土に還る雑誌

僕たちはスーパーマーケットで買うのは牛乳や豆腐など限られたものなので、あまり行かないのですが、それでも週に一度くらいは近くのIGAというスーパーマーケットに散歩がてら出かけます。歩いて行けるし、地元の会社の商品(コーヒーとかジャムとか)が並んでいるコーナーとかもあって、なぜか親しみが湧く、コンビニみたいなお店です。

そこでふと見つけたのが、こんなフリーペーパー。僕が住んでいるサンシャインコーストの情報が掲載されています。基本的には、サンシャインコーストのビジネスを紹介する記事広告的な内容ですが、ちゃんと編集されているので、読みやすかったです。そして、それに加えてその雑誌のコンセプトがなかなか面白かったので、紹介します。

まずは、この雑誌は土に還る紙に印刷されています。読み終わったら、友達にあげるか、リサイクルするか、ミミズにあげてねと書いてあります。環境に負荷をかけないという意味では、コストやエネルギーを追加してリサイクルするより、自分の庭にそのまま捨ててミミズが食べて土が豊かになるというのは、いいですよね。

そして、この雑誌のさらに面白い挑戦は、雑誌のWEBサイトもSNSもデジタル版も作っていないということです。つまり20年前に戻って、デジタルな世界に繋がっていない時間を意識的に作って、お茶でも入れて、この雑誌を読んでね。というメッセージなのです。SNSに疲れている人たちが増えている今だからこそ、説得力も出てきます。

サンシャインコーストであれば、そんなメッセージも多くの人たちが受け入れてくれると思います。たった1万部発行の紙媒体。でも既に11号になっていました。サンシャインコーストの人々の、ゆっくりとした時間に貢献しているんですね。ビーチでの昼寝前にちょっと読みたくなる雑誌でした。

されど英語力

最近は、社会人や大学生の方からの、大学院進学の問い合わせが増えています。日本の企業や社会の将来に不安を感じている人が増えているのでしょう。大手企業に勤めているから安心というよりは、逆に自分の将来が見えてしまって、このままではいけないと思ってしまうのかもしれません。

しかし、その問い合わせの3割くらいには、現在の英語力についてのコメントがありません。自分の英語力はさておき、どんな学部で学んだら、思い描く将来に近づくのかが知りたいのかと思います。でも、大学や大学院でドロップアウトする学生のほとんどが、能力が低いからではなく、英語力がなくてついていけなくなって、モチベーションも下がり、学校に行かなくなってしまうのです。英語は他の言語に比べてルールも簡単な算数みたいな言葉ですが、されど外国語ですので、どうしても習得できないタイプの人が存在することも確かです。

オーストラリアの大学院で学んでみようと考えたら、まずは、IELTSでもTOEFLでも良いので、一度テストを受けてみてください。それを受けることで、英語で学ぶということが自分には合っているのか合っていないのかが、分かるかもしれません。あるいは、自分の英語力が大学院に入学するためのIELTS6.5に到達するまでにどのくらい離れていて、到達までにどのくらいの時間と予算がかかるのかも考えることができると思います。

どの学部に入ったら成功できるのかという夢の可能性に悩むより、地道に今日10個の英単語を覚え続けていく人が成功していってる気がします。

視野よりも視力

学生ビザを申請するときに、なぜオーストラリアに留学をしたいのかという作文をしなくてはいけないのですが、その理由で多いのが、「視野を広げたいから」というものです。視野が狭いという言葉が、ネガティブにとらえられるので、視野が広い人の方が人間的にも大きな人だと認められそうな感じがするんでしょうね。

でも、とても多くの人が「視野が広くなるために」って書くので、ほぼ思考停止ワードとして、日本社会では流通している感じがします。留学の目的が「視野を広くするために」で、留学から帰ってきて、留学の結果を就活の面接で聞かれたときに「視野が広くなりました!」なんて答えて、落とされるみたいな。

多くの若者たちと話をしていて感じることは、視野を広げることよりも視力を良くするというか、観察力を高めることに時間とエネルギーを使ったほうがいいのだろうなということです。環境問題を解決するために日本人が努力した方が良いこととか、自分が住んでいる街はどうするともっと魅力的になるのかとか、なんでもいいので問いを作って、自分の見える範囲でまずは調べたり考えたりする練習をしてみることです。実は、インターネットのおかげで、調べることはとても簡単になっています。そうすると、自分なりの仮説を作ることも昔より簡単になっているはずです。

