社会を良くしていく方法

明けましておめでとうございます。

この年末年始は、Optusの電話は繋がらず、Telstraのモバイルwifiがかすかに繋がる山の中の小屋で1週間ほど過ごしています。山の中を歩いたり、雨が降れば本を読む生活です。それでも、時々は日本のニュースをネットで見たりして、どんなことを若者たちにアドバイスしていったらいいのかを考えています。


日本の社会を良くするために、考えてほしいことの一つは、自分がやれると思ったら、自分の会社を持つことの可能性を考えるいうことです。SDGsとか働き方改革とか、議論すべき課題は山ほどあるのでしょうが、それって会社という単位で考えると、社長が決めれば良いだけの話です。ということは、ちゃんとした社長が増えれば増えるほど、世の中は働きやすく、住みやすくなるはずなのです。

しかし、残念なことに、優秀な人ほど大きく安定した?働き場所に就職して、その閉じた世界で出世競争というそれなりに楽しめる無意味なゲームに時間を使ってしまうというのが高度成長期くらいからの日本社会の姿なんだと思います。

僕の会社には現在18人の社員がいます。僕の実力やこの留学業界という市場だと、このくらいのサイズが適正だと思います。同じメンバーで10年以上も一緒に仕事をしているので、できるだけ長くみんなが幸せに働けることを目標にしています。

世の中には僕よりも優秀で可能性を持つ人がいくらでもいるので、そんな人たちが30歳からでも40歳からでも良い会社を作って、あるいは後継者を探している会社を引き継いで、そのビジネスに適正な数の社員を5人でも10人でも100人でも雇って、楽しく経営をしていってほしいと思います。もちろん苦労も失敗もたくさんするでしょうけど、その苦労がきっと将来の成長に役に立つのです。

ですから、そんな人生の可能性もあるのだということを考えながら、20代30代を大切にして、目の前の仕事を頑張ったり、さまざまな勉強をしたりして、準備をしてみてください。その準備の一つとして、留学して海外を経験する若者たちと話をするのは、僕にとっても楽しい時間になるでしょう。今年も、そんな時間を多く作りたいと思います。

オーストラリアは仕事納め

オーストラリアの会社のほとんどが、今日が仕事納めで、クリスマスと新年のお休みに入ります。そして、この時期のメッセージとなると、「おかげさまで、今年も順調な業績を残すことができ、ありがとうございました。」みたいなことになるかと思います。


今年はコロナ禍で2年間も閉じていた国境も開き、多くの留学生たちがオーストラリアに戻ってきたので、留学エージェントで業績が悪い会社なんて無いと思います。みなさん、しっかりとした業績を残されているのだと思います。ですから、業績のことなどはどうでも良くて、それよりも、僕としては、より多くの留学生たちに会う機会を作れば良かったと反省しています。


今は、タスマニアの山の中にいるので、お客様に会うことはほぼ不可能なのですが、来年はオフィスのある街に少し長めに滞在して、コロナ以前のように留学生向けのセミナーを開催したり、ランチやお茶をしながらの座談会なども開催して、多くのお客様とお話をしていきたいと思います。お客様たちが感動するような答えは持ち合わせていないことも多いのですが、少しだけ違った視点で、こんなふうに考えることもできるよね、みたいな話をすることは出来ると思います。そして、それ以上に、僕が若者たちから学ぶことが多く、時代というものを感じるために、とても有意義な時間です。

僕たちの会社は毎年1200人から1500人くらいの留学生のお手伝いをしているのですが、平日に毎日お客様と会ったとしてもたった200人しかお話をすることが出来ません。お客様のためではなく、僕のためにもっと努力して時間を作りたいと思います。来年は、どこかでお会いできることを楽しみにしています。

海外を旅しながら磨けるスキル

オーストラリアの国境が開いてから、止まることなく留学の問い合わせをいただいています。特に日本の大学生の語学留学はコロナ禍の前に比べてもずっと増えています。コロナの時代に、大学でちゃんとした授業を受けられなかった不安からなのか、就職には英語力が必要と人材会社がアピールしているからなのか分かりませんが、とにかく毎日のように大学生たちから問い合わせがやってきます。


