変わりたい vs 変わりたくない

多くの人たちの留学を考えるきっかけは「自分を変えてみたい」というものです。「もっと英語が話せる自分になりたい」「狭い世界ではなく、世界中に友だちを作りたい」「将来につながるかもしれない勉強や資格を海外で学びたい」などなど、日本での現状からの脱却のために世界に飛び出すことを決意します。


ところが、不思議なもので、留学に来て失敗というか諦めていく人たちは多くの場合「変わりたくない」症候群によるものです。「日本ではこんなことありえない」とか「私にこの学校は合ってない」とか、ちょっとマインドセットを変えるだけで解決するような話も「変わりたくない」人たちにはとても難しい問題のようです。

しかし、よーく考えてみると、この問題は自分自身にとっても、組織にとっても、社会にとっても、いつも問われていることだと気づきます。僕自身が、実は「変わりたくない」側に簡単に行ってしまうタイプであることは、よく分かっています。だからこそ、責任から逃げられない会社の経営者のポジションや、セミプロみたいなレベルでテニスをしていた選手たちと戦うトーナメントに身を置かなくてはいけないのです。そこに身を置くことで、「変わりたい」と言う気持ちが「変わりたくない」に勝つようになり、「変わるしかない」になります。

この境地に達した人は、ほとんどの人が満足いく成果と満足いく留学を経験します。本当に、マインドセットがすごく大きな影響を与え、だからこそ、現地で相談に乗っているスタッフのトレーニングは欠かせないのだと思っています。

 

 

メルボルンでの時間の使い方

先日、メルボルンに出張に行ってきましたが、年の初めに航空券などを予約した時にイースターの祝日であることはすっかり忘れていて、幸運にも!1日はのんびりと休日を過ごすことになりました。

それならと、奥さんも誘って、メルボルンを1日楽しもうと思ったのですが、サンシャインコーストの田舎暮らしに慣れてしまった僕たちは、祝日のイベントなどで混んでいる市内の人に酔ってしまいそうだったので、結局少し離れた植物園の散歩になりました。オーストラリアの各都市には必ずと言っていいほど植物園があるのですが、日本に比べると様々な木や植物が植えられている自然公園という感じで、神代植物園のバラ園(東京・多摩地区のローカルネタ)とはずいぶんと雰囲気が違います。




地元の人たちが、のんびりとするためにやってきていて、のどかなひと時を楽しんでいました。この植物園の市内側の入り口には天文台とインフォメーションセンター、そしてビールまで飲めちゃうカフェもあり、散歩のあとのビール、そして芝生で昼寝というぜいたくな休日を過ごしました。




このあと、夕食のために市内まで歩くと、そこには観光客やアジアからと思われる留学生たちの若者たちでレストランやカフェは賑わっていました。メルボルンの都会だけを見ると、「東京とあまり変わらない」という印象を持つかもしれません。世界で一番住みやすい都市として何年も1位を獲得している理由が、都市部分だけではなく、都市の周りを見ることで分かった気がします。メルボルンでは、ぜひそんな時間の使い方をしてみてください。

短期留学はちょっと不便な街に

日本の春休みや夏休み期間は、オーストラリアにも多くの大学生たちが短期留学にやってきます。この時期は、大学附属の語学学校などへは提携している日本の大学からの研修旅行のような団体が多いので、そのような語学学校への留学はあまりお勧めしていません。そもそも大学生のくせに団体で留学するなよと思います。みんなと一緒なら安心というメンタリティーは、年齢関係なく日本人の弱みの一つです。


では、やる気のある大学生の春休みや夏休みの短期留学はどうしたらいいか?僕は短期留学に適する街というのがいくつかあると思っています。

短期留学の街選びの条件は、

1)オーストラリアらしいビーチカルチャーやライフスタイルを体験出来る場所

2)リゾート地など、海外からのお客様に対して地元の人々がおおらかであること

3)質の高い語学学校があること

の3つを押さえたいと思います。

短期間なので、物価が高いとか安いとかはあまり気にしないで、短い期間でもより人生における刺激があって、日本とは違う文化を感じられる場所を選ぶべきです。


例えば、シドニー市内からフェリーで30分のリゾート地のマンリー、ゴールドコーストから車で1時間のバイロンベイ、ブリスベンから車で1時間30分のサンシャインコーストなどは時間の流れ方も日本とはずいぶんと違ってゆっくりのんびりしているので、1ヶ月以内の短期留学にはお勧めです。リフレッシュもできると思います。ただ、これよりも長い期間の場合は、人によっては退屈だと感じてしまう方がいるので、うちの会社としては都市の語学学校をお勧めしています。

