報われなくても努力は続く

学生時代にやっていたテニスを再び始めて、オーストラリアのシニアの大会に出るようになって3年が経ちました。50歳を過ぎても大会に出てくる腕に自信のあるオージー達が集まる大会に出て、最初は全く歯が立たなかったり、無理をして肘や肩を壊したので、なかなかうまくいきませんでしたがやっと最近、平均よりは上になってきました。今は肩も肘も痛くないので、気をつけながらさらに上を目指すために、練習に励んでいます。
Pat Rafter Arena

しかし、テニスはマラソンなどのスポーツと違って、努力をしてもすぐに勝てる訳ではありません。マラソンなどでは、あるレベルに達するまでは、必ず努力と結果は正比例していきます。だから、多くの人々を魅了し、ランニング好きの日本人がとても多いのだと思います。しかし、テニスは相手がいて、かつ必ず勝負が決まるスポーツなので、ほとんどの選手が勝てるようになるまでに精神的に凹んで止めてしまいます。僕もこの3年間に何度やーめたと思ったか。それでも止めないでやり続けるのは、やはりテニスが楽しいから。

そこで、ふと気づきました。

世の中には、努力してるのに報われないと怒ったり狂ったりする人が少なからず存在します。こんなに努力しているのに出世できない会社が悪い。こんなに努力しているのに報われない社会が悪い。こんなに愛しているのに、愛してくれないあの女が悪い。

このような思考回路に入る人たちは、絶対に楽しんでない。そもそも「楽しむ」ことが選択肢に入っていないか、嫌悪感さえ覚えているタイプの人たちかもしれません。それは受けてきた教育のせいかもしれないし、育った環境のせいかもしれません。もし、楽しむことができずに努力が続かないなら、オーストラリアに来てみましょう。人生を楽しんでいる多くの人たちに出会うことができます。そして、みなさんも人生を楽しむことがどんなことか経験できます。楽しいからこそ努力も続き、幸せへの道ができていくのです。

 

必ず消えていく仕事

オーストラリアで語学を勉強している留学生たちに、日本に帰国したらどんな仕事をしたいの?と尋ねると、多くの人たちが「英語を生かせる仕事」と答えてくれます。そして英語を生かせる仕事として、簡単にイメージできるのが空港で働くというものです。
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しかし、空港の国際線チェックインカウンターという仕事は早ければ5年後、遅くとも10年後には、ほとんどの業務は自動化され、機械が行うことになるでしょう。必要な人間は、機械も分かり、お客様対応もできるスーパーバイザー的な人が1人か2人いればいいことになります。そして、そのような将来なくなるであろう仕事は日本には山ほどあるし、今ある求人の中にも10年後には無くなっていそうな仕事も見受けられます。せっかくの20代を、消えゆく仕事に費やすなんてすごくもったいないことだと思います。だから内定率がどうだとか、失業率がどうだとかという話はじじいたちに任せておいて、若者たちは今の仕事、選ぼうとする仕事が10年後にどうなっているかを冷静に分析することです。

そして分析して分かることは、未来なんて予測するのは不可能で、何が起こるかわからないということ。だから目の前の仕事にベストを尽くしながらも、いつも勉強しなくてはいけないし、新しいことにチャレンジして世界を広げなくてはいけないし、時代に対してしなやかに生きていかなくてはいけないのだと思います。

胃袋をつかまれる日本の若者たち

東京に出張するときの、楽しみのひとつは日本の食べ物たち。美味しいし、安いし、オーストラリアでほとんどお寿司などを食べる機会が無い僕の味に対するハードルは下がってるし、ということで、外食生活を楽しんでしまいます。ちょうどオーストラリアから東京に出張に来ていた学校経営者とランチを取った時も、彼曰く「日本はどこの店に入ってもハズレが無いし、安いし、食べ物は世界一だよね。」と絶賛していました。
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しかし、こんなことだから、ただでさえ内向きな草食系男子たちは、胃袋まで女の子ではなく国につかまれ、外国に浮気することもなく、日本最高!ってことで、世界に飛び出していくのをあきらめてしまっているのかもしれません。

それなら、これからはグローバル人材の大切なスキル?能力?として「食べ物にこだわりが無い」というのを「英語力」と同じくらい大切な扱いにすることを提案しようかと思います。もちろん、健康にいい物を食べることはとても大切ですが、若いうちから美味しいものしか食べないとか、おしゃれなレストランめぐりが趣味とか言ってると、ハングリー精神はどんどん失われていきます。世界に行って、その国の食べ物をこだわりなく楽しめるのは、信頼を得るためにも大切な能力なんだと思います。

