動物を食べない日

日本では報道さえされないでしょうが、11月1日は世界ビーガンデーとして、イベントなどが行われています。ビーガン(vegan)とは、動物性のものはいっさい食べない食生活の人たちです。卵とか牛乳とかも口にしません。この週末は、僕たちがよく行くビーガンカフェでも特別メニューが提供されて、多くの人たちで賑わっていました。


僕が食べたのはナチョス、奥さんが頼んだのは植物ベースでできたソーセージを挟んだホットドックでした。ここの味付けは本当に美味しく、2週間に一度くらいはやってきてしまいます。そして、デザートはココナッツミルクで作られたソフトクリームです。若い時にテニス合宿で食べたソフトクリームを凌ぐほどの美味しさでした。


オーストラリアではベジタリアンやビーガンの方が日本に比べると随分と多く、そのためのメニューを、ほとんどのレストランやカフェが提供しています。日本に帰国して結構困るのが、そのようなメニューがとても少ないことです。きっとベジタリアンのメニューは食べる人が少ないからあきらめちゃうのでしょうけど、世界的なトレンドから言うと、随分と遅れた感じです。

畜産、特に牛肉を作る過程は、環境に悪いとか温暖化に影響を与えていることは、もう常識だし、工場のような場所で生産されている肉は薬品などで効率的に品質が維持されています。どうみても体に悪いと思っていても、砂糖と油で絶妙な味に仕立てられた安い牛丼やハンバーガーで育てられた僕たちは、その食生活を変えるのが難しいのです。

そんな生活を見直すためには、とてもいい機会だと思うworld vegan dayですが、11月1日と言う日に設定したのが、まずいですよね。ハロウィンの次の日で、みんな歩き疲れて、朝は寝坊して、元気が出ないから、「今夜、焼肉行っちゃう?」みたいなことになってしまっているのだと思います。

週末は街に行かない

台風直後の日本に帰ってきました。パースから成田にこの9月から直行便が飛ぶようになったので、試してみたのですが、飛行時間は9時間もかからないので夕食を食べ、映画を1本観て、ちょっと寝たらもう到着という感じでした。パースに留学する人は便利になりましたね。

ぼくの実家は吉祥寺にあり、ちょうど帰国した日が祝日だったので街に出かけてみると相変わらず家族連れなどでとても混んでいました。パースでは週末だと街の中心はほとんど人がいないので、そのギャップに少しびっくりしました。


オーストラリアのライフスタイルと東京のライフスタイルの違いの一つは、そんな週末の過ごし方です。

オーストラリアでは、週末に街に出かけることはほとんどありません。若い人も家族連れも年寄りも、基本的に地元だったり自然に近いところで、のんびり過ごします。僕たち夫婦であれば、おにぎりと冷たいお茶と本を持ってビーチでだらっとしています。消費活動とは一番遠いところで時間を過ごします。

週末に消費活動をしないと、日本のGDPは確実に下がってしまうと思いますが、消費活動をせずに、地元や自然の中でゆったりとした時間を過ごすことで、幸福度指数は確実に向上すると思います。日本にいる方は、次の週末は街に行くのをやめてみてください。きっと素敵な気づきがあると思いますよ。オーストラリアにいる方は、ぜひ、そんなライフスタイルをSNSなどで発信してみてくださいね。

「過去」とのつきあい方

日本社会を海外から眺めていると、「過去」となかなかうまくつきあえていない感じがします。社会も企業も個人も、「失敗」という過去、「成功」という過去、「つぎ込んだお金」という過去、「頑張ってきた努力」という過去、「築き上げてきた地位」という過去などに、どうも引きずられているようなのです。


特に社会や企業など、組織や集団になると、「過去」との決別はほとんど不可能で、それが日本に限ったことではありませんが、社会の閉塞感を作っているのです。「過去」に引きずられている人が集団の半分いれば、変化が必要と分かっていても新しいことにはチャレンジされなくなるのは当然なのです。

ですから、僕は、社会がどんどん良くなっていくことはあり得ないと思ってるし、期待もしていません。しかし、個人や小さな集団には期待を寄せています。「過去」ではなく「未来」のために世界に飛び出していく若者たちをこれからも支援したいし、そんな若者たちが社会のある割合になった時、きっと、その社会はいい方向に動き出すのだと思っています。

成長させてくれる環境

今朝、テニスクラブに行ったら20歳のプロを目指している男の子と久々に会いました。ジュニアの時には時々練習していたけどさすがに最近は球のスピードが違いすぎるので、ボールを打ち合うことはなかったのですが、今日は少し話をしました。

最近見かけなかったけど調子はどう?試合に出てたの?と聞いてみると、なんとメキシコの大会に出ていたのだそうです。メキシコを選んだのは、アウエイ感があるから。オーストラリアの若手の選手は国内とアジアの試合には良く出るのですが、南米の試合に出ようなんて普通は考えないそうです。サッカーなどでも分かるように南米・中米には独特の雰囲気がありますよね。


