フェイクニュースな世の中

一国の政治でさえも、嘘の情報だろうが何だろうと、信じた人が多ければ気にしない世の中において、一人の人間として、これからの大切な能力って直感と論理と分析のバランスを取りながら、騙されないとか意思決定を間違えないということなのだと思います。


例えば、僕の住んでいる留学業界というのも、怪しい情報を載せているサイトがいくつもあります。「オーストラリア 大学 進学」と検索すると20社くらいの会社が情報を載せています。ところが、日本の留学エージェントで10校以上のオーストラリアの大学とエージェント契約をしているのは数社しかありません。1校以上の契約と考えても10社くらいしかありません。つまり、オーストラリアの大学について掲載している会社のうち、半分は怪しい会社なわけです。

怪しい会社や、怪しい話に引っかからない能力は、物事を論理的に考える能力に近いものがあります。本当にリアルな会社なのかは、スタッフの顔写真が掲載されているのか、本当に留学生がいるのかは、体験談がイニシャルではなく実名で掲載され、写真も何枚も使われているかなど、簡単なことですが、そのチェックさえ行わずに、騙されてしまう人もいらっしゃいます。そして、話がややこしいのは、留学会社を評価するふりをしたまとめサイトなども、実は誰かが作った嘘の情報が満載のサイトだったりするわけです。

留学エージェントに問い合わせする前に、本当にその会社は信用がおけそうなのか、自分で調べられることはちゃんと調べたのか、今が問い合わせをする最適なタイミングなのか、など、一歩立ち止まって考えてみてください。何気に、「留学に興味があってー。」とか「大学ってどんな感じですかー。」みたいな問い合わせを怪しげな会社にしてしまうと、毎日のようにうざい電話がかかってきますよ。そんなことで、皆さんの世界に飛び出していきたいモチベーションが萎えてしまうのは、とてももったいないことだと思うのです。

わんこ天国

旅の途中、ほとんどのAirbnbで犬が飼われていました。小さいのから大きいのまで、シャイなのから馴れ馴れしいのまで、僕たちのスペースに時々やってきては時間を過ごしていきました。オーストラリアの犬たちはペット(愛玩動物)と言うよりは、家族の一員なので、可愛がられているというよりは、一緒に暮らしてるだけという、暑苦しくない関係です。2人で話していても(僕は犬に日本語で話しかけてることが多いのですが)、静かに聞いてくれるので、少しずつ友達になっていく過程がとても楽しいです。星の王子様に出てくる、キツネとの関係みたいな感じです。


オーストラリアでは、犬を飼うためには、ちゃんと犬と飼い主の両方を対象にしたトレーニングに行かなくてはいけないし、一つの家に飼ってもいい犬の数は制限があるし、リードを外して自由に散歩ができるビーチがあったりと、犬を健全に飼うための仕組みというものが整っています。もちろん、野良犬というものは、見かけません。ですから、犬や動物が好きな方は、ぜひオーストラリアに留学に来て、犬を飼っているホームステイ先に滞在したり、Airbnbに泊まってみてください。犬の生活という視点で、オーストラリアと日本を比較してみるのも、面白いと思いますよ。

仕事ではなくビジネスモデルを理解して辞める

日本は新年度で、きっと今週から働き出した初々しい新入社員たちが街を闊歩しているのでしょう。ところが、こんな仕事をしていると、新卒で入社した会社を1年くらいで辞めた若者たちにも多く出会います。ブラック企業が多い日本社会で最初の会社の選択を間違うことはある確率で起こるでしょうし、キャリアの最初の頃に転職を何回かする人は40代50代でのポジションが高いというリサーチが欧米ではあるようですから、日本社会が昔とはずいぶん変わっていることを考えれば、別に気にすることは無いのかもしれません。


ただ、それなりに夢や目標を持って入った業界で、配属された部署の上司が尊敬できないとか、会社の将来性が無いとか、理不尽なノルマを押し付けられたからと言って辞めてしまう前に、その業界で成功する会社になるためにはどうすれば良いのかを考えてまとめる時間を取るといいと思います。どんな業界でも、成功している会社とそうでない会社があります。辞めたくなる会社って、成功していない会社であったり、展望の見えない会社である場合が多いので、なぜ成功してないのかを深く考えてみるべきなのです。そして、その業界で成功するためのビジネスモデルはどのようなものなのか、自分の言葉で語れるようになることが、辞めてもいい基準になるのだと思います。

会社に入ったら、まずは与えられた仕事を一人前にこなすことに集中しろ、と指導する大人たちも多いかもしれません。しかし、それと同時に与えられた仕事が会社の成功のために意味があるのか、もっといい方法がないのか、そもそもこのビジネスモデルが最善なのかなどを考え続けることが、思考停止の人々が多い日本社会を良くしていくために、そして新入社員が将来成功するために、やるべきことなのだと思います。



多様性について考えること

タスマニアで最初に泊まったAirbnbのコテージは母屋が隣にあって、時々オーナーの方が声をかけてくれました。彼は30年前にドイツから移住をしてきた人で、ドイツでは森林の管理をしていたということです。そんなスキルを活かしてタスマニアで森林保護の職を見つけ、森の中に家を建て、10年前からは炭を使った土壌改良のビジネスも始めています。

