思わぬ副産物?

オーストラリア・サンシャインコーストに戻ってきました。ここは相変わらず空気が綺麗だし、海は青いし、人も少ないのでコロナウイルスに感染することも無いかと思います。


今回は東京に2週間滞在したのですが、東京のあの人混みの中で、すべての人が緊張感やストレスを持っている状態って、やはり居心地が悪いですね。電車の中では、にこやかな人にはほとんど出会えませんでした。

ただ、多くの企業が社員の健康管理のためにテレワークなどを導入したおかげで、ラッシュなどは少し緩和されて、ぎゅうぎゅう詰めみたいなことは無かったのが良かったです。もしかしたら、多くの企業でテレワークの実験ができていることは、この騒動の思わぬ副産物になるかもしれません。いくつかの企業では将来の生産性アップにつながるヒントを得るのでは無いでしょうか。

僕たちの会社は社員が20名なのに拠点は7つあり、かつ御家族の関係で自宅勤務の社員も3名いるので必然的にネットでゆるく繋がった組織です。それでもSlack上では議論もされるし、つきあいも長く、みんながそれぞれの個性を理解しているので、社員が同じ場所にいないことに不便を感じたことはありません。きっと社員の皆も、社長がオフィスにいなくて仕事がはかどると思っているに違いありません。

テレワークがうまくいかないという社長がいたら、それは社長の不安の裏返しか、優秀な社員を集めて来れなかった結果でしか無いと思います。東京のオフィスを縮小して、オーストラリアにサテライトオフィスを持ってプロジェクトをやれば、きっとチームのパフォーマンスも上がるし個人のモチベーションも維持できると思いますよ。

そして、これからの若者たちはそんな環境で働く人々がずっと増えるのでしょうから、練習も兼ねて、留学中もネット上でどんどん会議や打ち合わせをしていきましょうね。ご連絡お待ちしています。

コロナウイルス問題で学んだこと

2週間の東京出張もこの週末を残すのみとなり、来週の月曜日の便でオーストラリアに帰ります。この2週間は、新型コロナウイルス問題が全てだったという印象です。


オフィスのある渋谷の街は、中国からの観光客が少ないおかげで、とても空いていて歩きやすく、10年前とか20年前に戻った感じがしました。しかし、中国人観光客目当てで成立しているビジネスやお店にとっては大打撃だったのは容易に想像できます。

オーストラリアの留学ビジネスにおいても、留学生の半分を占める中国人の留学生たちが夏休みの帰省から、オーストラリアに戻って来れない状況は異常で、担当者たちはその対応に奔走しています。今年のオーストラリアの大学経営はなかなか大変だと思います。

こんな状況で、経営者として考えなければいけないことは、ポートフォリオのバランスということです。一つのビジネスユニットに頼るのはやはり危険だということです。おかげさまで、僕たちの会社のビジネスは、今回のコロナウイルス問題の影響はありません。しかし、大学進学、専門学校進学、語学学校留学、ワーキングホリデー、日本のお客様、すでにオーストラリアにいるお客様、などのそれぞれのお客様のセグメントにおいて、どんなリスクがあるのか、将来その可能性はどのくらいなのか、対応策としての準備はどんなことがあるのかなど、再点検をする良い機会だったと思います。

結論としては、今までと変わらず少数精鋭でフレキシブルに動ける体制を作り、それぞれのビジネスユニットのバランスを取りながら無理をせず、十分なキャッシュを持って、体力を蓄えて置くことしかないと思います。無理をして、成長だけを目指していくと、いつかその代償を払うことになるのだと思います。

3秒間の余裕

日本出張中です。オフィスのある渋谷は、コロナウイルスの関係で中国からの観光客が少ないせいか、いつもより道が空いている気がします。普段は長蛇の列のお寿司屋さんも、今日は随分と待っている人が少ない感じでした。きっと観光客をターゲットとしたビジネスは、大きな打撃を受けているのだと思います。早く収まっていくことを願うばかりです。

