いい大学に行こうよ

世界の大学ランキングって2つくらい有名なのがあるのですが、そのうちの1つのQSランキングが先週発表になりました。

こちらのサイトでそのランキングが確認できるのですが、世界で1,000位まで名前が出ています。ということは、その1,000位までが、まあまあいい大学だということなのでしょう。


面白そうなので、日本の大学とオーストラリアの大学を比較してみました。

100位まで
日本:東京大学、京都大学、東京工業大学、大阪大学、東北大学(5校)
オーストラリア:オーストラリア国立大学、メルボルン大学、ニューサウスウェルズ大学、クイーンズランド大学、シドニー大学、モナッシュ大学、西オーストラリア大学(7校)

300位まで
日本:名古屋大学、北海道大学、九州大学、慶応大学、早稲田大学、筑波大学(6校)
オーストラリア:アデレード大学、シドニー工科大学、ニューカッスル大学、ウーロンゴン大学、マッコーリー大学、クイーンズランド工科大学、RMIT大学、カーティン大学、南オーストラリア大学、ディーキン大学(10校)

600位まで
日本:広島大学、神戸大学、東京医科歯科大学、一橋大学、千葉大学、岡山大学、横浜市立大学、金沢大学、熊本大学、長崎大学、大阪市立大学、東京農工大学(12校)
オーストラリア:タスマニア大学、グリフィス大学、ラトローブ大学、ジェームズクック大学、スインバーン大学、ボンド大学、マードック大学、フリンダース大学、キャンベラ大学、西シドニー大学(10校)

1000位まで
日本:岐阜大学、鹿児島大学、首都大学東京、新潟大学、大阪府立大学、上智大学、東京理科大学、群馬大学、名古屋工業大学、山口大学、横浜国立大学、青山学院大学、同志社大学、九州工業大学、明治大学、お茶の水大学、立命館大学、埼玉大学、信州大学、東海大学(20校)
オーストラリア:セントラルクイーンズランド大学、チャールズダーウィン大学、ビクトリア大学、エディスコーワン大学、サザンクイーンズランド大学、オーストラリアカソリック大学、チャールズスタート大学、サザンクロス大学、ニューイングランド大学、サンシャインコースト大学(10校)

世界ランキング1,000位まで、日本の大学は43校、オーストラリアは37校が入っています。日本、頑張ってますね。ただ、ここで日本の大学が全部で何校あるか押さえておきましょう。日本の大学数は2014年の数字で781校、そのうちの世界ランキング1,000位以内の43校は日本全体の6%にあたります。オーストラリアの大学数は40校なので、世界ランキング1,000位までの大学が占める割合は92%。つまり、日本の90%の大学は世界ランキング1,000位圏外、オーストラリアの大学の90%は1,000位圏内ということです。うーん。

オーストラリアの大学は、英語力と日本の高校の成績で入学の査定が可能で、私たちの経験では、ほとんどの日本の高校生は英語力さえつけてくれれば、オーストラリアのどこかの大学に入学できています。海外への大学進学が、一部のエリートやお金持ちのためのものではなく、日本の普通の高校生にとっても当たり前の世界になることが、日本の社会を良くしていくための大切なステップになると僕たちは考えています。

オーストラリアの留学業界における2極化

オーストラリアにとって、海外から多くの若者たちがやってきてくれる教育ビジネスはとても重要な輸出産業です。最近は、アメリカやヨーロッパが不安定な環境になっている影響で、オーストラリアを留学先として選ぶ人が増え、僕の会社も毎日多くの問い合わせをいただいています。


問い合わせをいただくのは、留学生からだけではなく、月に2回くらい、今まで契約のない新しい学校から連絡があり、エージェントにならないかというお誘いをいただきます。市場が拡大している理由からか、学校ビジネスに参入してくる人々も多いようです。そういう学校にとって、エージェントの質などはどうでもいいので、とりあえず多くのエージェントと契約をして、販路を広げたいというのが最優先のマーケティング戦略なのでしょう。

うちの会社の場合、最終的には僕がその学校に訪問して主要な方とお話をしたり、授業などを見学して、日本市場に提案できる感触を持てた時のみ契約をしてその学校のエージェントになります。最近では、なかなかそのような学校に出会わないので、契約数はそんなに伸びていません。売れるイメージ(つまりは留学生たちがハッピーなイメージ)がわかない学校といくら契約しても、学校にも留学生にもご迷惑をかけてしまうので、契約は慎重に行っています。