そんな彼と話したのは健全な森林の多様性の話。


自然はそれ自体に強い森を作るためのノウハウが内在していて、ほったらかしにしておくことが、人間にとって有益かどうかは分からないけど、森にとっては健全なんだみたいな話をしてくれました。だから、あえて外から何かを持ってくることは何も必要なくて、すでに十分に多様性のある、そこに生えている植物を大切にしていればいい。

今、人間社会では、多様性が一つのキーワードになっていますよね。うちの会社は多様性を発揮した経営をしてますよと言いたいがために、外国人を雇ったり、理系の人を文系の組織にいれたり、いろいろ工夫している会社も増えています。しかし、そのコテージのオーナーと話しながら考えたのは、まずは、もっと自分の会社にいるスタッフひとりひとりの個性を知るようにしようということです。僕の会社には、現在22人のスタッフが働いているのですが、みんな様々なバックグラウンドを持ち、違う得意分野を持ち、違う夢を持つ、それだけで十分に多様性のある人々です。ひとりひとりを理解することで、生まれてくる戦略の方が、戦略に人を合わせていくよりも、ずっと成功の確率が高いと思っていますし、今のところ、その経営方針はうまくいってる感じです。

いい人でいる戦略

旅も終わりに近づいてきて(と言うかほぼ終わっていて、現在はゴールドコーストにいます)サンシャインコーストに戻った時の家探しを始めました。実は、正月明けに前に住んでいたアパートの管理人さんに連絡して、2月か3月かに空く部屋があるかたずねてみました。「残念ながら一つ空く予定の部屋があるけど、すでに6人が申し込んでいるから、ちょっと難しそう。お役に立てないけど、他でいい家が見つかったら推薦状とか書いてあげるからね」と言う回答でした。そのアパートは綺麗だし、住んでる人は年配の人が多くて落ち着いてるし、プールは大きいし、ジムもあるし、カフェもあるので、僕のように家で仕事をする時間が長い人にとってはとても便利なのでしたが残念でした。



いよいよ、サンシャインコーストに戻るまでに1ヶ月を切ったので、先週から不動産賃貸サイトを眺めだし、検索してあたりをつけて、いくつか連絡する候補のリストを作っていたら、先週の金曜日にいきなり、その前のアパートの管理人さんからメールがきて、急に一つの部屋が空くことになり、まだ誰にも話してないので、もしまだ家を探していて、興味があるならすぐに返信して、というものでした。もちろん、興味があるので、現地にはいけないけど写真ある?と返信し、写真を数枚送ってもらって、すぐに保証金を送金して、その部屋を確保してもらいました。

数日はかかるだろうと思っていた家探しが、わずか1日もかからずに、それも納得する家を確保できました。これは、僕たちが前に住んでいた時に、いつもにこやかに挨拶したり、部屋をとても綺麗に使っていたり、退出する時もしっかりと掃除などをしたので、管理人さんとしては、僕たちに貸せば安全だと思ったのだと思います。他の人に話す前に、僕にメールしてくれたのは、本当にラッキーだったし、他の人から言わせれば不公平な話です。

ただ、世の中は、このように不公平です。そして、不公平の恩恵にあずかるためには、権力者になってどこかの政治家みたいにずるい取引を実現させるか、「いい人」でいて親切なオファーを受け取るかなのです。もちろん僕は権力者よりもいい人の道を選んでいきたいと思います。

ステージに上ろう

スポーツをスタジアムで観戦すると、興奮して2日くらいはうまく眠れない。ドームを埋めつくすコンサートに出かけると、興奮して3日くらいは、頭の中でその音楽が鳴っている。今をときめく経営者のセミナーに参加したら、1週間くらい仕事が楽しくてたまらない。世の中はそんな観客で溢れていて、そんな観衆を動員するためのイベントを企画することが生業の会社も腐るほどあります。


でも、歌が好きなら、歌を人に聞かせよう。スポーツが好きなら、試合に出てみよう。語ることがあるなら、自分のセミナーを開いてみよう。最初は下手かもしれないし、負けてばかりかもしれないし、話を聞きに来る人はいないかもしれないけど、時間が経てば必ずうまくなっていく。うまくなっていけば、楽しくなってくるし、悔しくなってくるし、謙虚になってくる。それが素敵な人になる道なんだと思うのです。

自然の中をひたすら歩くということ

タスマニアに来てから、ほぼ毎日、国立公園のような場所を数時間歩いています。


特に予備知識もなく、近くのおすすめのウォーキングトラックを探したり、Airbnbのオーナーに聞いて、歩きに行くだけです。最初の頃は仕事のこととか、将来のこととか、いろいろ考えていたのですが、こんな日々がただ続くので、だんだん考えることも少なくなってきました。

何も考えないで歩いていると、自然の鼓動というか波長というか、何か不思議なリズムを感じるようになります。流れる風の大きな動きの中でそれに反応している木々の枝や葉や草たちや、鳥や虫たちが奏でる音たちと足音だけしか聞こえない世界です。そのリズムを楽しんでいると、自然の一部になっている自分を発見します。