でも、英語ってツールなので、英語そのものが必要十分条件になることはないわけです。ある強みを持った人が、それを世界でも通用させるために英語を学ぶのは意義があるかもしれませんが、自分の強みとかやりたいことが決まっていない段階でとりあえず英語を留学して学ぶというのは、コストパフォーマンス的には勿体無い感じがします。お金持ちならともかく、借金してまで語学留学をするのは、回収にかなりの時間が取られてしまいます。

ですから、もし、留学しようかなと言う思いが、周りの学生たちが行ってるからとか、就活の履歴書に経験として加えたいからとかであれば、焦る必要はないので、多くの人たちが本当に留学が必要と感じる20代後半になるまで、日本で英語の勉強を続けながら、お金を貯めておきましょう。20代後半での留学は、人生を変えてくれる可能性が高いです。

留学するお金はないけど、それでも、どうしても大学時代に海外を経験したいのであれば、バックパックを背負って、海外を旅してみてください。例えばオーストラリアだったらケアンズで飛行機を降りて、高速バスに乗って、南を目指して、停車したらその街で1日暮らしてみて、またバスに乗ってを繰り返してメルボルンまで降りてきて、日本に帰るとか。そんな旅は、かなりタフさを鍛えてくれると思います。そして、日記をつけて、考えたことを大切に残しておいてください。大学時代って、どんなスキルよりも、ちゃんと考えたことを表現するスキルと、危機回避のための勘を磨くこと(胡散臭い話についていかないみたいな)が大切だと思うのです。

自然の中で1年間暮らしてみる

今は、タスマニア州の州都であるホバートの郊外に暮らしています。市内の中心から車で30分も走らないのに、自然の中の小屋で人工的な音はほとんど聞こえてきません。鳥の鳴き声とカエルの鳴き声くらいで、庭には時々ワラビーもやってきます。タスマニアにしかいない鳥の家族も近くに住んでいて、あまり可愛くない鳴き声で、時々うるさいです。




ホバートにはタスマニア大学、タスマニアTAFE、そして語学学校がいくつかありますが、日本人の留学生たちはほとんど見かけることはありません。他の州に比べても留学生の数が圧倒的に少なく(例えばニューサウスウエールズ州の留学生の数%しかタスマニア州には留学生がいません。)留学生の仲間を作りたいという人には、向いていないかもしれませんが、ローカルの人々と交流する機会は、他の州に比べて多いと思います。



そして、この自然。週末にやることは、この自然の中を歩くくらいしかありません。でも、留学って、SNSにアップできるようなことを毎日探すことではなく、自然の中で考え事をする時間を大切にすべきだと思うのです。オーストラリア、特にタスマニアのような田舎の地域に来ると、成功というものが経済的な成功ではなく、人生を楽しんでいるかの方が大切で、かつ自然が周りにあると、それを楽しむことで十分だということがわかってくるかもしれません。


例えば、大学を休学して留学をするなら、タスマニアも候補の一つに入れてみてください。生活費も安いし、週末はサンドイッチ買って、バスに乗って、どこか自然の中に行って、歩きながらこれからの生き方について考えてみる。そんな1年を過ごした人が、最終的には自分らしい人生を歩めるのだと思います。

タスマニア第2の都市はとても素敵

先週はタスマニアの北側にある第2の都市、Launceston(ロンセストン)に滞在していました。人口は約8万人、タスマニアの北側の商業の中心として1800年台から発展して、今でもその当時の建物が大切に残されています。街を歩いていると、ヨーロッパ的な雰囲気を楽しむことができます。




僕の今回の旅のテーマのひとつは、オーストラリアの中での新しい留学先を開拓するということなのですが、このLauncestonは日本人にはほぼ知られていない街だと思います。タスマニア大学とタスマニアTAFEのキャンパスがありますが、日本人の留学生は、いたとしても数名ではないかと思います。もちろん、街で日本人らしき人に会うことはありませんでした。



でも、街には素敵なカフェはあるし、土曜に開催されるマーケットは楽しいし、大きな公園が街の中にいくつもあって、タスマニアの自然あふれる四季を楽しむことができそうです。特にタスマニア大学が新しくキャンパスを建築しているエリアは、博物館などもあり、この街の文化の中心として発展していく予感がしました。また、人々も田舎の素朴さが感じられる人たちが多く、すぐに友達も増えていくでしょう。





