ワーキングホリデーの原点

ワーキングホリデービザは、1年間という期間の中で学校に通う事も出来るし、働くことも出来、自分なりにやりたいことをデザインできるので若者たちにはとても人気の渡航スタイルです。また、多くの体験談などの情報もネットで探す事も出来るので、こんなことがしたい、出来るはずというリストを皆さん作られてきます。
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先日、出張で戻ってきた東京で、充実したワーキングホリデー生活を送ってきた女性と再会しました。彼女の目標はとてもシンプルで、「海外旅行で困らない英語力と度胸をつける」「オーストラリアで行ってみたいところに旅行する」ということです。オーストラリアに来る1年以上前から準備をしていたので、現地でアルバイトをしなくても大丈夫なだけの資金もあり、オーストラリアでも節約生活を心がけていたので、旅行のときはその分お金を使って楽しんだということです。

彼女のそんな話を聞いていると、ワーキングホリデーの原点というのは、日本を飛び出してシンプルなライフスタイルを構築することなのではないかと思いました。オーストラリアの一番の魅力は、都会と自然がうまく融合した街でシンプルな生活ができることだと思います。日本では時間に追われ、情報に追われ、消費することに追われてしまいますが、オーストラリアでは本来であればそうでない贅沢な時間の使い方が可能なはずです。それなのに、ワーキングホリデーのためにやるべきリストを作ってきた人は、あれもやってこれもやらなくちゃ、あー予定通りにいかないとストレスを貯めてしまうのです。

彼女のようにシンプルな目標を立て、オーストラリアの時間の流れに合わせながら、人生を楽しむ術を身につける。履歴書には書けないかもしれないけど、人生に取ってはとても大切な経験だと思います。

バスに乗るか、歩くか。

オーストラリアから出張で日本に帰ってきています。実家に滞在しているので、オフィスまでの通勤が約1時間と典型的な東京のビジネスマン生活をしています。
Raining night, pavement...

By OiMax


昨晩は台風の影響で雨が激しく降り出していて、最寄りの駅から実家まで普段は20分かけて歩くところをバスに乗るかどうか悩みました。雨はさらに激しく横からも降り出してきたので20分歩けばぐしょぐしょになるのは見えています。バスは満員ですが少なくとも濡れる事はなさそうです。

210円払ってあまり濡れずに帰るか、満員バスに揺られるのを嫌って濡れながら20分歩くかの選択です。

合理的に考えるのであれば、つまりクリティカルシンキングを学んでそれをビジネスに活かしている人であれば、さらにいろいろな変数を考慮しながら意思決定をするでしょう。しかし、僕はどんなに合理的であるという答えが出たとしても、満員のバスには乗らず台風の中を歩くタイプです。おかげで、膝から下はほぼ水浸し、カバンを抱えてそれを気にするあまり背中はビチョビチョ。それでも、隣の人とくっつきながら誰も何も話さない空間に15分以上耐えられないのです。

日本社会を飛び出してくる留学生の何割かは、満員バスに乗れないタイプです。そんな若者たちに、雨の中をずぶ濡れになりながらも楽しく歩く方法をアドバイスするのも僕の仕事のひとつです。

オーストラリアでは体を鍛えよう

ゴールドコーストだけでなく、オーストラリアのどの街に行っても多くの人たちがスポーツ・エクササイズを生活に取り入れています。毎朝6時くらいから、歩いている人、ジョギングする人、グループでスポーツ用の自転車でトレーニングしている人たち、もちろんサーフィンをしている人々も多く見る事ができます。
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前の晩に仕事とその後の飲み会のおかげで、朝は5分でも多く寝ていたい東京の社会人たちとは大きな違いです。オーストラリアに来たら、せっかくなので健康的なライフスタイルを経験してみてください。あるいは体を動かすのが大好きな人はぜひオーストラリアに来てください。

特に私のように50歳以上の中高年の人たちの体に対する考え方が、日本とオーストラリアでは大きく違う感じがします。日本では体はいたわるとかケアをするというのが基本的な考え方、でもオーストラリアではみんな好きなスポーツを目一杯やって体を鍛えているのです。やたら元気なおじいちゃんもたくさんいます。私が行っているテニスクラブにも、足は動かないけど打つ球はするどいプレーヤーたちにエースを取られたりロブで抜かれて笑われたりしています。