だからこそ、興味があったとのこと。相手は、アジアの選手たちよりもずっとアグレッシブで怖いくらいだったけど、けっこう勝つことができて嬉しいなんて話をしてくれました。彼はプロ選手として生活ができるかはわかりませんが、随分と人間的に成長していました。海外に出て、様々な人種や文化を持った同世代と戦ったり話したり生活をすることは、人間を大きくするとてもいい方法です。

オーストラリアにはアジアだけではなく、世界中から留学生が来ています。(大学に交換留学で一番来ている学生の国籍はアメリカからなんですよ)そんなアウエイの世界で勉強や生活することは必ず皆さんを成長させてくれると思います。

40年前の時間の流れ

今回のブログも、プラスチックを減らす試みの紹介です。

僕は髭を剃るときは、電動のシェーバーではなくカミソリを使っています。電動シェーバーは手入れも面倒だし、別に電気使わなくてもいいんじゃない?ということで随分と前に一度買いましたが、しばらくして使うのを止めました。

日本でサラリーマンをやっていた時期は、会社に行くときは、ちゃんと綺麗に剃らなくては!とかって思ってましたが、オーストラリアで、それもほとんど家で仕事をする現在に至っては、気になったら剃るという感じです。


そんないい加減な状況なので、髭剃りにお金を使うのはもったいないと、使い捨ての安いカミソリをスーパーで買っていたのですが、やはりプラスチックは放置しておくわけにはいかないので、週末に、shaver shopで昔ながらの髭剃りを買ってきました。

40年前くらいに、父親の使っている髭剃りを借りて、恐る恐る初めての髭剃りをした時に使った、1枚のカミソリをセットして使うやつです。と言っても、今の若い人たちには想像もできないのかもしれません。この髭剃りって、ちょっと角度を間違えたり、垂直方向に動かさないと、ヒゲだけではなく皮膚も切っちゃうので、とても緊張感のある作業です。さっそく、ちょっと血が滲みました。

そういえば、40年前は髭剃りにも、随分と長く時間を使っていました。お湯やクリームみたいなものを使って、ヒゲや皮膚が柔らかくなるまで待ってたり、カミソリももっとゆっくり動かしていました。そんなことを懐かしく思い出しながら、これからは、血だらけにならないように、ゆっくりと髭剃りを楽しんでいきたいと思います。

もしかしたら、世の中には40年前に戻った方が、地球にも自分にも素敵なこともあるのかもしれませんね。

人生を賭けた仕事探し

最近はタクシーではなく、UBERを使うことが普通になってきましたが、日本はまだタクシーを使う人の方が多いのですよね?UBERは運転手にお金を支払うと言うプロセスがないので、お金を持ってなくても良いのがいいですね。

さて、先日、アデレードの出張から帰るときに、早朝の6時くらいにホテルから空港までUBERを頼みました。ドライバーは随分と若い感じで真面目そうなアジア顔の男の子だったので、助手席に座って(オーストラリアではタクシーやUBERでは、よほどのことがない限り助手席に座って運転手と話をするのが基本です)話しかけました。



「学生?」
「南オーストラリア大学で、アカウンティング(会計学)のマスターを終えたところです。」
「じゃあ、卒業生ビザを使って仕事をしてるんだね。」
「はい、なかなかフルタイムの仕事が見つからないので、いいチャンスを探しています。」

昼は会計の仕事をパートタイムでやりながら、お金を増やすために夜や早朝にUBERの運転手をしているとのこと。

「どこの国から来たの?中国?韓国?」
「香港です」
「そっかあ、大変な状況だね。友だちはデモに参加してるの?」
「はい、友人たちのSNSをみると、全てがその話題なので、心が痛みます。」
「そうだよね、でもあの状況で、国に帰るのは大変そうだね。」
「だから、何としてもオーストラリアで仕事を探して安定したいと思ってるんです。」

そんな話をしているうちに、空港に到着して、「Good Luck」と声をかけて、3ドルのチップをUBER経由で送りました。

アジアから永住権を目指す若者たちは、彼のように本当に懸命です。「どのコース取ると永住権取れますかあ?」みたいなお気楽な人には、なかなかチャンスは巡ってこない感じがします。

ココナッツスポンジ

僕の生活の目標のひとつは、出来るだけプラスチック製品を使わないということです。エコバックやKeepcupを使ったり、野菜はパックされたものではなく、マーケットに買いに行くなどは、習慣としてできてきましたが、生活用品にはまだまだ思わぬところにプラスチックが隠れています。今後は、それらをどう無くしていくかを、機会があれば書いていきたいと思います。

今回は、皿洗い用のスポンジ。我が家の皿洗い担当の僕としては、スーパーで買った5個3ドルとかのお得なスポンジを使っていたのですが、洗っているうちに少しずつ削れているのがわかり、これってマイクロプラスチックとして海に流れて、魚が食べて、それを大きな魚が食べて、それを鳥が食べて、、みたいなことを考えたら、夜も眠れなくなっちゃうわけです。


ということで、近くのオーガニックショップに行って、プラスチックではない食器洗い用商品を買ってみました。

この商品はココナッツの繊維を使った食器洗い。なんか頼りなさげなのですが、使ってみると結構泡立つし、長持ちもするし、すぐに乾くし、悪くないです。何しろ、捨てるときには庭とかに捨ててね、と書いてあるのが嬉しいです。