そして、たくさんの仮説をメモに書き留めてから、オーストラリアに留学に来てください。違う世界に触れて、自分の仮説が正しかったとか、間違いだったとか、修正が必要だったりとか、多くの気づきがあると思います。視野が広がるというのは、そういう経験なんだと思います。

今年度もありがとうございました

今日で、オーストラリアの会計年度が終わります。さすがにオーストラリアの会社を経営して15年くらいになるので、6月30日を無事に越せることは、僕にとって大切な目標になっています。今年度は2021年12月に一部、2022年2月から全面的に国境が開き、大学生たちがオーストラリアに戻ってきて、4月からは多くの語学学校も再開するなど、コロナで縮こまっていた留学市場がこの数ヶ月で一気に元に戻っていった印象です。

2月初めの段階では、200人くらいの大学生のお客様たちがオーストラリアの国境再開を日本で待っていて、会社の赤字額も結構な金額だったのにもかかわらず、大学生たちがトラブルなく戻り、売上も急回復して、なんと今年度、十分な利益を計上することができそうです。オーストラリアの留学会社で、今年度に利益を計上できる会社は、すごく少ないと思います。2月からの4ヶ月は本当に目まぐるしく忙しい中、ミスをせず、きめ細かく働いてもらったスタッフには本当に感謝をしています。

明日からは新年度が始まりますが、これからも拡大や成長を目指すのではなく、ご縁のあった若者たち一人一人の幸せとか成功とかを一生懸命考えて、時には留学ではない選択肢を提案するなど、留学会社の枠を越えた話をしていきたいと思います。考えてみると、オーストラリアという国で、苦労しながらも自立し、様々な経験をしてきた20人の日本人の大人の集団というのは、他にはそんなに無いと思います。来年もいい仕事をして、一人でも僕たちの会社が好きな若者たちが増えていけばいいなと思っています。

60歳のとき

60歳になりました。

中学校1年生か2年生の時に、エルトン・ジョンのYour Songを聴くためにアルバムを買ったら、「60歳のとき」(Sixty Years On)という悲しい感じの歌が入っていました。「60歳の時に、僕のことを誰が教会に連れていってくれるのだろうか、、、、60歳まで生きたいとは思わない。。」みたいな歌詞で、人生の中で初めて60歳を意識した経験でした。そして、僕も60歳までは生きていないんじゃないかなと、13歳か14歳の時には真面目に思っていたのです。

そんなことを考えていた僕の人生もあっという間に過ぎていき、60歳になってしまいました。素敵な家族に恵まれ、いまだに健康で毎日テニスをして、仕事も順調で、かなり幸せな60歳なんだと思います。

でも、友人の何人かは、もうすでにこの世にはいないし、そんな無常を考えると、別に今の幸せを維持していくことを目指して生きていてもつまらないと思うのです。つまらないというか、うまくいかなくなることが増えていって、辛くなっていくと思うのです。最近、60代の方の自殺が多いのは、そんな過去へのこだわりが理由なのかもしれません。

ですから、還暦ということで、また赤ちゃんに戻って赤い服を着なくちゃいけないなら、ゼロに戻って、新しい実験を始めたいと思います。さらにミニマルな生活を確立して、また旅を始めるつもりです。昨年、1年間のオーストラリア一周の旅を終わった時には、5年後くらいにまた旅の生活に戻りたいとか言っていたのですが、1年で路上生活に逆戻りです。

幸いにも、オーストラリアの国境が開き、多くの留学生たちが戻ってきているので、きっとさまざまな場所でお客様たちに会えるでしょう。出来るだけ多くの留学生たちと、街のカフェや、森の中を歩きながら、そしてビーチを眺めながら、あるいはテニスをしながら話をして、旅を続けていくのが、僕の60代の過ごし方になっていくのだと思います。

みんなで休もう

留学会社には、日本にオフィスのある会社と、留学先、僕たちの会社で言えばオーストラリアにオフィスのある会社の2つのタイプの会社があります。インターネットのない時代は、日本にオフィスのある会社が宣伝をしてカウンセリングをして申し込みをもらって、お客様を留学させて、オーストラリアにある現地の会社はそのお客様のサポートをするというのがこの業界のビジネスの仕組みでした。しかし、インターネットの普及とともに、リアルな情報を持つ現地の会社(つまり僕たちのような会社)がWEBサイトやメールで、直接お客様とコンタクトをして、申し込みをいただき、サポートも無料で提供できるようになりました。そして、最近はZoomなどのオンライン会議の仕組みを使って、オーストラリアと日本を繋いでカウンセリングが出来るようになり、メールカウンセリングの時代に比べて、質と効率性を高めることができています。