長生きするために体に悪い事をしないという考え方より、体が動く間はどんどん動いて太く短く生きるという方が、体育会系の私には合っている気がしています。

楽しさはエピソードになるんだろうか

海外留学の目的として、帰国後の就職に活かせるからと考える若者たちは少なくありません。しかし、採用担当の面接官から留学について聞かれたときに、「とても楽しかったです。世界の国に友だちが出来て、英語も困らなくなりましたし、最高でした。」と答えたら、面接官の印象に残るのでしょうか?
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たぶん、残りません。

多くの面接官が聞きたい事は、海外で遭遇する問題や苦労した事を、異文化の中でどのように自分なりに解決してきたかです。そのような、経験こそが入社後の様々な課題に活きるものなのかどうかを面接官は見ています。良く言われている事ですね。

ところが、多くの留学への問い合わせが、自分が簡単に到達可能な範囲で何ができるかを聞いてきます。お金を出来るだけ使わずに、かつリスクは出来るだけ取らずに、楽しく過ごしながら、適当な資格獲得やインターンシップをするためにはどうしたらいいのかという問い合わせがけっこう多いのです。

就職に活かしたいとかキャリアチェンジのきっかけにしたい人に取っては、これは大きな戦略ミスです。これだとあまり苦労もしないかわりに、人に語れるエピソードも作れません。楽しい事は自己満足のために取っておいて、苦しかった事は人に語るために取っておきましょう。苦しくても頑張った経験を笑いながら話せる人が、共感を呼ぶのだと思います。

 

難民の人々と

オーストラリアの政治問題のひとつに難民の受け入れ問題があります。中東やアジアでの政情不安や迫害から逃れるために、多くの難民たちがオーストラリアに助けを求め、オーストラリアはそれを受け入れてきましたが、これ以降は難民というスタイルでの受け入れはかなり難しくなるようです。しかし、過去に難民としてこの国にやってきた人たちが、社会の一員としてとけ込んでいて、私たちも時々話をする機会があります。特に図書館や教会などで行われている無料の英会話サークルなどには、そのような方たちも多く参加しているようです。
Welcome refugees balloons - Refugee vigil Broadmeadowsby Takver

そんな国から来た人々たちと話をしていると、自分の生まれた国を飛び出さなくてはいけない状況を、否応無く想像しなくてはなりません。生まれた国を捨て、家族と会えなくなるかもしれなくても、新天地で暮らしたい、あるいは暮らすしか道がない、私たちの想像力ではなかなか到達できない世界です。きっと彼らの人生観は私たちのものとは大きく異なり、時間の使い方やお金の使い方、生きている実感というものも随分と違うのだと思います。

留学中に悩んだり、進路の事で心配になったら、英会話サークルにでも顔を出して、様々な国の人と話してみてください。命がけで、オーストラリアにやってきている人にも出会えるはずです。そして、そんな人たちと友だちになってみてください。きっと、多くの事を教えてくれると思います。

アデレード支店開設にむけて

先週、アデレードという南オーストラリア州の州都に出張に行ってきました。シドニー、メルボルン、パース、ブリスベン、ゴールドコーストに続く6番目の支店としてオフィスを持つかどうかを判断するというのが目的でした。オーストラリア第5の都市であり、エコノミスト誌の世界の住みやすい都市ランキングでも5位のこの街が日本からの留学生にとって適した場所なのか、いくつかの観点から視察し、11月にアデレード支店を開設する事を決めました。これから、時々アデレードの街の紹介もしていきますが、まずはいくつかの特徴から。

日本人が少ない
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5日間アデレードに滞在しましたが、街中でほとんど日本人には遭遇しませんでした。過去には日本の多くの旅行会社や留学会社がオフィスを出していたそうですが現在では数えるほど、この数年で撤退した日本人が多いようです。しかし、日本人が少ない留学先を探している留学生には面白い機会になるかもしれません。特に私たちの会社を使って留学するお客様は、意識が高い方が多いので、日本人がいなくても頑張れる人にはこの街は向いていると思います。

公園に街が囲まれている
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アデレードは1800年代前半から自由移民をヨーロッパから受け入れ、その段階から計画されて作られた街なので、市内中心部を取り囲むように公園があります。ですから市の中心部にいたとしても、10分くらい歩けばすぐに公園でくつろげる事が出来る環境です。これは日本の若者たちに取って、街というものを考える意味でとても新鮮なことだと思います。