よくあるお問い合わせの内容の一つに、日本人が少なく、現地の学生たちと交流ができる街に留学したいというものがありますが、そんな方にはすごくおすすめの留学先になると思います。落ち着いた環境で、勉強に集中したり、自然の中で時間を過ごしたい方は、チャレンジしてみてください。街の中でも知られた日本人になれると思います。

タスマニアに到着しました

2週間前にサンシャインコーストを出発して、ゴールドコーストなどの海沿いの街を南下して、4日間でメルボルンに到着し、メルボルンで仕事とテニスの試合に出るために1週間弱を過ごして、一昨日にタスマニアに到着しました。これからが本当の旅の始まりという感じです。


タスマニアには2018年に旅をした時と同じく、フェリーで移動しました。メルボルンの近くのジーロングという街から夕方に船に乗り、早朝にデボンポートという港町に到着します。ほぼ12時間の船の旅です。ここ数日は、Lulworthという買い物をする場所もカフェもご飯を食べるところもない海辺の街のコテージに滞在しています。隣の家とは100メートルくらいは離れているので、人が住んでいる気配は感じても、話すことはありません。



早起きをして日の出や海を眺めたり、近くを散歩してワラビーに出会ったりしています。こんな環境でも、十分な速さのネットが繋がるので、ブリスベンの大学のスタッフとオンラインの会議をしたり、お客様と話したりして、仕事も出来ています。もう、場所とか距離というものは、ほとんどビジネスには関係なくなっているのだと思います。


この数年の社会の大きな変化は、人々が密集して住んでいる都市というもののリスクだと思います。ウイルスの感染がすぐに拡大したり、人々が密集しているというだけで事故になったり。

ですから、のんびりした田舎で、ネット環境を活用しながら自分のペースで働きたい若者たちは増えていくでしょうし、そんな場所で生活の基盤を作っていくというのは、必要なスキルの一つになっていくのかもしれません。留学をする場所においても、シドニーやメルボルンなどの大都市も相変わらずの人気ですが、最近は、都市ではない場所をあえて選ぶ人たちも増えてきています。

そんな田舎の留学先として、タスマニアはとても魅力的です。都会の刺激よりも田舎の自然の中で過ごすのが好きな若者たちには、ホバートやローンセストンというタスマニア大学のキャンパスやTAFEのキャンパスがある街が選択肢になっていって欲しいです。

旅が始まりました

昨日、サンシャインコーストのアパートを引き払って、車の旅がスタートしました。2年前にもオーストラリア一周の車の旅を始めて、昨年の今頃にサンシャインコーストに戻ってきて、1年間は落ち着いた生活をしたのですが、また旅の生活に戻りたくなってしまいました。

今回は、特に大きな目標もなく、日本の若者たちが留学に来てみたら面白そうなオーストラリアの小さな街を探してみたり、留学中のお客様に会ってみたり、学校関係者とじっくり話してみたりしながら、充実した時間を過ごしていきたいと思います。こうやって、車に荷物を乗せて、ノマドな生活ができるのも体力的にはあと5年とか10年くらいなのではないかと思うので、運転に気をつけながら、素敵な場所を巡っていくつもりです。


今日は、ゴールドコーストとバイロンベイの中間にあるPottsville(ポッツビル)という街で待ち合わせをして、アデレードのTAFEと南オーストラリア大学で、コンピュータグラフィックスやビジュアルエフェクトを学んだちはるさんと、ブランチをしました。彼女は、バイロンベイの近くの街で映像制作の会社に勤めています。経験を積んでいけば、就職先や携わるプロジェクトの可能性もどんどん広がっていく業界なので、将来にやってみたい仕事の話などを聞くことができました。

すでに社会に出たお客様たちの現在の仕事や未来の夢を聞くのは、学生時代に聞くよりもよりリアリティーや戦略性があり、とても面白く刺激的です。もちろん、日々の仕事は大変でストレスも多いのでしょうが、自分のやりたい仕事に邁進している若者たちと会うことが、僕にとっては一番充実した時間の過ごし方なんだなと実感しました。これから、さまざまな場所に出没したいので、ぜひ、留学生の皆さん、元留学生の皆さん、時間を作って、会ってくださいね。

