人と違う道を選ぶ

オーストラリアの多くの街にある公立の専門学校であるTAFE(Technical And Further Education)では、地元のオーストラリア人向けのプログラムだけでは無く、留学生用のコースも数多く用意されています。その中でいつも人気なのが、Commercial Cookery という調理師になるためのコースです。
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先日、この調理師のコースを学んでいる留学生が企画したランチに、サンシャインコーストのTAFEに招待されて行ってきました。メニューもレシピも調理もそしてお客様サービスもすべて学生たちが行い、先生は横で見ているという、実践的なトレーニングで、学生たちの動きは若干ぎこちなく、それも楽しめたランチでした。味は一流レストランにひけをとらないくらい良かったです。 IMG_0331 オーストラリアの調理師の資格は、永住権を取得できる職業リストに出たり入ったりしていて、永住権を申請できるときは留学生が殺到し、外れると留学生がいなくなるという歴史があります。2015年現在はリストに入っていますが、またいつ外れるかわからないので、エージェント泣かせの科目の一つです。ただ数年前、ちょうどそのリストから外れているときにTAFEの方と話したことが印象的だったので共有しておきます。

たとえ永住権にはつながらなくても、純粋に料理を学びたくて Commercial Cookeryのコースを学んでいた留学生たちがいました。その人たちは留学生が多かった時代の学生よりも真面目で、優秀なシェフを探しているレストランはその当時もいくつもあり、留学生の数は随分と減って競争も少なかったので、多くの留学生たちがビジネススポンサーをもらってオーストラリアのレストランに働くことができたそうです。皮肉な話ではありますが、成功する人は他の大勢と同じようには動かないという黄金のルールがそこでも証明されていました。

周りの人が海外に行くからではなく、自分らしく、自分が納得する道を歩くために、オーストラリア留学という選択をしてきた若者たちをこれからもサポートしていきたいと思います。

 

休学留学での英語力の目標

大学を1年間休学して留学をする時に、オーストラリアの大学の聴講とかインターンシップなどの英語以外に興味を持つ学生が多いのですが、英語力を徹底的にあげるという選択肢も考えるべきだと思っています。なぜなら、英語が本当にできるようになると、読む本の量、会える人の質、話すことの深さなどが圧倒的に変わっていくからです。

就活に語れるちょっとしたエピソードよりも、長い目で見たら人生にとってはずっと重要なことだと思います。

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では具体的にどのくらいのレベルの英語力を目標にすべきかということですが、日本での就職にはよくTOEIC750点などと言われますが、それではたぶん今後は海外要員どころか、海外出張も一人では行かせてくれないレベルです。誰が言い出したレベルかは分かりませんが、TOEIC750点はあまり現実的ではない甘いスタンダードです。

韓国ではTOEICは900点以上なければ、英語が出来るとは言えないそうですし、ヨーロッパではケンブリッジ英検のCAE合格が就職のための資格として一般的です。世界標準の目標というと、そのレベルなのです。では、休学留学でそのレベルには到達可能なのかという問題ですが、高校までの英語をしっかりと勉強してきた学生であれば大丈夫だと思います。もちろん、かなりの努力が必要になりますが、その努力は必ず報われると思います。

特にケンブリッジ英検のCAEは先ほど書いたようにヨーロッパでは就活にも必要ですし、オーストラリアの大学や大学院への出願にも使える一生ものの資格になります。ですから、大学在学中にCAEを取得しておくことは、卒業後数年内に海外の大学院に行きたくなったときの準備としてとても有効だし、世界中で働ける可能性を広げてくれることを覚えておきましょう。

コーチを雇おう

ほとんどのプロスポーツの選手にはコーチがついています。強くなるためには、選手では気づかない弱点の矯正や、戦略をアドバイスしてくれるコーチが絶対に必要です。プロの選手がコーチを雇うのに、アマチュアの下手くそな選手がなぜコーチを雇わないのか、という記事を読んで感化された僕は、ここ2ヶ月ほど、2週間に1回くらい同じコーチにテニスのプライベートレッスンを受けています。
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コーチングを受けるようになってから、僕のテニスは大きく変わりました。技術よりも試合に対する考え方が大きく変わったのです。僕は現在オーストラリアの50歳から55歳のシニアの部で100人中40位くらいのランキングです。来年には20以内に入るのが目標ですが、そこには大きな壁があり、20位以内の選手たちは別世界にいるくらい強いのです。

