What a wonderful world

昨日、夕方に父親が89歳で亡くなりました。人が老衰で枯れるように亡くなる瞬間を共有できたことは、いつか自分にもやってくるその瞬間がどんなものかをイメージすることができました。

施設での介護が必要になり、ちょうど1年、大きな病気をすることもなく、徐々に認知症も進み、体力も無くなりながら、安らかに亡くなることが出来たのは、常に体調に気をつけ、質素な生活を続けていた結果だったんだなと思います。


施設では、幸運にも一人部屋に入居でき、最近は父親の部屋にあったCDを妹が持ってきて、音楽を流していたので、意識がなくなっていく中でも音楽に反応をしていました。父親の世代は、戦後に洋楽が大衆にも聴かれていく時代で、ナット・キング・コールやルイ・アームストロングなどを聴き、フレッド・アステアやジーン・ケリーの映画の話を聞かされていました。そんなことで昔の洋楽に親しみを感じていたおかげで、僕自身も海外に憧れを持ったのかもしれません。

ちょうど、昨日も亡くなる少し前にサッチモ(ルイ・アームストロングのことです)のWhat a wonderful world がCDから流れ、それ以降、僕の頭の中では、あのメロディーが流れ続けています。きっと、父にとっても天国に向かうためのテーマ曲だったのでしょう。

世界がこの歌のような素晴らしいものであるように、僕はこれから20年?30年?頑張って、この歌を聴きながら人生を終わりたいと思います。

2020年の抱負

明けましておめでとうございます。オーストラリアの会社は今日が仕事始めなのですが、実は、今、僕はオーストラリアではなく、日本に滞在しています。別に秘密裏に国外逃亡をしたわけではありません。父親の具合が悪く、年は越せないだろうと医者から言われて、クリスマスの日に急遽帰国したのでした。もう、その日はすぐに来そうですが、幸運にも正月を迎えることが出来ています。人間の生命力の凄さに感動をしています。


そんな落ち着かない状況ですが、この出来事は僕にとって何かの意味があるはずなので、2020年の抱負を考えてみました。新年の抱負って、考えてみると、その1年間の時間をどう配分するかの事業計画みたいなものです。寝る時間、仕事する時間、遊ぶ時間の質をあげていくためにどうしたら良いのかを真剣に考える必要があるんだということを、人生の時間は有限だという事実を見せつけられて、思い知らされました。

仕事の時間は、もっと多くの人たちと議論をしたいと思います。おかげさまで、会社の業績は順調で、あまり僕が気合を入れなくても、そこそこうまくいく状況なのですが、だからこそ、これで良いのかという疑問を僕が投げ続けていきたいと思います。社員、大学のマーケティング担当者、留学生たちと、「このままで良いの?」という議論をやり続けていきたいと思います。このシンプルな姿勢が、きっと仕事の時間の質を高めてくれると思っています。

遊びは、旅、テニス、家族・友人との時間、しか興味がないので、それ以外の時間を効率化して(つまりは、それ以外の時間は作らずに)遊びに没頭したいと思います。睡眠が7時間、仕事が8時間だとすると、その他の遊びの時間も仕事と同じくらい取ることができるのだから、中途半端なところで満足せずに追求してみたいと思います。

もう若くはないし、時間は限られているのだから、シンプルに、やるべきことを決めて、ひたすらその時間を楽しんで努力したいと思います。なんだか、経営方針みたいな抱負になってしまいました。

今年もよろしくお願いします。

2010年代が終わる

オーストラリア留学センターの雇われ社長から、潰れるくらいなら自分で親会社から買い取って立て直せるかもとサラリーマンを辞めたのが2009年の年末だったので、会社のオーナー兼経営者として10年が過ぎようとしています。人生の中でも、一番学びの多かった10年だった気がします。

最初の1年は毎月社員の給料が払えるかが僕の一番の心配事だったのに、今ではクリスマスからお正月まで、のんびりと休める会社になりました。優秀な少数精鋭の社員たちと、楽しくチームが組めたことが成功の一番の要因であるのは間違い無いのですが、時代の流れというものにもうまく乗れた気がします。