たとえ短期間でも、留学には一人で行きましょう。そして、日本とは全く違う空気や時間を満喫して欲しいと思います。

 

好きなことを勉強しよう

日本の大学に入学していざ勉強を始めてみると、もっと違った分野の勉強がしたくなることもあるかと思います。あるいは就職してからも、大学時代の専攻とは関係ない勉強がしたくなることもあるのではないでしょうか?特に世界に目を向けるようになってくると、国際関係とか環境学などは、文系理系を問わず興味が出てくる分野です。
IMG_1904 オーストラリアの大学では「Study Abroad」と呼ばれる、休学留学用のプログラムが用意されています。英語力がある海外の留学生たちに対して、基本的には4科目の聴講が可能です。もちろん、テストも受けて単位を取ることもできるので、日本の大学が認めるのであれば、単位の認定留学にもつながります。

このプログラムのいいところは、日本でどんな学部にいるかは関係なく、好きな科目が取れるということです。(医学関係など、特別な知識が必要なものは対象にはなりません)ですから日本で経営学を学んでいる人が環境学とか、日本で科学を勉強している人がアジア学を勉強することなどもできるわけです。日本では、高校の時から文系とか理系とか分けられて、壁ができていきますが、面白いと思う学問に壁なんか作る必要はありません。

必要なのは英語力だけ。ちゃんと英語を勉強して(IELTSで6.0あるいは6.5)、ぜひ1年間オーストラリアの大学で学んでみてください。社会人の1年留学だって大丈夫です。社会人イコールワーキングホリデーと考えるのではなく、本当に興味のある学問を1年間チャレンジするという選択肢も考えてもらえればと思います。

未来がどうなってもいいように

東京に帰ると、かなりの時間を本屋さんで過ごすのですが、日本では「2020年の日本は、、、」とか「2030年に世界は、、、」みたいな本がよく出版されています。このようなタイプの本はオーストラリアではほとんど見かけません。暇つぶしにそのような本を読めるほど余裕のある人はいいのですが、もし若い人で未来が心配な人はそんな本を読む時間があったら、5年後にやりたいビジネスプランを考える方が有意義だと思います。
Townsville Jsmes Cook Uni そもそも、そのような未来の予測はほとんど当たらないか、人によって両極端な意見なので(例えば人によって超円安になるという人もいれば、今後も円高が続くと予想する人もいます)、一般庶民の私たちは、為替がどうなってもいい戦略を考えればいいだけのことです。大切なのは戦略やビジネスプランを作る力です。

僕のキャリアにおいてとてもラッキーだったのは、新卒で入った文具メーカーの商品企画の仕事がスタートだったので、自分の仕事は自分で企画しないと始まらないという癖がついたことだと思っています。その後転職をしても、自分の強みは新規事業を作ることですとアピールし、数々の失敗と成功を繰り返してきました。その代わり、決められた仕事をこなすという能力はほぼゼロに等しいので、今のように優秀なスタッフに支えられて会社を経営するというのが、成功するための唯一の道だったのだと思います。

会社などの組織でずっと働くにせよ、独立して自分でビジネスをするにせよ、未来に翻弄されず、自分で未来をコントロールしていくことが僕は幸せにとって一番大切なことだと思っています。若いうちに1年くらい海外に出て、日本でのしがらみから解き放たれて、つまりは心地よい安定から離れて、自分ですべてをコントロールしていくトレーニングを積むことは、未来がどうなっても楽しく生きていくために欠かせないものだと思います。

 

本名で発信しよう!

