社会に出るのか会社に入るのか

私たちの世代では、大学を卒業して社会に出ることと、会社に入ることは、ほぼ同義語であって区別して考えることはありませんでした。

しかし、ソーシャルネットワークという新しい社会が出現してから、その社会に出るのか会社に入るのかはその人にとって、どちらかを選ばなくてはいけないものになってきている印象があります。端的な例を言えば、多くの若者が会社に入るとSNSの社会から消えていきます。それは、会社が「ソーシャルな世界」で活動することを禁止しているところもあるでしょうし、忙しくてそれどころではなくなっていく場合もあるのかもしれません。
IMG_0619 社会人としてはずいぶん先輩になってしまった僕からのアドバイスは、これからの時代はどんなに忙しくても、ソーシャルな世界にはできるだけ、出ていた方がいいということです。プロフィール写真はペットの写真ではなく自分の顔で、過去の馬鹿騒ぎの写真は削除した方がいいかもしれませんが、それよりも今の自分の考えや生活をいかに社会に表現していくかを考えていくことは、人間として成長するためにもいいことなのだと思います。昨今言われるSNS疲れにならないように、ソーシャルな世界には一定の距離を持って、発信者としてのポジションを継続していくのは大切な戦略です。

会社に入って、社会に出てこなくなってしまうと、居心地がよく自分を守ってくれる会社にさらに依存するようになります。しかし、それは幻想であって、社会に正しく発信できない人はかなりの確率で40歳50歳で会社には必要のない人になってしまいます。その年代でいきなり社会に放り出されるのは、本当に悲劇です。これからは、いつも自分と社会と(そして会社も)の関係を注意深く考えながら、発信を続けていくことが豊かな人生の鍵になっていく時代なのだと思います。

オーナーの想いが伝わるビジネス

オーストラリアでスターバックスが成長できないのは、オーストラリアの独自のコーヒー文化が浸透しているからという記事を読んだことがありますが、僕はそれに加えて、オーストラリアの人々はチェーン店よりもオーナーやスタッフとちょっとした会話が楽しめるカフェを好むということも理由のひとつだと思っています。
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僕が通うカフェは家から歩いて3分くらいのところにある、Lucasというサーファーがやっている小さなカフェです。毎朝6時30分からオープンして午後2時くらいまで営業をして、午後は彼は海にいることが多いようです。彼の作るデニッシュ、特にアーモンドクロワッサンはとても美味しいいので、コーヒーとデニッシュを買って、ちょっと話をしに週2回から3回くらい通っています。彼の店にはそんな近所の人でいつも賑わっています。

日本はどちらかというと、サービスの質が安定していると言う理由で大企業やチェーン店が好まれますが、僕は全く逆の感覚を持っています。小さい店、小さい企業、それもやっている人の顔がわかる会社のほうが信用できると思っています。私たちが紹介しているオーストラリアの語学学校でも、チェーン店的な学校よりも、オーナーの志が高く、一生懸命ビジネスをしている語学学校のほうが、授業の質やサービスの質が優っています。そんな経営者たちとパートナーとして、相談相手として、友人として一緒に市場を大きくしていけているのが、この仕事の楽しみのひとつです。

Thanks Mate

オーストラリアの文化を語る時に、よくmateship(マイトシップ)、みんな友だち、という言葉が出て来ます。オーストラリア人は過去の歴史や、本国イギリスとの距離感などから、団結していこうという気質が強く、それが文化としてしっかりと根付いています。オージー男子達と話をしていると、ちょっとした一言に「mate(マイト)」と呼びかけられ、「Good Day mate!」「Thanks mate!」「Cheers mate!」など、このマイトシップが不思議なくらい浸透していることに気づきます。
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先日、ウインブルドンのテニスを見ていたら、あるオーストラリアの選手が、サーブのトスをあげ損なって打たなかったときにも「Sorry Mate」と言っていました。ウインブルドンの厳しい戦いをしている時にも、相手に「ごめん、ごめん」と言ってしまうオージーの文化は最初はかなり違和感もあるし、なんか田舎くさいなあとも思っていたのですが、4年も住んで日々その世界に暮らしていると自然と「Thanks mate!」と言えるようになってきました。そして、この「みんな友だち」文化に慣れてくると、とても居心地がいいのです。