私たちのような会社がある一方、新しい学校との契約を積極的に行っている留学エージェントもあります。契約数一番をうたっている会社や、新しいエージェントの場合なかなか大手の学校との契約が難しいので、新規の学校と簡単に契約することで、売れる学校数を増やすためです。

オーストラリアの学校の留学手続きを行っている留学エージェントの数は100くらいあるかもしれませんが、そのエージェントが契約している学校の質や数は、そのエージェントによって随分と違っているのだということを理解して、相談をされるといいと思います。

ワーキングホリデービザを使うタイミング

先日、オーストラリア政府の発表で、ビジネスビザを取得するための職種のリストの見直しがされて、以前よりも申請できる職種が少なくなったり、ビジネスビザの期間も4年間ではなく2年間の職種が増えたりして、ビジネスビザの取得というものが難しくなっています。また、ビジネスビザを申請するにあたり、2年以上の経験が必要という条件も追加された職種もあるので、経験を積む方法も戦略的に考えておかなくてはいけません。


そのような状況の中で、ワーキングホリデーで自由に働ける1年間の意義というものが重要になった気がします。

将来、オーストラリアで就職したいとか、永住権もチャンスがあればチャレンジしてみたいという方は、そのワーキングホリデーでの1年の経験が条件を満たすために必要になってくるかもしれません。例えば、オーストラリアの大学を卒業して、2年の滞在ビザを取得できても、就職活動が長引けば勤務期間は短くなってしまうので、ワーキングホリデービザで、ビザ申請のための経験期間を補う必要が出てくるのです。

ですから、今までのように、英語が初級でも海外経験をするにはワーキングホリデー!と安易に考えないで、すでに身につけた英語力やスキルを発揮するためのチャンスとしてワーキングホリデービザを使うという選択があることも、留学を考えている若者たちには伝えていきたいと思います。一生に一度しか使うことができない、かつ何でもすることができるワーキングホリデーというカードをどのタイミングで切ればいいのか、それぞれのお客様のニーズに合うようにアドバイスをしていきたいと思います。

抜け出したいモチベーション

先日、週末にゴールドコーストでテニスの試合があったので、1泊する必要があり、プライベートだし、僕一人だし、小綺麗でリーズナブルなモーテルを予約しておきました。サンシャインコーストから約3時間のドライブをしてそのモーテルに着いたら、受付の人が、「あなたの部屋に昨晩泊まった年配の人が転んで怪我をして、動けないので、もう1泊することになったので、申し訳ないけど近くのモーテルに部屋を取ったから、そっちに行ってくれます?」ということで、もちろん僕は構わないですよと答え、3軒隣のモーテルに移動しました。


しかし、そこはどう見てもランクが2つくらい低く、隣の部屋の前ではタバコを吸っているおばさんが2人で大声で話してるし、部屋は薄暗いし、ハンガーは針金だし、、久々に犯罪の匂いもするような部屋に泊まることになりました。若い時には、お金がなくてそんな場所に泊まったことも何度かありましたが、その時の記憶が蘇りました。そんな時、「絶対、将来はこんなところに泊まらないで済むようにしよう!」みたいなことを考えていました。

人より金持ちになりたい、人より美味しいものを食べたいみたいなハングリー精神が、モチベーションにつながる時代は随分昔に終わった気がしますが、嫌な場所や耐えられない環境から抜け出したいという欲求はまだまだモチベーションにつながっていくのかもしれません。窮屈な社会や窮屈な環境から抜け出すためのきっかけをオーストラリアへの留学に求める人たちにも多く出会います。新しい環境で、どのように生活を始め、いい人間関係を構築していくかをアドバイスするのは、実際に現地でそれを経験してきた僕たちにしかできない仕事だと思っています。

英語を加えてみる

周りの人もやってるし、これからの時代英語くらい話せなければチャンスを得られないと思って、英会話学校に行ったり、留学する人たちがほとんどです。つまり、自分に足りてない英語を学ぶことで、他の人たちに追いつきたい、並びたいという戦略です。そういう人たちをターゲットに、英語業界は「英語が話せないと将来いい人生は送れませんよ」と不安をあおります。