さて、日本に来ると、オーストラリアと日本のちょっとした違いを書いているのですが、今日はエレベーターのお話です。日本から、オーストラリアに留学や移住して暮らし出すと、時間の流れが急に遅くなります。オーストラリアでエレベーターに乗って、なんで、みんな「閉じる」のボタンを押さないんだろうと最初の頃は不思議でした。日本人はエレベーターに乗り込んだら必ず「閉じる」のボタンを押しますよね。ただでさえ反応の遅いオーストラリアのエレベーターの扉が閉まるのを3秒?5秒?待つ余裕がありませんでした。


ところが、オーストラリアに住み出して約10年、全くその3秒を待つことが気にならなくなり、エレベーターに乗る時は考え事をしたり、人と話をしたりして過ごしています。そんな感じで、昨日、渋谷のオフィスのエレベーターに最後に乗り込んで考え事をしていたら、先に乗っていた人が、「なんでこのおっさんは、閉じるのボタンを押さないでのんびりしてるわけ?」という顔をしながらボタンを押してました。あー、ごめんね。

でも、この3秒間に、「おはよう」「寒いですね」みたいな挨拶や会話をする発想を持つことで、日本は少し住みやすくて素敵な社会になると思いますよ。

オーストラリアの高校生が学びたい学部

先日、クイーンズランド大学から送られてくる記事を読んでいたら、今年の12年生(日本の高校3年生)の出願において、対前年で一番増加率が高かったのが、bachelor of environmental science (環境学)なんだそうです。クィーンズランド大学はオーストラリアのトップ8大学の一つで、そこで環境学が人気だと言うことは、オーストラリアの優秀な若者たちの興味やキャリアの軸の一つに環境というキーワードがしっかりと入ってきていることを表しています。


オーストラリアは資源や農作物が主要な輸出産業であり、自然からの恵みによって成り立っている国と言えます。そんな状況の中で、環境が少しずつ破壊され、そして温暖化などの影響もある中で、今回の山火事はさらにオーストラリアの若者にとって自然を守ることの重要性を考える機会になったのだと思います。そして、これからの時代に、世界の共通言語、常識として、英語と環境というのは欠かせないものです


「環境に良い」という言葉がどんどん安売りされ、胡散臭い言葉に成り果てた今の社会において、しっかりと学問としての環境を学び、これからの時代に貢献していく若者たちが日本からもやって来て欲しいと思いました。

さあ、2020年が始動した。

オーストラリアに帰ってきました。正月に父親が亡くなったことは、人生の残りの時間を大切にしろというメッセージだったのだと思っているので、今年からは今まで以上に動いていきたいと思っています。


まず、最初に訪れたのはアデレード。昨年の後半にエージェント契約をしたアデレード大学との打ち合わせです。アデレードという街は、オーストラリアの中でも留学生が住みやすい街だと考えています。街がコンパクトで分かりやすく、馴染むのに時間がかからなかったり、海も山も近いので、週末を自然の中で過ごしたい人にも便利です。


アデレード大学は、そんな街の一番北側に面していて、美術館や図書館などの文化的な施設が並んでいるエリアに位置しています。グループオブエイトと言われるオーストラリアのトップ大学の中で、いちばん市街地と一体化している大学です。


歴史的な古いビルとモダンなビルがうまく混在して、キャンパスの広さとしてはそれほど大きくはないのですが、歩いているうちに市街を囲む公園に入り込んでしまうので、自然が好きな人には嬉しいレイアウトです。オーストラリアの大学の多くが自然をうまく取り入れたキャンパスになっているのが、この仕事をしていて、楽しいことの一つです。


毎年、1月は大学の夏休みということもあり、あまり積極的に訪問をしていなかったのですが、(オーストラリアの1月はテニス月間なので、テニスのテレビを観ていたいというのもあるのですが。。)実は大学のマーケティング担当者にとっても、この余裕のある時期にじっくり話ができ、年間計画も立てられ、有意義でしたねという会議でした。そんなことも、動いてみて初めてわかったことなので、今年はより多くの大学や学校たちを訪ね、日本の若者たちにオーストラリアで勉強してもらうためのシンプルな戦略やメッセージを一緒に作っていきたいと思います。卒業生の人たちは、ぜひ、協力してくださいね。

What a wonderful world

昨日、夕方に父親が89歳で亡くなりました。人が老衰で枯れるように亡くなる瞬間を共有できたことは、いつか自分にもやってくるその瞬間がどんなものかをイメージすることができました。