自分にしか語れないこと

ソーシャルネットワーク(SNS)は直接会えない人たちをつなげるという意味では、本当に価値があるものだと思いますが、一方で、大衆が大衆として固定されていくのを促進している感じがします。多くの人々は、SNSへの参加証明として、時々投稿をするわけですが、周りを見渡しながら、当たり障りのないコメントや写真をアップします。それらは、「ここに行きました!」「これを買いました!」「これを食べました!」にほぼ集約されて、それぞれ「いい経験ができました。」「いい買い物ができました。」「美味しかったです。」という、同じようなコメントが添えられます。


誰にでも語れることは、情報としてはノイズでしかありません。ノイズからは、新たな気づきも得られないし、読んでいても疲れるだけなので、SNSから少しずつ人が離れてしまうのは必然なのだと思います。

これから、どんなプラットホームが流行ったり廃れたりするのかは分かりませんが、ノイズではない、自分にしか語れないことを表現していくことが、成功をしていくための大切な要素になっていくと思います。そのために、安定した慣れ親しんだ同じ環境ではなく、外に飛び出した方が、新しいことを語るための気づきが増えていきます。留学は、国境を飛び越える大きな機会なのですから、オーストラリアのスーパーマーケットの牛肉はいくらだから安い!みたいな、誰にでも発信できることに貴重な時間を使ってはいけないのです。

社会を支える人々

オーストラリアで暮らしていると、さまざまなところで、日本との違いに気づくのですが、その一つがブルーワーカーの人々が元気そうに見えるということです。ビルや家などの建築現場、道路の工事、草刈りや街路樹の剪定などの仕事、そんな仕事をしている人たちは朝早くから現場に行って、元気に仕事をしています。給料もしっかりと設定されているので、オフィスで働く人たちと変わらない収入があるのだと思います。もちろん、体が資本の仕事なので、大変だと思いますが、オフィス仕事をしたくない人々もある割合ではいるのですから、その人たちがちゃんと生活していける仕組みがあるのがオーストラリアの安定した社会を作っていると思います。


日本社会では、そのような人々の扱われ方が、不公平な感じがします。若者たちで、そのような仕事につきたいと考える人たちは少ないでしょうし、そのような仕事をしている人たちの年収は平均以下かもしれません。でも、社会を支えているという意味では、大企業のほとんど生産性が無いおじさんよりも、ずっと社会のためになる仕事をしているわけで、仕事の価値としての対価が収入とするなら、仕事をしてないおじさんよりも、給料は高くあるべきだと思うのです。

ブルーワーカーの方達の仕事でも、自動化やAIに脅かされる仕事もあるとは思いますが、よく考えてみると普通のオフィスワークに比べると、ずっとマニュアル化しづらい仕事が多いことに気づきます。まずは、そのような社会を支える人々の賃金を上げて、しっかりとした生活を可能にすることが、優しい社会に向けての第一歩になると思います。

自然に戻る楽しみ

9月になりました。10月の末には、サンシャインコーストのアパートを引き払って、また車での旅が始まります。今回は、どのくらいの期間旅を続けるのかとか、オーストラリア1周するなどの目標がないので、一つの場所にゆっくりと時間をかけながら、オーストラリアを楽しみたいと思っています。最初に目指すのはメルボルン経由でタスマニアです。11月の初旬から1月の初旬まではタスマニアの自然の中にいるつもりです。自然の中の小屋みたいなところに滞在しながら、シンプルな生活と散歩を楽しむつもりです。


都会育ちの僕が、なぜそんな生活に快適さを感じ、やめられなくなったのは、自然の中には、誰の思惑も感じることが無いからかもしれません。自由との付き合い方を自分なりに決められるというのは、現代人の特権だとは思いますが、僕の場合は、人々の思惑がうごめく都会の生活は十分に楽しんだと思えるので、人が触ったことのなさそうな自然の中に放り込まれると、すごく自由な感じを得ることができるのです。

幸い、オーストラリアには僕を食べようとする猛獣はいないので、きっと日本の山奥を歩くよりも緊張感がないことも、いいのだと思います。そしてオーストラリアの国立公園は、日本では考えられないくらい人に出会わないし、最低限の道だけ整備されているので、その素朴な感じもなかなか心地がいいのです。

コロナもある意味で収束をして、留学生たちが前のようにオーストラリアに戻ってきて、経営者としてのストレスはずいぶんと少なくなったので、自然の中をあまり物事を考えずに、歩いていきたいと思います。