それは、日本の大学たちの地位の低下です。平成の30年の間に、子どもの数は減っていくのにもかかわらず、大学の数は約500校から約800校と300校も増加しています。なぜ増えたかは分かりませんが、大学を作って儲けたい人が増えたのでしょうね。今では、当然ながら多くの大学が定員割れです。そして、それらの多くの大学を維持するために限られた国の予算が使われるために、一つの大学あたりの予算は削られ、国際競争力が落ちています。先日発表された世界ランキングでは、200位までに東大と京大の2校しか入っていないのです。(TIMES World University Ranking 2019)

それだったら、200位までに11校がランクインしているオーストラリアで学ばせた方が、20年後さらにグローバル化している(もう、そんな言葉も当たり前すぎて語られないと思いますが)世界で活躍するためには良いのではないかと高校生たちやそのご家族が考えるのもよく分かります。アメリカはトランプさんのおかげで人気ないし、治安も悪いし、何しろ信じられないくらい学費は高いし、、ということで、オーストラリアの大学進学がここ数年に選択肢に加えられてきたのでしょう。

明日からの2020年代は、さらに日本の大学は変革を求められていくでしょう。半分くらいは潰れるのだと思います。(だって、高校生はそんなにいないし、海外からの留学生だって良い大学に行きたいのですから)これからの大学選びは、世界から情報を集めていくことが普通になっていくでしょう。留学エージェントも、その知識量の戦いなっていくのだと思います。

2020年の世代ギャップ

もうすぐ2020年、えっ?2000年からもう20年も経ってしまうの?というあまりの時間の早さに唖然とします。「2000年問題」って、騒いでたわりに、何も起きなかったなあとか、9.11のテロが2001年だったことを振り返ると、あの衝撃からすでに20年近くが経っているなんて、もう若い世代とは根本的に共通言語がないんだなと不思議な気分になります。



しかし、僕たちの会社のお客様の多くは17歳とか18歳で、2000年以降に生まれた若者たちなので、僕は少しだけ同世代のおじさんたちより彼らと話す機会を楽しんでいます。彼らの特徴はお金儲けよりも社会に貢献するとか環境問題を解決したいとか動物を保護したいなど、興味が自分の外に向いていることです。若いうちはそのようなものだということを割引いても、30代が自分探しに忙しいのとは違った世代がやってきた感じです。

ですから、最近の留学生たちが選ぶ学部は、Animal Ecology だったり、International Relations であったり、Environment management など、5年前にはあまり聞かれなかった学部に人気があるのです。あるいは、ITやEngineering であっても、その技術を使って、世界の問題を解決したいという夢を語ってくれます。

2020年代は、経済的成功を求めている年寄りたちと、世界をよくしていきたい若者たちとの世代間ギャップがさらに広がっていくと思います。スウェーデンの環境活動家のグレタさんの話している内容には触れずに、話し方がきついとか言って批判している人々は、足元をすくわれるかもしれませんよ。新たなタイプの二極化が始まっていくのだと思います。

留学エージェントは誰のため?

留学エージェントって、留学をしたい人がいい学校を探すためのエージェント、だと考えている人が多いのですが、実は、学校や大学が、いい留学生を探すためのエージェントが正しい定義です。ですから、マーケティング費用として、学生一人あたり幾らかのコミッションをいただいています。その学校や大学にとって、いい留学生とは、真面目で、しっかりと授業に出席し、クラスにも貢献して、ドロップアウトすることなく卒業できる人です。


ところが、日本の大学と勘違いしているのか、「卒業しやすい大学を教えてください」というアドバイスを求められたり、「おたくの責任でうちの子をオーストラリアの大学に入学させて」、みたいな親御さんにお会いしたりします。そのようなケースの場合、たとえ入学ができたとしても、卒業できる可能性はとても低いので、うまくお断りするか、消極的なコミュニケーションをしていると、返事がこなくなります。

当然ながら、オーストラリアの大学が求めている留学生は、そんな楽するために留学するような学生ではなく、頑張り屋で、一生懸命勉強し、日本人としての視点をクラスに与えてくれる若者たちです。私たちは、常にそのような素敵な若者たちとの出会いを楽しみ、フィットした大学への出願をお手伝いして、卒業までを見届け、後輩たちが参考にできる体験談をもらうことを地道に続けています。