そうではなく、今の自分に英語が加わったら、どれだけ魅力的になるかをイメージすべきなんだと思います。日本で営業が得意なら、英語が加われば海外の営業ができるかもしれないし、日本でマニュアル作りなどの文章を書くのが得意なら、翻訳のコースなどで学べば、世界で読まれる文章を書く人になれるはずです。

みなさんがすでに持っている素敵な才能、得意なスキル、興味のある世界に「語学」を加えてみたらどんな世界が展開していくのか、想像すると楽しいですよね。留学に出かけるモチベーションはそんなポジティブなものだと留学中にくじけそうになっても頑張れると思いますよ。

趣味を作ってから留学しよう

オーストラリアに留学している人たちから必ずと言っていいほど聞かれる質問のひとつは、「どうやって現地の人たちの知り合いを作るか?」というものです。


そして、必ず僕が答えているのは「趣味のサークルなどに入れば、すぐに見つかるよ。」ということです。僕の話で言えばテニスをオーストラリアに来てからまた再開したことで、本当に多くの友人ができました。クイーンズランド州で、気合いを入れてテニスしている50代のおじさんたちはほとんど知り合いで、試合に行けばみんな友達で、今日は勝った、負けた、みたいな10代の時のような楽しさがあります。もちろん、地元のテニスクラブの友達からは、ほぼ毎日テニスのお誘いがやってきます。テニスという趣味がオーストラリアでの人生を本当に豊かにしてくれています。

ところが!

多くの留学生たちは、「たいした趣味が無いんです。」ということらしいのです。日本では、休みの日は友達と出かけて、買い物したり食事したりすることが十分に楽しいので、それ以外に時間を使ってこなかったことにも確かにうなずけます。とは言っても、オーストラリアに来て、趣味なくしては地元の人たちと友達になることはほぼ不可能だと思います。

別にプロ並みに上手い必要もなく、命かけてます!という気合もいらないので、何か海外の人たちと楽しめそうなことを日本にいる間に準備してみてください。そして、留学する街で、その趣味のグループについて検索すると、(例えば Yoga+Gold Coast+Free Lessonなど)、きっとコンタクトしたい人々の連絡先やイベントが探せると思いますよ。

最初が肝心

オーストラリアのビジネスでは、最初のミーティングでどのような関係が築けるかがとても大切です。日本のように、まずは名刺交換してご挨拶だけでも、みたいな時間のかかる関係づくりよりも、初めて会ったその日から信頼関係を築くことを目標にしたほうが文化に合っているようです。では、どのようにしたら良いのでしょうか。


オーストラリアではmateshipという言葉の通り、一緒に働く人たちはみんな友達という雰囲気があります。ですから、無理に自分を飾ったり、舐められないように偉そうに振る舞ったりするのは逆効果です。それよりも、正直に自分を見せていくことが成功につながっていくと思います。

僕がこのビジネスに入ってまだ間もない頃、ブリスベンにあるラングポーツという語学学校のオーナーの方が当時の日本の新宿にあった小さなオフィスに訪ねてきたことがありました。その学校はオーストラリアのトップの学校としていつも表彰されているような語学学校で、きっと小さな留学エージェントの新しい社長を品定めに来たのかもしれません。僕は、まだ業界のこともあまりよく分かっていなかったので、特に何か議題があるわけでもなく、ミーティングが始まりました。

はじめに、学校の概要やプログラムなどについての説明があり、「何か質問は?」と聞かれたのです。

僕は前職がベルリッツという語学学校の経営だったので、「クオリティを維持するために気をつけていることはどんなことですか?」という質問をしてみました。それは純粋に僕が知りたかったことで、オーストラリアの語学学校ってどんな経営をしているのかに興味があったのです。

しかし、その質問に彼は驚いたようでした。「日本のエージェントで、コミッションの率など、お金の話をしなかったのは君が最初だ。」ということで意気投合し、それ以降も語学学校やエージェントの経営について語り合う機会も多く、この業界やビジネスを学んでいく過程においていつも助けてくれました。彼にとって、クオリティはビジネスの本質であり、それについて最初に質問をしたこの日本人は信頼すべきと判断したのでしょう。

