薬いらずのおじいちゃん

先日、休みをもらって、サンシャインコーストの内陸にある、グラスハウスマウンテンズという地域に行って来ました。そこにはいくつもの火山でできた小さな山が並んでいて、その多くがロッククライミングの技術が必要な岩山たちです。多くの若者たちが、腕試しにやってきています。

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僕たちはさすがにそのような過激な登山はできないので、 Mt Ngungunと言う、一番歩きやすいと言われる山に登ってきました。水筒一つ持って散歩のように歩いている人や、毎日のトレーニングの一環で歩いている人(走っている人も!)にも出会いました。 たった標高250メートルとは言っても、頂上からの眺めはこんな感じでとても気持ちが良かったです。

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その頂上付近で、妙にくつろいで、登ってきた人たちを見つけては話しかけているおじいさんの2人組に出会いました。一人はオージーで、「俺の先祖はイギリス人の囚人でこの国に連れてこられちゃったんだな、ワッハッハ」みたいな憎めないおじいさん。もう一人は、ドイツ人の移民で13年前にこの地域にやってきたとのこと。

そのドイツ人のおじいさんが、「ここに来てから、医者に行く必要がなくなった、ここには3つの薬があるんだよ、なんだと思う?」「この青い空、きれいな空気、そして海の水だよ」と話してくれたので、僕が「それにドイツよりもずーっと暖かいですもんね」と答えたらニコニコしていました。
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そこで僕が思ったことは、「それよりも、毎日この山に登ってきて、若い女の子とかに声かけて、展望ガイドしてあげて、感謝されるのは、ストレスも無くなるし、きっとそれが医者がいらない一番の秘訣ですよ。」ということ。東京の街角で女の子に声をかけるじじいは怪しまれるけど、山頂で声をかけてくれるおじいちゃんは感謝されるという、これからの人生の素敵な秘訣を学んだ休日でした。

風下には座らない

日本にあまり帰りたくない理由のひとつは、いまだに喫煙ができるレストランが多いことです。どんなに美味しい食事でも近くで(同じ部屋で)タバコを吸っている人がいると、台無しですよね。

オーストラリアではレストランやカフェでは絶対に禁煙なので安心ですが、海辺のベンチなどでは時々タバコを吸う人に遭遇します。先日も、とても落ち着いた公園のベンチで本を読んでいたら、タバコの臭いが、、、。見ると隣のベンチでタバコを吸っている夫婦がくつろいでいました。残念ながら僕が風下なので逃げようがありません。こういう時はあきらめて即退散です。何も考えずに風下のベンチを選んでしまった僕のミスです。

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荷物を片付けながら、「どんな時でも風下に座らないように気をつけることは、人生でも大切だよなあ」とふと思いました。人生の歯車がずれていくきっかけは、自分でコントロールできない何かの影響であることが多いと思います。自分でコントロールできる範囲を広げていくことはストレスを少なくすることにもいいし、成功への近道でもあると僕は思っています。

しかし、世の中には、自分の責任範囲をむやみに広げることはリスクだし、責任は取りたく無いから、言われたことを粛々とこなしていくのがいいという方もいらっしゃいます。風下に座っても、そこに快適な小屋を作ってしまえば影響は少ないよという考え方です。僕にはどちらが正解かは分かりません。たぶん正解は無い問いなのだと思います。ただ、僕は、たとえ責任は重くても、できるだけ外にいて、爽やかな風が流れるのを感じながら、遠くを眺めていたいなあと思うのです。

 

Think Globally Act Individually

最近の日本の状況を見ていると、様々なグループが様々な思惑の中で相手を批判しあっています。そして、たぶん個人としてはとても良識ある方々でも、グループや団体で動き出すと、暴力的になったり、冷静さを失ったりします。なぜ、そんなことが起きるのか?たぶん、それぞれの方にとって、利害関係を共にするグループや組織に属していることが一番安全で、かつ居心地が良かったり、自分らしさを発揮できると感じるからなのだと思います。守られていると、人はちょっと傲慢になるのかもしれません。

日本の教育は属している組織や団体の中でいかに成功していくかを学ぶことを重要視しています。ですから、組織がどちらに向かっているかを敏感に察知して自分の行動を変えていける能力は日本人の強みのひとつです。しかし、一人になったときにどちらに向かって漕いでいったら良いのかは、誰も教えてくれません。

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海外に出て、一番学べることは自分で進む方向を見出していく力だと思います。留学中に一人で苦労したときには冷静に辺りを見渡してみましょう。他の国から来ている留学生の中にお手本となるような自立している若者たちを見いだすことができるかもしれません。最後は必ず僕たちが助けてあげるので、少しだけ自分で漕ぎ出してみましょう。そのためにも、留学は一人で来ましょう。

中学生、高校生ならまだしも、大学生になっても大学が主催する語学研修にやって来ている学生たちを見るたびに、人生の大切な機会を無駄にしているなあと、悲しくなりながら眺めています。

 