ワーホリや留学を始める若者たちのほとんどに、僕は個人のブログを作ることを勧めています。それも大手のインターネット会社がやっているブログサービスにニックネームで投稿するようなものではなく、自分の名前のドメインを取得したほうがいいよともアドバイスをしています。残念ながらこのアドバイスを実践している若者はほとんどいません。

Townsville Jsmes Cook Uni 海外では、自分の名前で個人ブログを持っている人に多く出会います。個人名のブログを持っている人の数の国別の比較などをどう調べたらいいのか(そもそもそんなデータがあるのかは分かりませんが)わからないのですが、日本人で個人名のURLでブログを展開している比率は他の国の人々に比べると随分と低いと思います。

このように日本と世界とでは、個人と社会の関わり方はずいぶんと違います。日本では、個人として自立をしようとする人に、(つまりは社会からすれば目立とうとする人に)どうも生きにくい環境です。匿名で社会に無責任な発言をしたり、個人を中傷したりする人がとても多いので、意欲のある人も実名で社会に向き合うのをためらってしまいます。

それでも勇気を持って個人で社会に向き合っていきましょう。別にすべての人々に好かれる必要はないのだし、留学中だったら物理的に日本の人々に会うことはないのだから後ろ指さされることもありません。それよりもそのブログを読んだという知らない方から素敵なコメントをもらったりすると勇気づけられます。留学生活の新たなチャレンジの一つとして、社会に発信をすることを考えてみてください。

新しい成功の軸を作る

オーストラリアに留学している若者たちと成功とか目標について話していると、対照的な成功の軸があることに気づきます。

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一つの軸は、お金を稼いでいい生活をしたいというとても若者らしい純粋なイメージです。いっぱい稼いでいっぱい使う、昔ながらのこのような成功観が、日本経済を成長させていくのですから、社会としても大切に扱っていかなくてはいけませんが、これからの時代はなかなかすべての人がこのような成功を手にすることはできません。

若いうちは成功していると思っていても中高年になってからは、精神的に本当に大変です。うつ病になる方が40代、50代に多いのはこんなことも影響していると思います。

もう一つの軸は、このような経済的な成功とは真っ向から対立する、自然と共に生きていくミニマリスト的な成功観。オーストラリアではオーガニックな食品や自然の中で過ごしている人も多く、シンプルに生きる人たちのための環境が揃っているバイロンベイなどの街も有名なので、このような若者たちを魅了しています。しかし、オーストラリアは社会福祉が日本に比較するとずいぶん充実しているので、同じことを日本でやろうとすると、中高年になると経済的に苦しくなってしまいます。

経済的な余裕を優先とするのか、精神的な余裕を優先とするのか、僕はこの中間の新しい軸を自分なりに見つけていくきっかけがオーストラリアへの留学にはあると思っています。もしかしたら、その探す過程が、新しい時代のワークライフバランスの議論のひとつになってくるのかもしれません。ワークライフバランスは会社や社会が作るのではなく、個人が自立的に探していくものというイメージです。

僕は社長という、精神的にはけっこうタフな仕事をしていますが、サンシャインコーストという田舎に住み、シンプルな生活を楽しみながら、会社が順調であればそれなりに経済的に安定した生活をしています。50歳を過ぎても、こんな風に新しい軸を探し続けているので、留学に来る人たちは焦らずに、しかししっかりと自分の軸ってどのあたりに置くかを考えてもらえればと思います。

目標はマイナス思考で?

この時期は新年の目標の設定の仕方とか、達成のための習慣化みたいな話題を発信している方が多いのですが、僕もちょっと気付いたことがありました。

多くの人が、健康維持のために運動を欠かさないとか、毎日ブログを書くとかいう現状よりも新しくていいものを”加えていく”目標を立てていますが、僕の場合、昨年末から”引いていく”目標で効果を上げている感じです。
IMG_7230 昨年から、よほど体が欲しない限りは肉は食べませんし、ジョコビッチの食事本に影響されて12月からはグルテンフリーになり、パンやパスタをほとんど食べず、年末に娘が持ってきた砂糖がいかに体に悪いかと言う本を読んで砂糖を取らなくして、チョコとかクッキーを買うのを止めました。つまりは、すべては何かをストップしたりあきらめたりする目標設定です。効果は劇的です。ちょっとぷよぷよしそうだった腹は引っ込むし、食べ物に(特に砂糖に)すごく敏感になってきています。ただ、我慢するだけのことなので難しいことではなく、この1年はこの引き算の目標は続けていけると思います。