きっとこんな感じが、瞑想とかマインドフルネスとかで得られる感覚なんだろうなあと思いながら、毎日ひたすら耳をすましながら、遠くを見ながら歩いています。

タスマニアは人気の国立公園に行っても、あまり人に会いません。日本では山登りに行列ができるそうですが、自然とじっくりと向き合いたいなら、夏のタスマニアはオススメですよ。

2018年の抱負

オーストラリア人の新年の抱負で一番多いのは「痩せる!」ということらしいですが(当然か)、僕の今年の目標は「機会を逃さない」ということです。


今年、僕は56歳になるのですが、おかげさまで体は動くし、今のところ健康だし、会社は順調だし、とても恵まれた時期を過ごさせてもらっています。怖いのは、順調だから起きる守りみたいなものです。チャンスに対して、積極的に動かず、次があると思ってしまう。そのようなマインドセットにならないように、今年は(たぶん、これからずーっと)気をつけていきたいと思います。

これから、僕の人生の中で、次がまたあるチャンスというものはもう多くはないと思います。ですから、本当に一期一会ということを意識して実践していくことが悔いのない人生を送るために大切なんだと思います。

素敵な人に会える、頑張っている若者に会える、素敵な場所にいける、強い選手とテニスの試合ができる、オーストラリアの大学教授とビジネスの話ができる、そんな好奇心をくすぐってくれるところや、僕のサポートや助けを必要としている人のところへは積極的に、その代わり、お付き合いみたいな時間はできるだけ少なくして、ストレスのない日々を過ごすのが2018年の目標です。

今年もありがとうございました

おかげさまで、2017年も素晴らしい1年となりました。オーストラリアの会社は6月末が年度末なので、ちょうど今は2018年6月期の半分が終わったことになります。今期も対前年で増収増益で推移していて、23名のスタッフで構成されている会社としては十分な利益を今年度も確保できそうです。


留学ビジネスというのは、素敵な若者たちと素敵な大学や語学学校などをつないでいく仕事です。それには、知識が豊富で経験のあるスタッフが必要です。幸運なことに、うちの会社のカウンセラー15名のうち、6名が10年以上、4名が5年以上、一緒に頑張って働いてくれています。打ち合わせに行くと、すべての学校に言われるのは、「オーストラリア留学センターはメンバーが全く変わらないので、仕事の質も高く、ミスもなく、本当に仕事がやりやすい。」ということです。おかげで、日々の業務で僕の意思決定が必要なケースはほとんど無く、僕自身は旅をしながら経営をし、2年後、5年後、10年後くらいのこのビジネスの将来を見据えながら、やるべきプロジェクトを一つずつ立ち上げて、それを終わらせていくだけなのです。

2018年は、僕がこの会社に入社して、ちょうど10年目にあたります。10年前、大赤字を垂れ流していた会社が、オーストラリア留学の市場でこれだけ存在感のある会社になるとは、僕も含めて誰も予想していなかったと思います。僕たちを信用していただいた若者たち、大学・学校関係者、そしてスタッフの皆さんにあらためて感謝するとともに、次の10年は規模を追うのではなく、さらに強く、さらにかっこよく、さらに信頼される会社になっていきたいと思います。

良いお年をお迎えください。

みんながコアラを好きなわけ

ビクトリア州で観光というと、メルボルンに行って、そのあとグレートオーシャンロードにドライブというのが定番でしょうから、メルボルンより東側ってほとんどどんなところか分かっていませんでした。

今回訪れたのは、Raymond Islandと言う島です。ここは街をあげてコアラの保護とそれを観光資源として使っています。


朝早い時間なら、コアラも爽やかに起きているのではないかという仮説のもと、朝7時すぎに隣町のPaynesvilleと言う街から、移動距離100メートルくらいのフェリーで島に到着すると、そこからKoala Walkが始まります。コアラというと、遠くの方にかすかに見えたり、木の上の方で寝てたりと言うのしか経験がなかったので、全く期待をしていなかったのですが、歩き始めて5分で、すぐそこで、こちらを向いてるコアラを発見。朝一番のお客様くらいには挨拶しておこうという感じ。開店時のデパートで挨拶してくれる店員さんののりかも知れません。な訳ないか。


そのあとも、全部で10頭くらいのコアラをすぐ近くで見ることができたし、朝食に夢中で接近しても動じないコアラくんとも写真を撮ることができました。基本的に寝てるところしか知らないコアラの表情豊かな仕草に、普段はあまり動物とかに興味を持たない55歳の僕としても、結構ワクワクして楽しみました。



コアラって、どうしてこんなに日本人に人気があるのかを考えながら、(そもそもコアラは絶対にマーチするタイプの動物ではないし。。)歩いていると、ふと懐かしい光景が。東京の夜10時すぎの電車にかなりの確率でいる、手すりにつかまりながら酔っ払って寝ているサラリーマンみたいなコアラくん。可愛い!だけではない、こんな哀愁漂う眠り方も、日本人の多くの世代に共感を呼んでいる?のかも。