現地アルバイトを将来に活かすために

オーストラリアが留学先として人気がある理由の一つは、ワーキングホリデーだけでなく、学生ビザの留学生もアルバイトが許されているということです。ですから、大学に通いながら、あるいは語学学校に通いながらアルバイトをしている留学生がほとんどです。そして、その多くが日本レストランなどの日本に関係するような場所でのアルバイトになり、若干退屈だったり、お金のためと割り切ってバイトをしている留学生たちをみかけます。

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しかし、海外で働くというせっかくの機会ですから、学べることは徹底的に学んでみましょう。

1)ビジネスモデルを理解してみる。

多くの留学生は日本食レストランやカフェでアルバイトをすることになると思います。そしてその人たちにとって、飲食業で働くという機会は人生に何度もあることではありません。それなら、いったいどうやってこのビジネスは儲かっているのか?いくらくらい儲かっているのか?お客様の売り上げ単価はいくらくらいか?コストはどのくらいかかっているのか?など飲食業のビジネスの成り立ちをしっかりと理解してみましょう。ビジネスの勉強をすることは、将来必ず役に立ちます。

2)自分なりの改善点を考えてみる

ビジネスを理解していく過程で、私だったらこうするのに、僕だったらここを直すのにというアイデアが必ず生まれてきます。そのアイデアを実現する方法をまとめてみましょう。その時に、お客様の視点、経営者の視点、社員の視点で考えてみるとそのアイデアが単なる思いつきから戦略レベルに昇華していきます。

3)提案してみる

せっかくまとめた改善点ですから、店のオーナーやマネージャーに提案してみましょう。英語で提案をするなんて、なかなか出来ない経験です。人によっては全く受け付けなかったり、怒ったりする人もいるかもしれませんが、それも異文化経験としては面白いはずです。そんなことで居心地が悪くなるなら、そんなバイト先は辞めちゃえばいいので、次の学べる職場を探してみましょう。

日本人の若者たちは、言われたことはしっかりとやってくれるのでどんな職場でも重宝されます。しかし、言われたことだけどやる癖をつけてしまうと成長の機会を逸してしまいます。海外で、守るものは特に無いでしょうから、上記の3点をぜひトライしてみてください。

 

 

何をしたかではなく何を考えたか

2ヶ月か3ヶ月に一度くらい、各都市の支店に行って語学学校の教室をお借りして、留学生たちに対してセミナーをさせていただいています。

その時によく話をするのが、「留学は何をしたかではなく、何を考えたかが問われますよ」と言うことです。多くの留学生たちが、とにかく充実した留学生活を送るために、カレンダーに予定を詰め込んでいます。時間を有効に!人に語れる留学生活を過ごしたい!という気持ちはわかるのですが、大切なのは、孤独を楽しみながら一人で考える時間です。
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オーストラリアのライフスタイルで学ぶべきことは何か?オーストラリア人に受けそうな日本の商品ってなんだろう?オーストラリアのいたるところに公園があるのはなぜなんだろう?帰国したらどんな仕事を選ぼうか?1年の半分、オーストラリアに暮らそうと思ったらどのような生き方をしたらいいんだろう?

オーストラリアに来ると、日本の生活とはずいぶんと違うので様々な問いが思い浮かびます。それをひとつひとつ書き留めて、ひとつひとつ自分なりの答えを考えてみましょう。そんな話をしてくれた留学生たちと、何人も友達になってきましたが、彼らは留学後も自分らしい人生を幸せに送っています。

 

休学してマーケティングを学ぶ

私の会社には大学生からの休学留学の問い合わせが数多く寄せられるのですが、1年間何をどこで学ぶかをデザインして提案するのはエージェント仕事のとても面白い部分です。
Untitled 多くの大学生と話してきましたが、ビジネスについて興味があったり、ビジネスプランを考えたりしたことがある学生はほんのわずかで、将来企業に就職したいと思っているにもかかわらず、ほとんどの学生たちはビジネスが何かを知りません。そんな学生たちにオススメしているのが、英語の習得半年、マーケティングの勉強半年の1年コースです。

マーケティングというものが、商品やサービスを開発し、市場に提案していくための市場とのコミュニケーションということであれば、その一連の流れを英語で学ぶことは、社会に出てグローバルに活躍するためにとても有意義なものになるはずです。社会とのコミュニケーションという社会人としてのコミュ力も伸びていきます。

留学スタート時の英語力によって、後半のマーケティングの勉強を私立や公立の専門学校で行うか、大学の学部聴講で行うかが分かれてきます。オーストラリアの大学生に混じって授業を受けるというのは素晴らしい経験になりますが、たとえ専門学校であっても、マーケティングの基礎を学んでおけば、少なくともビジネスセンスというものは磨けるはずです。マーケティングを学ぶことで、ビジネスに興味が湧き、ビジネスを通じて世界を良くしていける若者が増えることを期待しています。

 

 

77%の親が考えること

先日、興味深い記事を見つけました。主要な国の親たちの77%は子どもを海外の大学に進学させたいと考えているというものです。(残念ながら日本はこの主要な国16カ国に入っていませんでした。。)
IMG_1808 これは親の想いであり、77%すべての子どもたちが海外進学をすることはないでしょうが、大学生というとても重要な時期に、海外で様々な国の同世代の若者たちと生活や勉強をすることが、子どもたちの世界や機会を広げ、いい仕事を始めるチャンスになると考えているからでしょう。