施設での介護が必要になり、ちょうど1年、大きな病気をすることもなく、徐々に認知症も進み、体力も無くなりながら、安らかに亡くなることが出来たのは、常に体調に気をつけ、質素な生活を続けていた結果だったんだなと思います。


施設では、幸運にも一人部屋に入居でき、最近は父親の部屋にあったCDを妹が持ってきて、音楽を流していたので、意識がなくなっていく中でも音楽に反応をしていました。父親の世代は、戦後に洋楽が大衆にも聴かれていく時代で、ナット・キング・コールやルイ・アームストロングなどを聴き、フレッド・アステアやジーン・ケリーの映画の話を聞かされていました。そんなことで昔の洋楽に親しみを感じていたおかげで、僕自身も海外に憧れを持ったのかもしれません。

ちょうど、昨日も亡くなる少し前にサッチモ(ルイ・アームストロングのことです)のWhat a wonderful world がCDから流れ、それ以降、僕の頭の中では、あのメロディーが流れ続けています。きっと、父にとっても天国に向かうためのテーマ曲だったのでしょう。

世界がこの歌のような素晴らしいものであるように、僕はこれから20年?30年?頑張って、この歌を聴きながら人生を終わりたいと思います。

2020年の抱負

明けましておめでとうございます。オーストラリアの会社は今日が仕事始めなのですが、実は、今、僕はオーストラリアではなく、日本に滞在しています。別に秘密裏に国外逃亡をしたわけではありません。父親の具合が悪く、年は越せないだろうと医者から言われて、クリスマスの日に急遽帰国したのでした。もう、その日はすぐに来そうですが、幸運にも正月を迎えることが出来ています。人間の生命力の凄さに感動をしています。


そんな落ち着かない状況ですが、この出来事は僕にとって何かの意味があるはずなので、2020年の抱負を考えてみました。新年の抱負って、考えてみると、その1年間の時間をどう配分するかの事業計画みたいなものです。寝る時間、仕事する時間、遊ぶ時間の質をあげていくためにどうしたら良いのかを真剣に考える必要があるんだということを、人生の時間は有限だという事実を見せつけられて、思い知らされました。

仕事の時間は、もっと多くの人たちと議論をしたいと思います。おかげさまで、会社の業績は順調で、あまり僕が気合を入れなくても、そこそこうまくいく状況なのですが、だからこそ、これで良いのかという疑問を僕が投げ続けていきたいと思います。社員、大学のマーケティング担当者、留学生たちと、「このままで良いの?」という議論をやり続けていきたいと思います。このシンプルな姿勢が、きっと仕事の時間の質を高めてくれると思っています。

遊びは、旅、テニス、家族・友人との時間、しか興味がないので、それ以外の時間を効率化して(つまりは、それ以外の時間は作らずに)遊びに没頭したいと思います。睡眠が7時間、仕事が8時間だとすると、その他の遊びの時間も仕事と同じくらい取ることができるのだから、中途半端なところで満足せずに追求してみたいと思います。

もう若くはないし、時間は限られているのだから、シンプルに、やるべきことを決めて、ひたすらその時間を楽しんで努力したいと思います。なんだか、経営方針みたいな抱負になってしまいました。

今年もよろしくお願いします。

2010年代が終わる

オーストラリア留学センターの雇われ社長から、潰れるくらいなら自分で親会社から買い取って立て直せるかもとサラリーマンを辞めたのが2009年の年末だったので、会社のオーナー兼経営者として10年が過ぎようとしています。人生の中でも、一番学びの多かった10年だった気がします。

最初の1年は毎月社員の給料が払えるかが僕の一番の心配事だったのに、今ではクリスマスからお正月まで、のんびりと休める会社になりました。優秀な少数精鋭の社員たちと、楽しくチームが組めたことが成功の一番の要因であるのは間違い無いのですが、時代の流れというものにもうまく乗れた気がします。


それは、日本の大学たちの地位の低下です。平成の30年の間に、子どもの数は減っていくのにもかかわらず、大学の数は約500校から約800校と300校も増加しています。なぜ増えたかは分かりませんが、大学を作って儲けたい人が増えたのでしょうね。今では、当然ながら多くの大学が定員割れです。そして、それらの多くの大学を維持するために限られた国の予算が使われるために、一つの大学あたりの予算は削られ、国際競争力が落ちています。先日発表された世界ランキングでは、200位までに東大と京大の2校しか入っていないのです。(TIMES World University Ranking 2019)