挨拶をするのもモゴモゴしている、草食系男子の皆さんは、オーストラリアに来て「Thanks Mate!」と堂々と話せるようになるのがモテる男への第一歩ではないかと、期待しています。

 

ステレオタイプで語るのはもうやめよう

僕たちは何事も理解していないと不安になり、いつでも理解していようと頑張っています。そして理解するためには単純に考えられたほうがいいので、とかく僕たちはステレオタイプ化して物事を理解した気になって安心しています。しかし、ステレオタイプ化する集団が大きくなればなるほど、どんどん議論や解釈は乱暴になっていきます。なんとか大学の卒業者は、、でも十分に乱暴な話なのに、東京出身者は、、血液型B型は、、日本人は、、黒人は、、イスラム教徒は、、、行ったこともない国の会ったこともない人々についても、テレビのコメンテーターの解説を鵜呑みにして、僕たちは理解した気でいるのです。
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オーストラリアに留学することのメリットは、そんな表層的な理解をしていた人々に実際に会えることです。世界中から多くの人々が学びに来て、大学では平均すると20%が留学生で100カ国以上から留学生を受け入れています。そんな環境で学んでいると、ステレオタイプ化がいかに意味のないものかに気づきます。人間は一人一人違っていて、いい人もいればそうでもない人がいて、しかし、国が違っても、けっこうみんな似たり寄ったりで、同じようなことに悩んだりしています。だから、みんな友だちになっていきます。

英語という世界共通語を学び、できるだけ多くの人々と出会い、話し、自分なりの理解をしていくことが、社会の雰囲気に流されることなく、自分の人生をデザインしたりコントロールするためにとても大切なことだとわかると思います。

 

地元密着の大学で学ぶ

アデレードにある南オーストラリア大学(University of South Australia)と正式にエージェント契約を結んだので、マーケティングの打ち合わせと大学見学をしてきました。この大学は設立されてからまだ25年なのですが、その間に世界大学ランキングで最も伸びた大学のひとつとして知られています。
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アデレードにはオーストラリアのトップ8大学のひとつのアデレード大学があるのですが、そこに対抗するために、実用的かつ就職に活かせるカリキュラムや仕組みを作ってきたのがこの大学の特徴です。特に、現在はオーストラリアの大学を卒業すると2年間の滞在ビザが申請できる可能性があったり、アデレードは永住権申請に地方ポイントを加点できるなどのアドバンテージもあるので、ビジネス学部を強化して、アデレードでの就職率を高める戦略を取っています。アデレードの地元企業のほとんどの幹部に南オーストラリア大学の卒業生がいて、大企業にはアデレード大学が強くても、中小企業には南オーストラリア大学のほうが強く、語学力などで若干不利な留学生の就職には南オーストラリア大学のネットワークが有利に働くということです。

オーストラリアの大学に進学する目的が、日本に帰国して国際的な企業に就職するためなのか、オーストラリアで就職してキャリアを作っていきたいのかで大学選択は変わってきます。そんな細かい部分までの情報をしっかりと把握しながら、若者たちの進路についてのアドバイスをしていきたいと思います。

