、マーケティングというのは常に人気がある専攻分野です。たぶん成熟社会と言われ出した80年代くらいから、モノやサービスをどのようにアピールしていくかが、モノを生み出すより大切なことになってきて、それがいまだに続いているのだと思います。若い人たちにとって、マーケティングや広告などの仕事は、ビジネスの世界の中でも華やかに見えるので、やってみたい、学んでみたいと思うのでしょう。

しかし、SNSの時代になり、情報の多くが嘘であったり、人の気を引くために作られて、バズることが出来れば品格も誠実さも関係ない世界になってしまった現在、マーケティングを学問として学ぶ必要があるのか悩んでしまいます。ビジネススクールの学生たちがほぼ読んでいたコトラーさんのマーケティング・マネジメントを読んで仕事に活かしていますみたいな人は、今では本当に一握りでしょう。

こんな時代に僕がお勧めするのは、リーダーシップについてちゃんと学ぶことです。リーダーシップ、つまり人やチームを導いていく仕事はなかなかAIでは代替されないスキルです。さまざまな背景を持ち、さまざまな志や想いを持って働く人たちをまとめながら、解決すべき課題を見つけ、正しい目標を設定して、その目標達成に向けてチームを動かしていくというのは、とても難しい仕事ですが成功する組織には必ず必要なものです。

例え、自分がリーダーのポジションにならなくても、何が正しいリーダーシップなのかを多くの人が理解していくことが、人のことなど気にも留めない暴君に翻弄されない平和な世界を作っていくのに大切なことなんだと思います。

オフグリッドで暮らしたい人々

先週末に、ビクトリア州のChilternという田舎町で行われた、オフグリッド・リビング・フェスティバルというイベントに参加してきました。僕たち夫婦は、引退したらどこかの田舎に水や電気を自給できる小さな家を建てて住もうと考えていて、その情報収集も兼ねて、はるばるアデレードから片道1000キロ近い道のりを2日かけてドライブしてきたのでした。



びっくりしたのが、そんなマイナーなトピックに、こんなに多くの人が興味を持ってわざわざ田舎町に(メルボルンからだと3時間くらいのドライブ)やってくるんだということです。でも、考えてみると、自然災害が増えたり、社会的な不安定さが増してくれば、多くの人々が、既存のインフラに頼らず生きることの価値を見直すということは自然なことなんだと思います。

出展している人たちは、エネルギー系(ソーラーパネルや大きなバッテリー、雨水タンクと浄水フィルターなど)、建築系(環境にやさしい家づくりのアイデアや断熱材などの商品)、農業系(パーマカルチャーなどの家である程度の自給自足を目指す工夫)、癒し系(エッセンシャルオイルとかヒーリングとか環境に優しく着心地の良い服とか)などのジャンルから、さまざまな会社というか個人の方達も参加していました。あと、このような大きなイベントなので、美味しいフードトラックもいくつもやってきていました。





そして、さまざまなジャンルごとにトークイベントのテントがあって、興味のあったトピックの話を聞くことができました。





印象に残ったのは、まずは、土に埋めたら完璧に土に帰る(コンポスタブル)なヘンプの生地で作られたTシャツを作っている女性。彼女はメルボルンのRMITという大学のファッション学科を卒業したのち、ファンション業界で働いていたけど、環境に良いビジネスをやりたいということで、「土に還る」ことをキーワードにビジネスを立ち上げたということです。海に流れていくマイクロプラスティックの多くは洗濯によって生み出されるということなので、僕たち夫婦も、この考え方に賛同して、シャツを買って帰りました。

もう一人印象に残ったのは、ほぼ貧困レベルに近いシングルマザーの方が、小さな家を建てたというスピーチ。貧しい人にも融資をしてくれる銀行を探し、本当に小さな家を建てることができたということで、「家さえあれば、ホームレスになることはない」という彼女の言葉が印象的でした。2人の子どもたちも学校には行かず、ホームスクールで学んでいるのですが、普通の子どもよりずっとしっかりとしてタフに見えました。きっと、自分でやらなくてはいけないことも多いのでしょう。なんでも親がやってくれることを期待している子たちとは圧倒的に違うオーラを発していました。こんな家族、日本だったら冷たい目で見られてしまいがちですが、とても自信を持ちながら、スピーチをされていたのが、その人たちの強さと共に、受け入れるコミュニティー側の柔軟さも、とても心地よく見えました。



家という、ライフスタイルの大きな部分を占めるプロジェクトを、自分なりにデザインしたいという人々たちが、情報を共有し、少しでも良いものを、少しでも安い価格で建てて、維持をするにはどうしたら良いのか?こんなイベントが日本でも人気が出ていくことを楽しみにしています。