それだったら、200位までに11校がランクインしているオーストラリアで学ばせた方が、20年後さらにグローバル化している(もう、そんな言葉も当たり前すぎて語られないと思いますが)世界で活躍するためには良いのではないかと高校生たちやそのご家族が考えるのもよく分かります。アメリカはトランプさんのおかげで人気ないし、治安も悪いし、何しろ信じられないくらい学費は高いし、、ということで、オーストラリアの大学進学がここ数年に選択肢に加えられてきたのでしょう。

明日からの2020年代は、さらに日本の大学は変革を求められていくでしょう。半分くらいは潰れるのだと思います。(だって、高校生はそんなにいないし、海外からの留学生だって良い大学に行きたいのですから)これからの大学選びは、世界から情報を集めていくことが普通になっていくでしょう。留学エージェントも、その知識量の戦いなっていくのだと思います。

2020年の世代ギャップ

もうすぐ2020年、えっ?2000年からもう20年も経ってしまうの?というあまりの時間の早さに唖然とします。「2000年問題」って、騒いでたわりに、何も起きなかったなあとか、9.11のテロが2001年だったことを振り返ると、あの衝撃からすでに20年近くが経っているなんて、もう若い世代とは根本的に共通言語がないんだなと不思議な気分になります。



しかし、僕たちの会社のお客様の多くは17歳とか18歳で、2000年以降に生まれた若者たちなので、僕は少しだけ同世代のおじさんたちより彼らと話す機会を楽しんでいます。彼らの特徴はお金儲けよりも社会に貢献するとか環境問題を解決したいとか動物を保護したいなど、興味が自分の外に向いていることです。若いうちはそのようなものだということを割引いても、30代が自分探しに忙しいのとは違った世代がやってきた感じです。

ですから、最近の留学生たちが選ぶ学部は、Animal Ecology だったり、International Relations であったり、Environment management など、5年前にはあまり聞かれなかった学部に人気があるのです。あるいは、ITやEngineering であっても、その技術を使って、世界の問題を解決したいという夢を語ってくれます。

2020年代は、経済的成功を求めている年寄りたちと、世界をよくしていきたい若者たちとの世代間ギャップがさらに広がっていくと思います。スウェーデンの環境活動家のグレタさんの話している内容には触れずに、話し方がきついとか言って批判している人々は、足元をすくわれるかもしれませんよ。新たなタイプの二極化が始まっていくのだと思います。

留学エージェントは誰のため?

留学エージェントって、留学をしたい人がいい学校を探すためのエージェント、だと考えている人が多いのですが、実は、学校や大学が、いい留学生を探すためのエージェントが正しい定義です。ですから、マーケティング費用として、学生一人あたり幾らかのコミッションをいただいています。その学校や大学にとって、いい留学生とは、真面目で、しっかりと授業に出席し、クラスにも貢献して、ドロップアウトすることなく卒業できる人です。


ところが、日本の大学と勘違いしているのか、「卒業しやすい大学を教えてください」というアドバイスを求められたり、「おたくの責任でうちの子をオーストラリアの大学に入学させて」、みたいな親御さんにお会いしたりします。そのようなケースの場合、たとえ入学ができたとしても、卒業できる可能性はとても低いので、うまくお断りするか、消極的なコミュニケーションをしていると、返事がこなくなります。

当然ながら、オーストラリアの大学が求めている留学生は、そんな楽するために留学するような学生ではなく、頑張り屋で、一生懸命勉強し、日本人としての視点をクラスに与えてくれる若者たちです。私たちは、常にそのような素敵な若者たちとの出会いを楽しみ、フィットした大学への出願をお手伝いして、卒業までを見届け、後輩たちが参考にできる体験談をもらうことを地道に続けています。

おかげさまで、そんな地道な仕事をしていくことで、多くの大学から信頼を得ることができています。会社概要サイトに、大学からのメッセージをもらっているので、ぜひご覧ください。このメッセージを、契約のある全ての大学からいただけることが、私の目標です。