どうせ、僕ぐらいじじいになったら、食べ物くらいしか楽しみがなくなるんだから、その時までそんな楽しみはとっておけばいいと思います。

まずはテストを受けてみよう

半年後でも1年後でも、休学をしてオーストラリアに留学をしようと決めたら、まずはIELTSのテスト(アカデミック)を受けてみることをお薦めします。IELTSはオーストラリアやイギリスの大学や、TAFE(公立の専門学校)などに入学する際に英語力の証明として受験を義務付けられているテストです。大学入学や聴講に必要なスコアは6.0〜6.5、専門学校への入学は5.5が必要になります。
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1ヶ月後か2ヶ月後のテストを予約したら、それまではひたすら自分で勉強して、受験してみてください。テストの説明もすべて英語で流れるし、緊張感や雰囲気に飲まれて、実力が発揮できないかもしれません。しかし、その最初のスコアがスタートラインになります。私たちに休学プログラムの相談をされるときに、そのスコアがあると、レベルに応じて特色のあるプログラムを紹介することができます。大学での認定留学や聴講などを考えている人は、英語学校に行く必要があるのか、IELTS専門の塾で短期間にスコアをアップさせて、大学の授業に直接入れるようにした方がいいのかなど、一番効率的なプログラムを提案できるので、ぜひスコアを手に相談に来てください。

誰でもテストを受けて、ショックで落ち込みたくはありません。しかし留学で大きく飛躍することを考えているなら、ぜひ、最初に自分の実力と向き合って、ショックを受けておいてください。スタートラインが決まったら、あとはひたすら成長するだけです。1年前の実力が笑い話になるくらい、成長する若者たちがうちの留学生にはたくさんいます。休学留学というのはうまく使えば本当に人生を変える1年になると思います。

リモートワークの時代にむけて

これから20年で働き方が大きく変わるとしたら、その一つはリモートワークをする人々が普通になっているということです。

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会社という組織に属しながら、あるいはフリーランスという形態で、家からあるいは家の近くのシェアオフィスのようなところでネットを通じて働くリモートワークをする人々は確実に増えていきます。今のように都会のオフィスに満員電車に揺られながら通勤する人々は20年後にどのくらい減っているのか楽しみです。今、私はオーストラリアのサンシャインコーストという地域に住んでいますが、そこで出会うテニス仲間たちも何人かは自宅でコンサルティング会社を経営していたり、リモートでアメリカと仕事をしています。そして私自身も自宅からスカイプなどでオーストラリアの主要都市や東京のスタッフと会議を定期的に行うことで経営をしています。

今から20年前、Windows95などと騒がれた頃は、パソコンはインターネットにそんなにつながっていなかったので、私のようなライフスタイルはそもそも選択肢にありませんでした。今、このようなリモートワークスタイルは限られた人の特権のように見えますが、20年後はごく普通の働き方になっているはずです。つまり、現在20歳の大学生たちが、40歳の働き盛りの年代になっているときには、そんな社会で活躍しているのです。

そんな時代が到来するにあたって、準備しておかなくてはいけないことは、英語でのコミュニケーション。リモートワークはたぶん日本よりも世界の方が進み方が早く、その波に乗るためには仕事ができるレベルの英語力は身につけておくことが必須です。あなたの能力を発揮できる市場が世界中になります。

もうひとつはデジタルの世界で、何かを作れるということ。レポート、企画書、分析など昔ながらのものでもオリジナリティーがあれば生きていけるし、デザイン、プログラミング、などクリエイティブな仕事はリモートワークには相性がいいはずです。TAFE(公立の専門学校)などでも、クリエイティブな科目は数多く開講されているので、休学を考えている学生は1年間英語とデザインの世界を勉強すると、将来海のそばから仕事ができるかもしれませんよ。

広い画面で考え始める

私たちがお手伝いして留学をしている若者たちのほぼ100%はスマホを持っていて、彼らのスマホとのやり取りをしています。今の世の中、すべてはスマホで完結するし、逆にスマホの方が便利なアプリもたくさん開発されています。オーストラリアでも銀行振り込みなどは、圧倒的にスマホアプリで行う方が簡単です。
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ところがここで、ちょっと問題が起きます。私は留学の一番の目的は新しい世界や文化や考え方を知ることで、視野を広げ、自分を一度壊す作業だと思っているのですが、狭い画面ではなかなか壊して作り直すことがやりにくいのです。例えば、僕の仕事は経営に関わる様々な問題に関して、前提条件をゼロベースに近いところまで持って行ってから、方向性と何をすべきかを考え直すことなのですが、A4かそれ以上大きな紙や画面の真ん中に問題をひとつ書いてその周りに考えなくてはいけないことや、アイデアをマインドマップ的に書いていくうちに、問題の本質ややるべきことが何か明確になってきます。

この作業を今の若い人々はパソコンやタブレットの上でもできてしまうのでしょうから、紙でもなくてもいいので、広い画面に疑問を書いてみてください。例えば「なぜ、オーストラリア人の休日は外でバーベキューなんだろう?」とか「午後6時に店が閉まっちゃうオーストラリア社会のメリットとデメリットは?」とか日本の生活と違うところをピックアップして、自分なりの答えを様々な観点から考えることが、人に語れる留学になるための大切な起点になると思います。お金のある人はタブレット端末を、お金のない人はA4の素敵なノートを一冊、持ち物リストに加えてみてください。