大学が3校、専門学校、語学学校が十分な数だけある
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人口100万都市に大学が3校あるというのも教育が充実しているオーストラリアらしいところです。オーストラリアの大学はほとんどが公立大学ですので、アデレードにある、アデレード大学、南オーストラリア大学、フリンダース大学すべて公立大学です。語学学校も整備されているので、地元の大学生と同じキャンパスで学ぶ事もできます。私のお勧めはフリンダース大学附属の語学学校です。

海に行くにも山に行くにも30分圏内。
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市内はけっこう広いなという印象ですが、郊外に目を向けるとすべてがコンパクトな感じです。お会いした皆さんが、どこへ行くにも30分圏内で行けるのがとても楽だと話してくれました。写真はトラムで20分程度で行けるGlenelgというビーチです。シドニーで言えばマンリービーチのような雰囲気の場所でした。

アデレードは初期の頃からドイツ人の移民が多く、ブドウ栽培が盛んでバロッサバレーなどのワインで有名な地域も多く、また食の文化やフェスティバルなども有名なので、今までは日本ではあまり知られていなかった新しいオーストラリアの魅力的な留学をお届けできると思っています。ぜひ、すでにオーストラリアにいる留学生の皆さんたちも、支店が開設されたらぜひ遊びに来てください。

 

オーストラリアらしいMBAプログラム

先日、ブリスベンとゴールドコーストにキャンパスを持つグリフィス大学のビジネススクールの新たな方向性についてのセミナーがあったので参加してきました。
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グリフィス大学は中堅の大学で、国内トップ大学のクィーンズランド大学( University of Queensland )やブリスベンの市内にあるクィーンズランド工科大学(Queensland University of Technology)などと競争をしています。ランキングが上のこれらの大学と戦うために、グリフィス大学は大きく2つの方針を打ち出しています。

一つは、「環境」というキーワードでトップになりたいということ。地球温暖化が本当かなどという議論は科学者に任せておいて、ビジネススクールの観点で環境問題は絶対に避けて通れない問題として、その分野を充実させようとしています。それは持続可能なビジネス創造や開発国などのビジネスなど実は大きな活躍できる場があるのだと思います。

もう一つは、デジタル社会における学び方の提案です。オンラインで学ぶ人が急増していく中で、出来るだけ多くの教材をデジタル化して提供して、24時間勉強できる体制を整えています。フレキシブルな学びを提案する事で、他の大学との差別化を図りたいということでした。

ビジネススクールの方向性としても、以下のような共感できるメッセージを掲げています。

Business is more than creating wealth for just a few. It’s about creating ethical, sustainable societies that build prosperity for everyone!      Griffith Business School Principles

『ビジネスは少数の人々のために富を創造するものではない。それはすべての人々の繁栄のために倫理的かつ持続可能な社会を創り出す事だ。』

将来外資系金融企業に行くのであれば、どうぞアメリカのMBAへ。しかし、持続可能なビジネスをしっかりと立ち上げて世界に貢献したいのであれば、このような大学院も選択肢にいれてみたらいかがでしょうか。

 

まずはテストを受けてみよう

オーストラリアで大学や大学院に通ったり、永住権を取得するためには、いつかは英語の試験を受けなくてはならなくなります。そんな話を若者たちとすると、IELTSでもTOEFLでもまずは勉強して自信がついたら受けてみたいですと答える方たちが多いのです。そんな人が多いので、英語試験用の塾とか予備校という業種が日本では発展するのでしょうね。
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まずは練習してからという戦略は、はっきり言って時間とお金の無駄だと思います。

テストを受けようと思ったら、1ヶ月後でも2ヶ月後でも次のテストの予約をすべきです。そして、そのテストに向かって自力で勉強をしてみましょう。図書館に行けば過去のテストの問題集を借りる事もできるし、古本だって売ってます。過去の問題集とネットにある情報で自分なりの計画でテストを受けてみるのです。

テストを受けてみると、思わぬ発見があります。まずは、どんな環境でテストを受けるのかとか、テストの流れについても理解が深まります。リスニングの環境とかリーディングの時間の制約とか、分かっていたつもりでも実際のテスト環境で感じる事は自分で勉強している世界とはかなり違うのです。最初のテストは、気づける事は全部気づいておけるように、終わったらすべてメモに残しておきましょう。そうすれば次に受験するときには無用なストレスは抱えずに、解答する事に集中できます。