おかげさまで、そんな地道な仕事をしていくことで、多くの大学から信頼を得ることができています。会社概要サイトに、大学からのメッセージをもらっているので、ぜひご覧ください。このメッセージを、契約のある全ての大学からいただけることが、私の目標です。

新しい時代のワーキングホリデー

ワーキングホリデーというと、英語力のない方は、最初の4ヶ月の期間に語学学校に通って英語力をつけ、レストランやカフェで働くというのがもう10年?20年?の定番コースです。この定番コースの歴史があまりに長いので、その後のキャリアアップには繋がりにくいというのが現状だと思います。僕たち留学会社も含め、若干思考停止になっていた気がします。

しかし、まだまだ数は少ないですが、最近は新しいタイプのワーキングホリデーの若者たちがやってくるようになりました。日本の企業などとインターネットを通じて働ける、フリーランスのような人々です。朝から語学学校に通い、放課後に少し休んだら、ネットにアクセスして仕事を始めて、自分のやるべきことが終わったら、あとはオーストラリアらしくのんびり過ごす。そんなライフスタイルが可能な時代になっています。


うちの会社でも、ご家族の都合でオフィスに来ないで自宅から働いている人がいます。きっと、日本には数多くの若者たちが、オフィスに行かずに、つまりは世界のどこからでも働ける可能性をすでに持っているのかもしれません。

そんな人たちにとって、オーストラリアは生活する場所として、最高の環境だと思います。

まずは、時差がほとんどありません。日本の企業と連絡を取り合うのに、時間を調整する必要はありません。当然ながら時差ぼけも無し。

モバイルのwifiが日本の半額くらいのイメージ。数年前はオーストラリアはネット後進国でしたが、今は、日本よりも安くなった気がします。僕は毎月5,000円くらいで100ギガのプランのモデムを持って旅をしています。

気候が良くて人が優しい!公園のベンチでもカフェでも空気が綺麗な環境でいくらでも仕事が可能です。カフェで仕事してても、店員さんに嫌な顔はされませんよ。(証明済み)

これからの時代、自由に働くことを望み、それを実践する若者たちがどんどん増えていくと思います。どうせ働くなら、海外で、英語も勉強しながら、1年間を過ごしてみたら、日本にいるときとはずいぶん違う価値観を養えると思いますよ。

利益よりも大切な目標

会社の経営の目標は株主価値の最大化、つまりは利益の最大化ということで、多くの会社が切磋琢磨をしているのですが、そのプレッシャーが大きいと、無理なコストカットを断行したり、達成不可能なノルマを強いたり、政治家や役人と結託しちゃったりするわけです。

上場企業の経営って、本当に大変だと思います。


株主が2人のうちの会社は、利益について目標を設定しないので、利益を上げるために何かを無理することがありません。それよりも、僕が大切だと思っているのは「かっこいいか?」ということです。お客様満足も従業員満足も当たり前、それらよりも上の概念として、かっこいいかが、うちの会社では大切です。

僕たちのかっこよさとは、常に正しく、正義の味方でいて、ズルをせず、誰にも媚びず、誰とも群れず、そんな僕たちに賛同してくれるお客様にベストなサービスをする、というものです。

最近の世界中で起きている、勝つためには手段を選ばずという風潮は、スポ根漫画で育った僕にはどうみてもかっこよくないし、その風潮を断ち切るためにも、正義の味方はかっこよく勝っていなければいけないのだと思います。

幸運なことに、僕たちがビジネスをしている若者たちは、胡散臭い人々を嗅ぎ分けられる感覚を持っています。だからこそ、僕たちは、信じることができる正義の味方の大人がまだいるんだということを、伝え続けていきたいと思います。そして、それがスタッフのモチベーションになり、さらにかっこいい会社になって、ファンが増えていくのです。

出願ピーク

毎年、夏休み明けの9月から11月は、高校3年生たちの出願時期のピークで、大学進学担当のスタッフたちにとっては1年で一番忙しい時期になります。12月に入ると、オーストラリアの大学も夏休みに入り(季節が逆ですからね)大学の窓口ものんびりし始めるので、今月中に出願を終えたい感じです。もちろん、12月以降でも受け付けてくれますが、返信が若干遅くなるのです。