ところが、オンラインカウンセリングの需要が高まっていく中で、新たな問題が起きてきたのです。オンラインカウンセリング希望が日本時刻の夜の7時とか8時からという方が、何人もいらっしゃるのです。あるいは、平日は仕事で忙しいので週末にというお客様も多いです。残念ながら、うちの会社は営業時間はオーストラリアの9時30分から18時まで、週末はお休みなので、そのようなご希望に添うことができません。きっと日本の留学会社は残業して夜にカウンセリングはするし、週末も営業をしてチャンスを逃さないのでしょうね。

オーストラリアに住むようになって、最初の頃は、ショッピングモールのお店が夕方の5時に閉まっちゃったり、レストランでさえ8時くらいにはラストオーダーになってしまうことがとても不思議でした。あと1時間でも長く営業すれば、もっと売上も伸びるのにとかって思ったのですが、実はそんなことはなくて、多くの人々がそういう時間帯で生きているので、営業時間を伸ばしたところで、それに見合う利益は得られないようです。夕食は家族やパートナーと一緒に6時30分とか7時に食べて9時とか10時には寝てしまう。週末は家族や友だちと自然の中で過ごすのでオフィスに行くことなんてあり得ない。そんなオーストラリアのライフスタイルに慣れると、とても心地よい毎日です。

でも、日本で生活している人たちに対して、平日の日中しか対応できませんとかっていうのは、サービス業としては話にならないのですかね。仕事が忙しくても、どうせその仕事を辞めて留学することを考えているのだから、半日くらい休んじゃったって大丈夫、というわけにもいかないのでしょうね。うーん、悩ましいところですが、みんな気兼ねなく休める社会になって欲しいですね。

社会を変えるステップ

オーストラリアではこの週末に総選挙が行われます。今回の選挙では、9年ぶりに労働党が政権を取るかどうかに注目が集まっています。

オーストラリアで選挙が行われるたびに考えるのが、投票は権利なのか義務なのかという問題です。オーストラリアでは投票に行くことは国民の義務だと考えられていて、投票しないと罰金が科せられます。罰金と言っても2,000円くらいの話なのですが、それを期日までに払わないとまたさらに高くなって裁判所に呼び出されたりするようです。そんなシステムのおかげで、オーストラリアの投票率は90%くらいを維持しています。

日本はご存知のように、投票率は50%に達しません。そして、投票に行くのは年寄りばかりなので、政権を担っている政党のマーケティングとしては、年寄りに優しい政策を打ち出せばいいし、投票しない若者の未来なんて考える必要もないのです。そんな状況では、長期的な視点を持って、国民の生活を良くしていこうなんて不可能ですよね。

選挙を開催するには、たぶんすごくコストがかかると思います。有権者ひとりあたりにかかるコストって幾らくらいなんでしょう?棄権する人たちに、棄権するなら少なくともそのコストは負担してねと罰金という税金を納めてもらうなど、オーストラリアのように、ある程度の強制力を持たせないと、いつまで経っても投票率は低いままで、爺さん婆さんにウケの良い政策が続いて、これから先も若さが感じられない社会が続いていくのだと思います。

このブログを書くにあたり、国民の権利とか義務について調べたのですが、日本国民の義務は教育・勤労・納税だと、小さい時に学んだことを思い出しました。でも今の世の中、学びたくない、働きたくない、税金払いたくない人がいっぱいいる感じですね。これから、いったい、どうなっていくんでしょう。

留学相談はオンラインの方がいいよ

週に1人くらい、留学エージェントと契約してしまったのだけど、何か違う気がする、これでよかったのかどうか?みたいな問い合わせがやってきます。契約してしまったら、その契約書に何て書いてあるのかを調べないといけないのですが、世の中の契約書って、大事なことを分かりづらく書いてあるんですよね。ちなみに、うちの会社の規約は超シンプルで、お金を払わない限り(つまり申込時点では契約ではない)契約をしたとはみなさず、申し込みをしても考えが変わったらキャンセルができます。でも多くの会社では、申し込みをした瞬間に契約が成立して、その後に解約しようとすると違約金(キャンセル料)を取るカラクリになっているようです。