報われなくても努力は続く

学生時代にやっていたテニスを再び始めて、オーストラリアのシニアの大会に出るようになって3年が経ちました。50歳を過ぎても大会に出てくる腕に自信のあるオージー達が集まる大会に出て、最初は全く歯が立たなかったり、無理をして肘や肩を壊したので、なかなかうまくいきませんでしたがやっと最近、平均よりは上になってきました。今は肩も肘も痛くないので、気をつけながらさらに上を目指すために、練習に励んでいます。
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しかし、テニスはマラソンなどのスポーツと違って、努力をしてもすぐに勝てる訳ではありません。マラソンなどでは、あるレベルに達するまでは、必ず努力と結果は正比例していきます。だから、多くの人々を魅了し、ランニング好きの日本人がとても多いのだと思います。しかし、テニスは相手がいて、かつ必ず勝負が決まるスポーツなので、ほとんどの選手が勝てるようになるまでに精神的に凹んで止めてしまいます。僕もこの3年間に何度やーめたと思ったか。それでも止めないでやり続けるのは、やはりテニスが楽しいから。

そこで、ふと気づきました。

世の中には、努力してるのに報われないと怒ったり狂ったりする人が少なからず存在します。こんなに努力しているのに出世できない会社が悪い。こんなに努力しているのに報われない社会が悪い。こんなに愛しているのに、愛してくれないあの女が悪い。

このような思考回路に入る人たちは、絶対に楽しんでない。そもそも「楽しむ」ことが選択肢に入っていないか、嫌悪感さえ覚えているタイプの人たちかもしれません。それは受けてきた教育のせいかもしれないし、育った環境のせいかもしれません。もし、楽しむことができずに努力が続かないなら、オーストラリアに来てみましょう。人生を楽しんでいる多くの人たちに出会うことができます。そして、みなさんも人生を楽しむことがどんなことか経験できます。楽しいからこそ努力も続き、幸せへの道ができていくのです。

 

必ず消えていく仕事

オーストラリアで語学を勉強している留学生たちに、日本に帰国したらどんな仕事をしたいの?と尋ねると、多くの人たちが「英語を生かせる仕事」と答えてくれます。そして英語を生かせる仕事として、簡単にイメージできるのが空港で働くというものです。
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しかし、空港の国際線チェックインカウンターという仕事は早ければ5年後、遅くとも10年後には、ほとんどの業務は自動化され、機械が行うことになるでしょう。必要な人間は、機械も分かり、お客様対応もできるスーパーバイザー的な人が1人か2人いればいいことになります。そして、そのような将来なくなるであろう仕事は日本には山ほどあるし、今ある求人の中にも10年後には無くなっていそうな仕事も見受けられます。せっかくの20代を、消えゆく仕事に費やすなんてすごくもったいないことだと思います。だから内定率がどうだとか、失業率がどうだとかという話はじじいたちに任せておいて、若者たちは今の仕事、選ぼうとする仕事が10年後にどうなっているかを冷静に分析することです。

そして分析して分かることは、未来なんて予測するのは不可能で、何が起こるかわからないということ。だから目の前の仕事にベストを尽くしながらも、いつも勉強しなくてはいけないし、新しいことにチャレンジして世界を広げなくてはいけないし、時代に対してしなやかに生きていかなくてはいけないのだと思います。

胃袋をつかまれる日本の若者たち

東京に出張するときの、楽しみのひとつは日本の食べ物たち。美味しいし、安いし、オーストラリアでほとんどお寿司などを食べる機会が無い僕の味に対するハードルは下がってるし、ということで、外食生活を楽しんでしまいます。ちょうどオーストラリアから東京に出張に来ていた学校経営者とランチを取った時も、彼曰く「日本はどこの店に入ってもハズレが無いし、安いし、食べ物は世界一だよね。」と絶賛していました。
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しかし、こんなことだから、ただでさえ内向きな草食系男子たちは、胃袋まで女の子ではなく国につかまれ、外国に浮気することもなく、日本最高!ってことで、世界に飛び出していくのをあきらめてしまっているのかもしれません。

それなら、これからはグローバル人材の大切なスキル?能力?として「食べ物にこだわりが無い」というのを「英語力」と同じくらい大切な扱いにすることを提案しようかと思います。もちろん、健康にいい物を食べることはとても大切ですが、若いうちから美味しいものしか食べないとか、おしゃれなレストランめぐりが趣味とか言ってると、ハングリー精神はどんどん失われていきます。世界に行って、その国の食べ物をこだわりなく楽しめるのは、信頼を得るためにも大切な能力なんだと思います。