それ以降、クイーンズランド大学やメルボルン大学などの名門大学との契約交渉もこの正直作戦で乗り切り、現在は23の大学と契約を結んでいます。オーストラリアの教育ビジネスは、変な小細工や根回しも必要なく、素直に自分を表現しながら交渉していけるので、僕にとってはとても楽しくやりがいのあるフィールドです。

アーティストかプロデューサーか

これからの時代、仕事と言うものは、アーティストになるかプロデューサーになるかの選択しかなくなると思います。乱暴な議論に聞こえるかもしれませんが、それ以外の仕事はAIやロボットがやってくれる時代になるのです。


ただ、僕が考えてるアーティストとは、別にミュージシャンとかデザイナーだけを指すのではなく、どんな仕事でもその人なりの付加価値や仕事のやり方を披露できる人たちを大きな意味でのアーティストと定義したいと思います。企業の経営課題を数字から分析できる会計士だってアーティストだし、そのカフェで一番ファンがつくバリスタもアーティストだし、絶対にコンペで負けないプレゼンができるセールスパーソンもアーティストなのです。つまり、どんな仕事においてもアーティストを目指さないと、仕事も楽しくないし、チャンスも増えないのだと思います。

そんなアーティストが、経験を積み、責任範囲が広がっていく過程で、アーティストのままでいるか、プロデューサーになるかどうかの選択がやってきます。プロデューサーはアーティストたちが活き活きと働ける環境を作れる人です。そしてプロデューサーにとって一番大切な資質はアーティストをリスペクトしているかどうか。そんな人がリーダーとして方向性を決め、そこに向かってアーティストたちを導いていけば、どんな事業や会社も強くて美しくなっていくのだと思います。

勇気のいらない意思決定はいらない

ここ2年ほど、ほぼ毎月オーストラリアのどこかの街でキャリアセミナーをして、若者たちと話をしているおかげで、最近、毎週のようにキャリアについての相談を受けています。本当にありがたいことです。


ただ、相談と言っても、僕が就職の世話ができるほど人脈があるわけでもないし、今の就職に何を用意すればいいのかさえわからないので、ほとんどの場合、何か雑談をしている感じです。その若者の、得意なことや好きなことを聞いたり、僕が感じるその人のユニークさなどについて話しているうちに、不思議とみんな何かしらの答えを見つけ出しているようです。

ですから、僕に必要なことは、ちゃんと聞く力と、ちゃんと質問をする力で、アドバイスをすることではないのかもしれません。

ただ、一つだけ伝えるべきことがあるとしたら、どんな意思決定をする場合でも、何かしらの不安とそれを振り払う勇気が必要だということです。リスクを冒すことがいけないことだと育てられてきた人たちにとっては、とかく安心そうな道を選ぶことを望みます。しかし、勇気がいらない意思決定は、誰にでもできる平凡なレベルの話なので、自分らしい生き方を本当に求めている人にとって、それは将来大きな後悔をもたらすかもしれないというリスクをはらんでいることを忘れないでください。

人身事故な日常

約10日間の東京出張を終えて、オーストラリアに戻りました。

東京に出張すると必ず遭遇するのは地震と人身事故による電車の遅延です。


先日も夕ご飯を食べて中央線に乗っていたら、遅れてました。電車が止まって人身事故だというアナウンスがあっても多くの人はとても冷静で、自分が待ち合わせに遅れることをメールで伝え、我慢強く待っています。大学生か高校生くらいのグループは、「ありえない、遅れちゃうよ!」とか最初は文句を言ってましたが、そのあとはいつもの他愛のない話を楽しんでいました。

最近は人身事故があっても動き出すまでに15分とか20分くらいしか時間がかからないので、東京に住む人にとっては、起きることが可能性として組み込まれた日常の出来事なのです。ポイント故障も、誰かが線路にものを落としちゃうのも、人身事故も、先を急ぐ乗客にとっては電車が遅れる理由の一つであって、大差はないのだと思います。人がたぶん一人亡くなっているという想像力は意識的なのか無意識なのかわかりませんが封印してしまうのです。

そうやって、僕たちの命に対する感性はどんどん麻痺していきます。弱い人がいなくなっていくのはしようがない現実だという、強者が作った社会の雰囲気に流されないためにも、人身事故のアナウンスを聞いたら、そこで一人の命が終わったんだということを想像すべきなんだと思います。