そんな目標について話をしたところ、僕のコーチから「ミスをしたくないというマインドセットを根本から変えて、戦うんだというマインドセットに変えることが最初のステップだ」とアドバイスされました。今までミスを極力減らすことを考えていた僕の考え方は完璧に否定され、かつそれが自分自身でも納得できたので、それからのテニスは全く新しいチャレンジで、最近は競ることも多いけど勝率は上がっています。コーチのおかげで、テニスがまた楽しくなりました。

さて、ここで留学の話に無理やりもっていきましょう。オーストラリアでは、多くの若者たちが自分なりに試行錯誤しながら、留学生活を送っています。試行錯誤している留学生同士が情報交換をするので、みんな似た考え方になっていきます。せっかく、日本という枠を超えてきたのに、ミスをしたくないマインドセットの中で、悩んでいます。(悩むのが面倒くさくて、流れに身をまかせている人もけっこういますが。)その状況は、なかなか自分では突破できないのではないかと思います。

ということで、どれだけ貢献できるかまだわかりませんが、2016年の新しいテーマとして、コーチングを始めようと思います。留学をより素晴らしいものにするために、自分らしい生き方のきっかけとするために、ちょっとだけマインドセットの変え方をアドバイスしていこうと思います。今のところ無料(たぶん、ずーっと)なので、鬼コーチ?に興味のある方はご連絡ください。

 

薬いらずのおじいちゃん

先日、休みをもらって、サンシャインコーストの内陸にある、グラスハウスマウンテンズという地域に行って来ました。そこにはいくつもの火山でできた小さな山が並んでいて、その多くがロッククライミングの技術が必要な岩山たちです。多くの若者たちが、腕試しにやってきています。

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僕たちはさすがにそのような過激な登山はできないので、 Mt Ngungunと言う、一番歩きやすいと言われる山に登ってきました。水筒一つ持って散歩のように歩いている人や、毎日のトレーニングの一環で歩いている人(走っている人も!)にも出会いました。 たった標高250メートルとは言っても、頂上からの眺めはこんな感じでとても気持ちが良かったです。

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その頂上付近で、妙にくつろいで、登ってきた人たちを見つけては話しかけているおじいさんの2人組に出会いました。一人はオージーで、「俺の先祖はイギリス人の囚人でこの国に連れてこられちゃったんだな、ワッハッハ」みたいな憎めないおじいさん。もう一人は、ドイツ人の移民で13年前にこの地域にやってきたとのこと。

そのドイツ人のおじいさんが、「ここに来てから、医者に行く必要がなくなった、ここには3つの薬があるんだよ、なんだと思う?」「この青い空、きれいな空気、そして海の水だよ」と話してくれたので、僕が「それにドイツよりもずーっと暖かいですもんね」と答えたらニコニコしていました。
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そこで僕が思ったことは、「それよりも、毎日この山に登ってきて、若い女の子とかに声かけて、展望ガイドしてあげて、感謝されるのは、ストレスも無くなるし、きっとそれが医者がいらない一番の秘訣ですよ。」ということ。東京の街角で女の子に声をかけるじじいは怪しまれるけど、山頂で声をかけてくれるおじいちゃんは感謝されるという、これからの人生の素敵な秘訣を学んだ休日でした。

風下には座らない

日本にあまり帰りたくない理由のひとつは、いまだに喫煙ができるレストランが多いことです。どんなに美味しい食事でも近くで(同じ部屋で)タバコを吸っている人がいると、台無しですよね。

オーストラリアではレストランやカフェでは絶対に禁煙なので安心ですが、海辺のベンチなどでは時々タバコを吸う人に遭遇します。先日も、とても落ち着いた公園のベンチで本を読んでいたら、タバコの臭いが、、、。見ると隣のベンチでタバコを吸っている夫婦がくつろいでいました。残念ながら僕が風下なので逃げようがありません。こういう時はあきらめて即退散です。何も考えずに風下のベンチを選んでしまった僕のミスです。