世界の、特にアジアの若者たちのグローバル化は、日本人の私たちが考えている以上のスピードで進んでいます。若者たち同士が大人たちの思惑がうごめく世界を飛び越えてコミュニケーションしていくことは、きっと世界の未来にとってもいいことだと思います。そのコミュニケーションの中にどれだけ日本の若者たちが入っていけるのか。エリートやお金持ちだけではなく、普通の若者たちが普通に世界の若者たちと勉強ができるインフラを整え、できるだけ多くのご家族の想いに応えられるような仕事をしていきたいと思います。

社会に出るのか会社に入るのか

私たちの世代では、大学を卒業して社会に出ることと、会社に入ることは、ほぼ同義語であって区別して考えることはありませんでした。

しかし、ソーシャルネットワークという新しい社会が出現してから、その社会に出るのか会社に入るのかはその人にとって、どちらかを選ばなくてはいけないものになってきている印象があります。端的な例を言えば、多くの若者が会社に入るとSNSの社会から消えていきます。それは、会社が「ソーシャルな世界」で活動することを禁止しているところもあるでしょうし、忙しくてそれどころではなくなっていく場合もあるのかもしれません。
IMG_0619 社会人としてはずいぶん先輩になってしまった僕からのアドバイスは、これからの時代はどんなに忙しくても、ソーシャルな世界にはできるだけ、出ていた方がいいということです。プロフィール写真はペットの写真ではなく自分の顔で、過去の馬鹿騒ぎの写真は削除した方がいいかもしれませんが、それよりも今の自分の考えや生活をいかに社会に表現していくかを考えていくことは、人間として成長するためにもいいことなのだと思います。昨今言われるSNS疲れにならないように、ソーシャルな世界には一定の距離を持って、発信者としてのポジションを継続していくのは大切な戦略です。

会社に入って、社会に出てこなくなってしまうと、居心地がよく自分を守ってくれる会社にさらに依存するようになります。しかし、それは幻想であって、社会に正しく発信できない人はかなりの確率で40歳50歳で会社には必要のない人になってしまいます。その年代でいきなり社会に放り出されるのは、本当に悲劇です。これからは、いつも自分と社会と(そして会社も)の関係を注意深く考えながら、発信を続けていくことが豊かな人生の鍵になっていく時代なのだと思います。

オーナーの想いが伝わるビジネス

オーストラリアでスターバックスが成長できないのは、オーストラリアの独自のコーヒー文化が浸透しているからという記事を読んだことがありますが、僕はそれに加えて、オーストラリアの人々はチェーン店よりもオーナーやスタッフとちょっとした会話が楽しめるカフェを好むということも理由のひとつだと思っています。
Cafe
僕が通うカフェは家から歩いて3分くらいのところにある、Lucasというサーファーがやっている小さなカフェです。毎朝6時30分からオープンして午後2時くらいまで営業をして、午後は彼は海にいることが多いようです。彼の作るデニッシュ、特にアーモンドクロワッサンはとても美味しいいので、コーヒーとデニッシュを買って、ちょっと話をしに週2回から3回くらい通っています。彼の店にはそんな近所の人でいつも賑わっています。

日本はどちらかというと、サービスの質が安定していると言う理由で大企業やチェーン店が好まれますが、僕は全く逆の感覚を持っています。小さい店、小さい企業、それもやっている人の顔がわかる会社のほうが信用できると思っています。私たちが紹介しているオーストラリアの語学学校でも、チェーン店的な学校よりも、オーナーの志が高く、一生懸命ビジネスをしている語学学校のほうが、授業の質やサービスの質が優っています。そんな経営者たちとパートナーとして、相談相手として、友人として一緒に市場を大きくしていけているのが、この仕事の楽しみのひとつです。

Thanks Mate

オーストラリアの文化を語る時に、よくmateship(マイトシップ)、みんな友だち、という言葉が出て来ます。オーストラリア人は過去の歴史や、本国イギリスとの距離感などから、団結していこうという気質が強く、それが文化としてしっかりと根付いています。オージー男子達と話をしていると、ちょっとした一言に「mate(マイト)」と呼びかけられ、「Good Day mate!」「Thanks mate!」「Cheers mate!」など、このマイトシップが不思議なくらい浸透していることに気づきます。
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先日、ウインブルドンのテニスを見ていたら、あるオーストラリアの選手が、サーブのトスをあげ損なって打たなかったときにも「Sorry Mate」と言っていました。ウインブルドンの厳しい戦いをしている時にも、相手に「ごめん、ごめん」と言ってしまうオージーの文化は最初はかなり違和感もあるし、なんか田舎くさいなあとも思っていたのですが、4年も住んで日々その世界に暮らしていると自然と「Thanks mate!」と言えるようになってきました。そして、この「みんな友だち」文化に慣れてくると、とても居心地がいいのです。

挨拶をするのもモゴモゴしている、草食系男子の皆さんは、オーストラリアに来て「Thanks Mate!」と堂々と話せるようになるのがモテる男への第一歩ではないかと、期待しています。