どうせ、僕ぐらいじじいになったら、食べ物くらいしか楽しみがなくなるんだから、その時までそんな楽しみはとっておけばいいと思います。

まずはテストを受けてみよう

半年後でも1年後でも、休学をしてオーストラリアに留学をしようと決めたら、まずはIELTSのテスト(アカデミック)を受けてみることをお薦めします。IELTSはオーストラリアやイギリスの大学や、TAFE(公立の専門学校)などに入学する際に英語力の証明として受験を義務付けられているテストです。大学入学や聴講に必要なスコアは6.0〜6.5、専門学校への入学は5.5が必要になります。
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1ヶ月後か2ヶ月後のテストを予約したら、それまではひたすら自分で勉強して、受験してみてください。テストの説明もすべて英語で流れるし、緊張感や雰囲気に飲まれて、実力が発揮できないかもしれません。しかし、その最初のスコアがスタートラインになります。私たちに休学プログラムの相談をされるときに、そのスコアがあると、レベルに応じて特色のあるプログラムを紹介することができます。大学での認定留学や聴講などを考えている人は、英語学校に行く必要があるのか、IELTS専門の塾で短期間にスコアをアップさせて、大学の授業に直接入れるようにした方がいいのかなど、一番効率的なプログラムを提案できるので、ぜひスコアを手に相談に来てください。

誰でもテストを受けて、ショックで落ち込みたくはありません。しかし留学で大きく飛躍することを考えているなら、ぜひ、最初に自分の実力と向き合って、ショックを受けておいてください。スタートラインが決まったら、あとはひたすら成長するだけです。1年前の実力が笑い話になるくらい、成長する若者たちがうちの留学生にはたくさんいます。休学留学というのはうまく使えば本当に人生を変える1年になると思います。

リモートワークの時代にむけて

これから20年で働き方が大きく変わるとしたら、その一つはリモートワークをする人々が普通になっているということです。

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会社という組織に属しながら、あるいはフリーランスという形態で、家からあるいは家の近くのシェアオフィスのようなところでネットを通じて働くリモートワークをする人々は確実に増えていきます。今のように都会のオフィスに満員電車に揺られながら通勤する人々は20年後にどのくらい減っているのか楽しみです。今、私はオーストラリアのサンシャインコーストという地域に住んでいますが、そこで出会うテニス仲間たちも何人かは自宅でコンサルティング会社を経営していたり、リモートでアメリカと仕事をしています。そして私自身も自宅からスカイプなどでオーストラリアの主要都市や東京のスタッフと会議を定期的に行うことで経営をしています。

今から20年前、Windows95などと騒がれた頃は、パソコンはインターネットにそんなにつながっていなかったので、私のようなライフスタイルはそもそも選択肢にありませんでした。今、このようなリモートワークスタイルは限られた人の特権のように見えますが、20年後はごく普通の働き方になっているはずです。つまり、現在20歳の大学生たちが、40歳の働き盛りの年代になっているときには、そんな社会で活躍しているのです。

そんな時代が到来するにあたって、準備しておかなくてはいけないことは、英語でのコミュニケーション。リモートワークはたぶん日本よりも世界の方が進み方が早く、その波に乗るためには仕事ができるレベルの英語力は身につけておくことが必須です。あなたの能力を発揮できる市場が世界中になります。

もうひとつはデジタルの世界で、何かを作れるということ。レポート、企画書、分析など昔ながらのものでもオリジナリティーがあれば生きていけるし、デザイン、プログラミング、などクリエイティブな仕事はリモートワークには相性がいいはずです。TAFE(公立の専門学校)などでも、クリエイティブな科目は数多く開講されているので、休学を考えている学生は1年間英語とデザインの世界を勉強すると、将来海のそばから仕事ができるかもしれませんよ。