さて、2週間くらいすると結果が送られてきます。目標に対してどのくらいの点数が取れているかで、今後のスケジュールと本当に予備校のようなところに通うかのか自分で頑張るかを検討すればいいと思います。きっと自分なりのアイデアが出来ているはずです。集中して勉強すべき事が見えているから、長い期間塾に通う必要も無いでしょう。あるいは、塾以外の対策も思いつくはずです。

例えばスピーキングだけが心配なら、ネイティブの先生とマンツーマンでチャットできるような安い英会話に10回くらい申し込んで、ひたすら質問してもらえばいいのです。実際私がIELTSを受験したときは、そのようなスピーキング対策をしました。

まずは、テストを受けてみる。大学受験と違って英語のテストは何度でも受けられます。ですから場に慣れることができるという特権は活かした方がいいと思います。

 

 

 

成長戦略か延命戦略か

選挙が終わった日本のニュースを読んでいると、今後の日本の成長戦略は何か?というトピックが多いようですが、議論されていることが、成長戦略なのか、時間稼ぎのための延命戦略なのかは注視していかなくてはならないと思います。

企業を経営する身となってみると、継続して成長するためには数多くの手を打たなくてはならず、その分失敗する事は多くなります。しかし、その小さな失敗たちが大きな成功のネタになるので、新規事業がどんどん生まれる企業文化を作る事はとても重要な戦略のひとつです。しかし、日本社会はとかく失敗に対して「いかがなものか」と弱いものいじめにいそしむ人たちも多く、それによって本当の成長戦略よりも失敗の無いあたりさわりの無い延命戦略になりがちです。そんな空気が浸透しているので、若者たちのマインドもリスクを背負うよりも、現状維持を選ぶ傾向にあるようです。
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そして、それは留学生にも影響していて、失敗を恐れずに成長戦略を持ち続けている人と、居心地のいいオーストラリアにいるための延命戦略に変わってしまっている人がいるのです。はじめは自分の成長のために留学をして、様々な事にチャレンジして、ときには苦しい思いをしてもなんとか乗り越えて世界に羽ばたいていこうと思っていたのに、知らぬ間にオーストラリアにいることが一番の目的になってしまって延命だけをしている若者をたち。延命はもうそこでしか生きれなくなってしまうから、日本にも怖くて帰れない。そんな若者たちが世界各地の留学に人気のある街には必ずいます。

しかし、そんな若者たちと話してみると、実はそのような生活に満足はしていなくて、どう変えたらいいのかのキッカケがつかめないだけ。そんな若者たちにも、役に立てるのが、現地にいる留学会社の面白さだと思っています。

社会の変化は待っていられない

僕たちの世代は、社会に入るときに「新人類」と呼ばれ当時の大人たちには理解できなかったようですが、その僕たちも大人(それもかなりの)になって、この30年くらいを振り返ると、ほとんど日本の社会が変わっていない事に唖然とします。もちろん、30年前に比べたら女性の社会進出も、海外に行く人々の数も、いくつかの局面では大きく改善もしているでしょうが、なんか社会を包んでいる空気みたいなものは、ほとんど変わっていない感じがします。
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私にとって一番居心地が悪いのは、大事な事を先送りしながら、多くの人たちが何かを待っているということです。誰かが、それが力強い政治家なのか、正義の味方なのか、優秀な官僚たちなのか分かりませんが、社会を変えてくれるのではないかと待っている、あるいは「待っててもしようがないよね」とブツブツ言いながら結局そこに留まっている人々が、日本の空気をずーっと作っています。

希望的観測の元に、長期的な視点で将来を考えれば、必ず社会は良くなっていくでしょう。毎日毎日少しずつ良くなっていって、いつか素敵な社会ができることでしょう。しかし、皆さんはその日まで待てるのでしょうか?皆さんの子どもたちはその日まで待てるのでしょうか?僕は自分の子どもたちの未来を考えたときに待てませんでした。だから子どもたちだけでも、世界というフィールドで生きられるようにと思い、オーストラリアで勉強させました。それから15年経って、「グローバル人材」とか言う言葉とともに、社会が追いついてきた?感じがします。

社会という時の流れと、一度しかない自分の人生の時間の流れはきっと整合しないと思います。それでも待ち続けるか、リスクも考慮しながら動き出すのかは人生における大きな課題です。