このマイナス目標設定は留学にも使えるかもしれません。無理に飲み会に出かけないとか、日本語の活字は読まないとか、週末に街に買い物に行かないとか、留学本来の目的以外のものは絶対にやらないという目標設定は裏を返せば、本来の目標に集中することになります。あれもやりたい、これもやりたいと悩んでいる人が、なんとなく終わってしまった留学期間に後悔するよりも、僕はこれを全くしなかったというのも、語れる話題になるかもしれませんね。

 

2016年を迎えて

明けましておめでとうございます。

サンシャインコーストという田舎に引っ越して約9ヶ月、ここでの年末年始の休暇は、テニスをするか本を読むかビーチを散歩するかぐらいしかやることがない、日本の師走とは対照的なライフスタイルでした。
IMG_2475 (1) この1週間に読んだ(読んでる)本は、セス・ゴーディンの” What to do when It’s your turn”、マルコム・グラッドウェルの” David and Goliath”、キャロル・ドゥエックの”Mindset”です。後ろの2冊はすでに日本語訳も出ているので、興味のある方は読んでみてください。僕はこのような本に代表される、成功するかどうかはその人の考え方や戦略次第だよねというタイプの話が好きですし、実際にそう思っています。

いい教育、お金持ちの家庭、いい大学、いい会社、そんなことは若干のアドバンテージはもたらしてはくれますが、成功や幸せに自動的には導いてはくれません。そんなこと大人はみんなわかってるのに、日本の社会は一生懸命若者たちを昔ながらの固定概念にはめようとしていきます。実際はそんなアドバンテージは簡単にひっくり返せるのに、植えつけられてきたマインドセットのおかげでなかなか大胆な道を選べない若者たちにも多く出会います。それでも自分の力で(大学の語学研修なんかじゃなく)海外に飛び出してみたいという若者たちに、どうしたら成功や幸せに近づけるのかの考え方のアドバイスをしていきたいと思います。

2016年もさらに多くの若者たちとじっくりと話す機会を作り、ビジネスでは「オーストラリア留学」市場でのNo1のポジションをさらに強固なものにして、ご縁のあったすべての人に少しでもお役に立てればと思います。

正しいスタート地点なのか

先週、下の娘から電話があり、仕事が決まったとのこと。彼女は西オーストラリア大学の動物学と環境保全学を勉強していて、オーストラリアでもなかなかその分野では仕事が見つからないと言われていたので心配をしていました。
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仕事内容は彼女が希望していた環境コンサルティングの会社で、それも動物専門というオーストラリアでも珍しいニッチで小さな会社です。そして、彼女は正社員でもなく、カジュアルというプロジェクトごとの採用なので時給は高いけどいつ契約が終わってしまうか分からないポジションですが、多くのオーストラリアの新卒はそこからスタートします。その期間にどれだけの実績を作り、多くのことを学んで、正社員として雇用されるか次のキャリアを探すことになります。

彼女と話していて印象的だったのは、「これで正しいスタート地点に立てたと思う」ということ。何か新しいことを始めるにあたり、正しいスタート地点なのかはしっかりと考えるべきだと思います。留学を新しいスタート地点として考える人にも多く出会いますが、僕は留学は新しいスタート地点に立つための準備であって、だからこそ、多くの経験や失敗をしたり、日本では考えてこなかったような将来について真剣に考える時間なのだと思います。

正しいスタート地点かを判断するために、ひとつだけ考えて欲しい観点があるので、お伝えしておきます。それは、そこからスタートして多くの学びがあるかどうか?それもあまり予測がつかないような学びがあるかどうかです。ファーストフードのお店スタッフは学べることは容易に想像できるので、学生バイトに任せておけばいいのです。正しいスタート地点から見える景色は、山の頂上からの見晴らしのいい世界ではなく、ただ大きな山が目の前にそびえているだけだということをわかっておきましょう。