TAFEでギャップイヤーを過ごしてみる

休学留学において、英語だけではなく、英語で何かを学びたいというお問い合わせが増えてきています。しかし、残念ながら日本の大学生の英語力は英語で何かを学ぶレベルには届いていない人が多いのが現実です。オーストラリアの教育システムは資格の定義がとてもしっかりとしているので、英語力が少し低くても留学生が学べる環境が整っています。
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例えば、Diplomaという資格は、大学卒のBachelor degree の下で、日本で言うところの短期大学卒に近いものです。これらの資格は、TAFEと言う公立の専門学校や、私立の専門学校で開講されています。英語力もIELTS5.5で入学できるので、オーストラリアの大学での学部聴講に必要なIELTS6.5に比較すると、日本からの学生にとってずいぶんと入学しやすくなっています。

それ以外にもいくつか、このような専門学校で学ぶメリットをあげてみると、

1)学生の70%〜80%はオーストラリアの学生が学んでいます。これは地方のTAFEなどにいくとさらにローカルの学生が増えます。

2)大学などに比較すると少人数のクラス編成。これも地方に行けば行くほど、学んでいる学生数が少なくなるので、教師と学生の比率は良くなって、教師に相談できる機会が増えてきます。

3)半年でDiplomaの資格を取れるコースもあります。1年間の休学で、半年は英語、半年はDiploma取得というデザインも可能です。

オーストラリアの大学の広大なキャンパスで休学留学を過ごすのも素晴らしいですが、少し田舎のコミュニティーに融合したTAFEで1年間を過ごすのもきっと忘れられない経験になると思います。

 

 

 

 

海を眺めながら思うこと

海まで歩いてすぐの場所に引っ越したので、朝とか夕方に砂浜を散歩することが多くなりました。そして、海を眺めながらよく思うことは、昔の人たちが、この果てしない(果てしなさそうに見える)海に漕ぎ出していく勇気はどこから湧いてきたのかということ。
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人類の歴史の中で、名前も残されていない人たちが、海に漕ぎ出し、新しい土地にたどり着く人もいたし、たどり着かなかった人たちもいたわけです。しかし、こうやって海を眺めていると、ここから漕ぎ出していく勇気だけでも賞賛に値する気がするのです。そんな勇気を持った人たちが歴史を作り変えていく。

そんな人たちの末裔が留学をしたり、起業をしたりするのかもしれません。そこには合理的な判断や、納得できる理由があるわけではなく、ただ「漕ぎ出したい」という強い思いや決意がその人を動かしてきたのです。そして、そんな若者たちに出会えるのが、この仕事の一番面白い部分だと思っています。

 

良い質問をする工夫

当たり前の話ですがリスニングとスピーキングを比較すると、リスニングの方が早く上達します。「相手の話すことは、だいたい理解できてもなかなか自分の思ったことを話すことができない。」そんなフラストレーションをためる留学生がほとんどです。

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そんな時にお勧めするのが、良い質問をして会話をコントロールしていくテクニックを身につけること。良い質問をするには、一つのことに関して深く聞いたり、視点を変えて聞いてみたりするアプローチが簡単です。例えば、「この街で一番お勧めのカフェはどこ?」「どんなメニューがあるの?」「あなたのお気に入りのメニューは?」「何時から開いてる?」「お客さんはどんなタイプの人たちが多いの?」「今度一緒に行かない?」、、、、

つまりは聞き上手になることです。

誰だって、相手の話を聞いているより、話している方が楽しいと感じます。だからこそ、良い質問をして、まずは友人たちを楽しませてみましょう。それがネイティブの友人なら、表現方法やスラングなど勉強になるし、その表現方法も「それどういう意味?」と聞けば教えてくれるし、「面白い表現だね!」と感謝すれば、もっと色々教えてくれるかもしれません。そうやってコミュニケーション能力が養われていくのだと思います。

僕もついビジネスの席では力が入って会社の宣伝とか話しまくってしまうのですが、ちょっとスタンスを変えて、いろいろ質問をしてみると、学校関係者から思わぬ話が聞けたりします。ぜひ試してみてくださいね。

 

シンプルに生きるためのギャップイヤー

同じ場所に住んでいると、必ずモノは増えていきます。そしてモノが増えることはほとんどの場合幸せにつながるというよりはストレスにつながっていきます。それがわかっているのに、僕たちは買い物をしてしまいます。それはモノを持つストレスよりも、モノを買う(それもたくさん)快感のほうが強いからです。
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留学やギャップイヤーは、最低限のモノとともにシンプルに生きるためのいいトレーニングになるはずです。今の時代は本や書類や音楽はすべて電子化されてスマホやタブレットに入れておけばいいわけだし、留学に来て数週間もすると日本から持ってきた服の中には全く着ていないあるいは似合わない服の処分を考える日が出てきます。

留学の副次的な効果として、「シンプルな生き方を習得する」ということをもっと意識したほうがいいと思います。日本にいると、友達たちや周りの人や社会からの影響を受けてシンプルではない選択をしてしまいがちです。オーストラリアでは多くの人たちが勝手に生きているので、少なくとも人の影響は受けません。自分でやりたいライフスタイルを作っていけばいいのです。

とは言いながら、今回引っ越しをして、4年間に増えたガラクタたちと格闘した反省をふまえて、僕もシンプルな生き方をさらに磨いていこうと思いました。