だから、多くの会社は、対面でのカウンセリングをして、なんとしてもその場で申し込みをさせるという手法を使います。もう何十年も前から、そういうビジネスってありましたよね。本屋さんで綺麗なお姉さんに声をかけられて、英語は勉強しなくてはいけませんよ、みたいに説得されて英語教材を買わされたりとか、必ず儲かりますとか言われて金融商品を売りつけられたりとか。

そういう業界の営業の人って、相手をその気にさせる技術のプロですから、その人のホームグラウンド、つまりオフィスに行って会議室みたいなところに入ると、もう逃げることは出来ません。手を替え品を替えてあなたにサインをさせるのです。若者って、基本的にいい子が多いので、Noとはなかなか言えないのでしょうね。

そんな状況にならないためにも、オンラインでの留学相談をうまく活用してみてください。胡散臭いかどうかは、顔を見るとわかるでしょうから、実際にオフィスに行かなくても判断はできると思います。オンラインであれば、その場でサインをするということは回避できるので、じっくり考えて、自分のペースで意思決定を進めていってくださいね。

勝ったり負けたり

テニスをやったら、調子のいい日も悪い日もあって、勝ったり負けたりします。負けると少し落ち込みますが、また次の日には、練習をしてもっと強くなることを考えます。

留学カウンセリングをやったら、ときどき、お客様から連絡が来なくなって、他の会社さんで申し込みをしたことが分かったりします。そんな時は、少し落ち込みますが、もっといい提案ができるように、知識を増やしていきます。

そんなふうに、世の中や人生は勝ったり負けたりの繰り返しです。だからこそ、人間的にも成長するし、人格も磨かれるし、人間の幅も広がっていくのでしょう。

でも、世の中には、負けることを絶対に受け入れない人が、稀に存在します。そんな人の中で、ずる賢い人がやることは、自分が絶対に負けない仕組みやルールを作ることです。社会はそういう人を権力者と呼びます。

民主主義とは、どのようなルールを作って権力者を選ぶかではなく、権力者を作らないためにはどのようなルールを作るべきかを考えることなんだということを、子どもたちにはきちんと教えていかないといけないのだと思います。

やり切っていくこと

今週のオーストラリアのニュースで長い時間が割かれていたのが、世界ランク1位の女子テニス選手、アッシュ・バーティーが25歳で引退をするというものでした。今年の1月に開催されたオーストラリアオープンでは1セットも落とさずに優勝して、これから数年はバーティーは圧倒的に強いのだろうなと思っていた中での引退は、人々を驚かしています。お金のことを考えても、賞金だけでもこれから数年間で10億円とか20億円くらいは稼げるはずなのに、なんで今やめちゃうの?というのが多くの人たちが最初に思うことでした。

しかし、彼女にとってみれば、テニスでは目標にしていたことは達成できたので、アスリートとしてではなく人間としてやりたいことに取り組んでいきたいということでした。そんな潔さに、オーストラリア人たちの好感度はさらに高まって、国民みんなが彼女を応援している感じです。

日々は、基本的にやりたいこととやらなくてはいけないことで成り立っています。考えてほしいことは、やりたいことに何を選ぶかとか、やらなくてはいけないことに何を選ぶか、に時間を使うのではなく、目の前にあることをやり切っていくことなんだと思います。大学生なら、卒業するまで勉強をひたすらすればいいし、社会人になったらその仕事をやり切ればいいし、子どもができたら自立するまでサポートするのです。ひとつひとつやり切って、また次のことを頑張っていくことが充実した毎日を過ごす方法だと思います。

そして、やり切ったかどうかは、自分自身が決めることなので、他の人の意見とか目を気にする必要はありません。1年でもやり切ったと思えば、次に行けばいい。中途半端な状態でフラストレーションやストレスをためながら生きていくのは、たった一度の人生の時間がもったいないです。

僕も、経営者という仕事においてのやり切った感がそろそろ出てきました。これから数年で、さらに会社を強くして、かつ経営を次世代の人たちに引き継いでいって、僕は残り少ない人生でやりたい新しいことに(もう決めてあります)挑戦していきたいと思います。