私たちの会社は、オーストラリアの42大学のうちの26大学とエージェントとしての契約を結んでいて、これは日本の会社では最多です。今の私たちの規模では、この数が限界かなと思っています。昨年は120名、今年は150名以上の若者たちの大学進学を無料でお手伝いしています。7年前にこの大学進学市場に本格的に参入したときは、数名だった大学進学者も100人を超え、来年は200人を超えるかもしれません。海外の大学に進学するなんて、考えてもみなかった40年前の僕たちの時代とは全く違う状況なのです。

ですから、僕は日本の未来に対しては、少し楽観的です。「海外の大学を出た奴らは、気が利かなくて使えない」みたいなことを平気で言ってた「使えない」おっさんたちが引退して、海外組たちが社会を引っ張っていく時代になれば、グローバルな企業活動もスピードアップするでしょうし、世界からの視点を意識しながら日本の魅力を伝えられるし、自然環境についての意識も世界標準になるのだと思います。10年とか20年とか、そんな時代はあっという間にやってくるので、そんな時代を楽しみに、仕事を続けていきたいと思います。

動物を食べない日

日本では報道さえされないでしょうが、11月1日は世界ビーガンデーとして、イベントなどが行われています。ビーガン(vegan)とは、動物性のものはいっさい食べない食生活の人たちです。卵とか牛乳とかも口にしません。この週末は、僕たちがよく行くビーガンカフェでも特別メニューが提供されて、多くの人たちで賑わっていました。


僕が食べたのはナチョス、奥さんが頼んだのは植物ベースでできたソーセージを挟んだホットドックでした。ここの味付けは本当に美味しく、2週間に一度くらいはやってきてしまいます。そして、デザートはココナッツミルクで作られたソフトクリームです。若い時にテニス合宿で食べたソフトクリームを凌ぐほどの美味しさでした。


オーストラリアではベジタリアンやビーガンの方が日本に比べると随分と多く、そのためのメニューを、ほとんどのレストランやカフェが提供しています。日本に帰国して結構困るのが、そのようなメニューがとても少ないことです。きっとベジタリアンのメニューは食べる人が少ないからあきらめちゃうのでしょうけど、世界的なトレンドから言うと、随分と遅れた感じです。

畜産、特に牛肉を作る過程は、環境に悪いとか温暖化に影響を与えていることは、もう常識だし、工場のような場所で生産されている肉は薬品などで効率的に品質が維持されています。どうみても体に悪いと思っていても、砂糖と油で絶妙な味に仕立てられた安い牛丼やハンバーガーで育てられた僕たちは、その食生活を変えるのが難しいのです。

そんな生活を見直すためには、とてもいい機会だと思うworld vegan dayですが、11月1日と言う日に設定したのが、まずいですよね。ハロウィンの次の日で、みんな歩き疲れて、朝は寝坊して、元気が出ないから、「今夜、焼肉行っちゃう?」みたいなことになってしまっているのだと思います。

週末は街に行かない

台風直後の日本に帰ってきました。パースから成田にこの9月から直行便が飛ぶようになったので、試してみたのですが、飛行時間は9時間もかからないので夕食を食べ、映画を1本観て、ちょっと寝たらもう到着という感じでした。パースに留学する人は便利になりましたね。

ぼくの実家は吉祥寺にあり、ちょうど帰国した日が祝日だったので街に出かけてみると相変わらず家族連れなどでとても混んでいました。パースでは週末だと街の中心はほとんど人がいないので、そのギャップに少しびっくりしました。


オーストラリアのライフスタイルと東京のライフスタイルの違いの一つは、そんな週末の過ごし方です。

オーストラリアでは、週末に街に出かけることはほとんどありません。若い人も家族連れも年寄りも、基本的に地元だったり自然に近いところで、のんびり過ごします。僕たち夫婦であれば、おにぎりと冷たいお茶と本を持ってビーチでだらっとしています。消費活動とは一番遠いところで時間を過ごします。

週末に消費活動をしないと、日本のGDPは確実に下がってしまうと思いますが、消費活動をせずに、地元や自然の中でゆったりとした時間を過ごすことで、幸福度指数は確実に向上すると思います。日本にいる方は、次の週末は街に行くのをやめてみてください。きっと素敵な気づきがあると思いますよ。オーストラリアにいる方は、ぜひ、そんなライフスタイルをSNSなどで発信してみてくださいね。