これを作っている会社はインドの会社ですが、日本も昔からたわしの文化があるわけですから、こんな商品を作ってプラスチックのスポンジを止める運動をしてくれたらと思います。

逆境でもクリエイティブにいられるか

海外から日本社会を見ていて、面白いなと思うことの一つは、相変わらず高度成長期を支えてきた方々がけっこう元気で、何事も我慢して根性で乗り切れと言っているのに対して、若者たちはもっと人生は楽しくて遊ぶように仕事をしたり暮らしていけるはず、と年寄りから見れば甘い話で対抗していることです。


どちらも当たってもいるけど、外れてもいるという感じでしょうか。これからの時代、今までの時代とは比べものにならないほど不確定な要素が転がっているわけですから、同じポリシーやコンセプトに固執していてはいけないのだと思います。

僕が思うのは、逆境や踏ん張らなくてはいけない時に、どれだけ強い気持ちを持ってクリエイティブに動けるかが、成功の鍵なんだと思います。僕も含めて、中小企業の社長さんというのは創業時から常に順調だった人はいないと思います。必ず、どこかで苦しい時や踏ん張らなくてはいけない時期を経験しています。その時に、ただ我慢して根性で耐えるだけでは、状況は打開できないし、みんなで楽しく頑張ろうと言っても誰もついてきてくれることはありません。どんなに辛い状況でも、何かクリエイティブなアイデアを考え、それを実行することで会社を救ってきたのだと思います。

創業から10年で9割の会社がうまくいかなくなるということの理由の一つは、逆境の練習ってなかなか出来ないことだと思います。タフな状況を解決していく、たとえその時は失敗したとしても次に活かせるという経験は、本当に踏ん張らなくてはいけない状況になる前に何度か経験をしておくべきです。

若いうちに留学とか、海外で自分で生活をしていくこと、海外じゃなくても自分の快適な世界から抜け出して生きていくことは、大人になってから必ず活きてきます。僕たちの仕事は、そんな若者たちにセーフティーネットを提供しつつ、健全な逆境を経験してもらうお手伝いをしているのだと思っています。

数値では測れないもの

火曜日に東京からサンシャインコーストに帰ってきて、またのんびりとした生活に戻りました。さっそくお気に入りのカフェに行ったり、テニスをしたり、日本から見学に来た高校生をサンシャインコースト大学に連れて行ったりと、まあまあ忙しい?生活をしています。

日本の社会とオーストラリアの社会は統計上ではほぼ変わらない、生活の質の高さを表していると思います。便利さでは圧倒的に日本の方が上でしょうし、治安はほぼ同じレベル、最低賃金はオーストラリアの方が高いけど、失業率は日本の方が改善しているなどなど。


それでも、多くの留学生たちはオーストラリアに残りたいと考えるし、僕自身もこれから先もオーストラリアに住み続けると思います。その理由は数字では現れてこない部分の違いなんだと思います。それは人の温かさ。

すれ違う人に挨拶したり、電車や飛行機で隣の人と話したり、タクシーやUBERではお客は助手席に座ったり、横断歩道では必ず車が止まったり、馴染みのカフェではオーダーするときに世間話をして列が長くなっても誰もあまり気にしないなど、そんなのんびりした生活は慣れてしまうと、とても心地いいわけです。たぶん、1人あたりの笑っている時間はオーストラリアの方がずーっと長いと思います。

日本も昔はのんびりと人と人が温かく社会を作っていたわけで、その時代に戻ることはそんなに難しくないと思います。でも、もし、そんな社会のイメージが湧かないのであれば、サンシャインコーストに来ることをお勧めします。

都市は素敵な街を隠している

1週間ほど、暑い東京に来ています。2011年にオーストラリアに引越しをしてからはじめての日本の夏なので、冬の爽やかなオーストラリアからやってきた人間としては、この蒸し暑さはかなりこたえます。オフィスは渋谷にあるのですが、相変わらず人は多いし、この猛暑では散歩する気にはなりません。結局、実家がある吉祥寺に戻って、買い物したり、友だちとご飯を食べたりしています。

渋谷などの東京の中心はどうも居心地が悪く、ちょっと離れたおしゃれな街や地域が、実はその都市の魅力を作っているのだと思います。


オーストラリアでもその公式は当てはまっていて、シドニーならサリーヒルズ、ブリスベンならパディントン、メルボルンならフィッツロイ、パースならスビアコなどの街は、市内中心からちょっと離れたおしゃれな街としてすでに有名ですが、他にもきっと素敵な街がたくさん、都市の周辺にはあるのだと思います。

そんな街に住むことで、オーストラリアらしい、のんびりした人生を楽しむライフスタイルを経験することが出来ます。よく、市内に出来るだけ近くて便利な場所に住みたいというリクエストをもらいますが、市内に通学するのに少し時間がかかったとしても、生活の質が高い街周辺に住むことの方が、一生に一度のオーストラリア留学を印象的にできると思いますよ。