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荷物を片付けながら、「どんな時でも風下に座らないように気をつけることは、人生でも大切だよなあ」とふと思いました。人生の歯車がずれていくきっかけは、自分でコントロールできない何かの影響であることが多いと思います。自分でコントロールできる範囲を広げていくことはストレスを少なくすることにもいいし、成功への近道でもあると僕は思っています。

しかし、世の中には、自分の責任範囲をむやみに広げることはリスクだし、責任は取りたく無いから、言われたことを粛々とこなしていくのがいいという方もいらっしゃいます。風下に座っても、そこに快適な小屋を作ってしまえば影響は少ないよという考え方です。僕にはどちらが正解かは分かりません。たぶん正解は無い問いなのだと思います。ただ、僕は、たとえ責任は重くても、できるだけ外にいて、爽やかな風が流れるのを感じながら、遠くを眺めていたいなあと思うのです。

 

Think Globally Act Individually

最近の日本の状況を見ていると、様々なグループが様々な思惑の中で相手を批判しあっています。そして、たぶん個人としてはとても良識ある方々でも、グループや団体で動き出すと、暴力的になったり、冷静さを失ったりします。なぜ、そんなことが起きるのか?たぶん、それぞれの方にとって、利害関係を共にするグループや組織に属していることが一番安全で、かつ居心地が良かったり、自分らしさを発揮できると感じるからなのだと思います。守られていると、人はちょっと傲慢になるのかもしれません。

日本の教育は属している組織や団体の中でいかに成功していくかを学ぶことを重要視しています。ですから、組織がどちらに向かっているかを敏感に察知して自分の行動を変えていける能力は日本人の強みのひとつです。しかし、一人になったときにどちらに向かって漕いでいったら良いのかは、誰も教えてくれません。

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海外に出て、一番学べることは自分で進む方向を見出していく力だと思います。留学中に一人で苦労したときには冷静に辺りを見渡してみましょう。他の国から来ている留学生の中にお手本となるような自立している若者たちを見いだすことができるかもしれません。最後は必ず僕たちが助けてあげるので、少しだけ自分で漕ぎ出してみましょう。そのためにも、留学は一人で来ましょう。

中学生、高校生ならまだしも、大学生になっても大学が主催する語学研修にやって来ている学生たちを見るたびに、人生の大切な機会を無駄にしているなあと、悲しくなりながら眺めています。

 

現地アルバイトを将来に活かすために

オーストラリアが留学先として人気がある理由の一つは、ワーキングホリデーだけでなく、学生ビザの留学生もアルバイトが許されているということです。ですから、大学に通いながら、あるいは語学学校に通いながらアルバイトをしている留学生がほとんどです。そして、その多くが日本レストランなどの日本に関係するような場所でのアルバイトになり、若干退屈だったり、お金のためと割り切ってバイトをしている留学生たちをみかけます。

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しかし、海外で働くというせっかくの機会ですから、学べることは徹底的に学んでみましょう。

1)ビジネスモデルを理解してみる。

多くの留学生は日本食レストランやカフェでアルバイトをすることになると思います。そしてその人たちにとって、飲食業で働くという機会は人生に何度もあることではありません。それなら、いったいどうやってこのビジネスは儲かっているのか?いくらくらい儲かっているのか?お客様の売り上げ単価はいくらくらいか?コストはどのくらいかかっているのか?など飲食業のビジネスの成り立ちをしっかりと理解してみましょう。ビジネスの勉強をすることは、将来必ず役に立ちます。

2)自分なりの改善点を考えてみる

ビジネスを理解していく過程で、私だったらこうするのに、僕だったらここを直すのにというアイデアが必ず生まれてきます。そのアイデアを実現する方法をまとめてみましょう。その時に、お客様の視点、経営者の視点、社員の視点で考えてみるとそのアイデアが単なる思いつきから戦略レベルに昇華していきます。

3)提案してみる

せっかくまとめた改善点ですから、店のオーナーやマネージャーに提案してみましょう。英語で提案をするなんて、なかなか出来ない経験です。人によっては全く受け付けなかったり、怒ったりする人もいるかもしれませんが、それも異文化経験としては面白いはずです。そんなことで居心地が悪くなるなら、そんなバイト先は辞めちゃえばいいので、次の学べる職場を探してみましょう。

日本人の若者たちは、言われたことはしっかりとやってくれるのでどんな職場でも重宝されます。しかし、言われたことだけどやる癖をつけてしまうと成長の機会を逸してしまいます。海外で、守るものは特に無いでしょうから、上記の3点をぜひトライしてみてください。

 

 

何をしたかではなく何を考えたか

2ヶ月か3ヶ月に一度くらい、各都市の支店に行って語学学校の教室をお借りして、留学生たちに対してセミナーをさせていただいています。

その時によく話をするのが、「留学は何をしたかではなく、何を考えたかが問われますよ」と言うことです。多くの留学生たちが、とにかく充実した留学生活を送るために、カレンダーに予定を詰め込んでいます。時間を有効に!人に語れる留学生活を過ごしたい!という気持ちはわかるのですが、大切なのは、孤独を楽しみながら一人で考える時間です。
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オーストラリアのライフスタイルで学ぶべきことは何か?オーストラリア人に受けそうな日本の商品ってなんだろう?オーストラリアのいたるところに公園があるのはなぜなんだろう?帰国したらどんな仕事を選ぼうか?1年の半分、オーストラリアに暮らそうと思ったらどのような生き方をしたらいいんだろう?

オーストラリアに来ると、日本の生活とはずいぶんと違うので様々な問いが思い浮かびます。それをひとつひとつ書き留めて、ひとつひとつ自分なりの答えを考えてみましょう。そんな話をしてくれた留学生たちと、何人も友達になってきましたが、彼らは留学後も自分らしい人生を幸せに送っています。

 

休学してマーケティングを学ぶ

私の会社には大学生からの休学留学の問い合わせが数多く寄せられるのですが、1年間何をどこで学ぶかをデザインして提案するのはエージェント仕事のとても面白い部分です。
Untitled 多くの大学生と話してきましたが、ビジネスについて興味があったり、ビジネスプランを考えたりしたことがある学生はほんのわずかで、将来企業に就職したいと思っているにもかかわらず、ほとんどの学生たちはビジネスが何かを知りません。そんな学生たちにオススメしているのが、英語の習得半年、マーケティングの勉強半年の1年コースです。

マーケティングというものが、商品やサービスを開発し、市場に提案していくための市場とのコミュニケーションということであれば、その一連の流れを英語で学ぶことは、社会に出てグローバルに活躍するためにとても有意義なものになるはずです。社会とのコミュニケーションという社会人としてのコミュ力も伸びていきます。

留学スタート時の英語力によって、後半のマーケティングの勉強を私立や公立の専門学校で行うか、大学の学部聴講で行うかが分かれてきます。オーストラリアの大学生に混じって授業を受けるというのは素晴らしい経験になりますが、たとえ専門学校であっても、マーケティングの基礎を学んでおけば、少なくともビジネスセンスというものは磨けるはずです。マーケティングを学ぶことで、ビジネスに興味が湧き、ビジネスを通じて世界を良くしていける若者が増えることを期待しています。

 

 

77%の親が考えること

先日、興味深い記事を見つけました。主要な国の親たちの77%は子どもを海外の大学に進学させたいと考えているというものです。(残念ながら日本はこの主要な国16カ国に入っていませんでした。。)
IMG_1808 これは親の想いであり、77%すべての子どもたちが海外進学をすることはないでしょうが、大学生というとても重要な時期に、海外で様々な国の同世代の若者たちと生活や勉強をすることが、子どもたちの世界や機会を広げ、いい仕事を始めるチャンスになると考えているからでしょう。

世界の、特にアジアの若者たちのグローバル化は、日本人の私たちが考えている以上のスピードで進んでいます。若者たち同士が大人たちの思惑がうごめく世界を飛び越えてコミュニケーションしていくことは、きっと世界の未来にとってもいいことだと思います。そのコミュニケーションの中にどれだけ日本の若者たちが入っていけるのか。エリートやお金持ちだけではなく、普通の若者たちが普通に世界の若者たちと勉強ができるインフラを整え、できるだけ多くのご家族の想いに応えられるような仕事をしていきたいと思います。